過払い金請求
過払い金請求の流れ自力でおこなう場合と弁護士に依頼する場合の違いも解説
2024.11.11
過去に払いすぎた利息などの過払い金は、クレジットカードや消費者金融に請求することで回収が可能です。
しかし、これから住宅ローンを組む予定がある人の中には、過払い請求をすることでローンの審査に悪影響が出ないか心配な方も多いのではないでしょうか?
本記事では、過払い金請求が住宅ローン審査に及ぼす影響について解説します。
過払い金請求が住宅ローンに影響しないための注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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結論からお伝えすると、過払い請求をすること自体が住宅ローンに悪影響を及ぼすことは原則ありません。
利息制限法の上限金利を超過する利息は、民法上の不当利得であると解釈されており、過払い金請求は法律で認められた正当な権利です。
そのため、過払い請求を行ったからといって住宅ローン審査で不利になったり、審査が通りづらくなったりすることはありません。
しかし、借金が残っている状況で過払い金請求をおこなう場合は要注意です。
仮に、過払い請求をおこない、戻ってきた過払い金を借金返済に充てたとしましょう。
その際に過払い分を相殺してもなお借金が残っている場合は、任意整理扱いとなり事故情報として登録されてしまいます。
事故情報に登録されてしまうと、返済能力に問題ありとして住宅ローン審査に影響を及ぼす可能性があるので注意しましょう。
負債が残るかは取引履歴を取り寄せることである程度見当をつけられるため、事故情報が登録されるリスクについては事前に判断可能です。
過払い請求をおこなう際は、借金は返済済みかどうかや、戻ってきた過払い金で完済できるかどうかをしっかり確認しましょう。
過払い金請求が住宅ローン審査に影響することは、基本的にはありません。
しかし、ケースによっては過払い請求をおこなったことで審査が通りにくくなるおそれがあるのも事実です。
ここからは、ケース別に過払い請求が住宅ローン審査に及ぼす影響を解説します。
すでに完済した借入先に対して過払い金を請求する場合、過払い金請求が住宅ローン審査に悪影響を及ぼすことは基本的にありません。
かつて、過払い金請求は信用情報に「契約見直し」という事故情報として登録されていました。
しかし、2010年に金融庁が指定信用情報機関の条件として、そもそも契約見直しの登録自体の削除を命じたため、過払い金請求の記録は信用情報に載らなくなりました。
そのため、借金を完済している金融機関への過払い請求が、住宅ローンの審査に影響することはないのです。
返済中の借り入れ先に過払い金請求をして、その結果残債が全て完済できる場合は住宅ローン審査に影響はありません。
過払金で借金を完済できて負債が帳消しになると、そもそも信用情報機関に事故情報が登録されることはないので、ローンにも影響がないのです。
ただし、過払い金請求の手続きが完了するまで一時的に債務整理として事故情報が登録されることがあるので注意してください。
とくに、過払い金請求手続き中のローン審査などは慎重になるべきでしょう。
事故情報は、負債が残らないと判明した時点で削除されるため、残債が生じなければ過払い金請求がローン審査に影響を与えるとは考えにくいといえます。
返済中の借入先への過払い金請求後、負債が残る場合は住宅ローン審査に影響を及ぼします。
引き直し計算の結果、負債が残っているうえで過払い金請求をおこなうと、一定期間は住宅ローンの審査を通らなくなる可能性があるのです。
この場合、過払い金請求をした時点で任意整理をおこなったと扱われ、事故情報として登録される可能性があります。
なお、任意整理をおこなったことについての事故情報の登録期間は信用機関によって異なり、一度登録されると最長で完済から5年間は削除されません。
事故情報が削除されると住宅ローン審査への影響はなくなるため、住宅ローンを申し込む前に過払い金請求をおこなうのであれば、残債が発生しないか十分に確認することが大切です。
住宅ローンの審査後に過払い金を請求したとしても、ローンに影響することは原則ありません。
基本的に住宅ローンを組んだあとの過払い金請求は、すでに組んだローンに影響を及ぼさないため、過払い金がある場合は、ローン審査通過後に請求手続きをおこなうこともひとつの方法です。
事故情報で影響が出る可能性があるのは、事故情報が登録されて以降のローン契約やクレジットカード利用などで、事故情報登録前に組んだ住宅ローンを滞納せず問題なく払えている限り、基本的に影響はありません。
そのため、住宅ローンを遅れずに支払っている限り、住宅ローンの残り額を一括で払うよう請求される、あるいは住宅ローン契約条件について見直しを求められることはないと思ってよいでしょう。
なお、過払い金には消滅時効があるため、消滅時効が迫っている場合はすぐに対応しなければなりません。
消滅時効まで時間がある場合は、まず住宅ローンを組んでから過払い金請求をすることも検討しましょう。
また、借金が残った状態で住宅ローンの申し込みをすると、借金がある事実が住宅ローン審査にマイナスに働く恐れがあります。
そのため、完済した業者のみに過払い金請求をおこない、回収できた過払金で借金を完済して住宅ローンを申し込み、再度過払い金請求をするという方法もあります。
過払い金の請求をおこなうかどうかは、取引履歴を入手したあとに判断しましょう。
取引履歴とは、今までの借入と返済の記録であり、賃金業者に問い合わせることで簡単に取り寄せられます。
取引履歴を確認すれば負債が残るか見当がつくため、過払い金請求後に借金が残ってしまうリスクを抑えられるでしょう。
なお、取引履歴を取り寄せただけでは事故情報が登録されることはないので安心してください。
住宅ローンの審査と同時期に過払い金請求を検討している場合は、住宅ローン審査に悪影響が出ないために注意すべき点がいくつか存在します。
それぞれの注意点について、以下で詳しく見ていきましょう。
住宅ローンを組むときは、過払い金請求先とまったく関係性のない業者や金融機関で申し込みましょう。
なぜなら、過払い請求をした業者や金融機関内では、社内情報として過払い金請求の事実が共有されている可能性があるためです。
過払い金請求先の賃金業者に対して新たにローンを申し込むと、そのローンの審査に通過しにくくなることが考えられます。
ローンを申し込む金融機関と同じ名前が入った系列銀行や系列クレジットカードに対して、過払い金請求をしている場合は注意しましょう。
また、必ずしも金融機関の名称だけでグループ企業かどうかを判断できるわけではありません。
念のため、会社情報やグループ会社の情報も調べておき、過去に過払い金請求を行ったクレジットカード会社などが系列にないかチェックしておきましょう。
過払い金請求をするタイミングにも十分注意しましょう。
過払い金請求に適切なタイミングは、借金完済完了後と住宅ローンを組んだあとです。
過払い金を請求したい賃金業者からの借入を完済している、あるいは過払い金請求により借金が完済する場合は、新規の住宅ローンに影響が出ることはありません。
また、住宅ローンを組んだあとに過払い金請求をしても、住宅ローンの契約に問題が生じることはありません。
仮に過払い金請求が原因でブラック状態になったとしても、一度組んだローンは解約をされたり借金の一括請求を要求されたりすることはないので安心してください。
住宅ローンを申し込む時点で多額の借金があったり、返済を滞納していたりといった事情がない場合は、住宅ローンを組んだあとに過払い金請求をおこないましょう。
なお、ローンを組んだあとに過払い金請求をおこなう場合は、過払い金返済期限の時効に注意してください。
時効を1日でも過ぎてしまうと過払い金は受け取れないため、期間に余裕を持って請求しましょう。
住宅ローンの審査を通過できるかどうかは、ローンの返済を滞りなくおこなえるかで決まります。
そのため、過払い金請求以外にも住宅ローン審査に影響する要素をおさえておきましょう。
ローン審査に落ちやすい条件は複数ありますが、特に上記の要素に心当たりがある場合は注意してください。
住宅ローンの審査基準は、申し込み時と完済時の年齢、年収と返済負担率、職業や勤務先の勤続年数、勤務先の雇用形態、債務状況、健康状態であり、住宅ローンを組むにはこの審査に通る必要があります。
特に注目すべきは債務状況で、借金があるかないかはもちろん返済見込みがあるかどうかを判断する重要なポイントです。
収入がどれだけ高くても負債が多い場合は返済にリスクが伴うと判断され、審査に通過にくくなる可能性があります。
また、税金や携帯料金の滞納、クレジットカードの枚数は意外と見落としやすい要素です。
過去にクレジットカードの支払いを滞納しており、が信用情報に登録されてしまうと、住宅ローンの審査に落ちやすくなります。
住宅ローンの審査では、返済リスクがないかを厳しく見極められます。
住宅ローンを利用する前に、自身が審査に落ちる要素に該当しないか確認しておきましょう。
住宅ローンに過払い金は発生しません。
そもそも過払い金請求とは、過去に存在したグレーゾーン金利によって支払いすぎてしまった利息を取り戻すための手続きを指します。
グレーゾーン金利とは、2010年6月17日以前の出資法の上限金利と、2010年6月18日以降に払い過ぎていた金利の間にある金利のことで、利息制限法により定められた上限を超えて払い過ぎたグレーゾーン金利は、過払い金として請求可能です。
借入額によって利息制限法の上限金利は異なりますが、最低でも年15.0%を超える利息を支払っていなければ過払い金は発生しません。
住宅ローンも借金の一種ですが、一般的な金利は年2.0%から4.0%程度であり、法律の範囲内で利息を払いすぎることはないため過払い金は発生しないのです。
なお、過払い金が発生するのは消費者金融やクレジットカード会社でキャッシングを利用していた場合や、キャッシング金利が利息制限法の上限金利を超えていた場合のみです。
本記事では、過払い金請求が住宅ローン審査に与える影響について解説しました。
そもそも、住宅ローンの審査基準は厳しく、審査に通らないことは珍しくありません。
住宅ローンを利用するには借金を完済すること、かつ過払い金請求の時効が来る前に請求することが大切です。
しかし、過払い金がある状態で住宅ローンを申し込むには、時効や引き直し計算など、タイミングを図るにも専門知識が必要になります。
また、個人での交渉がうまくいかず手続きを間違えると、受け取れる過払い金が減ってしまったり、返還されるまで時間がかかったりすることも大いにあり得るでしょう。
そのため、過払い金請求と住宅ローン問題については専門家への相談がおすすめです。
弁護士や司法書士に相談することで、正確な過払い金額を算出したうえで、過払い金請求をすべきか判断してもらえます。
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