借金相談
借金について相談できる窓口8選!どこを頼ればいいか迷ったらまず弁護士を選ぼう
2024.11.12
日本貸金業協会は、貸金業業界唯一の自主規制機関です。
債務者と債権者である貸金業者に対してさまざまなサービスを提供することで、貸金業業界の適正化を目指しています。
たとえば、債務者が不当な権利侵害を受けないようにコンプライアンス遵守を推進したり、債務者と事業者間でトラブルが発生したときには、各種相談や紛争解決制度によってトラブルの早期解決を実現したりします。
本記事では日本貸金業協会について、以下3点についてわかりやすく解説します。
特に、借金やローン契約では、債務者側がさまざまな苦難・トラブルを強いられる可能性が高いです。
日本貸金業協会を上手く活用して、生活再建方法や借金との上手な付き合い方を見つけましょう。
日本貸金業協会(Japan Financial Services Association)とは、貸金業の適正な運営と利用者の利益を守ることを目的に設立された貸金業界唯一の自主規制機関です。
お金を貸す側に比べ、お金を借りる側は圧倒的に弱い立場に追いやられてしまうこともあります。
経済的に困窮しほかにお金を借りられるところもない利用者が、貸金業者から法外な金利でお金を借りるケースも少なくありません。
その結果、利用者は以前より困窮し、最終的には経済的に破綻せざるをえなくなるのです。
そこで、貸金業の健全な運営によって利用者の利益を守るため、2007年12月19日、消費者金融業者・事業者金融業者・クレジットカード会社・信販会社・リース会社などを統括する業界唯一の自主規制団体として、日本貸金業協会が設立されました。
日本貸金業協会の主な業務として、以下が挙げられます。
日本貸金業協会では「貸金業相談・紛争解決センター」を運営し、貸金業務に関わる借入・返済の相談や、貸金業者の苦情を受け付けています。
貸付自粛制度※の受付も、貸金業相談・紛争解決センターの役割です。
貸金業相談・紛争解決センターの具体的な業務については後述します。
【貸付自粛制度】
浪費癖やギャンブル依存症などにより本人・家族の生活に支障をきたす可能性がある利用者に対し、日本貸金業協会の会員企業が貸付を自粛する制度です。
利用者本人がオンラインや郵送、日本貸金業協会の窓口で申し込みます。
日本貸金業協会では、会員である貸金業者に対して以下のサービスを提供しています。
これによって、貸金業者の業務適正化を目指し、利用者が多重債務に陥るのを予防しています。
コンプライアンス態勢整備の支援 | 利用者から信頼されるためには、貸金業務の法令遵守・コンプライアンスの徹底が不可欠。最新の法令に対応した「社内規則規程記載例」「借入申込書」「貸付契約事前説明書」などのひな型を交付したり、金融実務や法令内容についての問い合わせに対応したりすることで、業務健全化をサポート。 |
特定情報照会サービスの提供 | 会員企業の求めに応じて、反社情報を適宜開示するサービス。日本貸金業協会では反社情報を積極的に収集・分析し、その情報を一元的に管理するデータベースを株式会社日本信用情報機構(JICC)と共に運営している。 |
広告審査による支援・指導 | 貸金業サービスの広告内容が過大・不当なものにならないように、個人向け無担保・無保証貸付けを対象とするテレビCM・新聞広告・雑誌広告・電話帳広告について、日本貸金業協会側で事前に出稿審査をおこなう。また、日本貸金業協会に加盟している信頼性の高い貸金業者であることをアピールできるように、自社ホームページ掲載用の「日本貸金業協会会員バナー」を配布。 |
監査による支援・指導 | 日本貸金業協会が担う自主規制機能を発揮するために、協会会員に対して「一般監査(書類監査・実地監査)」「特別監査(フォローアップ監査・機動的監査)」を実施。定期的に業務全般の点検・改善項目のピックアップ・内部管理態勢の整備確認機会を設けることができるので、行政庁の立入検査への事前準備に役立つ。 |
法令諸規則の研修支援 | 関係法令の改正動向や業界・監督官庁の意向を踏まえて貸金業務に従事できるように、業務研修会・専門講師の派遣・eラーニング研修サービスなどを提供。 |
業界・業務関連情報の提供 | 法改正に基づく貸金業務の留意点や行政・消費者団体の意見といった、貸金業の運営に役立つ情報を機関紙・広報誌などによって提供。
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行政に提出する書類の事前確認 | 貸金業者が登録行政庁に対して提出を求められる「登録申請書・各種届出・事業報告書・業務報告書」などについて、事前確認や不備の補正をおこない、手続き関連の業務の円滑化を目指している(貸金業法第41条の8)。 |
協会員専用サイトの利用 | 協会ホームページ「協会員専用サイト」の各会員専用ページを通じて、協会会員に対して各種情報※を提供。同サイトでは、各種書類のひな形や作成手引書・記入例も参照可能。
※業務関連情報・監査関連情報・金融庁からの周知事項・協会からの連絡事項など |
指定紛争解決機関の負担金免除 | 貸金業者が業務を指定紛争解決機関としての業務を開始するには、貸金業者と日本貸金業協会との間で「手続実施基本契約」を締結する必要があり、当該契約に基づいて、貸金業者側には年10万円の負担金納付義務が生じる。日本貸金業協会への加入によって、年10万円の負担金納付義務が免除される。 |
日本貸金業協会では、「貸金業務取扱主任者」の資格試験・主任者登録・登録講習の事務をおこなっています。(貸金業法第24条の8、33、36。貸金業法第24条の25第2項。)
貸金業を営む場合、「貸金業務に従事する者50人に1人以上」の比率になるように貸金業務取扱主任者の設置が義務付けられています。
貸金業務取扱主任者がほかの従業員に指導・助言をすることで、貸金業務の適正化を図るためです。
貸金業務取扱主任者になるには、資格試験合格後に主任者登録をおこなう必要があります。
また主任者登録をおこなうときや主任者登録を更新するとき(3年に1回)には、登録講習を受けなければいけません。
日本貸金業協会では借金苦で生活が行き詰ってしまった人を救済するため、「貸金業相談・紛争解決センター」にて以下のサービスを提供しています。
貸金業相談・紛争解決センターでは、債務者が抱える借り入れ・返済のさまざまな相談を受け付けています。
たとえば、「毎月の返済額と収入のバランスが取れているか知りたい」「〇〇という貸金業者から受けた説明をもう少し詳しく解説してほしい」「総量規制やおまとめローンなどの業界用語がわからない」など、一般相談から債務相談に至るまで、借金や家計に関連した疑問・不安・クレームならどのような内容でも対応してくれます。
相談窓口の連絡先は以下のとおりです。
電話 | 0570-051-051(総合受付) 03-5739-3861(貸金業相談・紛争解決センター直通) ※受付時間:9:00~17:00(土日祝休日、12/29~1/4を除く) |
Web相談受付 | 「こちら」よりご確認ください |
FAX | 03-5739-3024 |
郵便受付 | 〒108-0074 東京都港区高輪3-19-15 二葉高輪ビル2階 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター 宛 |
来協 | 事前予約 |
貸金業相談・紛争解決センターへの相談は無料です。
借金やローンで少しでも不安があるなら、お気軽にお問い合わせください。
貸付自粛制度とは、「浪費癖やギャンブル依存症などを抱える債務者本人や一定要件を満たす法定代理人などから『債務者を金銭貸付の自粛対象者とする旨』を申告することによって、現段階以上の借り入れを予防する制度」のことです。
わかりやすくいうと、「自分は自制心が働かずについ借金をしてしまう癖があるから、仮に今後自分から融資の申込みがあったとしても、貸金業者側は融資を拒否して欲しい」とリスクヘッジする制度です。
貸付自粛制度利用の申し出があった場合、その旨が日本貸金業協会・全国銀行個人信用センター・株式会社日本信用情報機構・株式会社シー・アイ・シーに共有されます。
そして、それぞれの信用情報機関に加盟している貸金業者・信販会社・クレジットカード会社がその情報を参照し、当該債務者からの融資申込みが拒否されます。
貸付自粛制度の申告方法は、Web申告・郵送申告・来協申告の3種類です。
詳細については「貸金業相談・紛争解決センター連絡先」までご確認ください。
なお、貸付自粛制度を申請できるのは原則本人のみです。
代理人として申請できるのは未成年者や被後見人などの法定代理人に限られ、同居家族や配偶者からの申請は認められていません。
また、貸付自粛制度を利用した旨の情報登録期間は5年です。
さらに、貸付自粛制度は各貸金業者の与信審査を拘束するものではないので、貸付自粛制度を利用しても融資審査に通過する場合がある点は注意が必要です。
貸金業相談・紛争解決センターでは、債務者が抱える金銭トラブルを根本的に解決する目的で、生活再建支援カウンセリングサービスを実施しています。
たとえば、債務者のなかにはギャンブル依存症・買い物依存症・浪費癖などが原因で多重債務状態に陥ったり、家計管理が苦手で毎月当たり前のように赤字が続いたりする人が少なくありません。
このようなケースでは、借り換えや債務整理などの対症療法を実施しても、ふたたび借金問題を抱えるリスクを排除しきれないでしょう。
生活再建支援カウンセリングでは、「債務問題を抱えているものの再発防止に向けて本格的な取り組みをしたい」と希望する債務者本人やご家族の方からの相談を受け付けて、「行動パターンの改善」「家族間でのコミュニケーションの図り方」「家計簿の付け方や家計改善に向けた具体的施策」などについて丁寧な話し合いをしながら、解決に向けて一緒に歩を進めてくれます。
自分だけでは借金問題を解決できないとお悩みの方は、お気軽に貸金業相談・紛争解決センターまでお問い合わせください。
借り入れやローンを契約するときには、国や都道府県から登録を受けた「正規の賃金業者」であるか確認する必要があります。
貸金業者のなかには貸金業登録をせずに違法に事業を展開している業者や、利息制限法や貸金業法の規制を遵守しない悪質業者が存在するからです。
日本貸金業協会では、「協会加盟会員の検索システム」を用意しています。
日本貸金業協会に加盟している貸金業者は、日本貸金業協会の監視を受けながら法令・コンプライアンスを遵守していることが担保されるので、こちらの検索システムにヒットする貸金業者であれば、安心して取引ができます。
また、取引を検討している事業者が正規事業者であるかは、「登録貸金業者情報検索入力ページ(金融庁ホームページ)」からも確認できます。
貸金業者のなかには、利息制限法の上限金利規制や貸金業法の取立規制に従わず、違法行為によって債務者の利益を不当に制限する闇金・悪質業者が少なからず存在します。
また、無登録でありながら貸金業登録番号を詐称して利益を貪るケースも散見されます。
日本貸金業協会ホームページの「ヤミ金(悪質業者)の実例検索」システムを利用すれば、過去に違反歴がある貸金業者や無登録業者などがわかるので、融資取引におけるリスクを軽減できます。
なお、闇金や悪質業者の多くは、短期的に名称を変更して摘発を回避する例が多いです。
したがって、「ヤミ金(悪質業者)の実例検索でヒットしなかったから大丈夫」というわけでなく、「協会加盟会員の検索システムに掲載されているから安心できる」と判断するべきです。
金策に迫られると、どうしても「どこでも良いから貸して欲しい」と慎重な判断が難しくなってしまいますが、低金利条件を謳うSNSのDMや怪しいホームページに騙されないように注意が必要です。
ご自身での判断が難しい場合は、念のために貸金業相談・紛争解決センターまで確認ください。
日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターでは、協会会員などが営む貸金業務への苦情全般を受け付けています。
たとえば、ユーザーから寄せられた苦情内容及び事実確認をしたうえで、クレーム対象である協会会員に内容を通知して、必要であれば、業務是正や改善措置を求めます。
また、苦情を寄せたユーザーに対しては、具体的な改善策などを提案してくれるでしょう。
苦情相談だけではトラブルの解決に至らないケースでは、次項で紹介する「紛争解決手続き」への移行が可能です。
指定紛争解決機関である日本貸金業協会では、紛争解決制度(金融ADR)を利用したトラブル解決を期待できます。
紛争解決制度とは、「裁判によらない紛争解決手段」のことです。
債務者などと貸金業者との間の紛争について、日本貸金業協会の紛争解決委員が中立・公正の立場で当事者間の交渉を仲介して、和解による解決を図ります。
紛争解決制度を利用して和解契約を締結した場合、当事者は和解契約の内容に拘束されます。
紛争解決制度を利用しても和解契約締結に至らない場合には、民事訴訟手続きに移行して解決を目指すことも可能です。
日本貸金業協会の紛争解決制度は、以下の流れで手続きが進められます。
紛争解決制度をご検討の方は、以下の連絡先までお問い合わせください。
電話での受付 | 0570-051-051(総合受付) 03-5739-3863(指定紛争解決機関直通) ※受付時間:9:00~17:00(土日祝休日、12/29~1/4を除く) |
FAXでの受付 | 03-5739-3024 |
郵便での受付 | 〒108-0074 東京都港区高輪3-19-15 二葉高輪ビル2階 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター 宛 |
さいごに、日本貸金業協会について寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。
貸付自粛制度の利用取り消し手続きは、オンラインや申込書の郵送によっておこなうことができます。
オンラインでの操作方法や申込書ダウンロードについては、以下、日本貸金業協会の公式サイトで確認ください。(やり方がわからない場合は、電話での問い合わせも受け付けています。)
【参考】貸付自粛制度について 【借金などでお悩みの方へ】 | 日本貸金業協会
なお、貸付自粛制度の取消しは、原則として申告日から3ヵ月が経過するまでは認められません。
また、貸付自粛制度の申告が法定代理人などによっておこなわれたときには、本人からの取消しは原則として受理されない点も注意ください。
日本貸金業協会では、協会に加盟していない闇金・悪質業者(紹介屋・買取屋・整理屋・ファクタリング業者など)との融資トラブルについても相談できます。
ただし、相手が協会に加盟していない業者である場合、日本貸金業協会では、解決策などについてアドバイスをするのにとどまり、実際に解決を支援してくれるわけではありません。
具体的に債務整理や刑事告訴などについて検討する場合には、弁護士や認定司法書士まで相談ください。
日本貸金業協会は、貸金業界の自主規制機関でありさまざまな業務をおこなっています。
多重債務で困っている場合は、日本貸金業協会の相談窓口で相談にのってもらうことが可能です。
また日本貸金業協会では生活再建支援のカウンセリングや裁判外の紛争解決手続き、貸付自粛制度などのサービスも提供しています。
相談はもちろん、カウンセリングをはじめとしたサービスも無料で利用できるので、借金苦で困っている場合は一度相談してみてはいかがでしょうか。