- 「自己破産するとクレジットカードは使えなくなってしまうのか」
- 「新しくクレジットカードを作成することもできないのか」
自己破産は、借金を帳消しにする強力な手続きです。
一方でさまざまな制限を受けることになるため、クレジットカードも今後使えなくなるのではないかと、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、自己破産によるクレジットカードへの影響、新規カードを作れる時期などを解説します。
クレジットカードが作れない期間の代替手段なども紹介しているので、参考にしてみてください。
自己破産をすると手元のクレジットカードは使えなくなる!
自己破産をすると、基本的に手元のクレジットカードは全て使えなくなってしまいます。
自己破産後のクレジットカードへの影響について、詳しく見てみましょう。
契約中のクレジットカードは強制解約となる
自己破産をすると、手元にあるクレジットカードは強制解約となることが想定されます。
一般的なクレジットカード会社の会員規約には、差押え・破産・民事再生申立てなどがあった場合に、会員資格を取り消すことができるという規定が設けられているためです。
これによって自己破産後、契約中のクレジットカードは強制解約となり、使えなくなってしまいます。
しかし、どうせ使えなくなるからといって、自己破産前に限度額までクレジットカードを利用するのはやめておきましょう。
裁判所から免責許可を受けられなくなるおそれがあるうえ、詐欺罪などの刑事責任に問われる可能性があります。
家族カードやETCカードも使えなくなる
自己破産に踏み切った場合、クレジットカードに紐づいている家族カードやETCカードも基本的には使えなくなります。
おおもとのクレジットカードが解約になると、紐づいているカードも当然に解約されてしまうからです。
なお、ETCカードに関しては、ETCパーソナルカードへ切り替えれば利用可能です。
銀行口座などからの引落しで利用できるもので、審査不要のため手軽に利用開始できます。
切替方法は、ETCカード発行元へ問い合わせてください。
クレジットカードのポイントも失効する
強制退会になってしまえば、クレジットカートに貯まっていたポイントも全て失効します。
そのため、自己破産申立前にポイントを使い切るのがおすすめです。
ただし、ポイントで足りない分をカード決済してしまうと、自己破産手続において不利になる可能性があるため注意が必要です。
貯まっているポイント内の金額で買物をするよう気をつけましょう。
自己破産後5年以内は新たなクレジットカードの作成も難しくなる
一般的に、自己破産後5年以内は新たなクレジットカードの作成も難しくなるといわれています。
主に2つの理由が挙げられるので、詳しく見ていきましょう。
信用情報機関に事故情報が5年~7年登録される
自己破産すると、信用情報機関に事故情報が5年~7年程度登録されるので、クレジットカードの新規作成が難しくなります。
信用情報機関とは、消費者と加盟企業との間でおこなわれたローンやクレジットカードの取引履歴を保管している機関のことです。
機関名 | 主な会員企業 | 自己破産の登録期間 |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | クレジットカード会社 | 5年程度 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融 | 5年程度 |
全国区銀行個人情報信用センター(KSC) | 銀行・信用金庫 | 7年程度 |
クレジットカード会社はカード発行の申込みがあった際に、信用情報機関に申込者の信用情報を照会するため、過去に自己破産していることがバレてしまいます。
当然、自己破産を経験している人への融資はリスクをともなうので、金融機関側も審査に通過させようとはしません。
ただし、信用情報機関に事故情報が登録されているからといって、必ずしも審査に落ちるわけではありません。
事故情報が審査に与える影響は大きいものの、クレジットカード会社の判断で新規発行が認められるケースもあります。
社内のブラックリストに載る可能性がある
社内のブラックリストに載り、いわゆる「社内ブラック」になっている場合も、クレジットカードの新規発行は難しくなるでしょう。
クレジットカード会社によっては、顧客のブラックリストを持っているケースがあります。
一度でもブラックリストに載ってしまうと、半永久的にクレジットカードの新規作成が認められなくなる可能性が出てきます。
また、ブラックリストはグループ会社全体に共有されることがあります。
この場合は、信用情報機関の事故情報が削除されたあとも、グループ会社のサービスが利用できなくなります。
自己破産後にクレジットカードを作る際の5つのポイント
自己破産から数年経ったら、とにかくクレジットカードの審査申込みをしてみるのもひとつの方法ですが、その前に自身の信用事故情報が残っているかどうかを確認することもできます。
そのほかにも、自己破産後にクレジットカードを作るにはポイントがあるので、詳しく見ていきましょう。
1.信用情報機関の事故情報が消えているか確認する
クレジットカードの作成を申し込む際には、信用情報機関に登録された事故情報が削除されたかどうかを事前に確かめておきましょう。
開示請求の方法や手数料は、信用情報機関ごとに異なります。
機関名 | 請求方法 | 開示請求にかかる手数料 | ||
窓口 | 郵送 | オンライン | ||
CIC | × | 〇 | 〇 | 500円~ |
JICC | × (2024年10月末で終了) | 〇 | 〇 | 1,000円~ |
KSC | × | 〇 | 〇 | 1,000円~ |
基本的にはオンライン手続きのほうが、開示されるまでの期間が短く、手数料も安いのでおすすめです。
情報開示された結果、自己破産から5年~7年以上経過しているのに、事故情報が削除されていない場合は、まずは、当該信用情報機関にお問い合わせください。
2.申し込むクレジットカードは1枚だけに絞る
審査通過率を上げたいのであれば、申し込むクレジットカードを1枚だけに絞ることが大切です。
クレジットカードの申込履歴は信用情報機関に6ヵ月程度登録されるため、複数のカード会社に申込みしていることも簡単にバレてしまいます。
その結果、お金に困っていて、返済能力にも乏しい人物だと判断され、審査に落とされやすくなるのです。
クレジットカードの作成を急ぐ場合でも、申込みは1ヵ月に2枚までに抑えましょう。
どうしても3枚目を申し込む必要があるときには、2枚目の申込みから6ヵ月程度の期間を空けることをおすすめします。
3.自己破産前に利用していたカード会社は選ばない
クレジットカードを新規作成する場合、自己破産前に利用していたカード会社は選ばないほうが無難です。
信用情報機関に事故情報が登録されてしまっても、通常は5年~7年で削除されます。
しかし、自己破産をしたことによって返済しないまま解約となったカード会社やそのグループ会社では、独自に破産履歴を管理していることがあります。
そのため、再び申込みをしても審査に通らない可能性が高いといえます。
4.クレジットカードのキャッシング枠は申し込まない
自己破産後にクレジットカードを申し込む際には、キャッシング枠をつけないほうがよいでしょう。
キャッシング枠は現金を借り入れるためのサービスなので、「総量規制」の影響を受けます。
総量規制とは、新たな貸付けにより借入残高が年収の3分の1を超える場合は、原則として返済能力を超えるものとして、当該貸付けを禁止する貸金業法上のルールです。
例えば、年収300万円の人がすでに100万円を借金している状況で、キャッシング枠をつけたクレジットカードを作成しようとしても、総量規制に違反するため、審査落ちする可能性が高いといえます。
5.収入が安定してから申し込む
収入が安定してからクレジットカードを申し込むことも、審査の通過率を高めるコツといえます。
収入の安定性は、返済能力を裏付ける重要な要素です。
たとえ過去に自己破産していても、現在の収入が安定しているのであれば、クレジットカードの審査に通過できる可能性は十分あります。
自己破産後にクレジットカードがほしいときの3つの代替手段
カード払いに慣れている方にとっては、現金払いしかできない状況に不便を感じるかもしれません。
ここでは、クレジットカードの代替手段を3つ紹介するので参考にしてみてください。
1.家族名義の家族カード
家族が本会員として契約しているクレジットカードに紐づく家族カード・ファミリーカードなら、自己破産していても問題なく利用できます。
カードの支払い自体は本会員がおこなうため、家族会員が自己破産しているかどうかは基本的に関係しません。
なお、家族カードを利用できるのは通常、18歳以上の生計を共にする配偶者・両親・子が対象者となります。
2.デビットカード
クレジットカードの代用としては、デビットカードも挙げられます。
デビットカードとは、何かを購入すると即時、代金が自分の銀行口座から引き落とされる「即時払い方式」のカードです。
そもそもデビットカードにはキャッシングの機能がないので、カード発行時に審査がおこなわれません。
デビットカード専用の口座を作って一定額だけを入金しておくようにすれば、使いすぎ防止にもなるのでおすすめです。
3.プリペイドカード
自己破産してクレジットカードを利用できない間は、プリペイドカードを代わりに使うのもよいでしょう。
プリペイドカードとは、事前にチャージした金額の範囲内で支払いができるカードのことです。
誰かにお金を借りるものではないので、審査不要で作成できます。
プリペイドカードの種類は多岐にわたり、交通系ならSuicaやICOCA、流通系ならnanacoやWAONなどが代表的です。
また、QUOカードや図書カードのような使い切り型のプリペイドカードも問題なく利用できます。
さいごに|自己破産でわからないことは弁護士に相談を
クレジットカードの返済が困難で、自己破産を考えたいというときには、なるべく早く弁護士に相談しましょう。
借金の状況次第では、自己破産以外の手段が見つかるかもしれません。
また、なるべく早期に自己破産の申立てを希望している場合も、弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。
自己破産をはじめ債務整理に注力している弁護士なら、さまざまな状況にも柔軟に対応できるノウハウを持っているため、自己破産の手続きを遅滞なく進めてくれるはずです。
無料相談を受け付けている法律事務所も多くあるので、わからないことがあれば迷わず相談してみましょう。

