自己破産
自己破産できる金額はいくら?借金額以外の条件や手続き費用の目安額などを解説
2024.11.12
借金問題を解決するために自己破産を考え始めたものの、自己破産をするにもお金が必要と知り不安な方も多いのではないでしょうか。
法テラスであれば自己破産をする際の費用を抑えることが可能です。
ただでさえお金に余裕がない方は、法テラスの利用も検討すべきでしょう。
そこで本記事では、法テラスを利用して自己破産をする際にかかる費用を詳しく紹介します。
加えて、法テラスで自己破産をする際に費用が高くなってしまうケースや利用時の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
法テラスの代理援助制度(弁護士等費用の立替制度)を利用して自己破産をする場合、債権者数によって費用が変わります。
また、通常自己破産についての報酬金は発生しませんが、過払い金を回収できた場合は過払い金の額に応じて報酬金が発生する可能性があります。
なお、法テラスの代理援助・書類作成援助制度を利用する際は、以下の条件を満たさなければなりません。
代理援助とは、以下の手続きに関する弁護士または司法書士費用と実費の立て替え制度のことを指します。
法テラスの代理援助を利用して自己破産をする際にかかる費用は、以下のとおりです(※)。
債権者数 | 実費 | 着手金 | 合計 |
---|---|---|---|
1〜10社 | 23,000円 | 132,000円 | 155,000円 |
11〜20社 | 23,000円 | 154,000円 | 177,000円 |
21社以上 | 23,000円 | 187,000円 | 210,000円 |
※実際の費用は、事件の内容等により審査によって決まります。必ずこの金額になるとは限りませんのでご注意ください。
書類作成援助とは、裁判所に提出する書類の作成にかかる費用を立て替える制度のことを指します。
法テラスを利用して自己破産の申立書を作成する際にかかる費用は、以下のとおりです(※)。
実費 | 報酬額 | 合計 | |
---|---|---|---|
自己破産申立書の作成 | 17,000円 | 88,000円 | 105,000円 |
※実際の費用は、事件の内容等により審査によって決まります。必ずこの金額になるとは限りませんのでご注意ください。
法テラスを利用して自己破産をおこなったとしても、想定よりも費用がかかる可能性があります。
ここでは、法テラスの自己破産の弁護士費用が通常よりも高くなるケースについて解説します。
管財事件とは、裁判所が選任した破産管財人が破産手続きの処理を進める自己破産手続きのことをいいます。
自己破産の際は、債務者の手元にある程度の財産や資産がある場合や債務者に免責不許可事由に相当する事由がある場合等には管財事件として取り扱われます。
自己破産が管財事件となった場合、自己破産手続きの際に管財人が選任され、債務者の財産の管理や処分をおこないます。
自己破産が管財事件として扱われるケースには、以下のようなものがあります。
※管財事件として扱われる基準については、裁判所によって運用が異なります。詳細は弁護士または司法書士にご確認ください。
なお、管財事件の場合には、裁判所に対して予納金(20万円以上)を納める必要があります。
同じ自己破産手続きの場合でも、事件の内容が複雑な場合は、発生する費用が増える可能性があります。
正確な金額は、法テラスの審査及び決定を経てからでないとわかりません。
自己破産を法テラスで行う場合は、担当弁護士や司法書士にあらかじめ見込み費用を確認するようにしてください。
法テラスで自己破産をする場合、通常は着手金と実費のみが発生し、成功報酬金が発生することはありません。
しかし、自己破産の過程で過払い金を回収できた場合に限り、報酬金が発生することがあります。
過払い金は、回収した金額に応じて設定されるため、こちらも相談の段階で確認しておくとよいでしょう。
法テラスに自己破産手続きを依頼する場合、約17万8000円からの費用負担で対応してもらえます。
一方で、法律事務所に自己破産を依頼した場合の費用は約42万円からと、法テラスと比較した場合にはやや高い傾向にあります。
項目 | 法テラスに依頼する場合 | 法律事務所に依頼する場合 |
---|---|---|
実費 | 2万3000円 | 2万円〜5万円 |
着手金 | 15万5000円〜21万円 | 20万円〜40万円 |
報酬金 | 0円 | 20万円〜40万円 |
合計(※) | 17万8000円〜23万3000円 | 42万円〜85万円 |
※管財事件の場合に裁判所に納める予納金の金額は含まれません。
法テラスを利用することで自己破産にかかる費用を抑えられるので、利用条件をクリアしている方は、利用を検討してみましょう。
法テラスは経済的に余裕のない方が対象で、利用するには収入や資産などが一定以下であることを証明して審査を受ける必要があります。
ここからは、法テラスを利用して自己破産をする流れを3ステップで紹介します。
法テラスを利用して自己破産をする前に、まずは無料法律相談を受けましょう。
法テラスの無料法律相談を受けるには、資力(財産)が一定額以下であることが条件です。
無料相談の予約をする際に、収入や資産について聞かれるので、事前に預金通帳などの書類を手元に用意しておくとよいでしょう。
条件をクリアし、無料相談の予約ができたら、相談の準備をしてください。
自己破産の相談では、まずは全ての債務内容を把握する必要があるため、債権者からの請求書類や契約書類などがあると役立つでしょう。
なお、相談した弁護士や司法書士にそのまま依頼したい場合は、その旨をあらかじめ伝えておくのがおすすめです。
そうすることで、スムーズに手続きを進めることができます。
弁護士や司法書士に依頼すれば、自己破産の手続きがスムーズに進むだけでなく、専門家のサポートを受けることによる安心感も得られるでしょう。
法テラスの民事法律扶助業務を利用する際は、法テラス経由で相談するだけでなく、法テラスと契約している弁護士や司法書士に直接依頼することも可能です。
弁護士や司法書士に直接相談するメリットは、依頼する弁護士・司法書士を自分で選べる点です。
法テラス対応の弁護士や法律事務所であれば、正式依頼時に法テラスへ申請をしてもらうこともできるので、結果的に法テラスを利用することに変わりはありません。
弁護士や司法書士への相談が終わり、自己破産の手続きに進む場合は、法テラスに必要書類を提出しましょう。
法テラスの弁護士等費用の立替え制度審査では、収入や資産の状況、事件の内容および免責決定の可能性について精査されます。
免責決定の見込みが低い場合や、十分な収入や資産があると判断された場合、立替え制度を利用することはできません。
審査結果に基づき、立替金額や月々の返済額も決定されます。
なお、必要な書類は事件により異なるので注意が必要です。
審査を通過すると、約2~3週間後に法テラスからの書類が弁護士に送られ、弁護士から依頼者に連絡がきます。
ただし、書類の不備などの場合は審査に1ヵ月以上かかることもあるので注意してください。
弁護士からの連絡後、弁護士もしくは法律事務所との委任契約と法テラスとの立替払いの契約の締結を同時に進めます。
契約手続きが完了したら、自己破産の申し立てに向けて準備を始めます。
契約の際に必要な書類については、契約先の弁護士や司法書士によく確認してください。
自己破産の手続きを法テラスに依頼するときには、どのような注意点があるのでしょうか?
ここでは、自己破産の手続きを法テラスに依頼する際の費用に関する注意点を解説します。
法テラスの立替え制度は、依頼する弁護士への支払いを法テラスが立て替え、その後利用者が分割で法テラスに費用を返済する制度です。
立て替えてもらった費用は、事件終了後に原則として3年以内に返済を終えなければなりません。
月々の返済額は、収入や資産の状況を加味して法テラスが決定します。
また、過払い金などで事件の相手方等から得た金銭がある場合は、原則としてその金銭から一括して立替金を支払う必要があります。
自己破産が管財事件となった場合、20万円以上の予納金が必要になります。
予納金は法テラスでは立て替え対象外となるため、原則として自分で用意しなければなりません。
(例外として、生活保護受給者の場合は予納金も立て替えの対象となる場合があります。)
予納金の具体的な額は、事件の内容や規模により変わるので、詳細は担当の弁護士や司法書士に相談しましょう。
法テラスを利用して自己破産手続きをおこなったとしても、免責不許可事由があるケースの場合、免責許可が認められない可能性もないとはいえません。
免責不許可となった場合など、望んだ結果とならない場合でも、基本的に立替金は全額返済しなければなりません。
自己破産を検討する際は事前に弁護士と相談し、自身の財産状況や手続きの流れをよく理解しておくことが重要です。
法テラスへ相談する際は、事前に把握しておいたほうがよい項目がいくつかあります。
ここでは、法テラスでの相談に関してよくある質問を解説します。同様の疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
自己破産や法テラスの利用には回数制限がないため、2回目の自己破産も法テラスでおこなうことが可能です。
しかし、2回目の自己破産には、原則として前回免責許可決定を受けた日から7年以上経過している必要があります。
また、1回目と同様の原因で自己破産を申請すると、反省していないと判断され免責が難しくなることがあるでしょう。
特に、2回目の自己破産では、裁判所から厳しい審査がおこなわれることが多く、前回の自己破産後の生活態度や経済状況がどれだけ改善されたかが重視されます。
自己破産の理由が浪費やギャンブルなどであり、前回から改善が見られない場合は再申請がさらに困難になります。
また、たとえば不正な借入れや資産隠しなどの免責不許可事由が発覚した場合、免責が認められないことがあります。
法テラスの援助を受けた弁護士費用などは、援助決定の2ヵ月後から返済を開始します。
返済は銀行口座から引き落とされ、残高不足の場合は請求書が送付されます。
返済が滞ると、追加の延滞料金が発生することがありますので、計画的な返済が重要です。
法テラスから立て替え費用の返済ができずに滞納を続けると、法的措置をとられる可能性があります。
返済が厳しい場合は、早めに法テラスに連絡し、返済の猶予や金額変更などのリスケジュールを依頼することが重要です。
自己破産後に経済状況が悪化した場合、,b>生活保護受給者でなくても立て替え費用の返還が例外的に免除されることがあります。
ご自身で自己破産をおこなう場合、費用がかかったり、申し立てをしたりと、さまざまな準備をする必要があります。
必要書類を集めたり、法的手続きも進めたりしなくてはなりません。
新たなトラブルが発生したり、問題が長期化したりする可能性もあります。
そのため、ご自身だけで手続きをおこなうのが不安であれば、法テラスのサポートを求めることを強く推奨します。
法テラスへ自己破産手続きを依頼することで、法律事務所に直接依頼するよりも弁護士費用を抑えることが可能です。
法テラスの無料法律相談を利用するには一定の要件を満たす必要がありますが、サポートダイヤルなどに問い合わせることで要件を確認できます。
自己破産のことで不安があれば、なるべく早く法テラスに相談しましょう。