離婚相談
女性のための離婚相談窓口まとめ|目的別の相談窓口や弁護士をおすすめする理由を解説
2024.10.25
配偶者に多額の借金が見つかった場合、そのことをきっかけに離婚を考え始める人は多いものです。とはいえ、借金を理由に離婚できるのか、借金の返済が自分にも回ってきたらどうしようという不安があり、なかなか配偶者に離婚を言い出せない人もいるのではないでしょうか。
実際のところ、離婚する際に配偶者の借金があなたに影響をおよぼす可能性があるのも事実です。ただし、具体的にどのような部分で関わってくるのかは事案によります。しかも、慰謝料や養育費の請求、財産分与など解決しなければならない問題はたくさんあります。
本記事では、配偶者の借金を理由に離婚できるのか、離婚の際に配偶者の借金があなたにもたらす影響について、具体的な事例と法律内容を用いながら説明します。借金問題がからむ離婚をスムーズに解決させたい人は、参考にしてみてください。
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もし配偶者に多額の借金が見つかった場合、驚くと同時に配偶者との離婚を考え始める人は少なくありません。とはいえ、配偶者の借金を理由に離婚することは可能なのでしょうか。
まずは、配偶者の借金を理由にした離婚の可否について見ていきます。
結論からいうと、あなたが配偶者に対して離婚請求した際、その理由が何であれ配偶者が同意してくれれば離婚できます。したがって、配偶者の借金が発覚したことによる話し合いが円滑に進めば、そのまま離婚できる場合もあります。
日本では、夫婦のどちらかが離婚を要求する際、まず『離婚協議』という当事者同士の話し合いの場がもたれることが多くあります。この離婚協議では、どのような理由であれ双方の同意が得られれば離婚が成立します。
万が一、この離婚協議で夫婦のどちらかが離婚に合意しなかった場合は、次の段階として家庭裁判所での『離婚調停』に進むことになります。とはいえ、この離婚調停も要は離婚の合意を図る話し合いの手続きにすぎず、離婚成立のためには夫婦双方の同意が必要です。
離婚協議と離婚調停の大きな違いは、家庭裁判所で調停委員を交えるかどうかという点です。調停委員という仲介役が客観的意見も述べてくれることがあるため、離婚に対する夫婦の真意や要望が明確に見え、スムーズに協議が進むことがあります。
もしあなたが配偶者の借金を理由に離婚したいと思うのであれば、遅くとも離婚調停の段階で決着をつけられるよう尽力しましょう。というのも、離婚調停以降の手続きでは、離婚の条件が厳しくなるからです。詳しくは次の項目で説明します。
配偶者から離婚を拒否し続けられた場合、協議・調停の次に行うのが『離婚裁判』です。離婚裁判は、離婚を希望する者が家庭裁判所へ提起することで開始されます。
ここで押さえておきたいのは「裁判までくると簡単に離婚できない」という点です。これまでの協議・調停では夫婦間の同意のみで離婚成立となりましたが、離婚裁判では民法第770条で定められた以下の『法定離婚事由』がなければ離婚できないことを理解しておきましょう。
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上記を見ると多少の「借金」はどの事由にも該当しないため、配偶者のわずかな借金のみを理由にした離婚請求は認められない可能性が高いといえます。裁判で離婚しようと思うなら、配偶者の借金問題が、法定離婚事由にどのように該当するか、他の事情なども挙げて説明する必要があります。
例えば、以下のような場合は「悪意の遺棄」「婚姻を継続しがたい事由」に該当する可能性があります。
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悪意の遺棄は生活費の未払いや別居など、夫婦が共同生活を営む義務に大きく反していることを指します。婚姻を継続しがたい重大な事由とは、本人同士の意思や客観的要素から判断し、婚姻が破綻していて回復が見込めないといえるほどの事情を指します。
配偶者の借金を、悪意の遺棄や婚姻を継続しがたい重大な事由として離婚理由にするなら、それを確かなものとする証拠が必要です。
また証拠を得られたとしても、裁判では夫婦関係や経済状況など、さまざまな面を見て総合的に離婚すべきかが判断されるという点を理解しておきましょう。
たとえあなたが借金のある配偶者と離婚したいと思っても、その借金の返済責任があなた自身にもあれば、話の進め方が変わってきます。場合によっては、離婚しないほうがよい可能性もあるでしょう。
ここからは、配偶者が作った借金の返済義務は誰にあるのかという点について詳しく見ていきます。
まず、個人の責任で発生した借金の返済義務は、契約者本人にしか課せられません。したがって、配偶者に多額の借金が発覚した場合でも返済義務は配偶者のみにあり、あなたは1円たりとも支払う必要はないのです。
ここでいう「個人の責任で発生した借金」には、以下のような事由が挙げられます。
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このような借金の返済は、たとえ配偶者から支払協力を懇願されたとしても断れます。夫婦とはいえ他人であるため、あなたが配偶者との離婚を考えているのであれば、金銭的な援助は控えておくのがよいでしょう。
前述で「借金の返済義務は契約者にある」と説明しましたが、配偶者が抱える借金の内容によっては、あなた自身にも返済義務が生じるケースがあります。
例外となるケースは以下のとおりです。
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万が一、あなたが配偶者の抱える借金の保証人になっている場合、契約者である配偶者が返済できなくなればあなたが返済しなければいけません。このような保証人制度は、夫婦が離婚することで消失するわけではないのです。
もしあなたが配偶者の連帯保証人になっているのであれば、保証人を変えてもらうなど配偶者側に対応を求め、不安を取り除いておくのがおすすめです。
また、夫婦が日常生活を維持するうえでやむなく作った借金は『日常家事債務』といわれ、民法第761条で定められているとおり、夫婦が離婚したとしても連帯債務が課せられる可能性があります。
(日常の家事に関する債務の連帯責任)
第七百六十一条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
引用元:e-Gov法令検索|民法第761条
ちなみに「日常家事債務」に該当する費用には、家賃や光熱費、食費、日用品費、医療費、教育費なども含まれます。借金を抱える配偶者と離婚する場合、その借金がどのような理由で発生したものなのか仕分けしておくことが大切です。
配偶者の借金は、発生事由に応じてあなたの返済義務が変わるとわかりました。そのうえでもう一点気になるのが、借金が離婚にともなう財産分与にどのような影響をもたらすのかということです。
気になる詳細について、具体例を踏まえながら見ていきます。
まず、配偶者が個人的な理由で作った借金は、財産分与に影響しません。あなたと配偶者の共有財産は民法第768条の規定どおり分与を請求できます。状況によって考慮されることもありますが、原則1/2の割合で分けられます。
(財産分与)
第七百六十八条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
引用元:e-Gov法令検索|民法第768条
実際どのように分けられるのか、具体例を参考にしてみましょう。
(例)配偶者の借金が個人的理由である場合の財産分与
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このように、配偶者の個人的な浪費で生じた借金は、夫婦の財産から差し引くことなく財産分与できます。
配偶者の借金に対する支払い能力が低ければ、財産分与された満額をあなたが手にすることは難しい可能性もあります。
また、夫婦共有財産をどのように分与するのか、話し合いで解決しない場合は裁判で争うことになります。
そもそも財産分与とは、夫婦が共有する「プラスの財産」を分け合うものです。したがって、夫婦生活を営むうえで発生した借金はあらかじめ共有財産から差し引き、残った財産を分与する方法をとります。
具体例をもとに見ていきます。
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上記のとおり、夫婦の財産から借金額を差し引き、残った財産を1/2で分けるのが一般的な流れです。万が一、債務額が共有財産よりも高額だった場合は、以下のようになります。
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このような場合、夫婦共有財産は「存在しないもの」とされ、財産分与はおこなわれません。すなわち、夫婦が受け取れる金額は0円ということです。
もし夫婦の共有財産として持ち家がある場合、住宅ローンがまだ残っているというケースも多いことでしょう。不動産の財産分与は「現在の住宅価格」と「住宅ローンの残債」に焦点を当てて考えていきます。
ここから想定される2パターンの財産分与について、具体例をもとに見ていきます。
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この場合、住宅を3,000万円で売却して住宅ローンを完済したうえで、差額を財産分与の規定にのっとり1/2で分けます。「現在の住宅価格-ローン残債=住宅の価値」と考え、夫婦に財産を分配するということです。
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現在の住宅価格がローン残債よりも下回っていることを『オーバーローン』といい、この場合の住宅は「無価値」と判断され、財産分与の対象外となります。そのため、夫婦が受け取れる財産は何もありません。
ちなみに、住宅ローンの残債は契約者にそのまま引き継がれるパターンが多いです。住宅を売却しても構いませんが、オーバーローンであれば返済義務だけが残る可能性があることを認識しておきましょう。
なお、もし売却してオーバーローン分の債務が残った場合には、単に無価値と扱うのではなく、日常家事債務が残っている場合と同様に扱うことがあるので注意が必要です。
借金を理由に離婚する場合、借金を抱えている配偶者に対して慰謝料や養育費の請求はできるのでしょうか。
結論から伝えると、たとえ配偶者が借金を抱えていたとしても、慰謝料や養育費の請求は可能です。
考え方として、慰謝料は「精神的苦痛に対する損害賠償」であり、養育費は「子どもの監護や養育に必要な費用」です。これらの請求は配偶者の借金に一切関係なく、配偶者の支払い能力を問わず請求可能です。
慰謝料でいくら請求できるかは、離婚原因によってさまざまです。また、配偶者があなたに与えた精神的苦痛の期間や程度、家族構成といったあらゆる事情を考慮して決定されます。
また、慰謝料が高額になると見込めるのは、不貞行為です。婚姻関係において、不貞行為は卑劣な裏切りとされており、慰謝料は数十万~300万円程度になることが予想されます。
借金の理由に不貞行為がともなう場合は、高額な慰謝料請求が望めるかもしれません。
養育費は、裁判所が公表する『養育費算定表』から決定します。夫婦の年収をもとに、子どもの人数や年齢によって金額が変動する仕組みになっており、夫婦の離婚原因や配偶者の借金額に関係なく公正に判断されることとなります。
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配偶者の借金を理由に離婚する場合の返済義務や財産分与、慰謝料、養育費の請求について見てきましたが、それらを確実に遂行するためにも注意すべきことがあります。配偶者との離婚後トラブルに巻き込まれないためにも、しっかり理解しておきましょう。
もし、あなたが借金の連帯保証人になっている場合、配偶者との離婚前に保証人差し替え対応を完了させておきましょう。
前述のとおり、(連帯)保証人は離婚によって取り消されるものではありません。また、債権者の立場から考えると簡単に解除できるものでもないのです。
もしも配偶者が破産した場合、連帯保証人になったままだと今度はあなたに返済義務が回ってくることになります。そのような事態を防ぐためにも、別の保証人を立てることを検討・実行しましょう。
例えば、住宅ローンには連帯保証人が必須というわけではありませんが、ペアローンの場合や配偶者との収入合算などでローン契約をした場合、あなたが連帯保証人になっているはずです。また、配偶者の収入が元々安定せずあなたが連帯保証人となっているケースもあるでしょう。
住宅ローンは高額なため、返済義務が回ってきた場合はあなたが大きなローンに悩まされることになります。住宅ローンの乗り換えや自宅売却といった対応により、連帯保証人から外すことを検討してください。
借金を抱えた配偶者に慰謝料や養育費を請求しても、決められたとおりに支払ってくれるのか不安になる人も多いでしょう。もし配偶者の支払い能力が低いのであれば、請求金額や支払方法の取り決め、さらには離婚協議書を公正証書化しておくことが重要です。
配偶者との離婚が調停で成立した場合、当事者同士の話し合いが明記された調停調書が作成されます。そうすれば、配偶者からの支払いが滞った際、配偶者の給与や銀行口座の差し押さえといった『強制執行手続』を裁判所へ申し立てられるのです。
【参考記事】家庭裁判所|調停・審判などで決まった養育費の支払を受けられない方のために
多少荒っぽさを感じるかもしれませんが、配偶者からの支払いを継続してもらうためにも、念頭に置いておくことが大切です。
ただし、配偶者が自己破産した場合は状況が一変するので注意してください。慰謝料は悪意の不法行為によるものとして破産後も残りうるとしても、免責される可能性が否めず、配偶者からの支払いがストップする可能性が考えられます。
一方で養育費は破産法第253条で定められた『非免責債権』であるため請求可能です。
配偶者の借金を理由にした離婚問題は、多くの場合、夫婦間の話し合いで双方合意に至らないのが事実です。離婚協議をする際は、第三者を同席させて客観的な視点を交えながら手続きするようにしましょう。
借金問題は非常に複雑であり、あなたが思ってもみなかったところで不利益に働く可能性があります。離婚後トラブルに発展するようなことがあれば「あのときなぜ解決しておかなかったのだろう」と後悔の念しか残りません。
債権者にも話を通さなければいけないケースや、借入先が多くどのような理由でいくら借りているのかを把握しきれないケースも考えられます。
第三者同席で話し合うとはいえ、借金の知識が浅い人に依頼するのは避けるべきです。また、分からないなりに調べて話し合うよりも、専門機関や弁護士の協力を得ながら協議するほうが早期解決に至る可能性が高くなります。
配偶者の借金発覚はショックだけれど、その借金問題が解決すれば離婚しなくて済むという夫婦も多いのではないでしょうか。もしあなたと配偶者が借金問題に苦しんでいるなら、債務整理を試みるのも早期解決が図れる一つの方法です。
離婚を防ぐためにも、債務整理に関する3つの方法を見ていきます。
「任意整理」とは、借金を抱える債務者と貸主である債権者が話し合い、返済額や返済手段を新たに取り決める方法を指します。毎月の支払い額を軽減するため、利息カットや支払い期間の交渉を目的とした債務整理方法です。
債務者は、このような話し合いで決めた返済計画に基づいて返済をおこない、借金完済を目指します。
「個人再生」とは、借金を抱える債務者が裁判所に申し立てることで、借入額を大幅に減らしてもらう手続きを指します。個人再生手続きが認められると、原則3年間で返済できる再生計画が立てられ、そのうえで残りの債務が免除されます。
「自己破産」とは、前述の個人再生と同様、債務者が裁判所に申し立てることで借金を全額免除してもらう手続きを指します。自己破産は生活再生の手段として認められていますが、手続きによるデメリットも存在します。
例えば、個人の信用情報にキズが付いたり、警備員や弁護士、税理士といった仕事に就けなかったりすることが挙げられます。「支払いができない」ことを認めてもらう手続きであるため、当然、自宅などの財産も手放す必要がでてくるでしょう。
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配偶者の借金を理由に離婚することは可能です。ただし、協議・調停で決着がつかず裁判までもつれこんだ場合、借金が悪質でないと、借金のみを理由にする離婚請求は難しくなります。
借金問題がからむ離婚は、返済義務や財産分与の面であなたにも影響をおよぼす可能性があります。夫婦でしっかり話し合ったとしても、配偶者との認識がズレていれば離婚後トラブルに発展しかねません。
思わぬところで不利益を被らないためにも、早期かつ妥当な解決に向けて専門家に相談することをおすすめします。場合によっては、債務整理をおこなって借金問題を解決させるのも一つの方法です。
また、配偶者の借金による離婚は検討すべきことが複雑で、悩みが尽きないことも予想されます。精神的な負担で辛くなってしまう前に、借金・離婚に詳しい弁護士へ相談してみましょう。
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