婚姻関係が破綻していても慰謝料は請求できる?破綻の判断基準と請求できる例外を解説

婚姻関係が破綻していても慰謝料は請求できる?破綻の判断基準と請求できる例外を解説

夫や妻の不倫が発覚したら、慰謝料を請求したいと考える方も多いはずです。

しかし、すでに婚姻関係が破綻していた場合、そもそも慰謝料の請求は可能なのでしょうか。

また婚姻関係の破綻とは、どのような状況を指すのかも気になるところです。

そこでこの記事では、婚姻関係が破綻していたときに慰謝料の請求はできるのか、婚姻関係が破綻しているとみなされる具体的なケースなどについて解説します。

不倫の慰謝料請求をしたいなら、弁護士への相談がおすすめです。

弁護士に依頼するメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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原則として婚姻関係が破綻していたら慰謝料は請求できない

結論からお伝えすると、不貞行為がおこなわれた時点ですでに婚姻関係が破綻していた場合、慰謝料の請求はできません

そもそも慰謝料請求については、民法第709条で以下のように定められています。

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用元:民法第709条|e-GOV法令検索

条文からもわかるとおり、慰謝料は他人の権利や利益を侵害した場合にのみ請求することが可能です。

そして、不倫の慰謝料請求であれば、「夫婦が平穏な結婚生活を送っていたのに、不貞行為が原因で関係性が破綻した」などの状況が「他人の権利や利益を侵害した」ことに該当します。

しかし、不貞行為があった時点ですでに婚姻関係が破綻していたなら、夫婦の関係性はもともと良好ではなかったということです。

この場合、不貞行為によって守られるべき権利(夫婦の平穏な暮らし)が侵害されたとはいえません。

そのため、慰謝料の請求はできないのです。

一般的に「夫婦関係が破綻している」と判断されている3つのケース

夫婦関係が破綻している場合、不倫慰謝料は請求できないことがわかりました。

では、「夫婦関係の破綻」とは具体的にどのような状況を指すのでしょうか。

ここからは、夫婦関係が破綻していると判断される具体的なケースを3つ紹介します。

1.相当期間の別居状態が続いている場合

一般的に「夫婦関係が破綻している」と判断されるひとつ目のケースは、相当期間の別居状態が続いている場合です。

民法第752条では、夫婦であれば、一緒に住み、互いに支え合っていく義務があると定めています。

(同居、協力及び扶助の義務)

第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

引用元:民法第752条|e-GOV法令検索

婚姻関係があるにも関わらず、正当な理由なく相当期間の別居状態が続いているなら、夫婦の同居、協力及び扶助の義務が守られていないということです。

一般的に3年~5年程度の別居期間があるなら、夫婦関係は破綻していると判断されるでしょう。

2.離婚に関する話し合いが始まっている場合

一般的に「夫婦関係が破綻している」と判断されるふたつ目のケースは、離婚に関する話し合いが始まっている場合です。

夫婦が離婚について合意し、すでに離婚に向けた話し合いをおこなっているのであれば、夫婦仲が円満だとはいえず、夫婦関係は破綻していると判断されるでしょう。

また、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、夫婦間で離婚について争いがなく、専ら離婚の条件について調整を行っている場合も同様です。

3.法定離婚事由を原因に夫婦関係が悪化している場合

一般的に「夫婦関係が破綻している」と判断されるみっつ目のケースは、法定離婚事由を原因に夫婦関係が悪化している場合です。

法定離婚事由には、以下のような行為・状況が該当します。

(裁判上の離婚)

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用元:民法第770条|e-GOV法令検索

具体的には、以下のケースに該当する場合、法定離婚事由にあてはまるとされるのが通常です。

  • 配偶者の不倫(不貞な行為)
  • 正当な理由なく同居を拒否される(悪意の遺棄)
  • モラハラやDV(婚姻を継続しがたい重大な事由)

ご自身のケースが法定離婚事由にあたるのか、判断に悩んだら弁護士に相談しましょう。

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婚姻関係が破綻していたとしても慰謝料請求が認められることもある

婚姻関係が破綻しているなら、慰謝料の請求は原則認められません

ただし、例外もあります。

ここからは、婚姻関係が破綻していても慰謝料請求できるかもしれないケースを3つ紹介します。

諦める前に、今一度ご自身の状況を確認してみてください。

1.夫婦関係が破綻する前の不倫であった場合

夫婦関係が破綻する前の不倫だった場合、不貞の慰謝料請求は認められる可能性があります。

慰謝料は、他人の権利や利益を侵害した場合に請求できるものです。

不倫によって円満な夫婦関係が壊れたのであれば、夫婦の権利を侵害したことになるため、慰謝料の請求が可能になります。

そのため、不倫の慰謝料請求をするには、不倫の時期と夫婦関係が破綻した時期を明確にすることが重要です。

2.暴力や暴言に対して慰謝料を請求する場合

婚姻関係が破綻していても、配偶者の暴力や暴言に対する慰謝料なら請求が認められる可能性があります。

慰謝料は、不倫行為に対してだけ請求できるものではありません。

暴力や暴言は不法行為なので、その行為に対する慰謝料を請求できるのです。

被害を受けているなら、不法行為に基づく慰謝料の請求を検討しましょう。

3.ストーカー行為に対して慰謝料を請求する場合

夫婦関係がすでに破綻していても、配偶者からのストーカー行為がある場合は、慰謝料請求が認められる可能性があります。

たとえば、別居先までやってきて不当に接触を図る、しつこく連絡をしてくるなどのストーカー行為があるなら、精神的苦痛に対する慰謝料請求を検討しましょう。

ストーカー被害は、心身ともに疲弊するものです。

いずれ、子どもにも被害が及ぶかもしれません。

ご自身で対処するのではなく、早急に弁護士へ依頼してしかるべき措置を取るようにしましょう

婚姻関係が破綻していても慰謝料を請求したいなら弁護士に相談しよう

婚約関係が破綻している状態でも慰謝料請求をしたいなら、まずは弁護士への相談がおすすめです。

ここからは、慰謝料請求について弁護士に相談するメリットを解説します。

1.慰謝料請求ができるかどうかを判断してくれる

慰謝料請求の可否は、婚姻関係の破綻や不倫の時期、配偶者からの暴力・暴言の内容にもよります。

弁護士なら、婚姻関係が破綻しているのか、配偶者からの行為が不法行為に該当するのかなど、正確に判断してくれるでしょう。

2.証拠や証拠集めに関するアドバイスがもらえる

弁護士に相談すれば、証拠や証拠集めに関するアドバイスがもらえます。

不倫の慰謝料請求をするなら、証拠が必要です。

弁護士に相談すれば、どんな証拠が法的に有効なのかを的確に教えてくれるでしょう。

たとえば、不貞行為を証明するには、不倫相手とのLINEやりとりやラブホテルに出入りしている写真などを集める必要があります。

また、婚姻関係が破綻していないことを証明するには、同居の事実や家族旅行の写真、夫婦間のLINEやりとりなどの証拠が必要です。

相手からしっかり慰謝料を獲得するためにも、弁護士にアドバイスを貰って適切な証拠をあつめましょう

3.慰謝料請求に関する手続きを全て任せられる

弁護士に相談すれば、慰謝料請求に関する手続きを全て任せることができます

慰謝料請求をするには、証拠を集めて相手と交渉しなければなりません。

さらに、交渉が決裂したら、裁判へと進むことになるでしょう。

しかし、交渉や裁判に慣れている方はほとんどいないはずです。

法律の知識もなく手探りで話し合いを進めても、相手に言いくるめられてしまうかもしれません。

弁護士は法律の知識を武器に、あなたの代わりに相手との交渉を進めてくれます

裁判に進んでも、書類の準備から提訴、期日の出廷など、関連手続を全て任せられるので安心です。

自分だけで立ち向かえるのか不安であれば、弁護士に相談しましょう。

心強い味方になってくれるはずです。

さいごに|婚姻関係が破綻している場合は不倫慰謝料の請求は難しい!

不倫が発覚しても、すでに婚姻関係が破綻していたら慰謝料請求はできません

婚姻関係の破綻とは、以下のような状況を指します。

  • 相当期間(3年~5年)の別居状態が続いている場合
  • 離婚に関する話し合いが始まっている場合
  • 法定離婚事由を原因に夫婦関係が悪化している場合

ただし、夫婦関係が破綻する前の不倫、配偶者からの暴力や暴言、ストーカー行為などに対する慰謝料請求は可能です。いずれにしても、慰謝料請求を考えているなら弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談すれば、そもそも慰謝料請求できるのか、婚姻関係が破綻しているのかなど正確に判断してくれます。

証拠集めのアドバイスももらえるので、適正な慰謝料の獲得につながるはずです。

また、相手との交渉や複雑な裁判手続も弁護士に一任できます。

ご自身の負担を大きく減らせるでしょう。

少しでもストレスを減らして有利に解決したいなら、ぜひ弁護士を頼ってみてください。

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監修記事
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。
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アシロ編集部
編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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