法テラスで債務整理はできる?費用・条件・流れをわかりやすく解説

法テラスで債務整理はできる?費用・条件・流れをわかりやすく解説
目次
  1. 法テラスは債務整理(借金問題の解決)ができる
    1. 法テラス・サポートダイヤルでは借金問題を解決するための情報を教えてくれる
    2. 経済的に余裕のない方は、債務整理を弁護士に依頼する費用を立て替えてもらえる
  2. 法テラスに依頼した場合の費用の目安
    1. 任意整理の場合
    2. 個人再生の場合
    3. 自己破産の場合
  3. 一般的な法律事務所に相談した場合の費用の目安
  4. 弁護士費用の内訳【法テラスに依頼するか否かに関わらず共通】
    1. 着手金|弁護士に依頼をおこなう段階で支払う費用
    2. 実費|印紙代や切手代などにかかる実費
    3. 報酬金|解決が成功した場合に支払う費用
  5. 法テラスに債務整理を依頼する際の条件
    1. 収入や資産が一定額以下であること
    2. 勝訴の見込みがないとはいえないこと
    3. 民事法律扶助の趣旨に沿っていること
  6. 法テラスに債務整理の相談をする際に必要な書類
  7. 法テラスに債務整理を依頼する場合の流れ
    1. 借金問題(債務整理)の無料法律相談を申し込む・受ける
    2. 立替制度の審査を申し込む
    3. 弁護士に正式に依頼する
    4. トラブルが解決する
  8. 法テラスに債務整理を依頼するデメリットはある?
    1. 利用できる人が限られている
    2. 契約まで約1ヵ月かかる
    3. 弁護士を選べないから相性が合わない場合もある
  9. 法テラスと法律事務所、どちらを選択するとよい?
    1. 法テラスの利用を検討するとよいケース
    2. 法律事務所への依頼が適しているケース
  10. 法テラスに債務整理を依頼する場合によくある質問
    1. 法テラスに債務整理を依頼すると業者からの督促は止まりますか?
    2. 生活保護受給者でも法テラスに債務整理の依頼はできますか?
    3. 家族に内緒で債務整理を相談することは可能ですか?
    4. 法テラスで債務整理中に支払いが難しくなったらどうすればよいですか?
  11. さいごに|債務整理の早期解決を目指すなら弁護士に相談しよう
  • 法テラスで借金相談はできる?
  • 法テラスで債務整理をする方法は?
  • 法テラスで債務整理をする際にかかる費用は?

法テラスでは、経済的に困窮している方を対象に、弁護士への無料相談や弁護士費用の立て替え制度を提供しています。

債務整理も例外ではなく、法テラスを利用することで通常よりも安い費用で自己破産や任意整理などの手続きが可能です。

しかし、法テラスは誰でも利用できるわけではありません。

一定の基準を満たす必要があり、それなりに手間もかかります。

そこで本記事では、法テラスで債務整理をする方法や流れ、発生する費用などを徹底解説します。

法テラスと法律事務所、どちらに相談すべきかも紹介するので、借金の相談先に悩んでいる方もぜひ参考にしてください。

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法テラスは債務整理(借金問題の解決)ができる

法テラスは、国が設立した総合案内所で、借金・離婚・相続などの法的トラブルの解決を支援します。

また、犯罪被害者支援や法律サービスが受けにくい地域への弁護士派遣など、多様な法的支援も提供しています。

法テラスの主な業務は、以下のとおりです。

【法テラスが担う業務】

  • 情報提供業務
  • 民事法律扶助業務

法テラス・サポートダイヤルでは借金問題を解決するための情報を教えてくれる

情報提供業務では、利用者からの問い合わせに対して法制度や相談機関に関する情報を無料で提供します。

法的トラブルに直面し、解決方法を知らない方や相談先がわからない方に道案内をする役割を果たしています。

法テラスのサポートダイヤルに電話をすると、オペレーターが情報を提供し、必要に応じて全国の法テラス地方事務所で面談対応します。

法テラスでは、借金相談について専用のページを設けています。

電話相談はもちろん、メール相談は24時間受け付けているので、借金に悩んでいる方は気軽に利用してみるとよいでしょう。

窓口名称法テラス・サポートダイヤル
受付日時・曜日平日:9:00〜21:00
土曜日:9:00〜17:00
(※祝日・年末年始を除く)
連絡先0570-078374
URLhttps://www.houterasu.or.jp/lp/shakkin2022a/

経済的に余裕のない方は、債務整理を弁護士に依頼する費用を立て替えてもらえる

民事法律扶助業務とは、経済的に困難な人が法的トラブルに遭遇した際に、無料で弁護士・司法書士による法律相談を提供し、弁護士・司法書士の費用を立て替える業務です。

ただし、民事法律扶助を利用するには、一定の基準をクリアする必要があり、審査に2週間ほど時間がかかることもあります。

法律問題の解決を急ぐ場合は、早めに相談するようにしましょう。

また、民事法律扶助の対象者は国民および適法に在留する外国人で、法人や団体は含まれません。

2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳から本人が代理援助や書類作成援助を申し込むことができるようになりました。

法テラスに依頼した場合の費用の目安

債務整理について法テラスに依頼した場合、費用はどのようになるのでしょうか。

主なパターンは、以下のとおりです。

【法テラスに債務整理を依頼する場合のパターン】

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

それぞれの手続きでかかる費用を、以下で紹介します。

任意整理の場合

任意整理事件の費用は、債権者の数によって異なります。

債権者数実費着手金
1社10,000円33,000円
2社15,000円49,500円
3社20,000円66,000円
4社20,000円88,000円
5社25,000円110,000円
6社〜10社25,000円154,000円
11社〜20社30,000円176,000円
21社以上35,000円198,000円

原則として報酬金は発生しませんが、過払金が回収できた場合に報酬金が発生します。

また、任意整理の費用には、着手金や成功報酬のほかに、実費として郵便費用や書類作成費用などが含まれることが多いです。

個人再生の場合

個人再生とは、裁判所に申し立てることで借金を大幅に減額(おおむね10%〜20%)し、原則3年(最長5年)で完済する手続きです。

個人再際にかかる弁護士費用は、交渉対象となる債権者の数によって決まります。

債権者数実費着手金
1社〜10社35,000円165,000円
11社〜20社35,000円187,000円
21社以上35,000円220,000円

自己破産の場合

自己破産事件の費用は債権者の数により異なり、原則として報酬金は発生しません

ただし、過払金を回収できた場合には報酬金が発生します。

また、債権者との交渉が複雑になる場合や、特別な手続きを要する場合には、追加の費用が発生することがあります。

自己破産を検討する際には、まず弁護士や司法書士との相談をおこない、詳細な費用について確認することが重要です。

債権者数実費着手金
1社〜10社23,000円132,000円
11社〜20社23,000円154,000円
21社以上23,000円187,000円

一般的な法律事務所に相談した場合の費用の目安

一般的な法律事務所に債務整理について相談した場合の費用は、以下のとおりです。

費用の目安任意整理個人再生自己破産
着手金(債権者1社当たり)
約2万円〜3万円
約30万円20万円〜40万円
報酬金(債権者1社当たり)
約2万円
約20万円~30万円20万円〜40万円
その他費用書類作成料・交通費・裁判費用約2万円〜3万円(+個人再生員報酬(15万円~25万円※))
※個人再生委員が選任された場合
予納金(1万円〜20万円※)
※同時廃止か少額管財事件の場合
合計額20万円程度52万円〜90万円程度40万円〜100万円程度

※目安額はいずれも借金額が100万円の場合ですが、弁護士の費用体系は、法律事務所によって異なりますので、ご相談時にご確認ください。

法テラスに依頼する場合と比べると、法テラスのほうが半額近く安く済むケースもあります。

法テラスの利用には、審査や相談などの手間はかかりますが、費用面ではやはり法テラスに理があるといえるでしょう。

しかし、一般的な法律事務所には、迅速な対応が期待できるという大きなメリットがあります。

相談時間に制限がなかったり、土日や夜間の相談に応じたりしている事務所も多いため、自分の都合に合わせて柔軟に進められます。

費用や解決までのスピード、サポートの手厚さなどを総合的に比較し、最適な相談先を見つけましょう。

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弁護士費用の内訳【法テラスに依頼するか否かに関わらず共通】

債務整理をおこなう場合の弁護士費用はどのようになるのでしょうか。

弁護士費用の内訳は、以下のとおりです。

【債務整理を依頼した場合の弁護士費用内訳】

  • 着手金
  • 実費
  • 報酬金

それぞれの費用について、以下で詳しくみていきましょう。

着手金|弁護士に依頼をおこなう段階で支払う費用

着手金は、弁護士や司法書士に事件を依頼する際に支払う費用で、事件手続の進行に必要な経費です。

依頼した事件が成功するか否かに関わらず、返金されることはありません

着手金は一般的に、弁護士や司法書士が案件に着手するための準備や調査に対する報酬と考えられます。

これには、法的文書の作成・証拠の収集・事実関係の確認・法的アドバイスの提供などが含まれます。

また、弁護士や司法書士によって設定される着手金の金額は、案件の複雑さや規模・専門性・地理的な要因などにより異なります。

実費|印紙代や切手代などにかかる実費

実費とは、裁判所に納める印紙代や予納郵券(切手)代など、事件処理のために実際にかかる費用のことです。

実費は、訴訟を進めるために必要不可欠なものであり、通常は原告が負担します。

そのほか、証拠収集のために専門家の意見を求める場合や、証人を呼び出すための旅費、宿泊費なども実費として発生することがあります。

訴訟が長引くと実費も増えるため、訴訟を起こす際には事前に十分な費用を見積もっておくことが重要です。

実費の管理や支払いを適切におこなうことで、スムーズな裁判進行が可能となります。

とはいえ、債務整理においては出張などの実費がかさむことはあまりないでしょう。

報酬金|解決が成功した場合に支払う費用

報酬金は、事件解決が成功した場合に支払う費用で、成功の程度や困難具合によって金額が変わります。

たとえば、依頼した訴訟が勝訴した場合は成功と見なされ、その結果に応じて報酬金が発生します。

報酬金の具体的な金額は、依頼者と弁護士の事前の合意に基づいて決定されます。

報酬金の取り決めは、依頼者と弁護士の間で事前に明確にしておくことが重要です。

なお、借金問題で報酬金が発生するケースはあまり多くありません。

基本的には着手金と実費のみの負担となりますが、債務整理の過程で過払い金を回収した場合は、回収額に応じて報酬金が発生する場合があります。

事前に弁護士から説明があるはずですが、気になる方は念のため確認しておきましょう。

法テラスに債務整理を依頼する際の条件

法テラスでは、弁護士や司法書士への相談で問題解決ができず依頼が必要な場合、経済的に困窮している人を対象に、弁護士・司法書士費用の立替えをおこなっています。

法テラスの民事法律扶助制度を利用するためには、以下の3つの条件を全て満たす必要があります。

  1. 収入や資産が一定基準以下であること
  2. 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  3. 民事法律扶助の趣旨に適すること

それぞれの条件について詳しくみていきましょう。

収入や資産が一定額以下であること

法テラスの無料法律相談は、収入や資産が一定基準以下の人が対象です。

なお、基準は同居している家族の人数によって以下のように異なります。

家族人数収入基準資産基準
一人182,000円(200,200円)180万円以下
二人251,000円(276,100円)250万円以下
三人272,000円(299,200円)270万円以下
四人299,000円(328,900円)300万円以下

※()内は東京都特別区や大阪市などの場合

また、法テラスの民事法律扶助制度を利用するには、資力が一定基準以下である必要があるため、自分が利用できるかを確認しておきましょう。

なお、基準は家族人数によって異なります。

家族人数収入基準家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額資産基準
一人182,000円(200,200円)41,000円以下(53,000円以下)180万円以下
二人251,000円(276,100円)53,000円以下(68,000円以下)250万円以下
三人272,000円(299,200円)66,000円以下(85,000円以下)270万円以下
四人299,000円(328,900円)71,000円以下(92,000円以下)300万円以下

※()内は東京都特別区や大阪市などの場合

上記以外にも、政令で指定された大規模災害により被災した人も、無料法律相談を受けられます

現在、無料相談を受け付けているところは、令和6年に発生した奥能登豪雨の被災者です。

詳しくは以下のページをご確認ください。

災害の被害にあわれた方|法テラス

勝訴の見込みがないとはいえないこと

法テラスの民事法律扶助制度は、勝訴の見込みがなければ利用できません

任意整理と個人再生などは円満な解決が見込めると利用できますが、自己破産は免責が認められる見込みがある場合に利用できます

以下のような「免責不許可事由」に該当する事由がある場合、免責決定がされない可能性があるため、注意してください。

  • 財産を隠したり壊したりする
  • 財産を不当に安い対価で手放す
  • ギャンブルや過度な買いもの・飲食で債務を負った
  • 家族や友人などの親しい債権者にだけ偏った返済をしている
  • 過去7年間で、免責を得ている

【参考】自己破産で免責決定がされないのは、どういう場合ですか。|法テラス

上記に該当する場合でも、民事法律扶助制度を利用できるケースもあるため、一度相談してみましょう。

民事法律扶助の趣旨に沿っていること

法律上、以下のような場合は援助を受けることが適当でないと判断され、援助を受けられなくなる恐れがあります。

  • 経済上の利益に向けられていない場合(単に報復的感情を満たすだけなど)
  • 社会正義若しくは法に照らし援助するのが適当でない場合(権利濫用的な訴訟など)

また、代理援助や書類作成援助は費用を立て替える制度であるため、返済の意思を持たない人は民事法律扶助の趣旨に反することから、援助できないと判断されます。

法テラスに債務整理の相談をする際に必要な書類

法テラスでの債務整理の相談をスムーズに進めるためには、書類を事前に準備しておくことが大切です。

もちろん、全ての書類が揃っていなくても相談は可能ですが、具体的な状況を正確に伝えることで、より的確なアドバイスを受けられます。

主に以下の書類が必要です。

  • 債権者一覧表
  • 債権者からの督促状や通知書
  • 債権者との契約書や領収書、ATMで発行されたレシート
  • 裁判所から届いた書類
  • 直近2〜3ヵ月分の給与明細(自営業の場合は入出金の状況がわかる帳簿など)
  • 自分の名前で作ったキャッシングやローンカード、クレジットカード
  • 直近2〜3ヵ月分の収入や支出の内訳を整理した家計簿

【参考】よくある相談|法テラス

上記以外にも、住宅ローンや不動産担保ローンを組んでいる場合は、土地や建物の登記事項証明書が必要です。

弁護士によっては本人確認書類や住民票などを求める場合もあるため、何が必要かを事前に確認しておくとよいでしょう。

法テラスに債務整理を依頼する場合の流れ

法テラスに債務整理について相談する際は、どのようにすればよいのでしょうか。

法テラスに債務整理を依頼する場合の流れは、以下のとおりです。

【法テラスに債務整理を依頼する際の4ステップ】

  1. 借金問題(債務整理)の無料法律相談を申し込む・受ける
  2. 立替制度の審査を申し込む
  3. 弁護士に正式に依頼する
  4. トラブルが解決する

それぞれのステップについて、以下で詳しくみていきましょう。

借金問題(債務整理)の無料法律相談を申し込む・受ける

まずは、法テラスの無料法律相談に申し込みましょう。

法テラスの無料法律相談は、電話もしくはWebから申し込みが可能です。

予約の窓口では、現在の収入の状況など口頭で簡単な審査がおこなわれます。

連絡先は以下のとおりです。

電話0570-078374
対応時間:月曜日〜金曜日の9時〜21時、土曜日の9時〜17時
※祝日、年末年始を除く
メールメール受付フォームから連絡

【参考】相談窓口・法制度|法テラス

電話の場合は、その場で無料法律相談の利用可否を伝えてもらえるので、問題がなければそのまま相談日程の調整をしてください。

予約した日程になったら、時間に遅れないように法テラスを訪れて無料法律相談を受けましょう。

なお、相談方法は、対面のほか、オンライン相談や電話相談に対応している場合があります

もしも法テラスまで行くのが難しい場合は、面談以外の相談方法を選択してください。

法テラスの無料相談は、同一問題について3回まで利用可能ですが、1回の相談時間は30分と、決して長くはありません。

相談前に、抱えている借金問題について整理し、必要な書類や情報を準備しておくと、相談時間を有効活用できるでしょう。

たとえば、借金問題であれば借入先の明細や返済計画書を準備しておくのがおすすめです。

立替制度の審査を申し込む

無料相談後に弁護士に依頼するかを決め、依頼する場合は弁護士を通じて費用立て替えの申請をおこないましょう。

必要書類は、前述した「法テラスに債務整理の相談をする際に必要な書類」を参考にご用意ください。

申請をおこなうと、法テラスは資力基準などを確認し、審査が完了すると援助開始決定を出します。

審査には約2週間かかりますが、場合によっては追加で資料が必要になることもあります。

また、書類に不備があると審査に時間がかかることもあるので、申請時は弁護士や法テラススタッフのサポートを受けながら、正確に手続きをおこなってください。

弁護士に正式に依頼する

審査を通過して援助が開始されると、依頼した弁護士・司法書士が問題解決に向けて動き出します

借金問題の場合は、このタイミングで弁護士から債権者に受任通知がおこなわれ、今後の債権者からの連絡や督促に関しては、弁護士が対応することになります。

また、正式に依頼が決定すると費用の返済も開始されるので、返済計画に基づいて立替金を返済しましょう。

なお、立替金の返済計画は、審査内容をもとに法テラスが決定します。

基本的には、銀行口座からの引き落としでの返済になるので、残高状況を管理して返済が滞らないようにしてください。

トラブルが解決する

借金問題が解決すると、弁護士や司法書士が法テラスに報告書を提出します。

報告書や判決文を基に、解決成果を確認し、報酬の支払いを決定しますが、借金問題の場合は、基本的に報酬金は発生しません

しかし、債務整理の過程で過払い金があることが発覚し、回収に成功した場合は、回収した過払い金額に応じて報酬金がかかることを覚えておきましょう。

なお、事件解決後に資産や収入の状況が変わり、依頼者が返済に困難を感じた場合は再度法テラスに相談してください。

返済計画の見直しを求めることで、無理なく返済できる可能性があります。

また、返済が完了するまでの期間中、法テラスは定期的に依頼者の状況を確認し、必要に応じて追加の支援をおこなう場合もあります。

依頼者が支払い困難な状況に陥った場合でも、全ての支援を終了してしまうわけではなく、柔軟な対応に対応してもらえるので安心してください。

法テラスに債務整理を依頼するデメリットはある?

法テラスは費用を立て替えてもらえる大きなメリットがありますが、デメリットもあります

どちらも理解して、利用するか判断するのが大切です。

利用できる人が限られている

法テラスの大きな特徴である民事法律扶助制度は、誰もが利用できるわけではありません。

利用するためには、収入や資産が基準以下であり、勝訴の見込みがないとはいえない状況で、制度の趣旨に適している必要があります。

条件を全て満たしているか不明な場合は、相談窓口で確認することもできるので、早々に諦めてしまわずに問い合わせてみましょう。

契約まで約1ヵ月かかる

法テラスを利用する場合、一般的な法律事務所に比べて手続きに時間がかかる傾向がある点もデメリットのひとつです。

すぐにでも取り立てを止めてほしい人にとっては、注意が必要です。

弁護士や司法書士は、契約してから受任通知を債権者に送付することで取り立てや督促を停止させられます。

しかし、審査には1ヵ月程度の時間がかかり、審査期間中は弁護士や司法書士が代理人として動くことができません。

つまり、審査期間中も、電話や郵便による督促が続いてしまうのです。

緊急性が高い場合は、相談後すぐに受任通知を発送してくれる一般的な法律事務所への相談がおすすめです。

弁護士を選べないから相性が合わない場合もある

法テラスは、相談や依頼をする弁護士・司法書士を自分で選べません

法テラスを通じて紹介されるのは、法テラスに所属する弁護士か、法テラスと契約している地域の弁護士・司法書士です。

どの弁護士・司法書士が担当になるかは、法テラス側で決定されるため、相性が合わない可能性もあるのです。

もし紹介された担当者と「話しにくい」「説明がわかりづらい」「方針に納得できない」といった相性の問題が生じても、担当者を変更することは困難です。

「債務整理に詳しい先生にお願いしたい」「親身になって話を聞いてくれる先生がいい」など、専門家に対して具体的な希望がある場合は、自分で探して直接依頼するのもひとつの手段です。

なお、法テラスと提携している弁護士・司法書士であれば、直接相談してから法テラスの民事法律扶助を利用して依頼する、ということもできます。

自分で弁護士を探すのが難しいと感じる場合は「ベンナビ債務整理」をご活用ください。

ベンナビ債務整理では、債務整理に強い弁護士が多く掲載されており、地域や無料相談、24時間対応可能などで検索することも可能です

法テラスと法律事務所、どちらを選択するとよい?

法テラスは債務整理の費用負担を軽減できますが、誰でも利用できるわけではありません。

法テラスを利用できない場合は、法律事務所などに依頼しなければなりませんが、どちらに依頼すべきかの判断が難しいことがあるでしょう。

ここでは、法テラスと法律事務所のどちらに依頼すべきかを紹介します。

法テラスの利用を検討するとよいケース

法テラスの利用を検討するとよいケースは、以下のとおりです。

  • 依頼したい弁護士が法テラスと提携している
  • 法テラスの利用条件を満たしている

それぞれの内容について、以下で詳しくみていきましょう。

依頼したい弁護士が法テラスと提携している

民事法律扶助制度を利用した債務整理の依頼は、法テラスと提携している弁護士であればおこなえます。

法テラスに無料相談した場合、弁護士の紹介を受けることもできますが、ご自身で提携弁護士を探し、法テラスを利用する「持ち込み方式」をすることも可能です。

すでに依頼を検討している弁護士が法テラスと提携している場合は、その弁護士に依頼するのがおすすめです。

自分で弁護士を選ぶことで、相性の合わない弁護士に依頼するリスクを避けることができます。

提携弁護士かどうかは、法律事務所に問い合わせるか、法テラスのWebサイトで確認できます。

法テラスの利用条件を満たしている

法テラスの利用を検討する際は、利用基準を満たしているかもよく確認しましょう。

あきらかに利用基準を満たしていない場合は、ただ単に審査の手間がかかってしまうだけになる恐れもあります。

事前にある程度審査に通りそうかを確認することで、余計な手間を省けるでしょう。

法律事務所への依頼が適しているケース

法律事務所を選ぶ必要があるケースは、以下のとおりです。

  • 法テラスの審査基準を満たしていない
  • 法テラスと提携していない弁護士に依頼したい
  • 催促をすぐに止めたい

それぞれの内容について、以下で詳しくみていきましょう。

法テラスの審査基準を満たしていない

法テラス経由で弁護士に依頼するには、経済的に困窮している、勝訴の見込みがないとはいえないなどの、一定の資力条件を満たす必要があります。

そのため、資力がある場合は、法テラス経由での依頼はできません。

審査基準を満たしていない場合は、一般の法律事務所に依頼しましょう。

法テラスと提携していない弁護士に依頼したい

債務整理の手続きを知名度や実績のある弁護士に依頼したい場合、法律事務所に直接依頼するべきです。

法テラスは費用が安くなるメリットがありますが、大手法律事務所は報酬が少なくなるため提携していないことが多いので注意してください。

直接弁護士に依頼したい場合は「ベンナビ債務整理」を利用してみてください。

ベンナビ債務整理とは、地域や相談無料などのさまざまな条件で弁護士を探せるポータルサイトです

知名度の高い弁護士もすぐに探し出せるので、ぜひ活用してみましょう。

催促をすぐに止めたい

法テラス経由で弁護士に依頼すると審査に2週間〜1ヵ月もかかり、その間も催促が止まらないことがあるでしょう。

一方、弁護士に直接依頼し、弁護士から受任通知を送付すれば、催促はすぐに止まります

一般的に、法テラスの審査が下りた後に弁護士から受任通知を送付しますが、弁護士によっては法テラスの審査中でも受任通知を送ってくれるなどの対応をしてくれることもあるかもしれません。

しかし、対応は弁護士によって違うので、すぐに受任通知を送ってもらいたいときには、法テラスを利用せず、直接弁護士と委任契約を締結して依頼するほうがよいでしょう。

自分に合う弁護士を探したい

債務整理の手続きは、担当の弁護士・司法書士との二人三脚で進めていくことになります。

プライベートな金銭事情を打ち明け、数ヵ月から1年以上にわたってやり取りを重ねるため、担当者との相性や信頼関係は極めて重要です。

法テラスでは、担当の弁護士・司法書士を自分で選ぶことはできず、一度決まると変更も困難です。

「どうも話しにくい」「方針に納得できない」と感じても、我慢して手続きを進めなければなりません。

その点、一般的な法律事務所であれば、自分で相談先を選べます。

「親身になって話を聞いてくれる先生がいい」「同性の先生のほうが話しやすい」といった、自分の希望に合わせて、納得できるまで弁護士を探すことが可能です。

複数の法律事務所の無料相談を利用して、実際に弁護士と話をし、人柄や説明のわかりやすさを比較検討するのもよいでしょう。

自分にとって信頼できると思える専門家を見つけることが、借金問題解決への大きな一歩となります。

できる限り早く解決したい

債権者から厳しい督促を受けている、あるいは裁判所から書類が届いているなど、緊急性が高い状況では、一般的な法律事務所への相談を強くおすすめします。

例えば、一括請求の通知が届いていたり、裁判所から「支払い督促」や「訴状」が送られてきたりという状況が、緊急性が高いといえます。

法テラスでは、費用の民事法律扶助制度を利用する場合、審査に2週間から1ヵ月ほどかかり、その間は弁護士が代理人として動けないため、手遅れになるリスクがあるのです。

一方、法律事務所であれば、相談・依頼後すぐに受任通知を債権者に発送してくれます。

そのため、直接の督促は止まり、裁判手続への対応も迅速に開始できます。

事態が悪化するのを防ぎ、即座に対応が必要な場合は、スピード感のある法律事務所が最適です。

法テラスに債務整理を依頼する場合によくある質問

ここでは、法テラスへの債務整理の依頼に関してよくある質問を紹介します。

同様の疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

法テラスに債務整理を依頼すると業者からの督促は止まりますか?

弁護士に依頼すると受任通知を送付してもらえるため、債権者からの督促は止まります

しかし、法テラスは審査に時間がかかり、その間は弁護士と契約しているわけではないため、督促が止まりません。

一日でも早く督促を止めたい状況であれば、相談後すぐに受任通知を発送してくれる一般的な法律事務所へ相談してください。

生活保護受給者でも法テラスに債務整理の依頼はできますか?

生活保護を受給されている方も、法テラスを利用して債務整理をおこなうことが可能です。

債務整理の手続きが完了した時点でも生活保護を受給しており、将来的に返済が極めて困難であると判断された場合、立替金の返済の免除が適用されます。

ただし、全ての生活保護受給者が対象となるわけではないため、注意してください。

家族に内緒で債務整理を相談することは可能ですか?

家族に内緒で債務整理を相談することはできますが、バレる可能性はゼロではありません

債務整理をおこなうことで、家族への影響が避けられない場合もあります。

そのため、可能であれば家族と相談して内容を整理するのがおすすめです。

家族に対して正直に状況を説明し、共に解決策を考えることで、よりスムーズに問題を乗り越えることができるでしょう。

もし家族に内緒で進める場合は、リスクを理解したうえで慎重に行動することが必要です。

弁護士の意見を聞きながら、最適な方法を選ぶことをおすすめします。

法テラスで債務整理中に支払いが難しくなったらどうすればよいですか?

万が一、法テラスへの立替金の返済や、任意整理後の和解に基づく支払いが難しくなった場合は、すぐに法テラスに連絡してください。

正直に事情を話せば、支払いの一時的な猶予や、月々の返済額の減額など、救済策を一緒に考えてもらえる場合がほとんどです。

連絡せずに支払いを滞納してしまうと、和解契約が破棄され、債権者から利息含めた一括返済を求められたり、財産を差し押さえられる可能性があります。

これは法テラスに限らず、どの法律事務所で債務整理をおこなっても共通して発生するルールです。

問題をこじらせないためにも、支払えないとわかった時点で、できるだけ早く相談してください。

さいごに|債務整理の早期解決を目指すなら弁護士に相談しよう

法テラスでは、債務整理の悩みを無料で相談可能です。

しかし、審査通過までに時間がかかったり、自分で弁護士を選べないデメリットもあります。

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監修記事
杉本法律事務所
杉本 真樹 (群馬弁護士会)
解決への道筋は一つではありませんので、いくつか選択肢をご提案し、それぞれのメリット・デメリットをしっかりとご説明した上で、一緒に最良の選択肢を考えるように心がけております。(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)
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アシロ編集部
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本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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