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過払い金請求のデメリットと回避方法をわかりやすく解説
2024.09.26
勉学に励みたくても学費の工面が難しい場合に、奨学金は非常にありがたい制度です。
給付型の奨学金もあれば、貸し与えの奨学金もありますが、返済が不要であっても基本的に貸与利率が低いです。
代表的なものに、独立行政法人日本学生支援機構が提供している奨学金があります。
しかし、いくら貸与利率が低いといっても、就職後の給料で払うのが難しい状況に陥るケースも少なくありません。
返済免除ができるのであれば、利用したいと思う場面も出てきます。
そこで本記事では、返済免除がある奨学金制度や独立行政法人日本学生支援機構の返済免除利用条件、制度の利用方法などを紹介します。
2019年に独立行政法人日本学生支援機構が実施した調査「奨学事業に関する実態調査報告」によると、実績有制度7,784制度のうち、給付型が5,329制度(68.5%)、 貸与型が2,392制度(30.7%)、併用型が63制度(0.8%)です。
貸与型の内、返還免除がある制度数は74.5%であり、約4分の3は場合により返還免除が認められることがわかります。
分類 | 返済免除制度がある割合 |
学校 | 56.0% |
地方公共団体 | 76.2% |
公益団体 | 74.4% |
医療関係機関 | 95.5% |
営利法人 | 88.9% |
個人・その他 | 88.7% |
合計 | 74.5% |
中でも、医療関係機関は95.5%、営利法人は88.9%、個人・その他は88.9%と、学校・地域公共団体・公益団体よりも優位に高い割合で返済免除が可能な制度を設けています。
特に多くの人が利用している独立行政法人日本学生支援機構を例に見ていきましょう。
規定額の返済が難しい場合に、条件により減額等の対応をしてもらう方法があります。
しかし、条件を満たしている場合に、返済免除を利用することもできます。
条件は以下の3つです。
返済免除の利用条件についてより詳しく解説していきます。
【死亡による返済免除の利用条件】
奨学金制度の種類によって、願い出用紙が異なるため、必ず自分が利用している奨学金が人的保証なのか機関保証なのか確認して申し込みましょう。
死亡による返済免除は貸与奨学金なのか給付奨学金なのかでも記入の仕方が異なります。
主治医と相談の上で利用できる返済免除の制度です。
【精神・身体の障害による返済免除の利用条件】
返還することができなくなった事情を証明する書類は「奨学生本人の収入証明書」です。
給与所得者であって、年間収入金額が300万円を超える場合は、上記証明書に加え「返還できない状況にあることを確認できる書類」に事情等を記入する必要があります。
報告者の署名が必要ですが、自分自身やその親族が証明するものではありません。
民生委員、公民館長、学校長、福祉事務所長、病院長(診断書を証明した方は除きます。)又は精神保健福祉士、介護福祉士、社会福祉士、看護師などの医療若しくは福祉に関する国家資格のいずれかに署名を求める必要があります。
また、精神・身体の障害による返済免除で提出が必要な診断書は、封筒が密封されていない状態の場合に診断書の再取得が求められます。
必ず密封されていることを確認し、開封しない状態で提出しましょう。
上記は事情により、返済免除が求められる例でした。
しかし、本人の努力によって返済免除ができるケースもあります。
大学や独立行政法人日本学生支援機構に業績が認められれば、返済免除を受けることができます。
なお、優れた業績を理由とする返還免除の場合に、返還可能額は全額とは限りません。
業績により全額もしくは半額の返済免除が可能です。
【特に優れた業績による返済免除の利用条件】
「死亡による返済免除」「精神・身体の障害による返済免除」をおこなう場合に書類の提出先は、以下のとおりです。
しかし、「大学院第一奨学金の特に優れた業績による返済免除」は、勝手に独立行政法人学生支援機構へ書類等を送付してはいけません。
該当する方は、以下の流れで奨学金の返済免除を求めることができます。
独立行政法人学生支援機構が、毎年12月に各大学に対し、4月から翌年3月に貸与終了となる奨学生を対象とする業績優秀者返還免除候補者の推薦依頼をおこなっています。
大学はこれを受けて、学内での申請期間を設けます。
申請手続きや期間は各大学によって異なるため、各大学に従いましょう。
【必要書類】
「業績優秀者返還免除申請書」については大学から受け取ってください。
大学から本機構へ推薦を得られる学生は、必要書類を記載して大学に提出します。
申し込みがあった学生のうち、独立行政法人日本学生支援機構に推薦するに相応しい人物を選ぶための学内選考会がおこなわれます。
そして、大学内で推薦する学生を決め、独立行政法人日本学生支援機構に提出されます。
独立行政法人日本学生支援機構では、明確に評価する業績を定めています。
返還免除に有効な業績は、学問分野での顕著な成果や発明・発見だけではありません。
以下も含めて評価されます。
詳しくは、以下の独立行政法人日本学生支援機構の公式サイトで詳細に説明がされています。
独立行政法人日本学生支援機構の審査を通過すれば、返還免除が半額もしくは全額可能になります。
なお、令和5年度以降に博士(後期)課程及び博士医・歯・薬・獣医学課程で第一種奨学生として採用され、かつ博士課程在学中にフェローシップ事業等の支援を受けた場合には、業績免除認定の対象外です。
ここまで奨学金の返還免除制度について説明しました。
しかし、いずれにも該当しない人は多いです。
もし、今奨学金を返すのがきついと感じているのであれば、負担を軽減する方法を検討しましょう。
返還誓約書に記載された金額を全額返済するのはきつく、減額すれば返済できると感じた場合に利用できる制度です。
1回あたり、2分の1もしくは3分の1に減額して返済する「減額返還制度」の申請をおこなうことができます。
1回の願い出につき適用期間は12か月で最長15年(180か月)です。
条件は、災害、傷病、その他経済的理由であって、提出する証明書が一定の要件に合致していることです。
減額返還を願い出ることができる収入目安は給与所得者の場合に、所得証明書等の年間収入金額325万円以下であることです。
給与所得以外の所得を含む場合には、所得証明書等の年間所得金額(必要経費等控除後)225万円以下が目安です。
審査の際には、本人の被扶養者について1人につき38万円を収入・所得金額から控除されます。
返還免除と比べると、多くの人が利用できるといえます。
この制度はあくまでも、減額や返済猶予を設けてもらうためのものです。
減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長するだけですので、返済額が減額されるわけではないことには留意しましょう。
返済の一部を肩代わりしてもらえる、返済支援制度を利用する方法もあります。
自治体などの返済支援制度がないか確認してみましょう。
例えば関東圏では、条件付きで以下などの返済支援制度があります。
「1年以内に市内に居住し、5年間居住を継続」や「特定期間の就労」など、といった助成金等でよく見かける条件が多いようです。
これまでのやり方と比べると随分と大掛かりになってしまいますが、どうしても困窮に陥った場合に自己破産といった債務整理をおこなう方法もあります。
債務整理には主に「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3種類がありますが、奨学金返済における債務整理の場合には、「自己破産」「個人再生」のいずれかを利用することになるでしょう。
任意整理は、利息部分を払わずに3年程度で返済するやり方です。
奨学金の場合に、もともとかなり利息を下げていることもあり、そもそも奨学金を提供している機関が承諾してくれる可能性が極めて低いためです。
自己破産 | 裁判所に申し立てをおこない、借金の支払い義務を免除してもらう手続き。 持ち家や99万円を超える現金などは処分されます。 |
個人再生 | 裁判所を通して、借金を大きく減額できる手続き。返済期間は原則3年。 借金額に応じ5分の1から最大10分の1まで圧縮されますが、会社員程度の収入がなければ許可がおりません。 |
任意整理 | 裁判所に頼らず、利息部分を払わずに3年程度で返済します。 返済を続ける必要があるため、収入が安定していることが望ましいです。 |
独立行政法人日本学生支援機構について詳しく説明してきましたが、そのほかの返済免除についても見ていきましょう。
東京都・港区の場合に、以下の要件を全て満たしていれば返還免除が可能です。
あしなが育英会の奨学金を借りている人は、以下の場合に免除を受けられる場合があります。
毎日育英会を例にとると、以下の場合に免除を受けられます。
以下に、奨学金の返済免除に関して多く寄せられる質問をピックアップします。
奨学金を返済できないという声が多くありますが、なにもしないままでいると、独立行政法人日本学生支援機構もしくは該当機構が委託した債権回収会社などから返還の督促がきます。
本人、連帯保証人、保証人に対して「振替不能通知」や電話がされるため、自分ひとりの問題ではなくなります。
3ヵ月以上滞納した場合、個人信用情報機関に個人情報が登録される可能性があります。
また、訴訟提起や支払い督促の申立てがされ、最終的には強制執行により財産を差し押さえられるおそれもあります。
返還特別免除を受けられる免除職があります。
残念ながら、現在は廃止されています。
しかし、最近では再検討がされているようです。
奨学金の返済が苦しい人は少なくありません。
困った場合には、返還免除や減額制度を検討しましょう。
何もしないまま返済をストップさせてしまっては、訴訟や支払い督促の通知が届き、大ごとになってしまいます。
「どうすればいいかわからない」「債務整理を検討したい」といった場合には、弁護士への相談も視野に入れましょう。