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2024.11.29
法テラスでは、経済的に困窮している方を対象に、弁護士への無料相談や弁護士費用の立て替え制度を提供しています。
債務整理も例外ではなく、法テラスを利用することで通常よりも安い費用で自己破産や任意整理などの手続きが可能です。
しかし、法テラスは誰でも利用できるわけではありません。
一定の基準を満たす必要があり、それなりに手間もかかります。
そこ本記事では、法テラスで債務整理をする方法や流れ、発生する費用などを徹底解説します。
法テラスと弁護士事務所、どちらに相談すべきかも紹介するので、借金の相談先に悩んでいる方もぜひ参考にしてください。
法テラスは、国が設立した総合案内所で、借金・離婚・相続などの法的トラブルの解決を支援します。
また、犯罪被害者支援や法律サービスが受けにくい地域への弁護士派遣など、多様な法的支援も提供しています。
法テラスの主な業務は、以下のとおりです。
情報提供業務では、利用者からの問い合わせに対して法制度や相談機関に関する情報を無料で提供します。
法的トラブルに直面し、解決方法を知らない方や相談先がわからない方に道案内をする役割を果たしています。
法テラスのサポートダイヤルに電話をすると、オペレーターが情報を提供し、必要に応じて全国の法テラス地方事務所で面談対応します。
法テラスでは、借金相談について専用のページを設けています。
電話相談はもちろん、メール相談は24時間受け付けているので、借金に悩んでいる方は気軽に利用してみるとよいでしょう。
窓口名称 | 法テラス・サポートダイヤル |
---|---|
受付日時・曜日 | 平日:9:00〜21:00 土曜日:9:00〜17:00 (※祝日・年末年始を除く) |
連絡先 | 0570-078374 |
URL | https://www.houterasu.or.jp/lp/shakkin2022a/ |
民事法律扶助業務とは、経済的に困難な人が法的トラブルに遭遇した際に、無料で弁護士・司法書士による法律相談を提供し、弁護士・司法書士の費用を立て替える業務です。
ただし、民事法律扶助を利用するには、一定の基準をクリアする必要があり、審査に2週間ほど時間がかかることもあります。
法律問題の解決を急ぐ場合は、早めに相談するようにしましょう。
また、民事法律扶助の対象者は国民および適法に在留する外国人で、法人や団体は含まれません。
2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳から本人が代理援助や書類作成援助を申し込むことができるようになりました。
法テラスに債務整理について相談する際は、どのようにすればよいのでしょうか。
法テラスに債務整理を依頼する場合の流れは、以下のとおりです。
それぞれのステップについて、以下で詳しくみていきましょう。
まずは、法テラスの無料法律相談に申し込みましょう。
法テラスの無料法律相談は、電話もしくはWebから申し込みが可能です。
予約の窓口では、現在の収入の状況など口頭で簡単な審査がおこなわれます。
その場で無料法律相談の利用可否を伝えてもらえるので、問題がなければそのまま相談日程の調整をしてください。
予約した日程になったら、時間に遅れないように法テラスを訪れて無料法律相談を受けます。
なお、相談方法は、対面のほか、オンライン相談や電話相談に対応している場合があります。
法テラスまで行くのが難しい場合は、面談以外の相談方法を選択しましょう。
法テラスの無料相談は、同一問題について3回まで利用可能です。
とはいえ、1回の相談時間は30分と、決して長くはありません。
相談前に、抱えている借金問題について整理し、必要な書類や情報を準備しておくと、相談時間を有効活用できるでしょう。
たとえば、借金問題であれば借入先の明細や返済計画書を準備しておくのがおすすめです。
無料相談後に弁護士に依頼するかを決め、依頼する場合は弁護士を通じて費用立て替えの申請をおこないましょう。
費用立て替えの申請には、以下の書類が必要です。
- 本人及び同居の家族人数を確認するための資料
- 収入を確認するための資料
- 資産を確認するための資料
- 勝訴の見込みや事件内容を確認するための資料
- 返済に使用する口座の確認のための資料
申請をおこなうと、法テラスは資力基準などを確認し、審査が完了すると援助開始決定を出します。
審査には約2週間かかりますが、場合によっては追加で資料が必要になることもあります。
また、書類に不備があると審査に時間がかかることもあるので、申請時は弁護士や法テラススタッフのサポートを受けながら、正確に手続きをおこなってください。
審査を通過して援助が開始されると、依頼した弁護士・司法書士が問題解決に向けて動き出します。
借金問題の場合は、このタイミングで弁護士から債権者に受任通知がおこなわれ、今後の債権者からの連絡や督促に関しては、弁護士が対応することになります。
また、正式に依頼が決定すると費用の返済も開始されるので、返済計画に基づいて立替金を返済しましょう。
なお、立替金の返済計画は、審査内容をもとに法テラスが決定します。
基本的には、銀行口座からの引き落としでの返済になるので、残高状況を管理して返済が滞らないようにしてください。
借金問題が解決すると、弁護士や司法書士が法テラスに報告書を提出します。
報告書や判決文を基に、解決成果を確認し、報酬の支払いを決定します。
借金問題の場合は、基本的に報酬金は発生しません。
しかし、債務整理の過程で過払い金があることが発覚し、回収に成功した場合は、回収した過払い金額に応じて報酬金がかかるこることを覚えておきましょう。
なお、事件解決後に資産や収入の状況が変わり、依頼者が返済に困難を感じた場合は再度法テラスに相談しましょう。
返済計画の見直しを求めることで、無理なく返済できる可能性があります。
また、返済が完了するまでの期間中、法テラスは定期的に依頼者の状況を確認し、必要に応じて追加の支援をおこなう場合もあります。
依頼者が支払い困難な状況に陥った場合でも、全ての支援を終了してしまうわけではなく、柔軟な対応に対応してもらえるので安心してください。
法テラスの民事法律扶助制度を利用するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
ここでは、それぞれの条件について詳しくみていきましょう。
法テラスの無料法律相談は、収入や資産が一定基準以下の方が対象となります。
なお、基準は家族人数によって以下のように異なります。
家族人数 | 収入基準 | 資産基準 |
---|---|---|
1人 | 182,000円(200,200円) | 180万円以下 |
2人 | 251,000円(276,100円) | 250万円以下 |
3人 | 272,000円(299,200円) | 270万円以下 |
4人 | 299,000円(328,900円) | 300万円以下 |
※カッコ内は東京都特別区や大阪市などの場合
法テラスでは、弁護士や司法書士への相談で問題解決ができず依頼が必要な場合、経済的に困窮している人を対象に弁護士・司法書士費用の立替えをおこなっています。
立替制度を利用するためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
法テラスの立て替え制度を利用するには、資力が一定基準である必要があります。
なお、基準は家族人数によって異なります。
家族人数 | 収入基準 | 家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額 | 資産基準 |
---|---|---|---|
1人 | 182,000円(200,200円) | 41,000円以下(53,000円以下) | 180万円以下 |
2人 | 251,000円(276,100円) | 53,000円以下(68,000円以下) | 250万円以下 |
3人 | 272,000円(299,200円) | 66,000円以下(85,000円以下) | 270万円以下 |
4人 | 299,000円(328,900円) | 71,000円以下(92,000円以下) | 300万円以下 |
※カッコ内は東京都特別区や大阪市などの場合
法テラスの立て替え制度は、勝訴の見込みがなければ利用できません。
任意整理と個人再生などは円満な解決が見込める場合に利用できます。
一方、自己破産は免責が認められる見込みはある場合に利用できます。
「免責不許可事由」に該当する事由がある場合、免責が認められない可能性があるため、立て替え制度の利用ができない場合もあります。
援助を受けることが法律上、経済上の利益に向けられていない場合(単に報復的感情を満たすだけなど) や、社会正義若しくは法に照らし援助するのが適当でない場合(権利濫用的な訴訟など)は援助できないとされています。
また、代理援助や書類作成援助は費用を立て替える制度であるため、返済の意思を持たない方は民事法律扶助の趣旨に反するため援助できないと判断されます。
債務整理の費用は、債権者の数により異なります。
弁護士や司法書士によって料金体系は異なるものの、一般的には債権者一社あたり数万円程度の費用がかかります。
ここでは、弁護士に債務整理を依頼する際の費用と法テラスに依頼する際の費用について、それぞれ紹介します。
債務整理をおこなう場合の弁護士費用はどのようになるのでしょうか。
弁護士費用の内訳は、以下のとおりです。
それぞれの費用について、以下で詳しくみていきましょう。
着手金は、弁護士や司法書士に事件を依頼する際に支払う費用で、事件手続きの進行に必要な経費です。
依頼した事件が成功するか否かに関わらず、返金されることはありません。
着手金は一般的に、弁護士や司法書士が案件に着手するための準備や調査に対する報酬と考えられます。
これには、法的文書の作成・証拠の収集・事実関係の確認・法的アドバイスの提供などが含まれます。
また、弁護士や司法書士によって設定される着手金の金額は、案件の複雑さや規模・専門性・地理的な要因などにより異なります。
実費とは、裁判所に納める印紙代や予納郵券(切手)代など、事件処理のために実際にかかる費用のことです。
実費は、訴訟を進めるために必要不可欠なものであり、通常は原告が負担します。
そのほか、証拠収集のために専門家の意見を求める場合や、証人を呼び出すための旅費、宿泊費なども実費として発生することがあります。
訴訟が長引くと実費も増えるため、訴訟を起こす際には事前に十分な費用を見積もっておくことが重要です。
実費の管理や支払いを適切におこなうことで、スムーズな裁判進行が可能となります。
とはいえ、債務整理においては出張などの実費がかさむことはあまりないでしょう。
報酬金は、事件解決が成功した場合に支払う費用で、成功の程度や困難具合によって金額が変わります。
たとえば、依頼した訴訟が勝訴した場合は成功と見なされ、その結果に応じて報酬金が発生します。
報酬金の具体的な金額は、依頼者と弁護士の事前の合意に基づいて決定されます。
報酬金の取り決めは、依頼者と弁護士の間で事前に明確にしておくことが重要です。
なお、借金問題で報酬金が発生するケースはあまり多くありません。
基本的には着手金と実費のみの負担となりますが、債務整理の過程で過払い金を回収した場合は、回収額に応じて報酬金が発生する場合があります。
事前に弁護士から説明があるはずですが、気になる方は念のため確認しておきましょう。
債務整理について法テラスに依頼した場合、費用はどのようになるのでしょうか。
主なパターンは、以下のとおりです。
それぞれの手続きでかかる費用を、以下で紹介します。
任意整理事件の費用は、債権者の数によって異なります。
債権者数 | 実費 | 着手金 |
---|---|---|
1社 | 10,000円 | 33,000円 |
2社 | 15,000円 | 49,500円 |
3社 | 20,000円 | 66,000円 |
4社 | 20,000円 | 88,000円 |
5社 | 25,000円 | 110,000円 |
6社〜10社 | 25,000円 | 154,000円 |
11社〜20社 | 30,000円 | 176,000円 |
21社以上 | 35,000円 | 198,000円 |
原則として報酬金は発生しませんが、過払金が回収できた場合に報酬金が発生します。
また、任意整理の費用には、着手金や成功報酬のほかに、実費として郵便費用や書類作成費用などが含まれることが多いです。
個人再生とは、裁判所に申し立てることで借金を大幅に減額(おおむね10%〜20%)し、原則3年(最長5年)で完済する手続きです。
個人再際にかかる弁護士費用は、交渉対象となる債権者の数によって決まります。
債権者数 | 実費 | 着手金 |
---|---|---|
1社〜10社 | 35,000円 | 165,000円 |
11社〜20社 | 35,000円 | 187,000円 |
21社以上 | 35,000円 | 220,000円 |
自己破産事件の費用は債権者の数により異なり、原則として報酬金は発生しません。
ただし、過払金を回収できた場合には報酬金が発生します。
また、債権者との交渉が複雑になる場合や、特別な手続きを要する場合には、追加の費用が発生することがあります。
自己破産を検討する際には、まず弁護士や司法書士との相談をおこない、詳細な費用について確認することが重要です。
債権者数 | 実費 | 着手金 |
---|---|---|
1社〜10社 | 23,000円 | 132,000円 |
11社〜20社 | 23,000円 | 154,000円 |
21社以上 | 23,000円 | 187,000円 |
一般的な法律事務所に債務整理について相談した場合の費用は、以下のとおりです。
費用の目安 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
---|---|---|---|
着手金 | (債権者1社当たり) 約2万円〜3万円 | 約30万円 | 20万円〜40万円 |
報酬金 | (債権者1社当たり) 約2万円〜3万円 | 約20万円~30万円 | 20万円〜40万円 |
その他費用 | 書類作成料・交通費・裁判費用 | 約2万円〜3万円(+個人再生員報酬(15~25万円※)) ※個人再生委員が選任された場合 | 予納金(1万円〜20万円※) ※同時廃止か少額管財事件の場合 |
合計額 | 20万円程度 | 52万円〜90万円程度 | 40万円〜100万円程度 |
※目安額はいずれも借金額が100万円の場合ですが、弁護士の費用体系は、法律事務所によって異なりますので、ご相談時にご確認ください。
法テラスに依頼する場合と比べると、法テラスのほうが半額近く安く済むケースもあります。
法テラスの利用には、審査や相談などの手間はかかりますが、費用面ではやはり法テラスに理があるといえるでしょう。
法テラスは債務整理の費用負担を軽減できますが、誰でも利用できるわけではありません。
法テラスを利用できない場合は、法律事務所等に依頼しなければなりませんが、どちらに依頼すべきかの判断が難しいことがあるでしょう。
ここでは、法テラスと法律事務所のどちらに依頼すべきかを紹介します。
法テラスの利用を検討するとよいケースは、以下のとおりです。
それぞれの内容について、以下で詳しくみていきましょう。
民事法律扶助制度を利用した債務整理の依頼は、法テラスと提携している弁護士であればおこなうことができます。
法テラスに無料相談した場合、弁護士の紹介を受けることもできますが、ご自身で提携弁護士を探すことも可能です。
自分で弁護士を探して法テラスを利用する方法を「持ち込み方式」といいます。
既に依頼を検討している弁護士が法テラスと提携している場合は、その弁護士に依頼するほうがよいでしょう。
自分で弁護士を選ぶことで、相性の合わない弁護士に依頼するリスクを避けることができます。
提携弁護士かどうかは、法律事務所に問い合わせるか、法テラスのWebサイトで確認できます。
法テラスの利用を検討する際は、利用基準を満たしているかもよく確認しましょう。
あきらかに利用基準を満たしていない場合は、ただ単に審査の手間がかかってしまうだけになってしまう恐れもあります。
事前にある程度審査に通りそうか確認することで、余計な手間を省けるでしょう。
法律事務所を選ぶ必要があるケースは、以下のとおりです。
それぞれの内容について、以下で詳しくみていきましょう。
法テラス経由で弁護士に依頼するには、経済的に困窮しているなどの一定の資力条件を満たす必要があります。
そのため、資力がある場合は、法テラス経由での依頼はできません。
債務整理の手続きを知名度や実績のある弁護士に依頼したい場合、法律事務所に直接依頼するべきです。
法テラスは費用が安くなるメリットがありますが、大手法律事務所は報酬が少なくなるため提携していないことが多いので注意してください。
法テラス経由で弁護士に依頼すると審査に1~2週間かかり、その間も催促が止まらないことがあるでしょう。
一方、弁護士に直接依頼し、弁護士から受任通知を送付すれば、催促はすぐに止まります。
一般的には法テラスの審査が下りた後に弁護士から受任通知を送付しますが、弁護士によっては法テラスの審査中でも受任通知を送ってくれる等の対応をしてくれることもあるかもしれません。
しかし、対応は弁護士によって違うので、すぐに受任通知を送ってもらいたいときには、法テラスを利用せず、直接弁護士と委任契約を締結して依頼するほうがよいでしょう。
ここでは、法テラスへの債務整理の依頼に関してよくある質問を紹介します。
同様の疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
弁護士に依頼すると受任通知を送付してもらえ、催促が止まる可能性があります。
しかし、法テラスの審査中に受任通知を送るとの対応は一般的とはいえません。法テラス審査中の対応は弁護士にご確認ください。
債務整理を弁護士や司法書士に相談する際は、事前に連絡を取り、必要な資料を確認するとよいでしょう。
手元に資料がなくても相談は可能ですが、準備を求められる資料には以下のようなものがあります。
これらの資料を準備しておくと、相談がスムーズに進みます。
家族に内緒で債務整理を相談することはできますが、バレる可能性はゼロではありません。
債務整理をおこなうことで、家族への影響が避けられない場合もあります。
そのため、可能であれば家族と相談して内容を整理するのがおすすめです。
家族に対して正直に状況を説明し、共に解決策を考えることで、よりスムーズに問題を乗り越えることができるでしょう。
もし家族に内緒で進める場合は、リスクを理解したうえで慎重に行動することが必要です。
弁護士の意見を聞きながら、最適な方法を選ぶことをおすすめします。
法テラスでは、債務整理の悩みを無料で気軽に相談できます。
スムーズに相談をすすめるためには、ご自身の債務や支払い能力に関する状況を事前に整理しておく必要があります。
できる限り借金の内容、収入、資産等に関する資料を集めて、相談内容や質問事項もまとめておくようにしましょう。
一方で、法テラスの無料相談や弁護士費用等の立替制度は収入や資産の条件がある点と、民事法律扶助の趣旨に沿っている場合のみしか受け付けていない点は注意してください。
相談内容によっては別途費用が発生する可能性もあります。
相続については対応が遅れると、問題を解決できない場合も少なくありません。
債務整理についてわからないことがあれば、早めに法テラスや法律事務所への相談を検討しましょう。