国際離婚
国選弁護人は離婚裁判でも依頼できる?刑事事件以外での依頼可否を解説
2024.11.20
ベンナビ離婚では、以下のような弁護士を探すことができます。ぜひあなたの希望や悩みにあった弁護士を見つけてみてください。
弁護士はあなたの悩みに真摯に向き合います。お気軽にご相談ください。
国際離婚を考えている人にとって、弁護士への依頼は必須です。
国際離婚の場合、一般的な離婚で問題となるものに加えて、国際裁判管轄や準拠法が問題となったり、子供がいる場合には「ハーグ条約」の適用を受けたりするなど、考慮することがたくさんあるからです。
国際離婚に注力している弁護士に依頼しなければ、あなたが望む条件で離婚できなくなったり、不利益を被ってしまったりということも考えられます。
とはいえ、弁護士に依頼しようにもそもそも知り合いに弁護士がいないし、さらに国際離婚に精通している弁護士なんてどうやって探せばいいのか……と不安に思っている人もいるでしょう。
そこで本記事では、国際離婚について無料相談できる弁護士事務所を探す方法や国際離婚をする上での注意点など、知っておきたい知識も紹介します。
事前に国際離婚について理解を深めておくことで、弁護士への相談もスムーズにおこなえるでしょう。
国際離婚について無料相談できる弁護士事務所を探す方法は、主に次の3つがあります。
ベンナビ離婚は、離婚問題に注力する弁護士を検索できるサイトです。
国際離婚の相談に対応可能な事務所も多数掲載していますので、弁護士を探している人は一度利用するとよいでしょう。
弁護士検索画面で、お住まいの地域と、相談内容を「国際離婚」を選び検索すれば、国際離婚に注力する弁護士のみを一覧で表示することが可能です。
一覧画面では、弁護士の顔写真や事務所の様子、対応体制についても確認できますので、どういった雰囲気の弁護士か、あなたが依頼したい条件に合うかなどを選べます。
初回面談相談料無料や、休日、夜間対応、オンライン面談対応可能な事務所も多数掲載しています。
相談したからといって、必ず依頼する必要もありません。
事務所によって解決策が異なることもあります。
まずは相談してみて、今後どういった解決が見込めそうか確認するとよいでしょう。
弁護士会に連絡して、国際離婚に注力している弁護士を紹介してもらうという方法もあります。
弁護士会とは、弁護士と弁護士法人を会員とし、所属する弁護士の活動を指導したり監督したりする団体です。
日本で活動する弁護士は必ず弁護士会に所属しており、都道府県ごとに設立されています。
そして弁護士会では、「弁護士紹介制度」などといった名称で、分野ごとの問題を取り扱っている弁護士を紹介しているケースがあります。
弁護士は法律実務を取り扱うものの、その内容は多岐にわたります。
国際離婚に限らず、依頼するのであればその問題に注力している弁護士が望ましいのです。
弁護士の紹介制度をおこなっているかは、各弁護士会によって異なります。
まずは確認のために、「都道府県名 弁護士会」と検索してホームページを見てください。
紹介制度があった場合には、連絡してみるとよいでしょう。
法テラスとは、法律トラブルを抱えている人が問題解決できるよう、法制度や手続き、適切な相談窓口などを教えてくれる、法務省が管轄する法人のことです。
法テラスに国際離婚について相談した場合には、法テラスがおこなっている無料相談や、弁護士会・自治体などがおこなう法律相談の案内などをおこなってくれます。
また、資力が一定以下の人の場合には、所定の審査をしたうえで、弁護士による無料相談や弁護士費用の立て替えなどもおこなっています。
詳しい内容は法テラスのホームページを参考にしてください。
国際離婚を検討していても、いきなり弁護士に相談することが最適な方法かといえば、そうではないケースもあります。
離婚に備えて、現状抱えている疑問点を解決しておきたい、とにかく話を聞いてほしいということもあるはずです。
ここでは、そういった人のために弁護士以外で国際結婚の相談ができる窓口を3つ紹介します。
NPO法人国際結婚協会は、国際結婚や国際離婚について知識や情報を提供してくれる非営利団体です。
名前は国際結婚協会となっていますが、国際離婚問題についても対応しています。
NPO法人国際結婚協会に寄せられる相談例としては次のものがあり、幅広い相談が可能です。
【NPO法人国際結婚協会の相談事例】
相談は「依頼フォーム」から可能です。
送信すると専門の相談員から指定したメールアドレスに回答をもらえます。
離婚前、離婚調停中、離婚後のいずれであっても相談は可能ですので、「国際離婚で分からないことがある」といった人は相談してみるとよいでしょう。
てぃるる相談室は、沖縄県男女共同参画センターが運営する相談室で、国際結婚や離婚のほか、DV、子育て、介護など主に女性に向けた相談を受け付けています。
相談は無料で、電話での対応が可能です。
国際離婚についての相談については専用の窓口がありますので、わからないことがあれば連絡してみるとよいでしょう。
受付時間 | 10:00~17:00(火曜日~土曜日)※女性の場合 10:00~16:00(日曜日と月曜日)※男性の場合 |
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相談料 | 無料 |
女性専用相談窓口 | 098-868-4010 |
男性相談窓口 | 098-868-4011 |
面談相談 | 10:00~16:00(火曜日~土曜日)※要予約 |
また、法律問題について詳しく知りたい方や、精神的にトラブルになっている場合に、女性に限って女性弁護士や女性医師による法律相談、こころの健康相談も対応しています。
予約が必要ですので、詳しい内容は「てぃるる相談室のホームページ」を参考にしてください。
離婚においてトラブルになっていないというケースでは、行政書士に相談するという方法もあります。
行政書士の仕事内容は行政に提出する書類作成の代行で、離婚においては「離婚協議書」や「離婚契約公正証書」の作成が依頼可能です。
離婚に際しては、トラブルになっていない場合でも、通常は養育費や財産分与、親権などについて取り決めをおこないます。
しかし、口頭のみの約束では離婚後に決まりが守られるとは限りませんので、のちのために「離婚協議書」や「離婚契約公正証書」などの書面にしておく必要があるのです。
また、これら書類を作成する場合には十分なヒアリングをおこなう必要もありますので、行政書士が対応できる範囲に限った相談も受けてくれケースもあります。
離婚をするけれど、トラブルになっていないという人は行政書士への相談を検討するとよいでしょう。
もっとも、行政書士は紛争に関して代理人になることはできません。
相手方と交渉する必要がある、すでにトラブルになっているといった場合には、弁護士に相談するようにしてください。
ここまで、国際離婚について相談できる弁護士の探し方や、その他の相談窓口を紹介しました。
ここからは国際離婚をするにあたって事前に知っておきたい知識について解説します。
トラブルになっている場合にはいきなり弁護士に相談しても問題はありませんが、事前に国際離婚について理解を深めておくことで、相談がスムーズに進むことにつながります。
まずは、国際離婚における注意点を確認しておきましょう。
国際離婚でまず問題になるのは、どちらの法律が適用されるかという点でしょう。
国際離婚のように国をまたがったトラブルに対して適用される法律を「準拠法」と呼び、日本では「法の適用に関する通則法」によって規定があります。
同法律の第25条および第27条によれば、国際離婚で適用される法律は次のように定められています。
この記事を読んでいる方の多くは日本人だと思われますが、そのケースで考えられるパターンを場合分けすると、主に次の4通りが考えられます。
それぞれのパターンで適用される法律は次の通りです。
この場合は上記の④が適用されますので日本の法律で離婚します。
この場合も上記の④が適用されますので日本の法律で離婚します。
この場合は、上記の②が適用されますので相手方の法律で離婚します。
この場合は、上記の②が適用されますので、第三国の法律で離婚します。
国際離婚の場合、どちらの国の裁判所で離婚するかという「国際裁判管轄」も問題となることがあります。
離婚の訴えを含む人事訴訟についての管轄権については「人事訴訟法」で定められており、次のような場合には日本の裁判所で離婚が可能です
つまり、夫婦がともに日本に住んでいる場合には、①や②が適用されるので日本の裁判所で離婚が可能でしょう。
あなたが日本に住んでいるものの、相手方が外国に住んでいるといった場合には、上記の③や④が問題となります。
相手方が自国に帰ってしまっている場合であっても、上記の③や④が認められるのであれば日本の裁判所で離婚が可能です。
一方で、ケースによっては相手方の居住する裁判所を使わなければならないこともあります。
どちらの裁判所を使うかについてはケースバイケースですので、詳しくは弁護士に相談するようにしてください。
日本には女性について再婚制限が設けられていますが、これは国際離婚に対しても適用されます。
具体的には、次の条件を満たなければ、日本での再婚は認められません。
(再婚禁止期間)
第七百三十三条 女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合引用:民法|e-Gov法令検索
これはあなたが日本国籍でも外国国籍でも適用されます。
日本で再婚制限が設けられているのは、再婚後に懐胎した子供が再婚前の夫か、再婚後の夫が確定させる必要があるからとされています。
再婚について制限があることは、頭の片隅に置いておくようにしてください。
国際離婚で考慮すべき内容は多岐に渡りますが、その中で重要なもののうちの1つが親権ではないでしょうか。
離婚後は、子供は基本的に一方の親と暮らすことになりますので、親権について理解しておくことは重要です。
ここでは、国際離婚の場合の親権について確認しておきましょう。
まずは、親権者の決定がどの国の法律によるかについて確認しておく必要があります。
子供の親権については、法の適用に関する通則法第32条に次のような規定があります。
(親子間の法律関係)
第三十二条 親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法(父母の一方が死亡し、又は知れない場合にあっては、他の一方の本国法)と同一である場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法による。
たとえば、あなたが日本国籍、相手方がアメリカ国籍だった場合、子供が日本国籍であれば日本の法律が、子供がアメリカ国籍であればアメリカの法律が適用になります。
一方で、あなたが日本国籍、相手方がアメリカ国籍、子供がカナダ国籍で、子供の常居住地がフランスだった場合にはフランスの法律が適用となるのです。
なお、日本の調停等で親権者を決める場合には、次のような事情を考慮して決定されます。
国際離婚をする場合には、ハーグ条約についても注意しておく必要があります。
ハーグ条約とは、国際的な子供の連れ去りなどをめぐる紛争について定めた条約です。
国際離婚をした後は、夫婦は別々の国で生活することが多く見られます。
このとき、子供が一方の国からもう一方の国に連れ去られてしまうと子供の福祉において大きな悪影響を及ぼします。
そのため、ハーグ条約に加盟している国では子供の不法な連れ去りを防ぎ、もしも連れ去りがあった場合には原則として直ちに子供をもとの国に戻すように定めているのです。
ハーグ条約に加盟している国は外務省のホームページで確認できますので参考にしてください。
親権に対する考え方は、日本と諸外国で異なるケースがあることにも注意が必要です。
日本においては、離婚後は「単独親権」といって、夫婦の一方のみが親権をもちます。
一方で諸外国では「共同親権」といって、夫婦のどちらもが親権を有するというケースも少なくありません。
相手方が外国人で、日本の法律に則った場合、親権を認められないと、「どうして親権がないんだ」と大きな反発がある可能性が考えられます。
共同親権が浸透している国の人と日本の法律で親権について決める場合には、激しい親権争いになるケースもある点を留意しておきましょう。
国際離婚の慰謝料請求は国によって異なります。
すでにお伝えした通り、ケースによって適用される国の法律が異なりますので、日本の法律が適用されれば慰謝料請求が可能でも、外国の法律が適用されるために全く請求できなかったということも考えられます。
そこで、ここでは諸外国における慰謝料請求についての考え方について解説します。
アメリカでの離婚慰謝料に関する運用は州によってことなりますが、慰謝料請求を認めていないところも多く存在します。
もっとも、慰謝料とは別の名目で相手方に金銭の請求が可能な州もあります。
例えば、ニューヨーク州であれば婚姻期間の長さや経済力などを考慮して、金銭的なサポートを受けられることがあります。
また、フロリダ州では独身生活に戻るための金銭、スキルや資格を得るための金銭などの支払いが認められることがあります。
韓国では、協議離婚の場合は原則として慰謝料請求は認められていない一方で、裁判離婚の場合は慰謝料の請求が認められているようです。
中国では、浮気を理由とした離婚をする場合に慰謝料を請求するケースがあるようですが、慰謝料が請求できるのは「相手方が不倫相手と同居している場合」に限られているようです。
フランスには「慰謝料」に相当する概念はありません。
ただし、生活レベルの維持を目的とした「補償」の名目で、収入が少ない方が、収入が多い方に金銭を支払ってもらうことが多いようです。
なお、不倫やDVなどがあった場合には、通常の損害賠償請求事件として手続をおこなっています。
ドイツにも慰謝料に相当する概念はなく、相手方が不倫などをして離婚の原因を作ったとしても慰謝料を請求できないようです。
ただし、DVなどで暴力をうけた場合には、刑法上の賠償責任の観点から慰謝料に相当する金銭を請求できる可能性があります。
国際離婚を検討している場合には、弁護士に依頼することを強くおすすめします。
それは次のような理由があるからです。
冒頭でもお伝えしましたが、国際離婚では通常の離婚で問題となるものに加えて、国際離婚だからこそ考えなければならない問題が多々あります。
調停や裁判手続きはどのようにすればよいか、裁判をする場合にはどの国でおこなうのか、どの国の法律が適用になるかという問題を含んでいるため、考慮することは多岐に渡るのです。
このような難しい国際離婚に対処し、できるだけ有利に離婚するためには弁護士のサポートが必須であると理解してください。
弁護士に依頼すれば、複雑な問題についてこれまでの豊富な実務経験に基づき、あなたにとって良い結果が得られるよう的確に手続きを進めてもらえます。
弁護士に依頼すれば、複雑になりがちで面倒な国際離婚の手続きも一任することが可能です。
国際離婚の場合には、日本での離婚手続きに加えて、相手方の国籍によっては相手方母国についても手続きが必要なケースもあります。
また、仮に裁判となった場合、日本国であっても手続きが複雑ですが、相手国でとなった場合は、あなた自身で手続きをおこなうのはまったく現実的ではありません。
国際離婚の手続きはただでさえ複雑であるうえ、ミスがあると離婚が認められなかったり、あなたに不利な条件で離婚してしまったりと大きな危険性を伴います。
弁護士に依頼すれば、これら国際離婚に付随するあらゆる手続きについて、あなたに代わっておこなってくれます。
離婚に関し相手方と協議や調停をおこなうことがあるでしょう。
このとき、それぞれの国の文化や考え方の違いから、話し合いで揉めてしまうこともあります。
感情的になってしまって、相手を批判することに終始することも少なくありません。
当事者同士では揉めてしまうような場合でも、弁護士であればあなたの代理人になって相手方との交渉が可能です。
離婚に向けて適切に話し合いをおこない、前向きな交渉が可能になります。
弁護士に依頼するときの心配ごとの1つが弁護士費用ではないでしょうか。
費用は事務所によってバラバラで一概には言い切れませんが、ここではおおよその費用を解説します。
具体的な費用は、直接弁護士に確認するようにしてください。
相談料とは、依頼前に弁護士に現状や今後の展望について相談した際に発生する費用です。
30分から1時間で5,000~1万円程度が相場です。もっとも、近年では相談料無料としている事務所も少なくありません。
相談は弁護士選びにおいて非常に重要です。
国際離婚は弁護士と連携を取りながら手続き進めるので、弁護士の力量のほか、あなたとの相性も見極める必要があります。
相談したからといって必ず依頼する必要もありませんので、複数の弁護士に相談することもおすすめです。
協議や調停などで離婚を成立させる場合には、離婚協議書や調停申立書などを作成する必要があります。
弁護士事務所によってはこれらについて費用が発生するケースもあります。
おおよその相場は5万円~15万円程度です。
また、これら書類を翻訳する場合には、別途翻訳料が発生することもあります。
着手金は、弁護士に依頼した際に発生する費用です。
弁護士のサポートでどのような結果になっても支払う必要がある費用で、弁護士業務に着手する段階で発生します。
着手金の相場は20万円~60万円程度ですが、複雑な内容の場合にはさらに高額になることもあるので事前に確認しておきましょう。
なお、着手金は事件ごとに支払うという事務所もあります。
協議離婚を依頼したものの、調停や離婚手続きに移行した場合には、別途着手金が必要ということもありますので、こちらも確認するようにしてください。
報酬金とは、依頼した事件が解決した場合に支払う報酬で、成功報酬とも呼ばれています。
報酬金は、離婚が成立したこと、親権を獲得できたことなど、金銭的に評価できない成功についての報酬と、慰謝料が支払われるなどの金銭的に評価できる成功についての報酬で、おおまかに分かれていることが通常です。
離婚できた、親権を獲得できた等の報酬金については、おおよそ30万円~50万円程度が相場でしょう。
一方、慰謝料獲得などの報酬金については、経済的利益の金額に応じて一定のパーセンテージをかけて求めるのが通常です。
これらも、事件の複雑さによって大きく変わる可能性があるので、弁護士に事前に確認するようにしてください。
国際離婚に注力する弁護士を探すには「ベンナビ離婚を利用する」「弁護士会に相談する」「法テラスを利用する」といった方法があります。
また、弁護士に相談する前に状況を整理したいなどの場合は、この記事で紹介したNPO法人などを利用するといった方法が有効でしょう。
なお、弁護士に依頼する場合には、国際離婚は複雑な問題を含んでいますので、必ず国際離婚に注力し豊富な実務経験をもつ弁護士に相談するようにしてください。
弁護士は法律実務を取り扱っていますが、どこの事務所に依頼しても国際離婚に対応してもらえるとは限らないのです。
依頼前に、国際離婚に注力しているか、どれくらい経験があるかを確認しておきましょう。