個人再生
個人再生でクレジットカードは使えなくなる?いつから使える?代替手段や注意点を解説
2024.11.26
個人再生とは、裁判所から許可を得て、借金を5分の1から最大10分の1まで減額してもらう手続きのことです。
一般的に個人再生は弁護士に依頼することが多いですが、高額な弁護士費用を負担しなければなりません。
しかし、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、比較的安い費用で弁護士に依頼できる可能性があります。
そこで本記事では、個人再生を検討している方に向けて、以下の内容について説明します。
本記事を参考に、上手に法テラスの民事法律扶助制度を利用できるようになりましょう。
法テラス(日本司法支援センター)とは、国民に対して法的情報や法的サービスを提供することを目的に、国によって作られた公的機関です。
たとえば、民事法律扶助制度を活用すると、通常よりも安い弁護士費用で個人再生の手続きを依頼できます。
まずは、法テラスと法律事務所のそれぞれに個人再生を依頼した場合の費用の目安を紹介します。
民事法律扶助制度を利用して依頼した場合の弁護士費用の目安は、以下のとおりです。
債権者数 | 着手金 | 実費等 | 合計額 |
1~10社 | 16万5,000円 | 3万5,000円 | 20万円 |
11~20社 | 18万7,000円 | 3万5,000円 | 22万2,000円 |
21社以上 | 22万円 | 3万5,000円 | 25万5,000円 |
法テラスを経由して依頼した場合は、債権者の数によって異なりますが20万〜30万円ほどが目安になるでしょう。
なお、複雑な事件に該当する場合や、手続きに特別な事情がある場合には、弁護士費用が増額することがあります。
法律事務所に個人再生を依頼すると、着手金と報酬金を合わせて30万〜80万円ほどの費用が必要となります。
(※弁護士費用の報酬体系は各事務所によって異なりますので、詳細は相談先の法律事務所にお問合せください。)
住宅ローンの有無や、債権者の数によっても異なりますが、法テラスで依頼するよりも費用は高くなりやすいといえるでしょう。
債務整理には、個人再生のほかに任意整理や自己破産があります。
これらの手続きも、個人再生と同様に法テラス経由で依頼して進めることが可能です。
ここでは、任意整理や自己破産を法テラスで依頼した場合の費用の目安を紹介します。
任意整理とは、債権者と直接交渉し、借金の将来利息や遅延損害金などをカットしてもらう手続きのことです。
この任意整理を法テラスで依頼した場合の費用目安は、以下のとおりです。
債権者数 | 着手金 | 実費 | 合計 |
1社 | 3万3,000円 | 1万円 | 4万3,000円 |
2社 | 4万9,500円 | 1万5,000円 | 6万4,500円 |
3社 | 6万6,000円 | 2万円 | 8万6,000円 |
4社 | 8万8,000円 | 2万円 | 10万8,000円 |
5社 | 11万円 | 2万5,000円 | 13万5,000円 |
6〜10社 | 15万4,000円 | 2万5,000円 | 17万9,000円 |
11〜20社 | 17万6,000円 | 3万円 | 20万6,000円 |
21社以上 | 19万8,000円 | 3万5,000円 | 23万3,000円 |
任意整理は、債権者それぞれと借金の減額について交渉する必要があるため、債権者が多いほど費用は高くなります。
【参考】任意整理 費用の目安|法テラス
自己破産とは、裁判所の許可を得て、ほぼ全ての借金の返済義務を免除してもらう手続きのことです。
この自己破産を法テラスで依頼した場合の費用相場は、以下のとおりです。
債権者数 | 着手金 | 実費 | 合計 |
1〜10社 | 13万2,000円 | 2万3,000円 | 15万5,000円 |
11〜20社 | 15万4,000円 | 2万3,000円 | 17万7,000円 |
21社 | 18万7,000円 | 2万3,000円 | 21万円 |
自己破産も、債権者の数が増えると事務的な負担が多くなるため、債権者が多いほど費用が高くなります。
【参考】自己破産費用の目安|法テラス
法テラスの民事法律扶助制度(費用立替制度)を利用するには、以下の3つの条件を満たしている必要があります。
ここでは、法テラスの民事法律扶助制度(費用立替制度)の利用条件について説明します。
法テラスの民事法律扶助制度を利用するには、収入基準と資産基準という2つの基準を満たす必要があります。
収入および資産の基準は家族人数や居住地域によって異なりますが、東京都23区や大阪市などにお住まいの場合の基準は以下のとおりです。
家族人数 | 収入基準 | 資産基準 |
1人 | 20万円以下 | 180万円以下 |
2人 | 27万6,100円以下 | 250万円以下 |
3人 | 29万9,200円以下 | 270万円以下 |
4人 | 32万8,900円以下 | 300万円以下 |
なお、家賃や住宅ローンの支払いがある場合は、5万3,000~7万1,000円程度、収入基準が易しくなります。
民事法律扶助制度の費用立替制度を利用するには、勝訴の見込みがないとはいえないことが条件になります。
たとえば、個人再生(小規模個人再生)が認められるためには、半数以上の債権者の同意が必要です。
過去にほとんど返済をしていないなど、借金の減額について同意が得られない場合は、個人再生の申し立てが棄却されると判断されて、民事法律扶助制度を利用できない可能性があるでしょう。
そのほか、個人再生の申し立てが認められない原因は、以下のページで詳しく解説しています。
【関連記事】個人再生申立が通らない原因5つ|浪費やギャンブルでも通し易くする方法
民事法律扶助の趣旨とは、憲法第32条に規定されている誰でも裁判を受けられる権利を保障することです。
経済的に苦しく、個人再生を弁護士に依頼するだけの費用を用意できないなどは、民事法律扶助の趣旨に適しているといえます。
法テラス経由で弁護士に個人再生を依頼する際の流れは、以下のとおりです。
ここでは、法テラスの民事法律扶助制度(費用立替制度)を使って弁護士に個人再生を依頼する際の大まかな流れを説明します。
まずは、法テラスの無料法律相談の予約を取り、借金について弁護士と相談しましょう。
最寄りの法テラスは、公式Webサイトの「お近くの法テラス(地方事務所一覧)」のページで探せます。
そして面談当日になったら、法テラスの事務所や担当となる法律事務所などへ行き個人再生について相談します。
担当弁護士に個人再生の手続きを依頼することになったら、費用立替制度を利用するための書類を用意しましょう。
必要書類は担当の弁護士が詳しく説明してくれますが、個人再生の場合は以下のような書類が必要になります。
これらの書類を準備できたら、担当の弁護士を通じて法テラスに提出します。
審査では、民事法律扶助制度の利用条件を満たしているかどうかについて確認されます。
審査が完了し、費用立替制度の利用が認められると、担当の弁護士からその旨の通知が届きます。
その後は弁護士の協力を得ながら、個人再生の手続きを進めていくことになります。
ここでは、法テラスを利用する場合の注意点を紹介します。
民事法律扶助制度であっても、裁判所費用は自分で用意する必要があります。
たとえば、個人再生委員が選任された場合は、15万~25万円程度の報酬を支払います。
個人再生委員の有無や費用は地域によって異なるため、担当の弁護士に質問してみるとよいでしょう。
法テラスの審査には、必要書類を提出してから2週間~1ヵ月ほどの期間を要します。
債権者に債務名義を取られており、強制執行の可能性がある場合などには、法テラスの利用はおすすめできません。
法テラスの利用方法には、以下の2つがあります。
飛び込み方式の場合は、担当する弁護士を選べない点には注意が必要です。
債務整理に注力していない弁護士が担当になると、手続きがスムーズに進まない可能性があるでしょう。
民事法律扶助制度を利用しつつ、債務整理が得意な弁護士に依頼したいなら、持ち込み方式を検討しましょう。
ただし、持ち込み方式に対応している弁護士は限られるため、事前に法律事務所のWebサイトで調べるか、直接問い合わせて確認しておくほうが安心です。
また、ベンナビ債務整理の弁護士紹介ページにも「法テラス利用の可否」が記載されている場合があるため、弁護士を探す際の参考にすることをおすすめします。
法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、一般の法律事務所に依頼するよりも弁護士費用を抑えられます。
また、法テラスを利用して個人再生の手続きをする際は、自分で弁護士を選べる持ち込み方式がおすすめです。
持ち込み方式であれば、個人再生が得意な弁護士に依頼できるため、スムーズかつ確実に手続きを進められます。
持ち込み方式に対応している弁護士は、インターネットで検索したり、ベンナビ債務整理を使ったりして探すとよいでしょう。