不倫・離婚慰謝料
大阪府で無料の不倫慰謝料の弁護士相談窓口を確認|目的別の使い分けも紹介
2024.11.14
パートナーの不倫が発覚したときは、謝罪や慰謝料などについて話し合い、示談書を作成するケースがあります。
不倫は離婚理由に該当する「不貞行為」になるため、そのまま離婚するのか、夫婦関係を修復するのか、示談書に書いておいたほうがよいでしょう。
なお、相手が示談内容に従わない可能性もあるため、不倫の示談書には法的効力が必要です。
本記事では、不倫の示談書のテンプレートをもとに、書き方や注意点などをわかりやすく解説します。
不倫の示談書とは、当事者間の合意や和解内容などを記載した書面です。
「示談」という言葉は交通事故で使われるケースが多く、基本的には被害者と加害者が話し合い、法的措置を取らずに賠償金などを決める行為です。
不倫の場合は、不倫した側と不倫相手が加害者、不倫された側が被害者という関係になり、当事者間で慰謝料請求などのルールを取り決めて示談書に記載します。
示談そのものは口約束でも成立しますが、言った・言わないのトラブルになりやすいため、必ず書面にしておきましょう。
不倫の示談書を作成したあとに離婚しても、示談内容の効力は失われません。
ただし、離婚後は元配偶者を拘束できないため、「不倫相手とは二度と会わない」などの取り決めは無効になりやすいでしょう。
違約金などの取り決めについても、「独身だから誰と会っても違法ではない」などの理由で、請求に応じてもらえない可能性があります。
不倫の示談交渉が成立したら、その場で示談書を作成してください。
示談書には署名・捺印も必要になるため、相手には実印と印鑑証明書を準備するように伝えておきましょう。
本来は認印でも構いませんが、実印と印鑑証明書があれば、示談の合意が本人の意思であることを証明できます。
あらかじめ示談書の原案を作成し、変更・削除・追加があった部分をすぐに修正すると、その場で署名・捺印してもらえます。
示談書の作成が後日になると相手の気が変わってしまい、署名・捺印をもらえない可能性があるので注意してください。
不倫の示談書を作成するときは、以下の7項目を必ず記載してください。
「慰謝料は必ず払ってくれるから書かなくてもよいだろう」など、楽観的な考え方は要注意です。
不倫の示談書を作成する場合、不倫の事実を以下のように記載します。
【記載例】
AとBはCに対し、AとBが○年○月○日から〇年○月○日まで不貞行為をおこなったことについて、真摯に謝罪する。
不倫をした当事者については、必ず実名を記載してください。
「夫は妻に対し」などの記載内容は個人を特定できないため、示談書が無効になる恐れがあります。
不倫の示談書の誓約事項については、以下のような内容を記載します。
不倫の再発やSNSなどを使った誹謗中傷を防止したいときは、必ず誓約事項を決めてください。
不倫の慰謝料については、以下の項目を示談書に記載します。
相手が一括で慰謝料を支払えないときは、分割払いの回数を指定してください。
支払方法を銀行振込にする場合、示談書に支店番号や口座番号などを記載し、振込手数料をどちらが負担するかも決めておきましょう。
不倫の慰謝料を請求する場合、請求先は「配偶者」「配偶者の不倫相手」「両方」の3パターンがあり、どれを選択しても構いません。
配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求し、ひとまず不倫相手が全額を支払った場合、不倫相手は配偶者に立替分を請求できます。
立替分の請求を「求償」といい、不倫相手に求償権を行使させたくないときは、以下の内容を示談書に記載します。
【記載例】
なお、慰謝料の二重取りは認められないため、不倫相手から全額を受け取っている場合、自分から配偶者には請求できません。
不倫の示談書を作成する際は、配偶者や不倫相手が示談内容に従わないケースに備え、違約金などのペナルティも記載します。
【記載例】
期限の利益喪失とは、「支払期日までに慰謝料を支払えばよい」という利益を失い、約束を破ったために一括払いとなる状況です。
清算事項とは、示談書に記載された内容以外については、お互いに責任を負わない旨を定める項目です。
【記載例】
示談書に清算事項を記載しておけば、不倫相手から「ひどいことを言われたので、あなたに慰謝料を請求する」などと主張されても従う必要はありません。
不倫の事実や示談書の内容などを口外されたくないときは、以下のように守秘義務も記載しておきましょう。
【記載例】
示談書に守秘義務を記載すると、配偶者や不倫相手が友人などに話を広げてしまうリスクを防止できます。
不倫の示談書を自分で作成するときは、以下のテンプレートを参考にしてください。
【不倫の示談書の記載例】
示談書
アシロ花子、アシロ太郎および浮木須瑠代は、アシロ太郎と浮木須瑠代がおこなった不貞行為について、以下のとおり合意する。
第一条 謝罪
アシロ太郎および浮木須瑠代はアシロ花子に対し、アシロ太郎と浮木須瑠子がおこなった不貞行為について、真摯に謝罪する。
第二条 慰謝料
アシロ太郎および浮木須瑠代はアシロ花子に対し、本件不貞行為に関する慰謝料として、金100万円の支払義務があることを認める。
なお、本件不貞行為に関する慰謝料については、アシロ太郎と浮木須瑠代が連帯して支払うものとする。
第三条 慰謝料の支払方法
アシロ太郎および浮木須瑠代は、前条の金員について○年○月○日を支払期日とし、振込手数料を負担の上、アシロ花子が指定する下記口座へ振込みによって支払う。
金融機関名:○○銀行△△支店
口座番号:○○○○○○○
口座種別:普通
口座名義:アシロ花子
第四条 口外禁止
アシロ花子、アシロ太郎および浮木須瑠代は、本件示談書の存在およびその内容について、理由の如何に関わらず、第三者に一切口外しないことを約束する。
○年○月○日
東京都新宿区○○ ○丁目○番地○○ アシロ花子 印
東京都新宿区○○ ○丁目○番地○○ アシロ太郎 印
東京都足立区○○ ○丁目○番地○ 浮木須瑠代 印
不倫の示談書を作成するときは、以下の流れを参考にしてください。
示談の内容は当事者の交渉で決めますが、まず不倫の証拠を確保する必要があります。
不倫の証拠を確保すると、示談交渉で有利な条件を引き出せます。
まず自宅や車などを調べ、以下の証拠を確保してください。
相手に感づかれると証拠を隠される恐れがあるため、外出中や入浴中に財布やスマートフォンなどを調べてみましょう。
クレジットカードの利用明細やレシートなどを調べると、ホテルの宿泊や不倫相手へのプレゼントなどがわかる場合もあります。
不倫について配偶者と示談交渉するときは、不倫相手も交えてください。
夫婦だけで示談交渉を進めると、「相手に確認しないとわからない」などといわれてしまい、話が進まない場合があります。
対面の話し合いが苦手な方は、内容証明郵便で謝罪や慰謝料を請求してみましょう。
内容証明郵便は受取日や文面を郵便局が証明してくれるため、「そんな話は知らない」などの言い逃れを防止できます。
不倫の示談交渉がまとまったらその場で示談書を作成し、配偶者と不倫相手の署名・捺印をもらってください。
実印と印鑑証明書を忘れているときは、「今日中に持って来てください」と言い切ってもよいでしょう。
少々きつい言い方にはなりますが、加害者であることを認識してもらう必要があります。
示談書を作成したあとは、施錠できるキャビネットなどに保管してください。
家庭裁判所で慰謝料や離婚を争うことになった場合、配偶者や不倫相手が示談書を改ざんする恐れがあるため、厳重な保管が必要です。
不倫の示談書を当事者全員に渡したら、期日どおりに示談内容が履行されたかどうか、必ずチェックしてください。
慰謝料の支払いが連絡なしで滞る、または不倫相手との接触を繰り返すようであれば、示談書で決めたとおりのペナルティを科さなければなりません。
不倫の示談書を作成するときは、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
内容によっては示談書が無効になるため、不安があれば弁護士にサポートを依頼してください。
示談書の作成を相手に任せると、示談交渉でも主導権を握られる恐れがあります。
口座番号などの書き間違いに気付かなかった場合、慰謝料の支払いが遅延したときの言い訳にされるため、示談書は自分で作成したほうがよいでしょう。
不倫の示談書を作成する際は、第三者が見てもわかる書き方にしてください。
たとえば、違約金の条項に「常識的な金額を支払う」などと書いた場合、自分は50万円程度を想定していても、相手は1万円で十分だと考えるかもしれません。
不倫相手の姓が「渡邊」であるところ、「渡辺」と書いてしまった場合も、「自分について書かれた示談書ではない」と主張されるでしょう。
示談書は家庭裁判所に提出する可能性もあるため、複数の解釈ができる書き方は避けてください。
法的に無効な示談書を作成すると、謝罪や慰謝料支払いの拒否理由になります
たとえば、示談書の作成日を洩らした場合、その他の文面に問題がなくても無効を主張される恐れがあります。
配偶者や不倫相手を侮辱するなど、公序良俗に反する内容や、常識的にあり得ない高額な慰謝料を記載した場合も、示談書の有効性を疑われるでしょう。
示談書は人数分を作成し、上部をずらして割印も押しておくと、それぞれが同一日・同一内容で作成された示談書であることを証明できます。
同一内容の示談書を作成し、配偶者や不倫相手にも渡す場合は、改ざんリスクへの備えも必要です。
不倫の示談書を作成するときは、テンプレートをそのまま使わないように注意してください。
テンプレートは記載例に過ぎないため、自分が直面している不倫問題とは内容が異なります。
たとえば、慰謝料100万円を請求できるケースにも関わらず、テンプレートどおりに50万円と記載し、署名・捺印まで済ませると、追加請求はできません。
不倫の状況は個別に異なるため、示談書のテンプレートはあくまでも「見本」だと理解しておきましょう。
示談書を公正証書にすると、法的効力を担保できます。
公正証書は公証人が作成してくれるので、示談書の原案が決まったら、公証役場に予約を取ってください。
強制執行受諾文言も条項に入れると、慰謝料の支払いが滞った際に、裁判所の判決がなくても相手の財産を差し押さえられます。
弁護士に示談書の作成を依頼すると、必要条項に漏れがなく、慰謝料も適正額を算定してくれます。
自分で作成した示談書は必要な条項が漏れやすいため、配偶者の不倫が再発した場合、「ペナルティを設定していなかった」などの事態になりかねません。
慰謝料の決定にも専門知識が必要になっており、弁護士以外が金額を決めると、相手から根拠を聞かれても答えられないでしょう。
弁護士が作成した示談書は相手も納得しやすいため、慰謝料の支払い遅延を防止できます。
テンプレートを参考にすると、自分で不倫の示談書を作成できますが、「修正はどうする?」など、わからないことも多いでしょう。
不倫の示談書を作成するときは、以下のよくある質問も参考にしてください。
自分で作成した示談書も法的に有効です。
ただし、示談書の作成はハードルが高くなっており、慰謝料や損害遅延金、違約金などの算定根拠を明確にしなければなりません。
根拠を提示できない示談書を作成すると、相手は署名・捺印を断るでしょう。
示談書の作成に資格などは必要ありませんが、法的有効性を担保したいときは、弁護士への作成依頼をおすすめします。
示談書の作成費用を相手に請求しても構いません。
示談交渉で作成費用の負担者を決定し、配偶者と不倫相手に半分ずつ請求するケースもあります。
なお、弁護士に示談書の作成を依頼したときは、原則として依頼者が作成費用を支払います。
妻が弁護士に依頼している場合、作成費用の請求先を夫にすることはできません。
当事者の合意があれば、示談書の内容は修正可能です。
修正箇所に二重線を引いて訂正印を押印し、その傍らに修正後の内容を記載しておけば、特に問題はありません。
ただし、「勝手に内容を変えられた」と言われないよう、当事者全員の訂正印を押印し、「○○から△△に修正・○年○月○日」と記載したほうが無難です。
修正箇所が多いときは、再作成がよい場合もあります。
示談書と誓約書には以下の違いがあります。
謝罪や慰謝料請求の話し合いを書面化するときは、表題を「示談書」にしたほうがよいでしょう。
パートナーや不倫相手に「二度と接触しません」などの約束をさせたいときは、本人に誓約書を書かせてください。
相手が慰謝料を支払わない場合、夫婦間の協議では解決しないケースが多いでしょう。
基本的には法的手段が必要になるため、以下の対処法を参考にしてください。
慰謝料の支払いが滞っているときは、内容証明郵便で請求してください。
不倫の慰謝料請求には期限があり、以下のように権利行使していない期間があると、請求権が消滅します。
内容証明郵便で慰謝料を請求すると、請求権の行使が証拠として残るため、時効の完成を回避できます。
内容証明郵便を送付しても相手が慰謝料の支払いに応じないときは、慰謝料請求調停を申し立ててみましょう。
不倫の慰謝料請求調停は申立先が簡易裁判所になっており、調停委員を交えて話し合いで解決を目指します。
なお、調停では判決が出ないため、相手が和解案に納得しなければ、調停不成立となります。
調停が一回でまとまるケースは少なく、早くても3ヵ月程度かかるため、スピード解決には向いていません。
不倫の慰謝料請求には「調停前置主義」がないため、夫婦間の協議がまとまらないときは、最初から訴訟を起こしても構いません。
訴訟の場合は「慰謝料○○万円を支払え」などの判決が下るため、相手も従わざるを得ないでしょう。
ただし、裁判は証拠主義になっており、不倫の事実や、慰謝料請求額の妥当性を自分で立証しなければなりません。
裁判が始まると口頭弁論も開かれるので、自分で対応できないときは、弁護士にサポートを依頼してください。
相手が調停や裁判の結果に従わないときは、強制執行の申立てを検討してください。
不倫の示談書を公正証書にしており、強制執行受諾文言の条項がある場合や、調停や訴訟を経ていると、地方裁判所に強制執行を申し立てられます。
強制執行では裁判所が相手の給与や動産、不動産などを差し押さえるため、確実に慰謝料を回収できます。
なお、「慰謝料を支払ってもらいたいけど離婚する気はない」という場合は、強制執行の対象が不倫相手だけになるでしょう。
配偶者には謝罪のペナルティしかなく、自分だけ慰謝料を全額請求された場合、逆上した不倫相手が口外禁止のルールを破るかもしれません。
強制執行を検討する際は、まず弁護士にも相談しておきましょう。
相手が慰謝料を支払わないときは、慰謝料的財産分与を請求する方法もあります。
財産分与は夫婦の共有財産を清算するため、「離婚時に決めるもの」と思われがちですが、慰謝料的財産分与は離婚していなくても請求可能です。
もちろん、離婚する際も慰謝料的財産分与を請求できるため、基本的には財産を半分ずつに分けますが、慰謝料分の上乗せが認められます。
不倫の示談書には配偶者と不倫相手も関係するため、慰謝料請求や求償権の放棄など、すべての項目を明確に記載しておきましょう。
あいまいな内容で不倫の示談書を作成すると、配偶者や不倫相手に無効を主張されてしまい、自分だけが泣き寝入りする事態になりかねません。
夫婦間の取り決めは口約束になりがちですが、あとで言った・言わないの水掛け論にならないよう、必ず示談書を作成してください。
不倫の示談書作成に困ったときは、弁護士に相談しておくとよいでしょう。