自己破産
自己破産できる金額はいくら?借金額以外の条件や手続き費用の目安額などを解説
2024.11.12
自己破産をしたら、自動車はどうなるのでしょうか。必ず処分しなければならないのでしょうか。
原則として、自己破産を申し立てるときに所有している自動車は処分の対象となります。しかし、条件によっては手元に残せるケースもあります。
だからといって、自己判断で何とか手元に残そうとしてしまうと、自己破産申立後に、免責決定(返済義務の消滅)が得られなくなってしまうリスクがあるので、まずはこの記事をお読みください。
本記事では、自己破産しても自動車を手放さなくていい条件、自動車を手元に残しておくためにできること、自己破産を検討・実施するなら自動車に関しておこなってはならないことなどを紹介します。
ぜひ参考にしてください。
自己破産が認められれば、すべての借金がなくなりますが、その代わり最低限の財産以外手放すことになります。
借金で苦しいが、自動車を手放したら生きていけないという方もいることでしょう。
借金問題を解決させる方法には、任意整理や個人再生などの方法もあります。
もしかしたらあなたにとって自己破産をすることが、ベストな選択肢ではないかもしれません。
自己破産をご検討中の方は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼をすれば、下記のようなメリットがあります。
初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しております。
借金問題を解決したい方は、ぜひ下記よりご相談ください。
自己破産をすると、どんな場合でも自動車を処分しなければならないというわけではありません。まずは、処分が必要になる二つのケースをみてみましょう。
自動車ローンが残っている場合、基本的には自動車はローン会社に引き揚げられることになります。
自動車ローンの約款のほとんどにおいて「商品の所有権留保に伴う特約」が記載されています。これは、完済するまでは自動車の所有権がローン会社にあるという規定です。
そのため、自動車ローンの返済が止まると、所有者であるローン会社が自動車を引き揚げ、売却により換価したうえで、ローンの残額に充当します。
では、ローンを返済してしまえばいいのではないかと考える方もいるかもしれません。
しかし、自己破産においては、原則として特定のローンや借金のみの返済は認められません。
特定の債権者に対する返済を認めてしまうと、返済を受けられなかった他の債権者は不平等な扱いを受けることになってしまいます。
このように、破産法上、債権者をすべて平等に扱うという大原則が背景にあるため、自動車を残したいという理由から、自動車ローンのみを返済(完済)するという行為は認められておりません。
そのため、多くのケースでは、自動車ローンが残っていれば自動車を手放す必要があります。
自己破産をすると、手元に残してよいと認められている最低限の財産以外は、全て没収(差押え)となります。
没収された財産は換価され、各債権者に対する返済として、負債額の割合に応じて均等に分配されます。
たとえ自動車ローンを完済していたとしても、その自動車に財産としての価値があるなら、処分の対象となります。
通常、自動車の時価が20万円以上の場合、処分対象となります。
では、自己破産をしても、自動車を手元に残す方法はあるのでしょうか。自動車を手放したくないときにできる対処法を紹介します。
自己破産を申し立てる前に、家族や友人など債務者本人以外(生計を別にしている方)にローンを完済してもらうことで、自動車を手元に残すことが可能です。
この方法を「第三者弁済」といいます。ただし、第三者弁済によって自動車を手元に残したい場合、以下三つの点には注意しなくてはなりません。
せっかくローンを返済しても自動車の時価が20万円を超えれば、自己破産後に手放すことになります。このようなトラブルを避けるためにも、事前に自動車の査定をしておきましょう。
なお、多くの裁判所では、初年度登録から10年以上経過している国産車については、財産的価値がないものとして、没収しないとする運用をしております。
破産者本人が、ローンを返済してはいけません。友人や家族など第三者に返済してもらうことが必要です。
自己破産では、破産者が特定の債権者にのみ返済することを禁じています。
先ほども述べたとおり、全ての債権者を平等に扱う必要があるからです。
このように特定の債権者の債務だけ返済する行為を、破産法上「偏頗(へんぱ)弁済」といいます。
第三者弁済をする際は、債権者(自動車のローン会社)に合意してもらう必要があります。
もっとも、ローン会社からすると、第三者弁済であっても、弁済を受けられるという点には変わりはありませんので、合意が得られないという事例はほとんどありません。
自動車の時価が20万円を超える場合でも、裁判所に「自由財産の拡張」を認めてもらうことで自己破産後も手元に自動車を残すことができます。
主な自由財産の例は以下のとおりです。
自己破産後も、生活上最低限必要な財産として、これら自由財産は手元に残すことが認められています。
時価20万円以下の自動車についても、自由財産とされます。
自由財産の拡張が認められると、自由財産として認められるものを増やすことができるわけです。
ただし、自由財産の拡張によって自動車を手元に残せるのは、生活するうえで自動車が必要不可欠であると判断されるケースに限られます。
たとえば足が不自由であるために、自動車がないと病院へも行けないといったケースです。
自由財産の拡張が認められるか、判断に迷う場合は弁護士に相談してアドバイスをしてもらうとよいでしょう。
4 裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。
引用元:破産法 | e-Gov法令検索
どうしても自動車を残しておきたいなら、ほかの債務整理を検討しましょう。
自己破産のほかにも、借金を整理する方法があります。ここでは、任意整理と個人再生について紹介します。
ここからは、ローン会社などのお金を貸している企業や人を債権者、お金を借りている方を債務者とします。
任意整理とは債権者と個別に交渉して利息カットや返済期間の見直しを認めてもらい、債務返済の負担を軽減する手続です。
自動車のローン会社以外と交渉し任意整理を成功させることで、自動車を手元に残せる可能性があります。
任意整理の場合、自己破産と異なり財産を処分する必要はありません。
任意整理は債務者自身がおこなうこともできますが、交渉テクニックも要求されるため、債務者自身が債権者と交渉するのは基本的には難しいでしょう。
交渉をうまく進められず、思うような結果が得られない可能性も高いです。
そこで、任意整理をしたい場合は弁護士へ対応を依頼することを強くおすすめします。
専門家である弁護士なら、債権者との交渉でより希望に近い結果に導いてくれるでしょう。
個人再生とは、裁判所を通じて、現在負っている債務の支払義務を減額する手続です。
個人再生の場合は、自己破産とは異なり、財産を処分されるということがないので、基本的にはローンの支払が完済している自動車を手元に残すことができます。
しかし、債務者が持っている財産の総額以上を債権者に支払わなければならないという決まりがあるため、高級車や人気車種など、市場価値が高い自動車を保持している場合などは、自動車は手元に残ったとしても、結局、借金をあまり減額できなくなる可能性があります。
また、自動車ローンの支払いが残っている場合は、自動車を引き揚げられてしまう可能性があります。
先ほども述べたとおり、多くの場合、ローン契約には特約として、ローンが完済するまでは所有権は債権者が持っているという旨と完済するまでに返済が滞ったらローン会社が自動車を引き揚げるという旨が記載されています。
個人再生であっても、返済が滞った場合に含まれるため、自動車を手放さなければならなくなる可能性があるのです。
自己破産を検討あるいは実施するのであれば、自動車に関してやってはいけないことがいくつかあります。
次に紹介する4つの対応をしてしまうと、自己破産できてなくなってしまう可能性があるので、注意してください。
自己破産の前に自動車の名義を変更するのは、避けましょう。
破産者名義でない自動車は処分の対象にはなりませんが、自己破産をする予定があるのに名義を変更すると、財産隠しとみなされるリスクがあります。
財産隠しだと判断されれば、最終的に返済義務を免除(免責)してもらうことができなくなります。
場合によっては詐欺破産罪に問われ、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金となるか、又はこの両方が科せられる可能性もあります。
自己破産前に自動車を他人に売るなど、処分する行為も避けるほうが無難です。この行為にも免責が認められなくなるリスクがあります。
破産者の財産は、没収されて破産財団に集められます。そのうえで、返済が残っているクレジットカード会社やローン会社に分配されます。
破産者が自動車を自分で売らずに没収しておけば、財団はもっと高い金額で売ることができたかもしれず、不当な行為であると判断されてしまいます。
たとえば、友人に20万円で売った自動車が本来は100万円の市場価値だったとします。この場合、財団に属するはずだった80万円が減少していることになるのです。
このような行為を、破産財団価値減少行為といいます。
自己破産ができなくなる可能性が高くなるうえに、こちらも詐欺破産罪の対象にもなります。
そのため、自身の判断で処分をするのは、やめておきましょう。
自動車を手元に残したいからといって、自動車ローンを優先して返済することは、避けるべきです。
破産者が特定の債権者だけに返済をすることは、破産法において禁止されている偏頗弁済にあたります。
偏頗弁済とみなされると、免責が認められなくなってしまう可能性があるのです。
自己破産をするとき、裁判所に対して、債権者一覧や資産目録などを提出する必要があります。
自動車を手放したくないからといって、自動車ローンについて記載しない行為は虚偽の申告にあたります。
もし記載せずに隠したとしても、破産手続を進めれば裁判所などに知られてしまいます。
このような行為にも、免責が認められなくなったり、悪質な場合は詐欺破産罪に問われたりする可能性があるため、正直に申告しましょう。
自動車に乗り慣れている方にとって、自動車がなくなることはとても不便です。
だからといって、無理に手元に残すと、免責が認められないリスクや、詐欺破産罪に問われてしまうリスクがあります。
ここまでにも少しずつ触れてきましたが、改めてどのようなリスクがあるのか、みてみましょう。
自己破産の目的は、借金返済の責任を免除してもらうことです。
しかし、破産法で定められた、免責不許可事由という項目に該当してしまうと、責任を免除してもらうことができません。
つまり、借金帳消しにならなくなるということです。
免責不許可事由には、先に紹介した、自己破産をする際に自動車に関してしてはいけない4つの対応のほか、説明や検査を拒絶したり、重要な財産の開示を拒否したりする行為などがあります。
本人にはそのつもりがなくても、免責不許可事由に当てはまってしまう場合もあるので、気をつけましょう。
自動車を手元に残すため隠すなどすると、自己破産ができなくなるだけではなく、刑事事件に発展してしまうリスクもあります。
詐欺破産罪という犯罪行為に該当してしまう可能性があるのです。
刑事裁判の被告人となってしまい、有罪判決が下されると、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金となるか、その両方が科せられます。
罰金等の請求権はは非免責債権に該当するため、自己破産をしたとしても支払義務は消滅しません。
自己破産をしたら、すぐに新たな自動車を購入するのは難しいかもしれません。本項では、その理由を紹介します。
裏を返せば、本項で紹介する理由をクリアできれば自動車を手に入れられる可能性もあるので参考にしてください。
自己破産後、また自動車を購入すること自体は自由です。
しかし、信用情報機関に自己破産をしたという情報が登録されるため、自動車ローンの審査にとおらない可能性が高いといえます。
自己破産をしたという情報は、5~10年ほどで信用情報機関から削除されるため、自動車ローンを組みたい場合は、期間を空けて申し込みましょう。
なお自己破産後に得た財産や収入は自分自身のものなので、その中から一括で購入するのであれば、問題なく自動車を手に入れることができます。
しかし、自動車を購入する費用が貯まるまでには時間がかかるかもしれません。
中古車であれば、30万円以下でも購入できるものがあります。品質などに十分注意して検討してください。
自己破産をすると、最低限の財産以外は処分されてしまいます。処分された財産は現金化されて借金の返済に充てられます。
自動車ローンを組むためには頭金を要求されることが多いため、手元の現金が貯まっていない状態では、自動車の購入は難しいといえます。
信用情報が回復した後であっても、このように頭金が用意できなければ自動車ローンを組むことができない場合があります。
なお頭金が多ければ多いほど審査のハードルが下がるため、自己破産直後から計画的にできるだけ多くの頭金を貯めるのがおすすめです。
あるいは、中古車の現金購入やカーシェアで済ませるなどの方法も視野にいれましょう。
自動車を残す場合も、手放す場合も、自己破産やそのほかの債務整理を検討するなら、弁護士に相談・依頼するのがいちばんです。弁護士に相談するメリットをみてみましょう。
ここまで紹介してきたように、自己破産をしても自動車を手元に残せる方法はいくつかあります。
自分は自動車を残す措置をとることができる状況なのかどうか、弁護士に相談すれば適切に判断してもらうことができます。
また、どの対応がベストなのか、提案やアドバイスをもらうこともできます。
自己判断で自動車を残そうとして誤った対応をすると、思いがけず、自己破産ができなくなってしまう可能性があります。
そのようなリスクを避けるため、弁護士からアドバイスをもらいましょう。
自己破産を実現するには、必要書類の収集をはじめとして、やらなければならないことが沢山あります。
書類だけでもかなりの種類を準備しなければなりません。
債権者への正確な借金額の確認、計算、書類の記入・作成、裁判所とのやりとりなど、しなければならないことも非常に多いです。
そのような手続のほとんどを任せられるのは、弁護士に依頼する大きなメリットです。
たとえば、次のようなことを任せることができます。
裁判官との面談に関しては、破産者本人が出席しなければなりません。
しかし、弁護士に依頼することで事前のシミュレーションをすることができます。
また、同行してくれる場合もありますし、面談前後に電話で連絡することもできます。
ひとりで臨むよりも心強いのではないでしょうか。
弁護士は依頼を受けると、債権者宛に受任通知を送ります。受任通知は、弁護士が代理して手続を進めることを知らせる文書です。
受任通知が到達すると、債権者(消費者金融やカード会社)は債務者に直接取立てなどをしてはいけないという決まりがあります。
そのため、弁護士に任せれば、取立てや督促をストップすることができるのです。
直接の連絡がなくなれば、精神的な負担が大幅に軽減されるのではないでしょうか。
最後に、自己破産をする際に気になる、自動車に関するよくある質問を紹介します。
自動自動車の査定は、破産者本人でおこなう必要があります。査定は、日本自動車査定協会でおこなうのが一般的です。
査定料は自動車の大きさや状況に応じた手数料によって変わりますが、7150円〜となります。
査定の結果が記載されている自動車査定書を、裁判所に提出しなければなりません。
無料で査定を受けられる自動車買取業者もありますが、査定書の発行はおこなっていないところがほとんどなので、確実に発行してくれる日本自動車査定協会へ依頼しましょう。
自己破産で処分される財産は、破産者本人のものに限ります。そのため、家族名義の自動車であれば乗り続けることができます。
しかし、自動車を購入したのが破産者だった場合は注意が必要です。
裁判所から、名義人である家族に対して、購入代金の返還が求められる可能性があります。
自己破産をしても、運転免許証は失効せず、これまでどおり使うことができます。免許が失効するのは、有効期限が切れたときのみです。
また、運転免許証が取消しになることもありません。免許が取り消されるのは、違反行為が積み重なった場合であり、自己破産は違反行為ではないため、取消事由には該当しないからです。
自己破産をしても、レンタカーは借りられます。レンタカーを借りるとき、基本的に与信審査はされません。
運転免許証と現金があれば借りられるので、自動車を手放さなければいけなくなった場合には活用しましょう。
ただし、月々定額で自動車を借りるカーリースは与信審査がおこなわれます。そのため利用できない可能性が高いといえます。
ETCカードと紐づけているクレジットカードがストップしてしまえば、ETCカードも使うことができなくなり、同時に解約されてしまいます。
そのため、自己破産前に利用していたETCカードは、自己破産の申立てをすると強制解約となるでしょう。
ETCカードが必要な場合は、高速道路会社6社が共同発行するETCパーソナルカードを活用しましょう。
銀行口座などからの引落しによって利用できるもので、審査不要のため、自己破産後も使うことができます。
自己破産をしても自動車を残したいなら、自分の今の状況でそれが可能か、どのような対応ならしてもよいのか、どんな選択をすべきなのか、専門家に相談して最適なアドバイスをもらいましょう。
思いがけず、自己破産ができなくなってしまったり、罪に問われてしまったりすることのないよう、まずは弁護士に相談してみてください。
初回は、無料相談を受け付けている法律事務所も増えています。