自己破産
自己破産で法テラスを利用する場合の費用は?法律事務所との料金比較で安さを確認
2024.10.08
「自己破産するにはどうしたらいいのだろう……」
借金が膨れ上がりどうしようもなくなったとき、自己破産を考える方も少なくないでしょう。
多くの方にとって自己破産は初めての経験なので、手順や、そもそも自己破産できるのか、自己破産した場合どのようなデメリットがあるかなど、疑問も多くあるはずです。
自己破産とは、保有する財産を債権者に配当するとともに、支払いきれない借金の支払義務を裁判所に免責してもらう手続きです。
判断は裁判所がおこないますが、その申し立てには多くの書類を作成、収集しなければならず、法律の専門家の助けが必要でしょう。
この記事を読むことで、以下のことが理解できるようになります。
また、弁護士に依頼するメリットや、依頼した場合の費用についても解説しているので、自己破産を考えている方は参考にしてください。
自己破産をするには、裁判所での手続きが必要です。
手続きにあたっては、金融や法律などの知識が求められます。
また自己破産にはデメリットもあり、あなたの状況次第では、自己破産以外の債務整理の方が適している可能性もあります。
日弁連の調査では、自己破産をした調査対象者の内、約9割に弁護士が関与していました。(2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【データ編①破産事件】|日弁連)
自己破産をして後悔しないためにも、弁護士への相談が有効です。
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自己破産をするためには、クリアしなければならない条件や、現状の債務状況をあらためて確認するほか、あなたの財産状況や給与の調査など、事前におこなっておかなければいけないことがたくさんあります。
ここでは、自己破産に必要な条件や、自己破産のために準備すべきものを解説します。
債務者の債権が免責されることにより、債権者は権利を行使できなくなるため、債権者の側からみれば破産によって権利が害されるといえるでしょう。
したがって、自己破産が認められるには、破産法の要件を満たす必要があります。以下は、破産申し立ての要件の一例です。
自己破産によって免責を受けるには、支払い不能状態にあることを裁判所に認めてもらう必要があるのです。
「支払い不能」とは、支払い能力がなく、支払期日が到来している債務を返済できない状態をいいます(破産法第2条11項)。収入面だけでなく、財産をお金に換えても返済する余力がない場合が該当します。
具体的には、債務総額を36か月(3年)で完済できるかを判断の目安にするとよいでしょう。3年で完済しきれない場合、任意整理での解決は難しい場面が少なくありません。
支払い不能に陥っても、債権の性質によっては、自己破産でも免責されない債務もあります。
以下のような債務を「非免責債権」といいます(破産法第253条1項)。
このような債権は、破産によっても免責されません。
「免責不許可事由」がある場合、原則として裁判所から免責決定を受けることができません。
免責不許可事由とは以下のような行為をいいます。
たとえば、破産することがわかっていて不動産を配偶者名義に変更することは、債権者を害する行為です。また、破産に至った原因が浪費や賭博行為であることも免責不許可事由に該当します。
ただし、破産法252条2項では、「裁量免責」を認めています。これは、免責不許可事由に該当しても、破産に至った全ての事情を考慮し、裁判所の裁量で免責が許可される場合を定めているのです。
そのため、免責不許可事由がある場合は、申し立ての当初から隠さずきちんと説明を行い、誠実に手続きをおこなうようにしましょう。
自己破産を裁判所に申し立てるにあたっては、借り入れをしている債権者の「債権調査」、保有している「財産の開示」、「収入状況などの報告」などを行う必要があります。
また、裁判所に破産開始決定の要件である「支払い不能」であることと免責不許可事由がないことを認めてもらうため、破産申し立てに至った事情を説明するための書類の提出及び必要な事項の説明を行う必要があります。
以下は、申立てにあたり提出が必要な書類の一例です。
自己破産を申し立てるにあたり、まず、債権の調査をして債権者一覧表を作成します。債権者一覧表には、債権者が誰であるか、債権の額はいくらか、また借金をした理由などを記載する必要があります。
正確に調査するため、債権者に「債権調査票」を発行してもらい、作成する場合もありますが、申立ての段階ではそこまで詳細な調査は必要とされていません。
自己破産事件を受任した弁護士は、まず「受任通知」を各債権者に送付します。
これは弁護士が債務整理の手続きに入ったことを伝える旨の通知で、通知が届くと貸金業者は取り立てを行うことができません(貸金業法第21条1項・債権管理回収業に関する特別措置法第18号8項)。
貸金業者からの取り立てを速やかに停止させ、少しでも早く精神的負担から解放されるためにも、早い段階から弁護士に依頼することが望ましいでしょう。
次に自分の所有財産を調査し、一覧表である「財産目録」を作成します。自身の財産の内容を説明するために以下のような書類を添付しましょう。
預貯金通帳の写しは、概ね破産申し立ての2年前まで遡って裁判所に提出する必要があります。
直近2年間に処分した財産を裁判所に報告しなかった場合、財産隠しとみなされるおそれがあります。
なお、手続きをおこなう裁判所によって必要な書類が異なる場合があるため、自己破産手続きをする前に手続きをする裁判所で詳細を確認してください。
免責不許可事由にあたる行為の有無などの調査や、それに関わる資料の準備も必要です。
陳述書には、破産に至る経緯や職歴などを記載します。生活状況や、収入に対して返済額がどの程度を占めているかなどを確認できるよう、給与明細や源泉徴収票だけでなく、申し立て前3か月分の家計簿も用意しておきましょう。
自己破産申立書には、申立ての趣旨として以下の2点を記載します。
書式は裁判所によって異なります。
20万円以上の価値のある財産は漏れなく記載し、評価額を裏付ける資料を添付しましょう。また、過去に個人事業を営んでいた場合には、事業についての報告書も別途必要です。
破産手続きは、資産状況や債務額、または破産に至るまでの状況(免責不許可事由該当性の有無)によって、3つの手続き方法に分けられます。
自分の申し立てる事件がどの手続きに分類されるかによって、手続き期間や費用が大きく変わります。
自己破産手続きは、資産額や債務額などによって、以下の3つに分類されます。ただし、最終的にどの手続きで進めるかは、管轄裁判所が判断します。
「同時廃止事件」とは、破産管財人が選任されず、破産開始決定と同時に廃止決定が出る方法です。
破産法では以下のように条件を定めています。
(破産手続開始の決定と同時にする破産手続廃止の決定)
第二百十六条 裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。
具体的には以下のような場合が該当します。
「同時廃止事件」は、もっとも費用負担が軽く手続き期間も短い方法で、大きな財産がなく、免責不許可事由に該当する背景がない場合に利用できます。
破産申し立て事件の中でもっとも件数が多く、2021年の司法統計では、個人の自己破産7万2,329件のうち、約60%にあたる4万5,464件が同時廃止事件として終局しています。
【参考記事】2020年破産既済事件数―破産者及び終局区分別|裁判所
「管財事件」とは、債務者の財産が一定以上ある場合、お金に換えて債権者に平等に配当する破産手続きです。
配当を行うために、破産管財人が選任されます。破産管財人は、裁判所から選任される弁護士です。
破産事件は破産管財人主導で進み、換価した財産を債権者に配当することで終結します。
管財事件は3つ手続きの中でもっとも手続き期間が長い場合が多く、予納金は手続きをする裁判所によって異なりますが、おおむね50万円以上かかります。
なお、上述の2020年破産既済事件数―破産者及び終局区分別では、管財人がついて配当まで進んだ事件は、全体の7%程度でした。
「少額管財事件」とは、弁護士に自己破産手続きを依頼した場合に選択肢となる破産手続きです。
申し立て前にある程度の調査を終わらせる必要があるため、裁判所に納める予納金が大幅に少なく済み、手続きも簡略化されます。
裁判所に納める予納金は20万円程度です。こちらも裁判所によって異なる場合があるため、実際に手続きをおこなう際に確認してください。
ただし、少額管財事件はすべての裁判所で運用されている手続きではありません。
破産手続き期間中、債務者はある程度生活に制限を受けます。破産期間中は以下のようなことに注意し、管財人や裁判所の指示に従いましょう。
管財事件では、破産手続き中は遠方への旅行や引っ越しが制限されます。
管財事件の場合保有している財産を換価して配当しなければいけませんし、債務者は常に管財人に対する協力義務があるからです。
ただし、すべての移動が禁止されるわけではありません。2泊以上の旅行や引っ越しも、破産管財人に報告し、裁判所の許可をとれば可能となる場合があります。
同時廃止事件の場合は破産手続開始と同時に廃止されるため、原則として移動制限は受けませんが、破産開始・廃止決定が出てから免責許可決定が出るまでに時間がかかります。
その間に引っ越しをした場合は、住所不一致を避けるために住民票を添えて裁判所に報告しておくようにしましょう。
破産手続き中には、一定の資格・職業が制限されます。具体的には以下のような職業です。
基本的に制限されるのは手続き中のみで、免責許可決定が確定すれば復職は可能です。
ただし、職業によって破産手続きの開始決定が欠格事由に定められている場合は、退職や罷免になることもあります。
管財事件や少額管財事件の場合、開始決定と同時に本人宛の郵便物は管財人宛てに転送されるようになります。
これは、郵便物によって財産目録にない財産をチェックするためです。
たとえば年末調整のために届いた保険会社からの支払保険料の通知書により生命保険が発覚したり、証券会社からの取引報告書から株式が発覚したりするケースなどがあります。
破産手続きが終了(異時廃止若しくは終結)すれば転送解除され、自宅に郵便物が届くようになります。
自己破産の条件や事前準備、注意点などがわかったところで、実際に自己破産をおこなう際の流れと、自己破産にはどれくらい時間がかかるのかについて解説します。
自己破産の手続きはおおむね以下のように進みます。
管財事件・同時廃止事件それぞれを一覧にしたので参考にしてください。
なお、弁護士に依頼した場合は以下の手続きに入る前に「債権者への受任通知書の発送」と「債務状況の調査」がおこなわれます。
管財事件(少額管財事件を含む) | 同時廃止事件 |
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自己破産手続きは、事前の調査や書類の準備に相当の時間を要します。弁護士に依頼したとしても、申し立てまでに数か月はかかる場合が多いでしょう。
弁護士が受任通知を送付することにより、債権者からの督促など取り立ては止まりますが、申し立てた後も、破産開始決定に至るまで書類の精査や債務者審尋などがおこなわれる場合もあるため、申立てを行ってから、破産手続きの開始が決定されるまでに1か月程度はかかる可能性があります。
破産手続開始が決定されたら免責についての可否が審議されます。
管財事件(少額管財事件を含む) | 同時廃止事件 |
破産管財人が免責調査報告書を提出 免責許可決定 | 裁判官と面談(免責審尋) 免責許可決定 |
同時廃止事件では、破産開始及び廃止決定後に免責審尋期日として裁判官との面談の日が設けられ、免責不許可事由などがないか調査を受けます。管財事件の場合は、破産管財人が調査をおこない,その結果を裁判所に報告します。
開始決定から免責許可決定までの期間は、事件の内容によって違い、長ければ1年以上かかることもあるでしょう。
同時廃止事件の場合でも、破産開始決定から免責許可決定が出るまでに1~3か月程度はかかると考えてよいでしょう。
免責許可決定が確定することにより債務の返済の義務がなくなり、破産手続きは終了します。
以上のとおり、自己破産手続きの申し立て及びその後の流れは複雑かつ専門的なので、法律の専門家である弁護士に依頼すべきです。
上述したように、自己破産手続きは免責が確定するまでに長い期間を必要とします。
弁護士に依頼することにより、受任通知が送付して取り立てを停止させることができるため、落ち着いて手続きを進められる点でもメリットがあります。
2020年の日本弁護士連合会の調査報告書によると、調査対象者1,240人のうち、弁護士が代理人:1,123人で90.56%、司法書士が94人で7.58%、申立人なしが9人0.73%でした。
【参考記事】2020年破産事件及び個人再生事件記録調査|日本弁護士連合会
この調査から見ても個人で自己破産の申し立てをおこなった人は稀で、弁護士等に代理人を依頼している方がほとんどのようです。
司法書士が行うことができるのは書類作成のみで、代理人となることはできず、裁判所での免責審尋期日や債権者集会への同席はできません。
司法書士が手続きに一貫して関わることができないという意味でも、破産手続きは弁護士に委任するのがおすすめでしょう。
実際に自己破産を申し立てる際には、裁判所へ納める手続費用と、申立代理人の弁護士に支払う弁護士費用が必要です。
手続きの種類によっても金額は変わるので、以下で解説します。
自己破産を申し立てる際に裁判所に提出する費用には、以下のものがあります。
同時廃止事件 | 少額管財 | 管財事件 | |
申立手数料 | 1,500円 | 1,500円 | 1,500円 |
予納金 | 1~3万円 (官報公告費として) | 20万円~ (官報公告費含む) | 50万円~ (官報公告費含む) |
予納郵券代 | 3,000円~15,000円程度 | 3,000円~15,000円程度 | 3,000円~15,000円程度 |
予納郵券は、債権者数によっても金額が変わります。また、予納金は事件の複雑さや管財人の事務処理量の多さなどを考慮し、裁判所が決定します。
もうひとつ必要になるのが申立代理人への費用・報酬です。
同時廃止事件なら30万円程度、少額管財事件なら50万円程度、管財事件なら80万円以上がかかる場合があります。
申し立て前の事務処理の煩雑さなどによって変わります。
詳しい費用は弁護士事務所によって異なるため、依頼前に見積もりを出してもらうようにしましょう。
これまで述べてきたとおり、自己破産を申し立てるのであれば弁護士に依頼するのがおすすめです。
ここでは、これまでにも紹介してきた点を含め、弁護士に依頼するメリットを紹介します。
債務整理には、自己破産だけでなく、任意整理、個人再生という手続きもあります。
自分では自己破産しかないと思っていても、任意整理で解決できる可能性は、ゼロではありません。
弁護士に依頼することにより、任意整理や個人再生の可能性も検討したうえで、最適な債務整理の提案を受けることができます。
自己破産の申し立ては複雑かつ煩雑で、本人による申し立ては基本的に困難です。
弁護士ならば、相談、破産申立てから免責決定を受けるまで一貫して対応を委任することができます。
ただし、一口に弁護士といっても対応できる分野は多岐にわたります。
自己破産を依頼するなら自己破産や債務経理を扱う法律事務所や経験のある弁護士に依頼するようにしてください。
弁護士が依頼を受け、債権者に対して受任通知を送付することで、債権者は債務者に直接取り立てができなくなります。
弁護士に依頼することにより、債務者は返済を止めて生活を立て直しつつ、余裕をもって破産申し立ての準備を行うことがでるでしょう。
自己破産によって免責許可決定が確定すると、借金の返済義務がなくなるかわりに、生活に以下のような影響があります。
自己破産をするには、客観的に「支払不能」に陥っていなければなりません。
財産を返済に充てても、自身の給与などの中から3年程度の分割払いで支払いきれない負債を抱えた状態であれば、「支払い不能」といえる場合が多いでしょう。
自己破産をするしかないとお考えであれば、まずは自己破産事件を扱う弁護士に相談してみるところから始めるのがよいと思います
弁護士に依頼することにより、必要な手続きを一任することができ、取り立てや返済がストップした中で、落ち着いて申し立ての手続きを進められます。
免責に不利な事情があったとしても、裁判所への報告の仕方や,今後どのように向き合っていくかなど必要な助言を受けつつ、免責決定を得られるように尽力してもらえるでしょう。
自己破産をお考えの場合は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
自己破産をするには、裁判所での手続きが必要です。
手続きにあたっては、金融や法律などの知識が求められます。
また自己破産にはデメリットもあり、あなたの状況次第では、自己破産以外の債務整理の方が適している可能性もあります。
日弁連の調査では、自己破産をした調査対象者の内約9割に弁護士が関与していました。(2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【データ編①破産事件】|日弁連)
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