離婚調停中に嫌がらせ行為をするとどうなる?4つの不利益やとるべき対応などを解説

離婚調停中に嫌がらせ行為をするとどうなる?4つの不利益やとるべき対応などを解説

離婚調停中であるにもかからず、直接連絡を取ろうとしたり、会社に押し掛けたりする人もいるようです。

しかし、配偶者に対してこのような嫌がらせ行為をおこなった場合、多くの不利益を被ることになります

本記事では、離婚調停中の方やこれから離婚調停をする方に向けて、以下の内容について説明します。

  • 離婚調停中の嫌がらせ行為に関する基礎知識
  • 離婚調停中の配偶者に対して嫌がらせ行為をした場合の不利益
  • 離婚調停中の配偶者に対して嫌がらせ行為をした人がとるべき対応 など

本記事を参考に、嫌がらせ行為をしてはいけない理由やした場合の不利益などについて理解しましょう

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この記事を監修した弁護士
澤田先生
澤田 剛司弁護士( 弁護士法人若井綜合法律事務所 新橋オフィス)
圧倒的な数の「不貞慰謝料」、「男女トラブル」を中心に、「刑事事件」、「債権回収」、「詐欺・脅迫被害事件」等、様々な相談に対応。「どこよりも素早い対応で、どこよりも安心して任せられる」を心がけている。

離婚調停中にしてはいけない嫌がらせ行為とは?

嫌がらせとは、一般的には他人が嫌がることを言ったり、態度に表したりする行為を指します

離婚調停中に見られる嫌がらせ行為には、たとえば、以下のようなものがあるでしょう。

  • しつように電話やメールをする
  • 会社や勤務先などに押し掛ける
  • 生活費を支払わないと脅迫する
  • 調停期日を無断で欠席する など

もしかしたら相手の離婚を思いとどまらせるために、嫌がらせ行為をしようと考えているかもしれません。

しかし、仮にこうした嫌がらせ行為をしたとしても、相手が離婚を諦めようと思う可能性は低いでしょう。

むしろ相手の態度を硬化させて、離婚の意思を決定的なものにしてしまうため、絶対にしてはいけません。

離婚調停中の配偶者に対して嫌がらせ行為をした場合の4つの不利益

離婚調停中の配偶者に嫌がらせ行為をすると、以下のような不利益があります

  • 離婚調停が不利になる可能性が高い
  • 損害賠償を請求される可能性がある
  • 接近禁止命令を出される可能性がある
  • 行為の内容によっては刑事告訴をされる

ここでは、離婚調停中の配偶者に対して嫌がらせ行為をした場合の4つの不利益について説明します。

1.離婚調停が不利になる可能性が高い

嫌がらせ行為をしている場合、相手がその行為についても調停委員に相談する可能性があります

その結果、調停委員が「嫌がらせ行為が婚姻生活を続けるのを困難にさせている」と判断するかもしれません。

婚姻生活を続けるのが困難だと判断した調停委員は、あなたに対して離婚をするよう促してくると考えられます

2.損害賠償を請求される可能性がある

配偶者に対する嫌がらせ行為であっても、民法上の不法行為が成立する可能性があります

この場合、相手が不法行為に基づく損害賠償請求(慰謝料請求)をしてくるかもしれません。

請求金額は行為の内容や被害の程度などによって異なりますが、30万~300万円程度になる場合が多いです。

3.接近禁止命令を出される可能性がある

嫌がらせ行為をしている場合、相手が裁判所に対してDV保護法に基づく保護命令を申し立てる可能性があります

裁判所が保護命令を出した場合、配偶者やその家族に接近したり、連絡を取ったりすることなどが困難になります。

なお、保護命令に違反した場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金刑を処される場合があります(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第29条)。

4.行為の内容によっては刑事告訴をされる

嫌がらせ行為の内容によっては、以下のような犯罪が成立する可能性があります

  • 脅迫罪:相手の生命、身体、財産などに対して害を与える告知をした場合に成立する犯罪のこと
  • 強要罪:脅迫や棒鋼などを用いて他人に義務のない行為をおこなわせた場合に成立する犯罪のこと
  • ストーカー規制法違反:ついまといや位置情報の無承諾取得などをした場合に成立する犯罪のこと

これらの犯罪をしている場合、相手が被害届を出したり、刑事告訴をしたりする可能性があります

そして刑事手続を経て犯罪が確定した場合には、法定離婚事由に該当する可能性が高いといえます。

そのため、仮に裁判離婚に進んだ場合は離婚が成立してしまう恐れがあります

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離婚調停中の配偶者に対して嫌がらせ行為をした人がとるべき2つの対応

離婚調停中の配偶者に対して嫌がらせ行為をした場合は、以下の対応をとるようにしてください。

  1. 嫌がらせ行為をやめる
  2. 弁護士に相談・依頼をする

ここでは、離婚調停中の配偶者に対して嫌がらせ行為をした人がとるべき2つの対応について説明します。

1.今すぐ嫌がらせ行為をやめる

現在も嫌がらせ行為を続けている場合は、今すぐその嫌がらせをやめるようにしてください

嫌がらせ行為には正当な理由はまったくなく、法律トラブルに発展してしまうリスクもあります

離婚調停が申し立てられている以上、その調停手続を通じて自分の意見や希望などを伝えましょう。

2.弁護士に相談・依頼をする

嫌がらせ行為を続けた結果、慰謝料請求をされたり、刑事告訴をされたりする可能性もあります

このような法律トラブルに発展してしまった場合には、できる限り早く弁護士に相談するのが望ましいです。

弁護士に相談・依頼をすることで、法律トラブルがこれ以上大きくなるのを防げる可能性が高まるでしょう

離婚調停中にやってはいけないこと | 嫌がらせ以外の3つのNG行為

嫌がらせ行為以外にも、以下のような行為も離婚調停中にしてはいけません

  1. 異性と交際したり同棲したりする
  2. 相手の許可を取らずに子どもを連れ去る
  3. 夫婦の共有財産を勝手に処分してしまう

ここでは、離婚調停期間中にやってはいけないNG行為を紹介します。

1.異性と交際したり同棲したりすること

離婚調停中は、まだ婚姻関係が継続しているので婚姻関係が破綻しているとは言えない場合もあります。

それにもかかわらず配偶者以外の異性と交際・同棲すると、不貞行為と判断される可能性があります

仮に不貞行為と判断された場合は有責配偶者となり、配偶者から慰謝料を請求される恐れがあります

2.相手に許可を取らず子どもを連れ去ること

別居中の配偶者のもとにいる子どもを無断で連れ去った場合、以下のような不利益が生じる可能性があります。

  • 親権者として不適格だと判断される
  • 今後の面会交流が実施で事実上困難になる。
  • 未成年略取・誘拐罪に問われる など

離婚後の親権・面会交流権などに影響が出る可能性があるため、絶対に子どもの連れ去りをしてはいけません。

3.夫婦の共有財産を勝手に処分してしまうこと

離婚調停中に、以下のような共有財産を処分する行為もしてはいけません

  • 不動産を売却する
  • 退職金を使い込む
  • 生命保険を解約する など

仮に共有財産を使い込んだとしても、離婚調停では使い込む前の財産の価格を基準に分割がおこなわれます。

また「お金がないから払えない」という主張は認められず、分割払いなどの方法で支払う必要があるのです。

さいごに|離婚調停中の配偶者に対する嫌がらせは絶対にしないように!

離婚調停中の配偶者に対する嫌がらせ行為をした場合、離婚調停で不利になるなど多くの不利益があります。

そのため、相手に離婚を諦めてもらいたいなどの理由がある場合でも、絶対に嫌がらせはしないようにしましょう

なお、もし嫌がらせ行為をしている場合は法律トラブルに発展する前にその嫌がらせをやめるようにしてください。

また、法律トラブルに発展してしまった場合には、できる限り早く弁護士に相談・依頼することをおすすめします

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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