任意整理
債務整理のネット完結は原則できない!できる限りネットで済ませる方法も解説
2024.11.25
債務整理は「ブラックリストに載る」といわれますが、正確には個人信用情報機関の事故情報登録を指しています。
ブラックリストに載ると一定期間は新たな借入れができないため、いつからいつまで事故情報に登録されるのかを理解しておく必要があります。
債務整理中はさまざまな制限もあるので、ブラックリスト入りの影響なども知っておくとよいでしょう。
本記事では、債務整理の影響やブラックリストに載る期間、クレジットカードが使えないときの代替手段などをわかりやすく解説します。
債務整理で弁護士から受任通知を送付した場合や借金の減額や免除を受けた場合には、以下の信用情報機関のブラックリストに載ります。
債権者は信用情報機関に照会できるため、クレジットカードの債務整理だけであっても、いずれ車のローンや住宅ローンなどの借入れもできなくなります。
ブラックリストは一定期間後に抹消されますが、債権者によっては独自の事故情報を持っており、債務整理が完了してもローンを組めない可能性があるでしょう。
債務整理には以下の方法があり、それぞれブラックリストに載る期間が決まっています。
債務整理の種類 | 債務整理の方法 | ブラックリストに載る期間 |
任意整理 | 利息カットや返済期間などの見直し | 借金の完済から5年間 |
個人再生 | 借金を5分の1に減額 | 借金の完済から5年間 |
自己破産 | 借金の全額免除 | 破産手続きの完了から5~7年間 |
任意整理と個人再生は3年間で完済を目指すケースが多いため、手続き開始から完済までに3年かかり、完済から5年経過した8年後にブラックリストが抹消されます。
なお、借金の滞納や保証会社による代位弁済があった場合も、ブラックリストに掲載されるので注意してください。
債務整理でブラックリストに載ると、信用力の低下によって以下の悪影響が出ます。
クレジットカードの利用や分割払いの買い物ができなくなるため、生活に支障をきたすでしょう。
債務整理によって信用情報機関のブラックリストに載った場合、クレジットカードを利用できなくなります。
任意整理で特定の借金のみ整理した場合でも、その他の金融機関などが信用情報を調査するため、新たなクレジットカードの申込みもできません。
クレジットカードの利用が制限されると、ETCカードなどの付帯サービスも利用できないため、職業ドライバーは死活問題になってしまうでしょう。
ブラックリスト入りでクレジットカードが使えなくなると、分割払いの買い物もできません。
スマートフォンや車・バイクなどの購入は現金払いになりますが、債務整理中はまとまった資金を準備しにくいため、壊れていても買い替えできない可能性があります。
通信や移動手段に支障をきたすと、仕事にも悪影響が出てしまうでしょう。
債務整理でブラックリストに載った場合、新たなローンやキャッシングの契約はできません。
マイホームの購入予定があっても、住宅ローンの審査を通過しません。
少額のキャッシングも契約を断られるため、急な出費にも対応できなくなります。
賃貸アパートなどに入居する場合、一般的には保証人や保証会社を設定します。
家主との直接契約で保証人を付ける場合、信用情報を確認されないケースもありますが、保証会社を設定すると、ほぼ確実に信用情報をチェックされるでしょう。
ブラックリスト入りの入居者は家賃滞納のリスクが高いため、賃貸借契約を断られる可能性があります。
引っ越しを伴う転勤命令があっても、賃貸物件の入居を断られたときは、会社に借金問題を打ち明けなければなりません。
転勤の多い会社に勤めている方は、早めの債務整理が必要です。
債務整理でブラックリストに載ったときは、家族などの保証人にもなれません。
子どもが奨学金を利用する際、債務整理中の親は保証人になれないため、志望校を諦めなければならない可能性があります。
住宅ローンを契約するときも、夫婦のどちらかがブラックリストに載っていると、ペアローンなどを組めなくなります。
消費者金融などから借金している場合、引き直し計算によって過払い金が判明するケースがあります。
過払い金の請求は債務者の返済能力と関係ないため、借金の完済後に請求するときや、過払い金と借金の残債を相殺できるときは、ブラックリストに載りません。
ただし、借金返済中の過払い金請求は債務整理とみなされるので、ブラックリストに載る可能性があります。
過払い金が発生しているかどうかわからないときは、弁護士に相談してみましょう。
債務整理でブラックリストに載った場合、クレジットカードが使えなくなるため、現金払いに不便を感じてしまうケースがあります。
キャッシュレスのカード決済を利用したいときは、以下の方法を参考にしてください。
プリペイド式のカードはブラックリストのチェックがないため、債務整理中でも問題なく使えます。
事前に現金をチャージして使うので、収入に見合わない買い物をするリスクもありません。
交通系のICカードやコンビニエンスストアなどのプリペイドカードをつくっておくと、キャッシュレスの支払いが可能です。
デポジット型のクレジットカードとは、デポジットと呼ばれる保証金をカード会社に預けると、分割払いなどの利用が可能になるカードです。
保証金の額が利用限度額になっており、カードで買い物をしたときは、翌月に預金口座から購入代金が引き落とされます。
旅行などの損害保険は一般的なクレジットカードと同等の保障になっており、キャッシング機能がないため、無駄使いのリスクもありません。
債務整理中にクレジットカードが必要になったときは、デポジット型のカードをつくっておくとよいでしょう。
デビットカードは預金口座と紐づいており、カードで買い物の代金を支払うと、指定口座から即時決済されます。
預金残高を超える支払いはできないため、無計画な買い物を防止する効果もあります。
クレジットカード会社が発行する国際ブランドデビットを契約すると、ネットショッピングの支払いも可能です。
一般的なクレジットカードを利用したいときは、家族のカードを使う方法もあります。
債務整理しても家族はブラックリストに載らないため、家族名義のクレジットカードは利用制限を受けません。
家族カードをつくっておくと、今までどおりにカード決済できます。
ただし、契約者はあくまでも家族になるため、使い過ぎには十分注意してください。
債務整理すると必ずブラックリストに載るため、自動車ローンや住宅ローンは組めません。
住宅購入や車の買い替えなどが必要なときは、以下のように対処してください。
債務整理中でも、現金一括であれば家や車を購入できます。
ただし、個人再生や自己破産は高額な資産を残すことが難しいため、時価20万円程度の車しか買えません。
手元に資産や現金を残して債務整理したいときで、返済能力がある場合には、まず任意整理を検討してください。
自分が債務整理中でも、家族名義であれば家や車を分割払いで購入できます。
条件のよい住宅が見つかったときや、古い車を買い替えたいときは、家族名義で購入しましょう。
信用情報機関に照会すると、自分がブラックリストに載っているかどうかを確認できます。
照会方法は以下のようになっており、具体的な手順は各機関のホームページに掲載されています。
信用情報機関 | 照会方法 | 手数料 |
日本信用情報機構 | 郵送 | 1,000円 |
スマートフォンアプリ | 1,000円 | |
割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関 | 郵送 | 1,500円 |
インターネット | 500円 | |
全国銀行個人信用情報センター | 郵送 | 1,124~1,200円 |
インターネット | 1,000円 |
なお5~7年ほど経過していても、信用情報は必ず消えているとは限りません。
債務整理の完了後に新たな借入れをしたいときは、事故情報の抹消を確認してから契約しましょう。
債務整理でブラックリストに入ると、闇金などの勧誘を受けやすくなるため、以下のQ&Aも参考にしてください。
ブラックリストを消せるかどうか気になっている方は、まず疑問を解消しておきましょう。
ローン1回の滞納であれば、一般的にはブラックリストに載りません。
ブラックリストに載るケースは61日以上の滞納や、3ヵ月以上の延滞があった場合です。
通常は手紙やメールで督促されるため、すぐに支払っておけばブラックリストには載らないでしょう。
ただし、何度も滞納を繰り返すと、ブラックリスト入りの確率が高くなるので注意してください。
貸金業者などのチラシに「ブラックOK」と書かれてあっても、信用してはなりません。
ブラックリストに載った債務者は返済不能リスクが高いため、一般的な貸金業者は「貸せない相手」と判断します。
債務整理中の人にお金を貸す業者は「闇金」の可能性があり、法外な金利を設定されるので、今よりさらに返済に追われることになるでしょう。
借金完済から5~7年を経過しない限り、ブラックリストの情報は消せません。
「ブラックリストの情報を消せる」などと謳う業者もいますが、信じないように注意してください。
信用情報機関以外の業者は事故情報へのアクセスが不可能になっており、情報操作もできません。
うっかり誘いに乗ってしまうと、ほぼ確実に闇金業者を案内されるので注意しましょう。
ブラックリストに載る条件は債務整理だけではないため、以下の状況には十分な注意が必要です。
クレジットカードの支払いが滞ったときなど、債務整理していなくてもブラックリストに載るケースがあります。
クレジットカードが強制解約になると、カード会社の申請によって信用情報機関がブラックリストに登録します。
ショッピングの代金をクレジットカードで決済しても、預金の残高不足が2~3ヵ月続くと強制解約になる場合があります。
カード会社は独自の事故情報を管理しているケースがあり、強制解約は「社内ブラック」の扱いになるため、同じ会社のクレジットカードを作れなくなるでしょう。
代位弁済とは、債務者の代わりに保証会社が借金を返済する方法です。
保証会社の設定がある借金を滞納した場合、代位弁済がおこなわれるとブラックリストに載ります。
銀行系のカードローンや、住宅ローンは保証会社を設定しているケースが多いので、滞納しないように注意してください。
債務整理した場合、ブラックリスト入りは避けられませんが、返済負担の大幅な軽減や借金の全額免除も可能です。
借金返済の目途が立つとストレスも軽くなり、債権者による督促からも解放されます。
なお、個人再生と自己破産は裁判所に出廷しなければならないため、借金問題が家族や職場に発覚するでしょう。
どの方法で債務整理してよいか迷っている方や、家族にバレないように借金問題を解決したい方は、まず弁護士に相談してください。