債権回収
強制執行の手続きの流れ|何を差し押さえるかで変わる申請方法と必要書類
2024.11.20
債権回収について悩みを抱えている方は、債権回収会社に依頼することが有力な解決策の一つです。
本記事では、債権回収会社の特徴、依頼する場合のメリット・デメリット、依頼の流れなどについて解説します。
債権回収について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
「債権回収で困ったときは、債権回収会社に委託すれば解決してくれる」と考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし債権回収会社が回収できるのは、特定の債権だけです。
個人的な債権や滞納家賃、売掛債権を依頼する事はできません。
債権回収をおこないたいと考えている方は、弁護士に依頼することがおすすめです。
弁護士なら制限なく債権回収を委託する事が可能です。
初回相談が無料の弁護士事務所も掲載しているので、まずはあなたのお悩みをご相談ください。
そもそも債権回収会社とはどのような会社なのでしょうか?
まずは、債権回収会社の基本について解説します。
債権回収会社とは、債権者の代わりに債権の取り立てをおこなう民間の会社のことです。
消費者金融・銀行などの金融機関から債権の譲渡や債権回収業務の委託を受け、債権の取り立てをおこないます。
「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」にのっとり、法務大臣の許可を得て運営されています。
また、債権回収会社のことを「サービサー」とも呼ぶこともあります。
2023年11月現在、法務大臣の許可を得ている主な債権回収会社は以下のとおりです。
【参考元】債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧|法務省
債権回収会社は、サービサー法(正式名称:債権管理回収業に関する特別措置法)の施行により設立が許可されました。
それでは、サービサー法はどのような目的で施行されたのでしょうか?
サービサー法の目的は、以下のとおり定められています。
(目的)
第一条 この法律は、特定金銭債権の処理が喫緊の課題となっている状況にかんがみ、許可制度を実施することにより弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)の特例として債権回収会社が業として特定金銭債権の管理及び回収を行うことができるようにするとともに、債権回収会社について必要な規制を行うことによりその業務の適正な運営の確保を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
上記のとおり、サービサー法は債権回収会社が債権の取り立てをおこなうことを認める法律です。
サービサー法が施行されるまでは、弁護士または弁護士法人しか債権回収を業としておこなうことができませんでした。
しかし、バブル崩壊により不良債権が大量発生したため、債権をスピーディに回収する必要がありました。
そこで、1999(平成11)年にサービサー法が施行され、一定の基準を満たした民間会社も債権回収をおこなえるようになったのです。
債権回収会社として、法務大臣から許可を受けることができるのは、以下の条件を満たした会社に限ります。
債権回収会社の認可をする際、暴力団をはじめとした反社会的勢力を排除することで、悪質な取り立てをなくすことを目的としています。
債権回収会社は、具体的にどのようなサービスを展開しているのでしょうか?
ここからは、債権回収会社が提供している主なサービス内容について解説します。
債権回収会社は、特定金銭債権の管理や回収受託業務をおこなっています。
金銭債権とは、預金・受取手形・売掛金・貸付金など金銭の給付を要求できる権利のことです。
金銭債権のうち、サービサー法で定められている以下の債権のことを特定金銭債権といいます。
債権回収会社は、金融機関から預かった債権の管理や回収をおこなえます。
そのため、債権回収会社に債権回収を依頼した場合、金融機関が直接取り立てをする必要はありません。
債権回収会社は、特定金銭債権の買取もおこなっています。
債権回収会社が金融機関の債権を買い取ることで、資産の健全化や債権管理にかかるコストの削減につながるというメリットがあります。
買取価格は、債権回収会社がおこなう査定によって決まりますが、債権額面金額に比べかなり少なくなることは覚えておきましょう。
上記のほか、債権回収会社によっては以下のサービスを提供している場合があります。
債権回収会社に債権回収を依頼すると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
ここからは、債権回収会社のメリット・デメリットについて解説します。
まず、債権回収会社に債権回収を依頼すると、回収に関わる手間がなくなる点が挙げられます。
自力で債権回収する場合、債務者に直接交渉しなければならず労力がかかるでしょう。
交渉が難航し、債権回収に時間がかかって財務的に負担がかかるおそれもあります。
債権回収会社に依頼すれば、回収対応を全て任せられるので直接やり取りする手間を省けます。
また、債権回収会社に債権を譲渡した場合、その時点で未回収分の債権を現金化できるので、財務への負担も軽減できます。
そのほか、さらに、債権回収会社は法律に沿って回収対応を進めてくれるので、債務者側から「悪質な取り立てを受けた」などと主張されてトラブルになる心配もほとんどありません。
仮にトラブルになったとしても、基本的には債権回収会社の側で対応してくれます。
「回収対応にかかる手間を省きたい」「期日が過ぎた債権をとにかく早く現金化したい」という場合は、債権回収会社に依頼したほうがよいでしょう。
債権回収会社に債権を譲渡する場合、買取価格が本来の債権の額よりも安くなってしまう点がデメリットといえます。
自力で債権回収した場合に比べて、現金化できる額が少なくなるので注意しましょう。
また、債権回収会社に依頼する場合は事務手数料などの費用が必ずかかるため、債権譲渡をしない場合でも金銭的なコストがかかってしまいます。
債権回収会社への依頼により発生する費用と効果を見極めたうえで、依頼するかどうか判断しましょう。
債権回収会社に債権回収を依頼する場合、どのような流れで進めればよいのでしょうか?
債権回収会社に相談してから、実際に回収がおこなわれるまでの一般的な流れは以下のとおりです。
債権回収会社に依頼すると、どのような手段で債権回収がおこなわれるのでしょうか?
ここからは、債権回収会社の回収手段を4つ紹介します。
まず、債務者に金銭の支払いを要求する任意請求をおこないます。
債務者と対面・電話・メールなどで請求し、債務者が支払いに応じれば任意請求は終了です。
支払いに応じなかった場合、「内容証明郵便」を債務者に送り、金銭を支払うよう催促します。
内容証明郵便は、いつ・誰に・どのような文書を送ったかを郵便局に証明してもらえる郵便サービスのことです。配達証明を付ければ、内容証明郵便が債務者に届いたことも証明してもらえます。
債務者が「受け取っていない」と嘘をつくことができないので、債務者が支払いに応じず訴訟に発展した場合は、証拠書類として利用できます。
任意請求をしても債務者が支払いに応じない場合は、支払督促をおこないます。
支払督促とは、簡易裁判所の書記官が債務者に支払いを求める制度のことです。
支払督促申立書を債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に提出し、書記官による審査に通れば支払督促を発付してもらえます。
支払督促を受けた債務者が支払いに応じれば、支払督促に関する手続きは終了です。
しかし、債務者は支払督促を受けてから2週間以内であれば異議申立てをおこなうことができます。
異議申立てがなされた場合は民事訴訟の手続きに移行し、債権の額に応じて簡易裁判所か地方裁判所のいずれかで訴訟をおこなうことになります。
債務者が2週間経っても支払いや異議申し立てをおこなわない場合、仮執行宣言付支払督促を申し立てることが可能です。
申し立てを受けた簡易裁判所の書記官は、「仮執行宣言付支払督促」を債務者に送達します。
債権者は仮執行宣言付支払督促を用いて、裁判所に強制執行を申し立てることができます。
強制執行が受理されると、差押えによる財産処分や競売による財産売却などがおこなわれ、強制的に債権を回収することが可能です。
【参考元】「お金を払ってもらえない」とお困りの方へ 簡易裁判所の「支払督促」手続をご存じですか?|政府広報オンライン
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める訴訟のことです。
通常の訴訟に比べて手続きが簡易的で、原則として即日で判決を出してもらえます。
60万円には利息や遅延損害金が含まれないので、利息や遅延損害金を差し引いた金額が60万円以下なら少額訴訟を申し立てることが可能です。
ただし、同じ裁判所に対してすでに1年間で10回少額訴訟を提起している場合は、それ以上少額訴訟を提起することができません。
【関連記事】少額訴訟とは?手続きの流れや債権回収費用をわかりやすく解説
債務者が少額訴訟に同意しない場合や、債権の額が60万円を超える場合は通常訴訟を申し立てます。
請求する金額が140万円以下の場合は簡易裁判所または地方裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所に訴状を提出します。
訴状が受理されると裁判がおこなわれ、判決が言い渡されます。
判決が確定すれば、強制執行によって債権を回収可能です。
ただし、少額訴訟に比べて、審理に時間がかかる点には注意が必要です。
【関連記事】少額訴訟と通常訴訟の違い|通常訴訟への移行を回避する術
依頼する債権回収会社を選ぶ際、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
ここからは、債権回収会社を選ぶ際に押さえておきたい5つのポイントを紹介します。
1つ目は、法務大臣の許可を受けているかどうかです。
サービサー法に基づき、債権回収会社は法務大臣の許可を得ていなければ営業することができません。
許可を受けていない債権回収会社は違法なので、誤って依頼しないよう注意しましょう。
万が一、債権会社がサービサー法に違反した場合や著しく不当な行為をおこなった場合は、以下のとおり許可が取り消される可能性があります。
(許可の取消し等)
第二十四条 法務大臣は、債権回収会社が次の各号のいずれかに該当するときは、第三条の許可を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第五条各号のいずれかに該当することとなったとき。
二 不正の手段により第三条の許可を受けたとき。
三 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
四 債権管理回収業に関し、著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき。
五 第三条の許可を受けてから六月以内に営業を開始せず、又は引き続き六月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないとき。
依頼を考えている債権回収会社が行政処分を受けて許可を取り消されていないか、必ずチェックしましょう。
なお、営業許可を受けている債権回収会社は以下のWebサイトに記載されているので、依頼する前に確認しておいてください。
【参考元】債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧|法務省
2つ目は、債権回収の実績が豊富かどうかです。
債権回収を多く取り扱ってきた債権回収会社なら、債権回収に関するノウハウが蓄積されているので、スムーズに債権回収できる可能性が高いといえます。
実績の豊富さは、営業許可を受けてからの年数の長さで判断するとよいでしょう。
営業許可を受けてから長くたっている債権回収会社なら、実績が豊富であることはもちろん、これまで行政処分を受けずに適切な債権回収をおこなってきたと考えられるため信頼性も高いといえます。
以下のWebサイトで各債権回収会社の営業許可年月日が確認できるので、依頼前にチェックしておきましょう。
【参考元】債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧|法務省
3つ目は、要望に合わせて適切な手段を提案してくれるかどうかです。
手続きについての説明が不明瞭だったり、希望をあまり聞いてくれなかったりする債権回収会社だと、安心して任せることはできません。
問い合わせをしたあとは、打ち合わせを適切におこなってくれるか、要望に耳を傾けてくれるかどうかなどをチェックしておくとよいでしょう。
4つ目は、サポートが充実しているかどうかです。
債権回収会社によっては、専門のコンサルタントに債権処理に関して相談できる場合があります。
「不良債権をどのように処理すればよいのかわからない」「債権回収をすべきか別の方法で処理すべきか相談したい」といった場合に相談すれば、適切な手段をアドバイスしてもらえます。
債権処理に関わる総合的なサポートを受けられるでしょう。
5つ目は、料金体系についてしっかりと説明してくれるかどうかです。
債権回収会社に依頼する場合、事務手数料をはじめとした費用を負担する必要があります。
必要な料金・手数料についての説明がほとんどないまま契約してしまうと、想定していなかった費用が発生するおそれがあるでしょう。
料金についての説明を適切に受け、自力で回収する場合と債権回収会社に依頼する場合のコストを比較したうえで、依頼するかどうかを検討することをおすすめします。
債権回収会社に債権回収を依頼する場合、手数料が発生します。
手数料は債権回収会社によって異なりますが、自社で回収する場合の手間と時間、弁護士に依頼して回収する場合の金銭的な負担を考えればそこまで気にする必要はないでしょう。
ただし、債権を買い取ってもらう場合、本来の債権額よりも少ない金額での買取となってしまう点にも注意が必要です。
債権買取の場合、回収した債権額と買取額との差額が債権回収会社の利益になるためです。
債権回収会社が回収する債権は、すでに期日が過ぎており、回収が難しいものがほとんどです。
回収できなかった場合のリスクを抑えるため、買取価格は非常に低い金額を提示されるケースが多くなっています。
債権額面金額に比べ非常に少ない金額での買取となることを踏まえて、それでも買い取ってもらうのがよいかどうかをよく検討しましょう。
債権回収会社以外にも、債権回収業務を取り扱っている会社はいくつかあります。
ここからは、債権回収会社とそれ以外でどのような違いがあるのかを解説します。
債権回収は弁護士にも依頼することができます。
債権回収会社との違いは、法人・個人を問わず依頼できることです。
債権回収会社は、特定金銭債権しか管理・回収できません。
特定金銭債権の債権者は基本的に銀行や消費者金融などの金融機関なので、金融機関以外の企業や個人が回収を依頼することは不可能です。
その点、弁護士なら家賃や診療費など、特定金銭債権以外の債権回収もおこなえます。
幅広い種類の債権の回収に対応しているので、金融機関以外の法人・個人の場合は法律事務所に相談するとよいでしょう。
ファクタリング会社にも、債権回収を依頼することができます。
ファクタリングとは、支払い期日を待たずに債権を買い取ってもらうことを指し、早期に現金化できるのが大きなメリットです。
債権回収会社に回収を依頼できるのは、支払い期日が過ぎている債権のみなので、支払い期日が来る前に資金調達したい場合はファクタリング会社に依頼しましょう。
ただし、ファクタリング会社に買い取ってもらえるのは、将来入金されることが確定している「確定債権」に限られるケースが大半です。
たとえば売掛金債権について、取引先から支払い期日や金額などの同意を得ていなかったり、納品がまだされていなかったりする場合は依頼できないので注意してください。
債権回収会社を利用する際、いくつか注意点があります。
債権回収会社に依頼する前に、以下の3つを押さえておきましょう。
債権回収会社は、特定金銭債権しか管理・回収できないので注意してください。
特定金銭債権は、主に銀行や消費者金融などが有する債権です。
そのため、金融機関以外の法人や個人は通常依頼できません。
特定金銭債権以外の債権の回収または買い取りを依頼したい場合は、弁護士やファクタリング会社を検討してください。
債権の時効が過ぎている場合は、債権の回収または買い取りを依頼できない点にも注意が必要です。
債権の消滅時効は、民法で以下のように定められています。
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。引用元:民法|e-Gov法令検索
時効がすでに完成している場合は、債権回収ができない点は覚えておきましょう。
時効がいつ完成するのか具体的に知りたい方は、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士なら時効期間の計算を依頼できるほか、時効の完成を阻止する方法についてアドバイスしてもらうこともできます。
違法な債権回収会社に誤って依頼しないよう注意しましょう。
サービサー法に基づき、法務大臣の営業許可を得ていなければ債権回収会社と認められません。
違法な債権回収会社に依頼してしまうと、手数料を騙し取られるおそれがあります。
債権回収会社に依頼する前に、営業許可の有無を必ず確認するようにしましょう。
債権回収会社には、特定金銭債権の管理・回収を依頼できます。
ただし、特定金銭債権に当たるのは主に銀行や消費者金融などが有する貸付債権で、個人や一般企業が債権回収会社に依頼することは基本的にできません。
一般的な債権を回収したい場合は、法律事務所(弁護士)に依頼することをおすすめします。
法律事務所なら、特定金銭債権だけでなく幅広い債権の回収を依頼できます。
売掛金、個人間の貸付、滞納家賃および未払い診療費など、債権回収会社では取り扱っていない債権の回収をしたいなら、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
「債権回収で困ったときは、債権回収会社に委託すれば解決してくれる」と考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし債権回収会社が回収できるのは、特定の債権だけです。
個人的な債権や滞納家賃、売掛債権を依頼する事はできません。
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