個人再生に強い弁護士とは?弁護士の選び方や個人再生の制度も解説

個人再生に強い弁護士とは?弁護士の選び方や個人再生の制度も解説

個人再生は債務整理の中でも借金の元本を最大1/10にすることができ、さらに条件を満たせば住宅なども手元に残すことができる債務整理手続きです。

この記事では、個人再生に強い弁護士とはどのような弁護士か、その選び方や個人再生の利用方法もまとめました。

個人再生を弁護士に依頼したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
安井 孟弁護士(セントラルサポート法律事務所)
借金・債務整理分野に注力し、秘密厳守で依頼者の明るい未来を目指す。弁護士、担当スタッフ共にフランクで優しい対応を心掛ける。

個人再生に強い弁護士とは

この記事での「個人再生に強い弁護士」とは、個人再生(その他の債務整理手続き)の実績や経験が豊富である弁護士のことを指します。

また、個人再生はその他の債務整理と異なり、一定の条件で住宅を残す選択肢が取れるので、こうした専門知識を有していることも重要なポイントです。

依頼者に誠実な弁護士であれば、どうしたら最善の選択がとれるかをしっかりとアドバイスしてくれます。

まずは個人再生の制度を依頼者自身が理解し、依頼する弁護士選びの際に知識や誠実さをチェックできるようにしておくと、より安心できるでしょう。

個人再生を依頼する弁護士の探し方

個人再生の相談窓口は主に下記などがあります。

  • ベンナビ債務整理
  • 法テラス
  • 法律相談センター

それぞれ特徴やメリットを解説します。

ベンナビ債務整理で弁護士を探す|借金問題の解決を急ぎたい方

ベンナビ債務整理は、借金問題の解決が得意な弁護士を多数掲載しております。

個人再生は債権者との交渉が必要になるため、実績豊富な弁護士を選ぶ必要があります。

ベンナビ債務整理では、地域別・注力分野別に弁護士を検索でき、さらに区や市を指定すれば近くの弁護士が一覧表示されます。

土日相談の可否といった知りたい情報も一覧表示されるので、相談したい弁護士が素早く見つけることができます。

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法テラス|支払い能力に自信のない方

法テラスは弁護士といった専門家への相談を手軽に行える独立行政法人です。

窓口に相談し、内容によっては専門家の紹介を受けることができます。

法テラスは一定の条件を満たした場合、弁護士費用を立て替えてくれます。

利用条件は下記のとおりです。

  • 収入が一定基準以下
  • 勝訴の見込みがないはといえないこと
  • 民事法律扶助の趣旨に適すること

たとえば、相談者がひとりの場合、月の収入額が18万〜20万円程度の人であれば条件に合致します。

個人再生の場合、収入条件が合致しており、経済状況が厳しい方はおすすめの相談窓口です。

ただし、紹介される弁護士を選ぶことはできませんので注意しましょう。

【参考元】法テラス

法律相談センター|弁護士を探す手間が惜しい方

弁護士会が運営する法律相談センターも相談窓口として活用できます。

法律相談センターでは、毎日交代で弁護士が相談にあたってくれています。

弁護士費用についても、収入によって分割支払いの相談ができるなど、柔軟に対応してくれるのもポイントです。

法律相談センターの場合、最初の相談を担当してくれた弁護士が所属する事務所に依頼することになるので、自分で選ぶことができない点には注意が必要です。

【参考元】弁護士会の法律相談センター

個人再生を依頼する弁護士を選ぶ際のポイント

個人再生に注力している、誠実な弁護士を選ぶポイントを4つにまとめました。

相談の際やホームページの内容から読み取れるものばかりなので、ぜひ活用してみてください。

経験と実績があるか

個人再生は債権者・裁判所からの許可が下りなければ手続きが進みません。

債務者の負担感を極限まで減らし、債権者を納得させられる返済計画を作るには、法的な観点・キャッシュフローの計算などさまざまな知識が必要です。

弁護士が個人再生の手続きを得意かどうかは資格だけではわかりません。

担当してくれる弁護士や所属する事務所にそのノウハウがあるかを見極める必要があります。

ホームページで掲載されている事例を見れば、どのような状況の相談者がどのように解決できたかを知ることができますので参考にしてみましょう。

また、無料相談を活用して話をしてみるのも重要です。

個人再生には、住宅ローン特則や清算価値保障原則といった専門用語がたくさん出てきます。

簡単な言葉で、わかりやすく説明してくれる弁護士を選ぶことも大切です。

無料相談は専門家が対応するかどうか

無料相談の時に担当してくれる方が専門家であるかもチェックしましょう。

無料相談を実施している法律事務所は数多くありますが、中には無料相談は事務員が対応するといった事務所もあります。

個人再生は弁護士との協力が不可欠です。

信頼できる弁護士か見極めるには、弁護士と直接話す以上の方法はないので、必ず確認しましょう。

担当者との相性はどうか

担当の弁護士との相性をチェックしましょう。

たとえば、こちらの主張や意図をしっかりくみ取ってもらえるかどうかは重要です。

住宅を残したい、スマホの分割払いが終わっていないなど、状況を伝えたうえで、個人再生で実現したいこと・手続きが終わった後の理想の生活を要望としてしっかり伝えましょう。

そのうえで、担当者が実現可能かどうかの線引きをしてくれます。

この時、無理だと一蹴するのではなく、なぜできないのかといった理由を説明してくれる担当者だとより安心して任せられるでしょう。

費用は適正か

個人再生の弁護士報酬は約50万〜80万円とされています。

弁護士費用は相談料・着手金・成功報酬の3つで構成されており、高額内容に見えるのは成功報酬が高いためです。

成功報酬は、一般的に経済的利益の数%が基本です。

かつて利用されていた弁護士報酬規程によれば、6%〜16%が目安となるので、複数の法律事務所で見積もりをとるなど、適正な費用であることを確認しましょう。

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弁護士に個人再生を相談・依頼した場合のメリット

個人再生は、裁判所での手続きや債権者対応が必要です。

ここからは、弁護士に個人再生を依頼するメリットを紹介していきます。

自身の状況にあった解決策を提示してくれる

債務整理は複数の手段があり、個人再生にも2つの手続きが存在します。

また相談者ごとに物事の優先度も異なりますので、一般的な正解が本当に相談者のためになるかは別ということも往々にしてあります。

弁護士は司法書士と異なり訴訟金額の制限はありません。

個人再生などの債務整理に注力している弁護士なら、相談者ごとの状況に応じたアドバイスをしてくれるでしょう。

一緒に再生計画案を考えてくれる

相談者のことを真摯に考えてくれる弁護士なら、実現可能性が高く相談者の負担感が最も少ない再生計画を立ててくれるでしょう。

個人再生は返済が前提となっており、手続きを通すには債権者・裁判所の許可が必要となります。

全員が納得して相談者も経済的に立ち直れるような計画を立てるというのは、生半可な事ではありません。

債務整理に注力している弁護士なら、経験に基づく確かなアドバイスをしてくれるでしょう。

債権者対応を一任できる

債務整理は弁護士に依頼をしたその瞬間から、弁護士が代理人として債務者と債権者の間に入ってくれます。

債権者は債務者に対する問い合わせ等を全て代理人である弁護士を通さなければならず、債務者は弁護士と相談するだけで手続きがすべて進んでいきます。

返済の督促や差し押さえの通知などで心をすり減らさなくて済むのは、弁護士に依頼する大きなメリットといえるでしょう。

そもそも個人再生とは?メリットやデメリット、利用がおすすめな方の特徴も紹介

個人再生とは、自己破産や任意整理と同じく「債務整理」のひとつで、最大の特徴は金利・元本を減額できることです。

任意整理と異なり借金額自体を減額できますので、多くの借金を抱えてしまった方におすすめです。

また、自己破産と異なり一定の条件を満たせば「住宅資金特別条項制度」を活用できます。

これにより、住宅は手放さずに借金を減額することが可能です。

個人再生では借金をおおむね10~20%程度まで減額可能ですが、いくらでも減額できるわけではなく、民事再生法で定められる「最低弁済額」を基準として、借金額や事例ごとに決定されます。

このように、個人再生にはメリットデメリットがあります。以下で例をご紹介します。

個人再生のメリット

任意整理や自己破産などの債務整理と比較したメリットを解説していきます。

主なメリットは下記のとおりです。

  • 借金の元本を削減できる
  • 住宅ローンの返済期日を繰り延べ、月々の返済額を減らせる
  • 住宅ローンの返済遅延を起こしても一括返済をしなくてよい
  • 住宅を手元に残すことができる
  • 借金の理由を問わず利用可能
  • 手続きをしても資格・職業の制限がない

それぞれ解説していきます。

借金の元本を削減できる

個人再生は、借金の元本を最大で100万円まで削減可能です。

返済期間は原則3年(最長5年)までの猶予が認められます。

仮に100万円の借金が残ったら、月々の返済額は27,777円です。

任意整理の場合圧縮できるのは原則金利部分のみで、元本が減ることはありません。

また、自己破産の場合元本を0にすることが可能ですが、その分手放す財産も多くなります。

そのため個人再生では、一定の財産を残しながら借金の元本を減らしたい方におすすめの債務整理方法です。

住宅を手元に残すことができる

個人再生の住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローン以外の借金に対してのみ、裁判所での手続きを進めることができます。

この制度を利用することで、住宅ローンが残っていても、住宅は手元に残すことが可能です。

また、ローンが完済されていれば車やスマホも手元に残すことができる場合もあります。

債務整理手続きは、債務者の経済的更生を促せるように設計されていることが多いものです。

仕事で使う道具は手放す必要がないので、住宅のほかにもパソコンやスマートフォンも残せる可能性はあります。

弁護士に事情をしっかり説明し、残したい財産を検討しましょう。

なお、財産の合計金額が100万円を大幅に超える場合、その分借金の残額も残ってしまいます(清算価値保障原則といいます)。

こうしたリスクをしっかり教えてくれる弁護士を選びましょう。

住宅ローンの返済期日を繰り延べ、月々の返済額を減らせる

個人再生の住宅ローン特則を利用し、住宅ローン債権者が同意した場合には、住宅ローンの返済期日を延ばし、月々の返済負担を減らすこともできます。

規定としては、債務者本人が70歳になるまで、最長10年間の延長が可能です。

住宅ローンは通常30年や35年で組むものです。

しかし、住宅ローン特則を利用すれば、最長45年でローンを計算しなおすことができます。

なお、金利部分については変わりませんので注意しましょう。

住宅ローンの返済遅延を起こしても一括返済をしなくてよい

住宅ローン特則には、遅延した分を申し立て成立後、最長5年にわたって返済していくことで一括返済を免れる仕組みも存在しています。

金融機関から督促状や代位弁済通知が届いた段階ではまだ間に合う可能性があります。

もし手元に通知の紙が届いたばかりの方は、即座に弁護士に相談し競売停止のために依頼しましょう。

借金の理由を問わず利用可能

個人再生はどちらの手続きでも借金の理由を問わず利用可能です。

パチンコや競馬といったギャンブルによる借金や、個人事業主の事業ローン、サラリーマンの生活のためのキャッシングなどであっても、等しく同じ手続きですすめることができます。

個人再生が棄却される理由は、これまで紹介してきたように返済計画で提出される借金額が条件を満たしていない場合か、債権者の50%が返済計画に反対した場合などです。

弁護士は、依頼者のために最適な行動をしてくれることでしょう。

借金の総額やその理由について包み隠さず話して、対応の相談をしておきましょう。

場合によっては、過払い金が見つかって個人再生と別の方法も提案してもらえるかもしれません。

手続きをしても資格・職業の制限がない

自己破産と比較した個人再生のメリットは、資格・職業の制限を受けないことです。

自己破産の場合、行政書士や税理士などの資格を得ることができなかったり、警備員や一部の公務員として働くことができなくなったりします。

多くの資格・職業で制限を受けるので、もし自己破産を検討している場合、自身の職業や資格が該当していないか確認しておきましょう。

個人再生は上記のような制限は一切ないので、原則として個人再生を理由に会社を解雇されることはありません。

債務整理に注力している弁護士であれば、上記のような手続き後の生活の不安についても相談に乗ってもらえるでしょう。

自力で調べるには限界がある分野ですので、信頼できそうな弁護士の無料相談を受けてみましょう。

やるべきことが明確になるはずです。

個人再生のデメリット

任意整理や自己破産などと比較したデメリットについて解説していきます。

主なデメリットとしては下記のとおりです。

  • 借金の全額免除はできない
  • ブラックリストに登録される
  • 特定の債務を手続き対象から外すことはできない
  • 官報に掲載される
  • 認可決定が得られるとは限らない

借金の全額免除はできない

個人再生は自己破産と異なり、借金を0にすることはできません。

個人再生が裁判所に許可されるには、最低弁済額をクリアしていること・清算価値保障原則をクリアしている必要があります。

また、手続きによっては可処分所得要件も満たしている必要があります。

このため、財産状況や収入状況によっては想定より借金が減額できない可能性もあります。

ブラックリストに登録される

個人再生によって借金を減額した場合、ブラックリストに登録され信用情報に記録が残ります。

ブラックリストに登録されると、クレジットカードが利用できなくなったり、新しいクレジットカードの作成やローンを使うことができなくなったりします。

一般的に個人再生をすると完済から7年間は登録情報が残り続けますので、その間の生活が不便になるのは大きなデメリットといえるでしょう。

特定の債務を手続き対象から外すことはできない

個人再生は全ての借金を対象に債務整理がおこなわれます。

このため、もし複数社から借金をしていた場合、交渉しなければならない債権者が増えてしまいます。

任意整理は複数社の中から選んで交渉できるので、負担は少なく済むでしょう。

なお、住宅ローンの特則を用いれば住宅ローンのみは対象外とすることは可能です。

しかし、ローンが残っていれば生活に必要な車やスマートフォンも対象となる恐れがあります。

個人再生前に弁護士へしっかりと相談しておきましょう。

官報に掲載される

個人再生を実施すると、官報に記載されます。

官報に記載される情報は、手続きをした事実・氏名・住所の3つです。

官報に記載されることで知人や家族・会社や大家さんに知られるリスクがあります。

原則として債務整理を理由に賃貸住居から退去を迫られることはありませんが、債務整理をした後では、賃貸住宅の審査も通りにくくなりますので、あらかじめ対策を弁護士に相談しておきましょう。

認可決定が得られるとは限らない

認可決定が得られないとは、借金の減額ができないということです。

原因は裁判所の許可が下りなかった・債権者から再生計画の合意を得られなかったかの2つとなります。

基本的に返済計画が現実に即しており、残債額が規定を満たしていれば認可は通ります。

ただし、財産隠しといった廃止事由が発覚した場合却下されるので財産状況は正直に申告しましょう。

個人再生に注力している弁護士はキャッシュフローの概念もしっかり運用できることでしょう。

実現可能性がない場合、自己破産の検討を進言してくれるでしょう。

個人再生を利用するのがおすすめな方の特徴

債務整理の中で、個人再生を利用するのにおすすめな方の特徴は下記の通りです。

  • 借金の元本を減らしたい
  • 複数の借金を丸ごと整理したい
  • ローン返済中の住宅を残したい
  • すでに競売がスタートしそうになっている
  • 警備員など特定の職業についている

個人再生の特徴は、返済が必要とはいえ借金の元本を減らせることです。

また、住宅ローンの特則を利用することで住宅を残したり、住宅ローンの返済プランを変更したりも可能です。

さらに自己破産と異なり資格制限・職業制限もないので、誰でも安心して利用できます。

とはいえ、最低弁済額は100万円なので、それ未満の方は利用してもメリットは薄いでしょう。

個人再生において知っておきたい用語や制度

個人再生には関連する細かな決まり事や制度が数多くあり、適解を見落としてしまう恐れがあります。

数々の制度を依頼者に合った形で活用するには、実力のある弁護士でなければ難しいでしょう。

ここでは、個人再生で利用できる細かな制度や知らなければ損をする概念について紹介していきます。

小規模個人再生

小規模個人再生とは、借金を抱えてしまった個人事業主を対象に、借金の元本を80~90%削減し、残りの10~20%を最長5年(原則3年)で返済していく手続きです。

一般的に個人再生というとこちらの手続きを指すことが多いです。

小規模個人再生を利用するには、下記3つの条件を満たしている必要があります。

  • 将来安定した収入が見込める
  • 無担保の借金が総額5,000万以下
  • 返済していく意思がある

小規模個人再生の場合、さらに債権者の同意が必要となります。

複数社から借りている場合、借金総額の50%となる債権者が反対すると、手続きを進めることができません。

たとえば、下記のように合計500万円の借金をしていたとします。

  • A社:50万円
  • B社:20万円
  • C社:180万円
  • D社:250万円

この時、もしD社に反対されたら小規模個人再生を進めることができません。

また、D社が同意したとしても、それ以外の会社が反対したら同様に手続きは進みません。

給与所得者等再生

給与所得者等再生とは、サラリーマンやアルバイト等被雇用者向けの個人再生手続です。

小規模個人再生と異なり、債権者の合意なく手続きを進めることができます。

利用するには下記の条件を満たしている必要があります。

  • 将来安定した収入が見込める
  • 無担保の借金が総額5,000万以下
  • 返済していく意思がある

個人再生は一般的に借金を80〜90%削減できるといわれていますが、これは民事再生法の最低弁済額に則り法に定められた計算方法を用いることで算出されています。

給与所得者等再生の場合、最低弁済額に加えて「可処分所得の2年分以上」という制約が加わります。

可処分所得とは、年収から所得税等税金と、債務者とその扶養者が最低限度の生活をするのに必要な金額を差し引いた金額です。

可処分所得を算出するための「最低限度の生活をするのに必要な金額」は、民事再生法によって定められており、居住地によって変動があります。

例えば、東京都23区内の場合は以下のように定められています。

  • 2歳未満 9万円
  • 2歳 31万円
  • 3~4歳 1万円
  • 5歳 8万円
  • 6歳 2万円
  • 7歳 9万円
  • 8歳 6万円
  • 9~10歳 2万円
  • 11歳 7万円
  • 12歳 5万円
  • 13歳 8万円
  • 14歳 1万円
  • 15歳 1万円
  • 16歳 8万円
  • 17歳 6万円
  • 18歳 4万円
  • 19歳 2万円
  • 20歳以上40歳未満 9万円
  • 40歳 8万円
  • 41~59歳未満 8万円
  • 59歳 5万円
  • 60~69歳未満 2万円
  • 69歳 8万円
  • 70歳以上 4万円

【参考元】民事再生法第2百4十一条第3項の額を定める政令|e-Gov

給与所得者等再生の場合だと借金の圧縮を最大限享受することが難しくなっているため、本当に首がまわらないような際は、サラリーマンであっても小規模個人再生を利用することもあるようです。

債権者から反対される恐れがある場合、給与所得者等再生を活用して借金を減らすといったことも可能です。

このように、債権者との関係や圧縮できる借金額など、総合的な判断の上で個人再生の手続きを進めなくてはなりません。

弁護士の中でも特に債務整理を得意としている弁護士に依頼すれば、状況に最も合う方法をアドバイスしてもらえるでしょう。

住宅資金貸付債権に関する特則

個人再生は、最大90%という大幅な借金減額措置がある代わりに、車や時計といった財産を手放さなければならないこともあります。

そして任意整理と異なり、すべての借金に対して裁判所での手続きを行う必要があります。

このため、基本的には住宅ローンがあれば住宅も手放す必要が出てきます。

ただし、この住宅資金貸付債権に関する特則(住宅資金特別条項または住宅ローン特則。以下、住宅ローン特則)を利用できれば、住宅だけは残すことが可能です。

住宅ローン特則とは、通常個人再生ではすべての借金を対象とするところ、住宅ローンを除外して個人再生が可能な制度です。

このため、住宅ローンに関しては個人再生前と変わらず返済を続けていく必要があります。

もし、住宅ローンの支払いに関しても厳しそうだという見込みがある場合、住宅ローン返済のリスケジュールも可能です。

つまり、通常35年で組む住宅ローンを、さらに先伸ばした返済計画にすることができます。

住宅ローン特則を利用すると、競売や差し押さえといった手続きを停止させることも可能です。

【参考元】民事再生法第196条|e-Gov

住宅ローン特則の利用条件

メリットの多い住宅ローン特則ですが、利用するには下記要件を満たしている必要があります。

  • 住宅ローンの抵当に入っている物件であること
  • 住宅ローン以外の担保に使用されていないこと
  • 債務者が主として居住に利用している物件であること
  • 債務者本人の所有物件であること
  • 滞納による代位弁済から半年以内に個人再生を申し立てていること

住宅ローンは一般的に、ローンを返済できなかった場合の対応で競売や差し押さえができるように「抵当権」を付けています。

ローン契約にこの条項が付いていれば条件に合致します。

また、自宅の不動産物件を担保として様々な融資を低金利で受けることもできます。

しかし住宅ローン特則を受ける場合、これを利用してはいけません。

他にも、仮に債務者が複数の物件を保有していた場合、住宅ローン特則を使えるのは最も利用頻度の高い「住宅」1つのみです。

それ以外の物件は手放さなければなりません。

なお、住宅ローン特則は小規模個人再生・給与所得者等再生のいずれの場合でも利用が可能です。

【参考元】民事再生法第196条|e-Gov

最低弁済額

最低弁済額とは、民事再生法で定められた債権者に返すべき最低限の金額のことです。

個人再生で減額できる元本もこちらの基準をもとに算定されます。

計算方法は借金の総額や手続きによって異なります。

借金総額ごとの最低弁済額は下記のとおりです。

  • 借金総額が100万円以下:全額
  • 借金総額が100万~500万円以下:100万円
  • 借金総額が500万~1,500万円以下:借金総額の1/5
  • 借金総額が1,500万~3,000万円以下:300万円
  • 借金総額が3,000万~5,000万円以下:借金総額の1/10

【参考元】民事再生法第231条|e-Gov

財産分は支払いが必要

債務者が高価な時計や高級車といった財産を持っていた場合も、借金の減額は制限を受けます。

これを「清算価値保障原則」と呼び、保有している一定額以上の財産額分は借金の返済をしなければならないということです。

たとえば、借金が5,000万の場合、最低弁済額の500万まで圧縮できます。

しかし、資産として高級時計300万・高級車1,000万を持っていた場合、最低でも1,300万は返済が必要です。

個人再生は裁判所での手続きとなりますが、清算価値保障原則を満たしていること・最低弁済額を上回っていることのいずれも満たしていなければ、裁判所の認可は下りず手続きは棄却されることになります。

給与所得者等再生は可処分所得要件が必要

個人再生手続きを給与所得者等再生で行った場合、上記に加えてさらに「可処分所得の2年分以上」の借金を残さなければなりません。

たとえば、借金額が5,000万円あった場合、小規模個人再生であれば1/10の500万円まで借金を圧縮できます。

しかし、給与所得者等再生で、かつ可処分所得2年分が600万円あれば、借金の残額は600万円になります。

さいごに|個人再生を検討中の方は弁護士に相談を

債務整理を弁護士に依頼をすれば、督促や差し押さえ通知といった連絡がすべて停止し、場合によっては自宅の競売を阻止できるなど多くのメリットがあります。

しかし、債務整理に注力していない弁護士の場合、依頼者の負担を減らして債権者を納得させる再生計画を建てることができない可能性もあります。

個人再生に注力している弁護士なら、実現可能性が高いプランを提示し、経済更生の手伝いをしてくれるでしょう。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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