個人再生
個人再生でクレジットカードは使えなくなる?いつから使える?代替手段や注意点を解説
2024.11.26
借金で悩んでいる方が解決に向かう中で、「個人再生をしたいけど家族にバレたくない」という考えをもっているケースは少なくないでしょう。
本記事では、個人再生を考えている方のために、個人再生が家族にバレる可能性がある9つのケースを紹介します。
また、バレずに手続きを進めるコツについても解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
「個人再生」は債務整理のひとつで、借金を大幅に減額できるため完済を目指しやすく、生活の立て直しが期待できます。
個人再生は裁判所に返済不能を申し立て、再生計画が認められると借金額の5分の1~10分の1程度まで減額できる制度です。
法律では個人再生をした事実を、本人が周囲へ知らせなければならないといった義務はありません。
また裁判所が家族や会社へ通知するといったこともないです。
そのためできる限り家族にバレないようにして、個人再生の手続きを進めることはできます。
ただし、ケースによっては、個人再生が家族にバレてしまうケースがあるのは否めません。
次項では、どのようなケースで個人再生が家族にバレる可能性が高いかみていきましょう。
状況によっては、個人再生の手続きを進めていることなどが家族にバレてしまう可能性が高まります。
ここでは、個人再生が家族にバレる可能性がある(高い)9つのケースをみていきましょう。
家族が借金の保証人になっている場合は、個人再生をすると保証人に一括請求されるため、家族に知られてしまいます。
たとえば、個人再生をしたことにより300万円の借金が100万円に減額されても、家族がその借金の保証人になっていれば減額分の200万円を支払わなければなりません。
個人再生によって債務者の借金が減った場合、保証人はその分を肩代わりしなくてはならないのです。
そのため家族が借金の保証人であり、個人再生をしなくてはならない場合は、あらかじめ以下を家族に伝えておく必要があります。
また、住宅ローンで家族が保証人になっている場合、住宅ローン以外の借金を減額する「住宅資金特別条項」を利用できます。
個人再生をした本人が滞りなく住宅ローンを支払えている場合は、保証人となっている家族へ請求が及ぶのを回避可能です。
家族から借金をしている場合、個人再生をした事実がバレてしまうのを避けられません。
原則、個人再生は全ての借金が手続きの対象です。
裁判所へ提出する「債権者一覧表」には家族に借金をしていることを記載する必要があり、一覧に記載した債権者に個人再生の手続きを開始した旨の通知が届きます。
そのため、借金をしていた家族にも個人再生の事実がバレてしまうのです。
債務者のクレジットカードに紐づく家族カードを家族が使っている場合、個人再生をした事実がバレる可能性が高くなります。
債務者が個人再生をするとクレジットカードは強制解約となり、家族カードも使えなくなってしまうからです。
家族からすると、手元の家族カードが突然使えなくなります。
債務者がその理由を聞かれたら、個人再生をしたために使えなくなっていることを隠せないでしょう。
個人再生の手続きでは、同居家族の2~3ヵ月分の給与明細や確定申告書など収入に関する書類が必要となることが多いうえに、同居家族分の通帳の写しも求められます。
これらの資料は同居家族の協力なしに集めるのは困難なので、個人再生の手続きをしていることがバレる可能性が高いわけです。
また、申し立て前の2ヵ月分の家計表も、提出を求められることが多くなっています。
家計表には光熱費、教育費、交際費、娯楽費など具体的な内容を記す必要があるため、債務者自身が家計を管理していない場合は家族の協力がないと作成は困難です。
このことから、資料を収集する際や家計のやり取りで、個人再生の手続きであることを知られてしまう可能性があります。
個人再生の手続きを始めると、裁判所から通知や関係書類が自宅に届きます。
これらを家族が受け取った場合は、バレてしまう可能性が高いです。
債務者自身で全て受け取れるならバレませんが、個人再生の手続きは1年~1年半の期間を要するケースが少なくありません。
家族と一緒に暮らしている場合は、この長い期間、通知など裁判所から届く郵送物を全て自分で受け取るというのは現実的ではないでしょう。
個人再生の申し立てをした時点で自動車ローンを返済している場合、契約に基づいてローン会社に自動車を引き揚げられてしまう可能性が高いです。
その結果、個人再生をしたことが家族にバレてしまうことが少なくありません。
個人再生の手続きを開始すると、自動車のローン支払いがストップします。
一方で自動車ローンの返済中は、ローン会社などの債権者が、自動車の名義(=所有者)となっているのが一般的です。
この取り決めを所有権留保と呼びます。
そうして契約書に所有権留保がある場合、契約通りローンが支払われなければ、債権者は自動車を引き揚げられることになっているのです。
自動車が引き揚げられ家族にその理由を聞かれたら、個人再生の事実を隠すことはできないでしょう。
特に普段から家族と自動車で出掛けていたような際は、隠し通すのは難しいと考えられます。
個人再生後の残債などについてきちんと返済できず滞納してしまった場合も、家族に個人再生をしたことがバレる可能性があります。
債権者が自宅へ督促の電話をしたり、郵送で滞納の通知をしたりする可能性があるためです。
個人再生などの債務整理をすると、5~10年程度の間は信用機関には事故情報が登録されます。
この状態を俗にブラックリストに載ると呼び、ブラックリスト期間中にクレジットカードやローンを申し込んでも原則審査は通りません。
その理由を家族に問われた場合は、個人再生をしたことがバレてしまうでしょう。
個人再生をおこなう場合、その事実や申立人の氏名・住所が官報へ掲載されます。
官報とは内閣府が発行する機関紙です。
官報は紙媒体のほか、インターネット版もあります。
そうして家族が官報をチェックする可能性がある場合は、個人再生をしたことがバレてしまうのです。
なお官報は誰でも閲覧できるものの、実際に閲覧する方は少ないでしょう。
官報の存在を知らない方も多いと考えられます。
一方で、家族が以下のような業種・部署の方である場合は、仕事柄該当の官報を閲覧する可能性は否定できません。
法律のプロフェッショナルである弁護士に相談することで、家族にバレずに、かつスムーズに個人再生の手続きを進められる可能性が高まります。
ここからは、弁護士への相談をおすすめする2つの理由を紹介します。
弁護士に相談することで、個人再生よりバレにくい債務整理について検討・提案してくれる可能性があります。
個人再生は裁判所を介した手続きであることから、手間がかかるだけでなく平日に出廷しなくてはならなくなることもあるのです。
家族に「どこへ行くの?何をしているの?」などと聞かれたら、バレてしまう可能性があるでしょう。
一方、任意整理という債務整理手続きであれば、裁判所を介さないことから家族にバレる可能性は低くなります。
任意整理とは利息分のカットと支払期間の延長について、債権者と交渉する債務整理手続きです。
個人再生より減額可能な借金の額は少ないですが、任意整理を選ぶ方も少なくありません。
弁護士に相談すれば、個人再生でなく任意整理で依頼者の借金問題を解決できるか検討してもらえるでしょう。
個人再生では裁判所からの通知などが自宅に届いてしまうデメリットもありますが、弁護士に代理人になってもらうことで、裁判所からの通知や連絡は全て弁護士宛てに届くようになります。
弁護士法第23条の守秘義務により、家族に対しても相談した事実や内容を伝えることはありません。
第二十三条弁護士又は弁護士であつた者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。但し、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
また個人再生の手続き中は、法律事務所から郵送物が届いたり、電話連絡があったりして、家族にバレてしまう可能性があります。
しかし弁護士に「バレないようにしてほしい」と伝えておけば、法律事務所からの郵送物であることがバレないように工夫してくれることもあるでしょう。
電話連絡は依頼主のスマートフォン宛にしてもらったり、電話してほしくない時間帯を伝えたりすれば対応してくれると考えられます。
個人再生をおこなうにあたって、さまざまな疑問が生まれます。
事前に疑問を解消しておけるよう、個人再生に関するよくある質問を紹介します。
家族間の問題なので「こっそり返済」したり「家族からの借金は裁判所にいわないでおこう」と考えたりするかもしれません。
しかし、個人再生をすると決めた場合に、一部の債権者だけに支払う行為は「偏頗(へんぱ)弁済」と呼ばれ、次のリスクが生じてしまいます。
「債権者一覧表」に家族の名前を入れない行為も、民事再生法25条4号により個人再生の手続きが棄却されてしまうリスクがあります。
民事再生法25条4号:不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき
一方で債権を放棄する「債権放棄書」を家族に作ってもらうことで、裁判所の手続きに家族を巻き込まずにすむ方法もあります。
債権放棄書とは、文字通り貸したお金を返してもらう権利(=債権)を放棄するという内容の書面です。
家族が債務放棄書を作成すれば、債権者ではなくなるので少なくとも裁判所の手続きに巻き込まれるのは避けられます。
家族とよく話し合いながら、適切な方法を選択していきましょう。
個人再生は家族の協力も必要なため、一人でこなすのは難しい部分もあることでしょう。
しかし、任意整理という債務整理手続きであれば、絶対にバレないわけではないものの家族にバレる可能性を低くできます。
任意整理とは借金の利息分カットと返済期間の延長について債権者と交渉する債務整理の手続きです。
個人再生に比べ減額可能な借金額は少ないですが任意整理は裁判所を介さない手続きであり、家族にバレる可能性は低くなります。
また任意整理では、債務整理の対象を自由に選択可能です。
そのため家族が保証人になっていたり、家族自身から借金をしていたりする場合も、任意整理の対象から外すことで家族にバレるリスクを低くできるのです。
個人再生をした場合でも、賃貸契約が結べなかったり、更新できなくなったりすることはありません。
信用情報機関にはブラックリストとして登録されますが、信用情報を照会できるのは融資の審査をする場合のみとなるので、不動産会社との契約の際には問題ないです。
しかし、いくつか注意が必要な点もあります。
賃貸を契約する際にクレジットカードの申し込みを求められるケースもあり、これはクレジットカードの契約が可能かどうかで与信調査をおこなうものだとされています。
また、保証会社では独自の信用調査をおこなうこともあり、この場合は個人再生の事実が知られてしまうため賃貸契約が難しくなるかもしれません。
しかし、現金払いが可能な賃貸物件を探したり、別の保証会社をあたってみたりなど、事前に下調べをしながら諦めずに探してみると問題はクリアになる可能性があります。
本記事では、個人再生を考えている方に向けて、個人再生が家族にバレる可能性がある9つのケースを紹介し、あわせてバレずに手続きを進めるコツについても解説しました。
個人再生は借金を減額できるメリットもある一方で、家族にバレずに手続きをすることは難しいと考えられます。
どうしてもバレたくない場合は任意整理などの選択肢もありますが、自分の状況を把握するため、早めに弁護士に相談することが賢明です。
1人で悩むよりプロに相談することで、よりよい方法を見出せるでしょう。