自己破産
女性は自己破産しやすい?メリットとデメリットをわかりやすく解説
2024.04.01
借金を返すため借金を重ねたり、その他の理由でも借金を重ねたりしまうと、多重債務状態になり、生活が困難になります。
多重債務状態に陥ると自力で解決することが困難になり、借金を返すことで頭がいっぱいになってしまう方は少なくありません。
そんな多重債務状態を解決するために、自己破産という方法を目にすることでしょう。
自己破産は借金をゼロにする方法ですが、メリットやデメリットも含め、どのような状態になるのかを知っている方は、あまり多くありません。
本記事では、自己破産のメリット・デメリットを解説し、実際にどのような処理がおこなわれるのかを紹介し、借金問題の解決に役立つための知識を提供します。
なお、早急に借金問題を解決したい場合は、今すぐに弁護士などの専門家に相談しましょう。
自己破産とは、裁判所の許可を得て、自分の借金を帳消しにしてもらう手続きです。
自己破産が裁判所に認められると、子どもの養育費や税金、罰金などの一部の例外を除き、すべての借金を返済しなくてよくなります。
借金で首が回らず、返す方法も見つからない場合にベストな手段です。
自己破産をおこなうと、基本的に99万円を超えて財産を残すことはできませんが、既に返す財産が尽きている場合や、尽きる見込みのある場合は非常に有効な手段です。
自己破産をおこなっても持ち続けられる財産のことを自由財産といいます。
自由財産を超える高額な財産は換価されます。自由財産とは、99万円までの現金や、残高20万円以下の預貯金、生活や仕事に必要な差し押さえ禁止財産等を指します。
自由財産に当たらない財産は換価され借金の貸し主である債権者に分配されます。
基本的には20万円以上の財産は処分の対象となり、ローンが残っている車や、不動産も対象となります。
20万円以上の価値がある財産は原則換価されます。換価は破産管財人という裁判所により選任された弁護士がおこないます。
自己破産とは借金が免除される制度ですが、無条件で免除されるわけではなく、当然財産を大きく残すことはできません。
財産を残せるのならば、借金の貸し主に可能な限り返済をおこなうことが道理だからです。
ローンが残っている車は、所有権留保が付いており、所有権がローン会社などの信販会社にある場合が多いため、車両は引き上げられます。
ご自身の車の車検証の所有者欄を確認してみましょう。
ローンが残っていない自己所有の車でも、自己破産時の時価が20万円以上であれば、基本的に換価の対象になります。
保険では、解約時に返金される解約返戻金が設定されていることがあります。解約返戻金も20万円以上の場合は原則的に生命保険を解約する必要があります。
解約後は自身のお金になるわけではなく、債権者への分配に使用されます。
なお、場合によっては保険を維持できることもあるため、詳細は弁護士に相談してみましょう。
自己破産では、自由財産を除いた20万円以上の財産は、原則として債権者への分配に充てなければいけません。
しかし、自由財産の拡張を裁判所に認めてもらえれば、財産を処分せず、残せることもあります。
法律上認められている自由財産以外にも、生活に必要な財産は自動車や預貯金、保険など多岐にわたります。
原則として自己破産で処分される財産でも、生活に必要であると認められれば維持できます。
各裁判所では、自由財産の拡張を認める基準を設けていることが大半であるため、残したい財産がある場合は弁護士へ相談しましょう。
一般的に、現金等とあわせて総額99万円以下であれば認められるケースが多く、経験豊富な弁護士であれば、ある程度の見立てをしてくれるでしょう。
自己破産をおこなう場合、住居に心配がある方は少なくありません。
住居への対応は、持ち家だと原則として処分が必要ですが、賃貸物件であれば住み続けられることもあります。
ケースごとに対応が異なるため、持ち家の場合と賃貸物件の場合で解説します。
持ち家に住んでいる場合は、原則として処分されます。
車の場合はローンの有無により処分対象であるかが変わりますが、持ち家の場合においてはローンの有無は関係ありません。
不動産は高価な財産とされているため処分の対象となり、債権者へ分配されます。どうしても不動産を残したい場合は、個人再生を検討しましょう。
個人再生は、自己破産と同じ債務整理の一種ですが、不動産の処分が絶対条件ではありません。詳細は弁護士に相談しましょう。
自己破産をおこなったからといって、それだけを理由に賃貸物件から追い出すことはできません。
そのため、住んでいる家が持ち家でなく賃貸物件であれば、そのまま住み続けることができます。
賃貸物件に住んでおり、自己破産をおこなうときの注意点は、家賃滞納と家賃が高額すぎる場合です。
金銭的に厳しいからこそ自己破産を検討している状態であるため、家賃も滞納してしまっている方は少なくありません。
家賃の滞納は賃貸借契約を解除する理由となるため、そのまま住めなくなる可能性があります。
また、家賃が高額すぎる場合は、家計の見直しを理由に、賃貸契約の解除を求められることもあります。
自己破産の手続き中の引っ越しは制限されます。ただし、手続きが完了すれば引っ越しは可能です。
自己破産をおこなったからといって、何年も引っ越しが制限されるわけではありません。
自己破産には同時廃止と管財事件の二種類があり、引っ越しの制限が異なります。
同時廃止の場合は基本的に引っ越しの制限は受けませんが、免責許可決定確定の間に引っ越しをしたときには、裁判所に報告する義務があります。
管財事件では、自己破産の手続き中の引っ越しには、裁判所の許可が必要です。つまり、引っ越しに制限を受けます。
自己破産をしていても、賃貸物件の契約に制限は受けません。つまり、賃貸物件を借りること自体は可能です。
しかし、賃貸物件に入居する際は、入居審査がおこなわれます。
入居審査では、自己破産が影響する可能性があるため、入居審査に落ちやすく、賃貸物件が借りにくいといったことが想定されます。
賃貸物件では家賃保証会社を入れることがあり、この保証会社が信用情報機関の情報を参照します。
自己破産をおこなうと、信用情報に事故情報として記録され、支払能力がないと判断され、審査落ちすることが多いでしょう。
自己破産の影響が家族にまで及ぶ心配をする方もいます。
しかし、家族であるからという理由だけで、家族が自己破産の影響を受けることはありません。
ただし、借金の保証人になっている場合では状況が異なるため、注意が必要です。
自己破産は本人だけの手続きであり、原則として家族は自己破産の影響を受けません。
そのため、家族が職業や引っ越しの制限を受けることや、家族が所有する財産の処分をおこなう必要はなく、法律上は影響が存在しません。
反対に、家族名義の借金は、自己破産をおこなっても解消されるわけではない点に注意が必要です。
自己破産をおこなっても、法律上は家族に影響は無いため、不当な扱いを受けた場合には弁護士などの専門家に相談しましょう。
自己破産は本人の借金や債務が免除される制度です。
借金には保証人が設定されている場合が多く、主な債務者が自己破産をした場合は、保証人が借金を負う義務が生じます。
そのため、家族が自身の借金や債務の連帯保証人になっていた場合は、自身の借金がそのまま家族へ請求されます。
保証人となった家族も支払いが難しい場合は、同時に自己破産などの債務整理をおこなう必要性が生じます。
自己破産をおこなったことで仕事がなくなる心配をすることもあるでしょう。
金銭的に苦しい中で、リストラなどの心配をすると、さらに焦ってしまいます。
自己破産をおこなうと、いくつかの職業では就業が制限されますが、それ以外の職業では自己破産を理由に解雇することはできません。
心配な場合は、自分の職業が制限対象になるかどうかを一度調べたり、相談したりしましょう。
会社は自己破産を理由にして解雇をおこなうことができません。つまり、自己破産が原因でクビにはなりません。
自己破産は会社の業務上の問題ではなく私生活の問題であるため、解雇の理由とはできず、仮に自己破産だけを理由に懲戒解雇をすると、不当解雇にあたるでしょう。
自己破産を理由に解雇をおこなうことはできませんが、自己破産を理由に就業に制限を受ける職業もあります。
こちらは会社の問題ではなく、法律上での決まりごとです。
ただし、職業に制限を受けたからといって、自己破産手続きが完了し一定期間が経過し復権した後は、再び制限された職種に就けます。
資格が必要な職業でも、改めて資格を取り直す必要はありません。
自己破産で制限を受ける職業は宅地建物取引士や公認会計士、税理士、警備員、公証人などです。
自分の職業が制限の対象か調べるには、職業名と制限職種などで調べましょう。
なお、詳細な条件に応じて制限が異なるため、安易に検索結果だけで事態を判断せず、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
破産者は成年後見人や遺言執行者の欠格理由にあたるため、成年後見人や遺言執行者などにはなれません。
成年後見人では、知的障害や認知症などの判断能力が不十分な方にかわり、契約や財産管理をおこないます。
自身の財産管理に失敗した破産者は、他人の財産管理をおこなうには不適切とされているからです。
また、同じような理由で、遺言により財産の管理をおこなう遺言執行者にもなることができません。
基本的に自己破産後は借り入れをおこなうことはできません。
自己破産後間もない時期に借り入れが出来そうな場合には、貸金業者がヤミ金業者等である可能性がありますので、借り入れについて慎重に判断する必要があります。
自己破産をおこなうと、どの借り入れ方法が、どの程度の期間難しくなるかを解説します。
借り入れをおこなう際に、貸金業者は信用情報機関に情報を照会して、貸し付けの可否を判断します。
自己破産をおこなうと、信用情報機関に自己破産をおこなったという事故情報が登録されます。
事故情報がある人は返済能力が無いと判断され、新規の借り入れは難しくなります。
この状態をブラックリストに登録されるといい、5年~10年程度はブラックリストに登録された状態が続くでしょう。
自己破産をおこなうとブラックリストに登録されてしまうため、借り入れをおこなうクレジットカードの新規作成や利用はできなくなります。
クレジットカード会社も信用情報機関の情報を参照し、支払能力の有無を調査するため、自己破産をおこなった人には、基本的に貸し付けをおこないません。
そのため、数年間はクレジットカードの新規契約が困難になるでしょう。
住宅ローンの貸し付けでも、信用情報機関に情報が参照されます。
金融機関や貸金業者の大半はブラックリストを見ているため、住宅ローンも同様に組めないでしょう。
住宅ローンに限らず、ローンすべてが難しくなるといわれており、自動車ローン、カードローンも困難になり、場合によって携帯電話の分割購入も難しくなります。
自己破産をおこなうと借金ができない状態になりますが、借金を必要とする場合も少なくありません。
そこに目をつけて、ヤミ金業者などが勧誘をおこなってきますが、全て詐欺や違法行為に加担していると考えてよいでしょう。
自己破産で辛い状況にあるなか、ヤミ金業者と関わるとさらに金銭的に厳しい状況に追い込まれます。
電話や手紙、そのほか様々な方法で営業や勧誘がおこなわれますが、絶対に関わらないように気をつけてください。
自己破産をおこなう上では、心配が山積みでしょう。
少しでも心配が和らぐように、自己破産でよくある質問をまとめているため、参考にしてみてください。
自己破産をおこなうと、官報に氏名と住所と共に、自己破産したことが記載されます。
官報は誰でも見ることができますが、官報を見る人は稀です。
官報に掲載されたからといって、近所の人や職場の人が自己破産をしたことに気付くことは滅多にないといえるでしょう。
自己破産をしたからといって、選挙権がなくなることはありません。
投票はもちろん、自身が立候補する被選挙権も消失しません。
自己破産をしてもパスポートを所持することはできます。
破産手続き中は移動が制限されますが、破産後は制限さないため、パスポートも問題なく使うことができます。
また、手続き中であっても、裁判所の許可が下りれば、パスポートを利用して海外出張に行くことも可能です。
自己破産をしても年金の受給額には影響ありません。また、生活保護などの公的扶助も受けることができます。
自己破産後に生活に困窮した場合は、生活保護などを活用しましょう。
自己破産は自身の借金を帳消しにして生活の再建をおこなえる前向きな制度です。しかし、デメリットや制限されることも多く存在します。
自身の希望を実現する手続きが自己破産ではない可能性もあります。
自己破産を検討しているなら、まずは弁護士に相談しましょう。
自己破産の経験が豊富な弁護士に相談すれば、ノウハウが蓄積しているため、ひとりで悩むよりもよい解決法に巡り合う可能性が高いといえるでしょう。