個人で債権回収するための手順を丁寧に解説|弁護士に相談すればさらに回収率アップ!

個人で債権回収するための手順を丁寧に解説|弁護士に相談すればさらに回収率アップ!
目次
  1. 個人で債権回収するときに、失敗しないためのポイント
    1. 1.債権には時効がある
    2. 2.債務者の情報を収集する
    3. 3.利息制限法や出資法に注意する
  2. 個人の債権回収で有効な督促方法
    1. 1.相手が支払いに応じてくれそうなときは電話で督促
    2. 2.電話督促に効果がなければ督促状(催告書)を送付する
    3. 3.内容証明郵便を使う
    4. 4.支払いを急ぐときは債務者の自宅を訪問する
  3. 債務者と交渉するときのポイント
    1. 相手が受け入れやすい弁済方法を提案する
    2. 万が一の強制執行に備えて、契約書は公正証書にする
  4. 督促しない方がよいケース
    1. 債務者との関係を悪化させたくない場合
    2. 債務者が自己破産などを検討している場合
  5. 個人でもできる債権回収の法的手段
    1. 民事調停
    2. 支払督促
    3. 少額訴訟
    4. 強制執行
  6. その他の債権回収方法
    1. 相殺
    2. 代物弁済
    3. 債権譲渡
    4. 債権者代位権の行使
  7. 個人で債権回収するときの注意点
    1. 債務者が支払いに応じない可能性が高い
    2. 裁判所への申し立てに時間と労力がかかる
    3. 複雑な訴訟手続きに対応しなければならない
  8. 債権回収を弁護士に依頼した方がよいケース
    1. 弁護士費用よりも債権額が高額なとき
    2. 債権者との交渉が難航しそうなとき
    3. 強制執行や訴訟手続きが負担になるとき
  9. 個人間の債権回収を依頼したときの弁護士費用
    1. 相談料
    2. 着手金
    3. 成功報酬
    4. 実費
  10. 債権回収に注力するor得意な護士の選び方
    1. 弁護士の専門分野や債権回収の実績を確認する
    2. 状況に応じた回収プランを実行してくれる
    3. 粘り強い交渉を行ってくれる
    4. 完全成功報酬制の費用体系になっている
  11. 個人間の債権回収は弁護士に依頼しよう!

個人間の債権回収に悩んでおられる方は決して少なくありません。

「お金を貸した相手がまったく返してくれない」

「家賃滞納が続いている」

「債務者と連絡がとれなくなった」

このような問題は長期化しやすく、賃貸マンションなどの経営や、日常生活に支障をきたすので、少しでも早く解決したいですよね。

個人でも債権回収は可能です。しかし、法律の知識やノウハウが必要であり、回収方法に違法性があれば相手に訴えられることもあります。個人対応に無理があるときは、弁護士への依頼も検討してください。

本記事では、個人で債権回収する方法を丁寧に解説していきます。少額・高額を問わず、より確実にお金を取り戻すための知識を身に付けましょう。

ご自身で債権回収をおこなおうとしている方へ

自身で債権回収する方法はいくつもありますが、回収完了までのストレスも大きいため、仕事や日常生活に悪影響を及ぼす可能性も想定されます。

「家賃の滞納が続いている」「多額のお金を貸しているのに返済がされない」とお困りの方は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。

弁護士に相談・依頼するメリットは、以下の通りです。

  • 債務者との交渉を任せられる
  • 強制執行や訴訟手続きを一任できる など

債権回収ナビには、個人間の債権も対応をしてくれる弁護士事務所も掲載しております。

ただ債権額次第では費用倒れになる懸念から、弁護士が依頼を断るというケーズもございます。

初回相談が無料のところもあるので、まずは自身の状況をご相談ください。

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この記事を監修した弁護士
齋藤健博 弁護士(銀座さいとう法律事務所)
男女間の金銭トラブルを得意とし、多数の実績あり。一人一人の悩みに沿った債権回収プランを提案し、相談者と二人三脚で丁寧迅速な解決を目指している。

個人で債権回収するときに、失敗しないためのポイント

債権回収は個人でもできますが、さまざまなノウハウや法律の知識が必要です。予備知識なしで債権回収しようとすると、回収できないばかりか、最悪の場合は相手から訴えられる可能性もあります。

まず、債権・債務の基礎知識を理解して、失敗のない回収を目指しましょう。

1.債権には時効がある

債権には種類別の時効があるため、自分の債権がいつ時効になるのか知っておく必要があります。時効が成立すると債権回収は困難になるので、高額な債権でも諦めなければなりません。

発生したばかりの債権と、時効間近の債権では対応方法も異なります。また、時効には中断方法もあります。

以下で詳しくご紹介していきましょう。

債権別の時効期間

債権や種類によって時効期間が決まっていますが、2020年4月1日以降に発生した債権については、権利行使できることを知ってから5年に統一されています。

【改正前】

起算点時効期間具体例
原則権利を行使できる時から10年個人間の債権など
職業別権利を行使できる時から1年飲食店や宿泊料のツケ
2年売掛金
小売代金
弁護士報酬など
給料
3年病院の医療費
自動車修理費
建築工事の請負代金
商事権利を行使できる時から5年家賃や地代
営業上の貸付

【改正後】

起算点時効期間
原則権利を行使できる時から10年
権利を行使できることを知った時から5年

なお、未払い給料の時効は、経過措置として当面3年となっています。

【参考記事】法務事務局|民法(債権関係)の改正に関する説明資料

時効を中断できる3つの方法

債権の時効が成立すると相手は支払いを拒絶できるため、債権回収は困難になります。しかし時効が成立しないように「中断」の措置をとれば、最長10年まで時効期間を延長できます。

具体的な中断方法は以下の3つですが、直ぐに実行できる内容証明郵便は必ず送付しておきましょう。

中断の方法延長される時効期間
内容証明郵便半年
債務者からの承認時効期間の振り出し(リセット)
法的手段(民事調停・支払督促・訴訟・少額訴訟)10年

なお、債務者からの承認には以下の3パターンがあります。

  • 債務者から一部の弁済を受ける
  • 債務者が弁済に関する契約書に同意する
  • 債務者から支払猶予願を申し立てる

現実的な方法は「債務者から一部の弁済を受ける」だけであり、契約書への同意や、支払猶予額の申し立てはほぼ困難です。

なお、2020年4の法改正以降、時効の「中断」や「停止」は、「更新」と「完成猶予」に名称変更されているので注意してください。

2.債務者の情報を収集する

個人で債権回収するときは、回収見込みや回収額を判断するため、債権者側の情報収集が必要になります。

債権回収では、相手の財産を差し押さえて債権を回収できるケースもあるので、次のように情報収集しておきましょう。

不動産の抵当権を確認

債務者の資産状況を調べるときは、不動産の抵当権を必ず確認してください。

土地や建物は高額資産になり、隠ぺいもできない財産なので、強制執行により差し押さえることができます。抵当権は住宅ローンにおける担保のような意味であり、債務者が弁済できないときには、抵当権を設定した財産から優先的に弁済されます。

しかし、すでに抵当権が設定されていれば、差し押さえによる債権回収はできないため、登記事項証明書で権利関係を確認しておかなければなりません。

また、登記事項証明書は第三者でも不動産の管轄法務局で入手できますが、申請時には地番や家屋番号が必要です。一般的には固定資産税の納税通知書から確認しますが、相手が見せてくれる可能性は低いので、法務局に問合わせてみましょう。

法務局には地番表示された地図が配備されており、地番がわかれば家屋番号を教えてもらえるケースがあります。

第三債務者の弁済能力を確認

債務者に弁済能力がないときは、代わりの方法として債務者が持つ別の債権を差し押さえる、またはその債権を譲渡してもらう方法があります。つまり、自分が新たに債権者となり、その債権の債務者(第三債務者)から弁済を受けることになりますが、第三債務者に弁済能力がなければ意味がありません。

従って、第三債務者の資産状況も調査する必要があり、債務者と第三債務者の取引きを帳簿類から確認することになります。

他の債権者の確認

債務者に他の債権者がいるときは、債権額に応じて財産配分が決まります。つまり、相手が弁済に応じる場合でも、満額回収できない可能性があるため、複数の債務を抱えているかどうか、事前に調べておく必要があります。

仮差し押さえや仮処分の準備

債務者の財産が判明し、回収見込みがありそうなときは、直ぐに仮差し押さえや仮処分ができるように準備しましょう。

仮差し押さえや仮処分をすると相手は財産処分ができなくなるので、債権が保全され、回収確率も高くなります。

3.利息制限法や出資法に注意する

個人間の貸し借りにも利息制限法や出資法が適用されるため、法外な利息を請求すると、契約が無効になったり、刑事罰が科せられたりするので要注意です。

利息制限法

利息制限法では、債権額に対する上限金利や、遅延損害金の上限金利を以下のように定めています。

債権額上限金利(年利)遅延損害金の上限金利(年利)
10万円未満20%29.2%
10万円以上~100万円未満18%26.28%
100万円以上15%21.9%

上限金利を上回る契約は無効となりますが、罰金などの法的ペナルティはありません。ただし、出資法では刑罰対象になるので注意が必要です。

また、遅延損害金については、利息制限法第4条により、元本に対する割合を上限金利の1.46倍までと定められています。こちらも、超過分については無効となります。

【参考記事】金融庁|カシキンQ&A

出資法

出資法の場合は、2010年以降の上限金利が年利20%に設定されています。

個人がこれに違反し、20%を超える利息で貸し付けをした場合は、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金になるので注意しましょう。

【参考記事】出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)第五条2項

個人の債権回収で有効な督促方法

債権の督促手段は電話・郵便・訪問の3つですが、より効果的な督促になるよう、次のように対応してください。

1.相手が支払いに応じてくれそうなときは電話で督促

債務者の中には「言えば払ってくれる」という人もいるので、まず電話の督促から始めてください

ただし、話がこじれると回収が難しくなるので、次のように対応しましょう。

督促内容は事前にメモ書きしておく

電話で督促するときは、伝えるべき内容を事前に書き出し、メモを見ながら話すようにしてください。思い付きで電話すると、本題を切り出せないまま話が終わったり、相手に主導権を握られたりする可能性があります。

あくまでも督促のための電話ですから、主目的を忘れないようにしましょう。

外堀から埋めるように電話する

電話で督促する場合、最初は相手の職場に連絡してください。次に自宅の固定電話に連絡しますが、会社や家族に知られることは債務者も避けたいはずなので、心理的なプレッシャーを与えられます

外堀から埋めると逃げ道がなくなるため、個人携帯への連絡は最後にするのがベストです。

電話する間隔を決めておく

電話の間隔は1時間おきや2時間おきなど、一定間隔を決めておきましょう。頻繁に電話するとストレスになりますが、相手と話ができなければ意味がないため、相手にプレッシャーを与えつつ、自分の負担にならない間隔が重要です。

また、留守電になっているときは必ずメッセージを残してください。居留守を使ったとしても留守電はチェックしている可能性があります。

メッセージは端的にわかりやすく残しましょう。建設的な内容であれば交渉に応じてくれる可能性も高まります。

2.電話督促に効果がなければ督促状(催告書)を送付する

相手が電話の督促に応じない、または電話を無視するときは、書面による督促状(催告書)を送付します。確実に債権回収するという意思表示になるので、相手も無視できないでしょう。

ただし、敵意むき出しの内容では相手の態度も硬直するので、「返済が難しいときは相談に乗る」というスタンスの文面が有効です。

3.内容証明郵便を使う

債務者に督促状を送るときは、配達証明付きの内容証明郵便を使うようにしてください。内容証明郵便を使うと、いつ、誰から誰に、どんな内容の郵便を送ったのか郵便局が証明してくれるので、「受取っていない」という言い逃れができなくなります

また、文面には法的手段を予定していることや、裁判所名や訴訟の名称などを記入しておけば、強力なプレッシャーを与えられます。

相手が受取拒否したときは居住していることが明確になり、債権者に対するスタンスもわかるので、今後の対策を考えやすくなります。

内容証明郵便の料金目安

内容証明郵便の料金は文字数などによって変わりますが、1,300円程度を目安に考えておくとよいでしょう。

なお、電子内容証明を使えば24時間対応で料金も割安になります。

【参考記事】郵便局|内容証明

4.支払いを急ぐときは債務者の自宅を訪問する

債務者の自宅訪問は精神的な負担になるかもしれませんが、効果的に行うと回収確率は高くなります

ただし、行き過ぎた督促は違法になる可能性もあるので、次のポイントに注意してください。

効果的な訪問時期と時間帯

自宅訪問で督促する場合、在宅率の高い時間帯や、回収確率の高い時期を選んでください。日曜日の夕刻~夜間にかけては在宅率が高く、時期的には給料やボーナスの支給日がベストです。

自宅訪問するときの重要ポイント

相手の自宅を訪問するときは、「必ず回収する」という心構えが重要です。できれば全額、無理な場合は一部だけでもその場で支払ってもらうよう、目的をしっかり決めてから訪問しましょう。

相手に持ち合わせがなければ、近くのATM(コンビニなど)まで誘導する気構えで訪問してください。

違法行為に注意する

相手と顔を突き合わせた督促は感情的になりがちですが、以下のような違法行為は訴えられる可能性があるので注意しましょう。

  • 乱暴な言葉遣い(脅し文句)で督促する
  • 同居人へ支払い請求する(受取りは問題なし)
  • 本人に無断で同居人などに借金の明細を知らせる
  • 器物などの破壊や損壊行為
  • 帰宅を促されたのに帰らない

このように力任せにならないためにも、交渉のポイントを以下でご紹介しますので、参考にしてください。

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債務者と交渉するときのポイント

債権者と交渉する場合、相手の資力を無視した督促は効果が薄いため、現実的な弁済方法を提案しましょう。相手が弁済に応じるときは、契約書作成などの実務的な対応もあるので、次のポイントも覚えておいてください。

相手が受け入れやすい弁済方法を提案する

弁済が滞るということは、相手も金銭的に苦しい状況にあるため、債権の減額や弁済期間の延長、分割弁済などの提案が有効です。

相手が義務を果たしやすい状況になるよう歩み寄ることは、弁済の近道になります。

万が一の強制執行に備えて、契約書は公正証書にする

相手が弁済に応じてくれるようであれば、その場で契約書を取り交わせるように準備しておきましょう。ただし、契約内容に不備があると、相手から無効を主張される可能性もあるので、必ず公正証書にしてください。

公正証書は公証役場で作成してもらえ、法的効力が担保されます

実際に作成するときは、債権者が債務者を同伴して公証役場に出向き、双方の契約書内容を確認しながら公証人が公正証書を作成します。

公正証書の作成費用

公正証書は目的の金額によって作成費用が変わるので、以下の表を参考にしてください。

債権額公証人手数料印紙代
1万円未満5,000円0円
10万円以下200円
50万円以下400円
100万円以下1,000円
200万円以下7,000円2,000円
500万円以下11,000円
1,000万円以下17,000円10,000円

上記の料金に正本・謄本の作成費用として250円(1枚あたり)、郵送料に2,000円程度が加算されます。

【参考記事】

日本公証人連合会|10手数料

国税庁|印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで

督促しない方がよいケース

債務者との関係によっては督促しない方がよいケースもあります。督促から法的手段に切り替えた方がよい場合もあるので、次のように判断してください

債務者との関係を悪化させたくない場合

親族や会社の同僚などが債務者であり、円満な関係を維持したいときや、相手の支払い意思が確実な場合は、督促しない方がよいケースもあります。

督促しなくても支払ってくれるかどうか、相手の状況をしっかりチェックしておきましょう。

債務者が自己破産などを検討している場合

自己破産は債務整理する方法の一つですが、成立した場合は借金の支払義務が免除されます。

相手が自己破産すると債権は回収不能になるので、次のような法的手段で先手を打っておく必要があります。

個人でもできる債権回収の法的手段

相手が督促に応じないときや、自己破産を予定している場合は、民事調停や支払督促などの法的手段を講じてください。

法的手段には強制力があるため、個人で債権回収するよりも確実性が高くなります。

民事調停

民事調停とは、調停委員を交えた話し合いによる解決方法です。申立先は債務者の住所地を管轄する簡易裁判所ですが、債権者・債務者双方の合意があれば、別の簡易裁判所や地方裁判所に申し立てることができます。

費用が低額であり、法律の知識が乏しくても申し立てできるので、督促に限界を感じたときは検討してみましょう。

ただし裁判所が支払いを強制することはないため、調停で解決しないときは、支払督促や少額訴訟などの手続きに切り替える必要があります。

民事調停の費用

民事調停の申立費用は請求金額によって変わり、以下のように定められています。

請求の目的民事調停における手数料
100万円以下10万円ごとに500円プラス
100万円越~500万円以下20万円ごとに500円プラス
500万円超~1億円以下50万円ごとに1,000円プラス

例えば請求金額100万円の手数料は5,000円、500万円の場合は15,000円になります。

訴訟に比べるとかなり低コストなので、費用をかけずに法的手段をとりたい場合はおすすめです。

【参考記事】裁判所|手数料額早見表

支払督促

支払督促は裁判所を介した督促手続きですが、相手の異議申し立てで訴訟になる場合もあるため、仮執行宣言付支払督促の取得が最終目的になります。仮執行宣言付きの支払督促には執行力があるので、正式な裁判の手続きをしなくても、判決と同等の効力をもって相手に支払を命じることができます。

裁判所に出向く回数も2回(支払督促の申し立てと仮執行宣言の申立時)でよいため、忙しい方にも有効な債権回収方法です。

支払督促の費用

支払督促の申し立て費用は民事調停の申立費用と同額になっています。

請求の目的支払督促における手数料
100万円以下10万円ごとに500円プラス
100万円越~500万円以下20万円ごとに500円プラス
500万円超~1億円以下50万円ごとに1,000円プラス

ほかに以下の費用がかかります。

  • 郵券切手代
  • 資格証明書:1通450円程度(法務局で入手~商業登記における登記事項証明書)
  • 登記簿謄本:1通600円程度(法務局で入手)

債務者へ裁判所が支払い督促を発布したことを伝える送達費用として郵送代が必要です。東京簡易裁判所の場合、以下のような所定の金額の切手を貼った封筒やハガキを用意します。

  • 120円分の郵便切手を貼った自分宛て(債権者宛て)の封筒
  • 1,125円分の郵便切手を貼った相手方宛て(債務者宛て)の封筒
  • 自分宛て(債権者宛て)の郵便ハガキ(63円)

※債務者へ送る封筒は、債務者の人数分必要です。

そのほか、資格証明書や登記簿謄本の取得費用もかかります。

【参考記事】

裁判所|手数料額早見表

裁判所|支払督促 申立てに必要な書類等

少額訴訟

少額訴訟とは、請求額が60万円以下の場合に可能な訴訟手続きです。

申し立ての手続きが簡易になっており、時間がかからず費用負担も軽いので、債権額が少ないときには検討してみましょう。

少額訴訟の費用

少額訴訟の申立費用は債権額の1%(最大6,000円)であり、郵便切手や印紙代を含めても、総額1万円程度で済みます。

強制執行

執行文付きの債権名義(裁判所が債権執行の資格を認めた文書)をしても相手が弁済に応じないときは、強制執行を申し立ててください。強制執行では相手の財産を差し押さえできるので、預貯金であれば金融機関から、給与の場合は相手の勤務先から債権額を弁済してもらえます。

なお、強制執行には次の3種類があり、費用もそれぞれ異なるので、相手の財産状況などから、もっとも効果的と思われる方法を選択しましょう。

強制執行の費用と種類

強制執行の種類と費用は以下のようになっています。

ただし予納金や納付するべき郵券が各裁判所によって異なります。

(※表は横にスクロールできます。)

種類対象財産申立手数料予納金登録免許税
債権執行預貯金や給与4,000円50万円×
動産執行車や宝石類等×執行官室に問合せ×
不動産執行土地、建物4,000円50万円~60万円程度請求債権額の4/1,000

【参考記事】 裁判所|各種事件の申立手数料等一覧表(広島地方裁判所本庁)

その他の債権回収方法

比較的負担なく個人で債権回収できる方法として、次のようなものもあります。

相殺

お互いの債権・債務を打ち消して債権回収する方法が相殺です。

AがBに対して100万円の債権があり、BはAに対して50万円の債権を有している場合、相殺によってAの未回収債権は50万円(100万円-50万円)になります。片方が相殺を主張すれば成立するので、個人でも十分対応できる債権回収方法です。

なお、相殺の主張には必ず内容証明郵便を使ってください。

代物弁済

代物弁済とは、現金の代わりに不動産や債権などの現物で弁済する方法です。

なお、代物弁済を行った場合、代物財産の価値が債権額を下回る場合でも、債務の弁済がなされたことになります。

債権譲渡

債権回収の方法として、債権譲渡もよく使われます。第三者に債権を譲渡(売却)する方法ですが、債務者側の債権を譲受することで、未回収債権の弁済に充てる方法もあります。

例えば、あなたの債務者Aが別の人物Bに金銭を貸し付けている場合です。AはBに対する債権を持っていますが、これを譲り受けるわけです。その結果Bはあなたに対して借りているお金を返済することになります。

この返済金によって債権を回収するのが債権譲渡です。本来の債権額よりも低額になることもありますが、債権を手放したいときには検討するべきでしょう。

債権者代位権の行使

債権保全を目的とした手法が債権者代位権の行使です。債権者代位権とは、債権の消滅時効を防ぐため、債務者が有する権利(債権や所有権)を債権者が代わりに行使する権利です。

例えば、上記の例で考えると、あなたの債務者Aが別の人物Bに金銭を貸し付けている場合、Bに対して直接あなたが貸し付け金を回収できることになります。Bからの返済を債権回収に宛てるという点では、債務譲渡と似ています。

ただし、債務者に弁済能力がなく、債権の弁済期間を迎えていることが代位権行使の条件で、また、慰謝料や養育費といった他人に権利が移らない性質の権利は除外されます。

個人で債権回収するときの注意点

個人で債権回収する場合、時間や労力、複雑な手続きがネックになります。また、場合によっては真剣に取り合ってくれず、返すと言われるばかりで話が進まないこともあります。

個人で債権回収を進めるなら、次のポイントに注意しておきましょう。

債務者が支払いに応じない可能性が高い

個人で債権回収する場合、法律の専門家や業者ではないことから、相手に足元を見られてしまい、支払いに応じてくれない可能性が高くなります。

また、債権回収のために民事調停を申し立てるケースもありますが、調停は法律で勝ち負けをはっきりさせるというより、話をまとめるのが目的です。

個人の督促では相手に主導権を握られてしまい、妥協案を提案されれば結果的に少ない額で交渉がまとまってしまうこともあります。

裁判所への申し立てに時間と労力がかかる

強制執行などを裁判所に申し立てる場合、必要書類の準備や作成に多大な労力を要します。

訴訟手続きでは何度も裁判所に出向く必要があるので、多忙であれば対応そのものが難しくなります。

個人で債権回収するときは、時間・労力・ストレスなども考慮しておきましょう。

複雑な訴訟手続きに対応しなければならない

債権回収は段階的に対応方法が変わります。督促に効果がないときは民事調停、民事調停がまとまらないときは訴訟を提起するなど、対応方法が変わるたびに複雑な手続きを行わなければいけません

訴状の書き方一つをとっても不慣れな方にはわかりにくいため、想像以上の負担になると思っておきましょう。

債権回収を弁護士に依頼した方がよいケース

債権回収は個人でするより、弁護士に依頼した方がよいケースもあります。弁護士に債権回収を依頼すると、初心者に比べて回収率が圧倒的に高く、短期間で回収できる可能性も高まります。

弁護士に依頼するか、個人で対応するか、具体的には次のようなケースが判断基準になります。

弁護士費用よりも債権額が高額なとき

債権回収を弁護士に依頼するとそれなりの費用になりますが、債権額が高額であれば、コストをかけてでも回収するべきです。

ただし、弁護士費用は債務者へ請求できないので、費用を差し引いた手残りで納得できるかどどうかが重要になります。

債権者との交渉が難航しそうなとき

弁護士は交渉のプロでもあるので、回収不能に思える相手でも取り立ててくれる可能性があります

交渉が難航しそうなときや、交渉そのものが苦手な方は、ぜひ弁護士に依頼してください。

強制執行や訴訟手続きが負担になるとき

弁護士は裁判などの手続きを代行してくれるので、忙しい方ほど費用対効果が高くなります。

特に時効間近の債権があり、回収に時間をかけられない状況であれば、弁護士に依頼するメリットがより大きくなるでしょう。

【関連記事】債権回収には差し押さえが有効!弁護士に差し押さえを依頼する理由と費用も解説

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個人間の債権回収を依頼したときの弁護士費用

弁護士費用は債権回収の必要経費といえるので、あらかじめ費用相場を知っておき、弁護士に依頼するかどうかの判断材料にしてください。

相談料

弁護士への相談料は1時間5,000円~1万円程度ですが、初回相談を無料にしている弁護士も多いので、事務所のホームページを調べてみましょう。

着手金

着手金の額は依頼内容によりますが、10万~30万円程度が相場となっています。

また、依頼内容によっても料金が変わるので、内容証明郵便だけであれば、1万~5万円程度で済むケースもあります。

成功報酬

成功報酬は回収額の10~30%が相場になっています。

ただし、成功の定義がポイントになり、相手に「100万円の債権を弁済する」と確約させることを成功としても、資力がなければ回収は実現しません。このようなケースでは弁護士費用だけ発生してしまうので、何をもって成功とするのか慎重に考えておく必要があります。

実費

弁護士が活動するうえでの交通費や出張旅費、切手代や印紙代などは、実費として請求されます。

債権回収に注力するor得意な護士の選び方

債権回収を弁護士に依頼するときは、まずネットで情報収集し、何を得意としている弁護士か調査してください。

実際に面談するときも、回収ノウハウが豊富かどうかチェックしておきましょう。

【関連記事】ケース別に最適な債権回収の相談先をご紹介|24時間・土日相談・無料相談可能

弁護士の専門分野や債権回収の実績を確認する

弁護士の多くは事務所のホームページを開設し、得意分野を掲載しています。

債権回収に注力しているかどうか、どれくらいの実績があるかをホームページで確認しておきましょう。

状況に応じた回収プランを実行してくれる

債権回収を頼むときは、債権者と債務者の関係や債権額などから、適切な回収プランを提案してくれる弁護士が理想的です。

あなたの意向を無視して、勝手にプランを決める弁護士は避けましょう

粘り強い交渉を行ってくれる

弁護士を選ぶときは、粘り強く交渉してくれるかどうかもポイントになります。

効率最優先の弁護士は内容証明郵便の送付程度にとどめ、以降の回収手段を講じてくれないケースもあるので、あなたの意向に沿ってくれるかどうかをチェックしてください。

完全成功報酬制の費用体系になっている

完全成功報酬制は強い自信がなければ採用できません。

弁護士費用が完全成功報酬制であれば、回収確率が高い弁護士といえます。

個人間の債権回収は弁護士に依頼しよう!

個人で債権回収する方法はいくつもありますが、時間と労力を消耗するうえ、債務者との関係も悪化します。回収完了までのストレスも大きいため、仕事や日常生活に悪影響を及ぼす可能性も想定されます。

また、個人相手の債権回収は繊細な対応を求められますが、感情的にもなりやすく、自分でも気づかないうちに法を逸脱してしまうケースも少なくありません。

自分一人で対応する債権回収に限界を感じたら、なるべく早めに弁護士へ相談してください。

ご自身で債権回収をおこなおうとしている方へ

自身で債権回収する方法はいくつもありますが、回収完了までのストレスも大きいため、仕事や日常生活に悪影響を及ぼす可能性も想定されます。

「家賃の滞納が続いている」「多額のお金を貸しているのに返済がされない」とお困りの方は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。

弁護士に相談・依頼するメリットは、以下の通りです。

  • 債務者との交渉を任せられる
  • 強制執行や訴訟手続きを一任できる など

債権回収ナビには、個人間の債権も対応をしてくれる弁護士事務所も掲載しております。

ただ債権額次第では費用倒れになる懸念から、弁護士が依頼を断るというケーズもございます。

初回相談が無料のところもあるので、まずは自身の状況をご相談ください。

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この記事の調査・編集者
梶原美香
法律系SEOライターとして入社。何よりも読者第一であることを掲げ、読みやすく、理解しやすいコンテンツ制作を心がけている。離婚問題に注力している。
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