不倫・離婚慰謝料
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2024.11.14
既婚者が肉体関係を持つ不倫をしていた場合、離婚や慰謝料請求の正当理由になります。
しかし、プラトニック不倫は肉体関係を持たないため、相手の不貞行為を追求できない可能性があります。
性交渉がない不倫であれば、「離婚する理由もないし、慰謝料を払う理由もない」などと主張され、自分1人だけが精神的苦痛を感じるようになってしまうでしょう。
本記事では、プラトニック不倫が離婚理由になるケースや、離婚や慰謝料請求が認められる状況をわかりやすく解説します。
プラトニック不倫とは、既婚者による肉体関係のない不倫を指しています。
法律用語ではないため明確な定義はありませんが、プラトニック不倫は愛情だけの交際になるため、法定離婚事由である「不貞行為」には該当しません。
しかし、性交渉がないとはいえ、誰もが「パートナーに裏切られた」という感情になり、夫婦の信頼関係を大きく損ないます。
プラトニック不倫の発覚で夫婦関係の修復が難しくなり、「離婚したくなった」という方もおられるでしょう。
パートナーに性交渉のない不倫相手がいる場合、離婚の理由になるかどうか、正確な状況把握が必要です。
プラトニック不倫は不貞行為に該当しないため、基本的には法定離婚事由になりません。
パートナーに離婚を切り出しても、「○○さんはただの友達だ」などといわれてしまうでしょう。
ただし、以下の法定離婚事由に該当する行為があった場合、家庭裁判所が離婚を認めてくれやすくなります。
パートナーが意図的に夫婦関係を壊そうとしている場合や、悪意の遺棄などがあると、離婚事由になります。
夫婦は共助協力や共同生活の義務があるため、パートナーが勝手に別居した場合や、家事に協力しないときは、悪意の遺棄も認められる場合もあるでしょう。
性交渉がある不倫は不法行為になるため、精神的苦痛への補償としてパートナーに慰謝料を請求できます。
一方でプラトニック不倫は相手との性的関係がなく、基本的には法定離婚事由に該当しないため、慰謝料請求はほぼ困難でしょう。
しかし、プラトニック不倫が夫婦関係を破たんさせる直接的な原因になっていれば、家庭裁判所が慰謝料請求を認める可能性もあります。
プラトニック不倫を理由に慰謝料請求するときは、過去の判例も参考にしてください。
慰謝料請求は裁判で争うケースもあり、過去には以下のような判例も出ています。
プラトニック不倫でも慰謝料請求が認められる可能性があるため、違法性があるかどうかが重要となるでしょう。
東京地方裁判所では2012年11月28日に以下の判決を下しており、被告に慰謝料30万円の支払いを命じています。
まず、プラトニック不倫の経緯からみていきましょう。
本件は夫がプラトニック不倫をしており、不倫相手の「X」とやりとりしたメールには肉体関係を推測させる絵文字や、独自の表現で宿泊の話題なども書かれていました。
裁判所は「メールの内容だけでは肉体関係の事実を認められない」としたものの、一方ではメールの内容が婚姻生活を破たんさせる原因だと判断しています。
Xは原告の妻にメールを読まれる可能性を想定しつつ、夫婦関係を破たんさせる原因だと知りながら送信していたため、慰謝料30万円の支払いを命じられました。
なお、判決によって慰謝料30万円の支払いは認められましたが、もともとの請求額は500万円です。
次のケースも東京地方裁判所の判例になっており、2005年11月15日に以下の判決を下しています。
本件は妻がプラトニック不倫をしており、不倫相手はXとYの二人です。
妻とXはお互いの職場で知り合い、プラトニック不倫の関係になっていました。
Yも妻の不倫相手ですが、妻を自宅に宿泊させていたため、肉体関係が疑われる状況です。
また、Yは妻の夫に対して結婚したい旨を懇願しており、結果的に夫婦の離婚に至っています。
妻とXのプラトニック不倫については肉体関係の証拠がなく、不貞行為に該当しないため、慰謝料請求は認められていません。
しかし、Yとの不倫は結婚生活の破たん原因になっており、調査会社による調査結果から性交渉も認められたため、裁判所は慰謝料70万円の支払いを命じています。
プラトニック不倫には何らかの予兆があり、パートナーがサインを出しているケースも少なくありません。
以下のような状況はプラトニック不倫の原因になりかねないため、仕事で疲れているパートナーを気遣うなど、回避策が必要です。
夫婦関係が冷え切ってしまうと、パートナーが不倫に陥りやすい傾向にあります。
セックスレスの期間が長くなったときや、マンネリ感があるときは、相手の関心を引き付ける工夫が必要でしょう。
たとえば、料理のレパートリーを増やす、または共通の趣味を見つけて一緒に楽しむなど、夫婦生活に変化があると、「ずっと一緒にいたい相手」と思ってもらえます。
パートナーにも生活習慣の変化などを期待したいところですが、まずは自分からアクションを起こしてみましょう。
パートナーが仕事や家庭にストレスを感じている場合、ガス抜きのためにプラトニック不倫をするケースもあります。
仕事上のストレスは本人が解決しなければなりませんが、「仕事の話を家庭に持ち込まないで」などと拒絶した場合、パートナーは家庭に居づらくなるでしょう。
ストレスが溜まっている状況で異性から優しくされると、プラトニック不倫に陥ってしまうかもしれません。
パートナーがストレスを感じていると察知したら、話を遮らずに最後まで聞く、外食で気分転換するなど、ガス抜きできる状況をつくってください。
過去の判例にもあるように、相手の好意を断り切れなかった場合、パートナーがプラトニック不倫に陥るかもしれません。
優柔不断とも捉えられますが、不倫相手から何度も交際を迫られると、気持ちが動いてしまうケースもあります。
既婚者でも社内や飲み会の席で誘惑される場合があるため、プラトニック不倫を回避したいときは、「自分には大切なパートナーがいる」と思わせることが重要です。
パートナーの存在がいつも気になり、放っておけないタイプだと思ってもらえると、誘惑に心を動かされたりしないでしょう。
恋愛は気持ちが高揚するため、不倫とわかっていながら止められないケースもあります。
「肉体関係がなければ誰にも迷惑をかけない」と考えてしまい、プラトニック不倫を正当化するパートナーもいます。
パートナーの周囲に魅力的な異性がいる場合は、メイクや服装、ヘアスタイルなどにも気を使い、自分の魅力を再認識してもらえるように工夫してください。
プラトニック不倫を理由に離婚したいときや、慰謝料請求する場合は証拠が必要です。
不倫の証拠は家の中やパートナーの所持品、車の中に残っているケースが多いため、以下を参考にしてください。
パートナーのスマートフォンやパソコンを操作できるようであれば、メールやラインなどのやりとりをチェックしてください。
「今週末は泊まりにきて」など、不倫の直接的な証拠はないかもしれませんが、「いつもの場所で」といった含みのある内容であれば、まず疑ってみるべきでしょう。
メールはそのまま自分のスマートフォンなどに転送し、送信履歴を削除すると、相手に気付かれる心配はほぼありません。
ラインのやりとりも転送はできますが、操作履歴が残ってしまう場合があるため、スクリーンショットを自分のスマートフォンなどに送信しておきましょう。
ドライブレコーダーのデータを確認すると、不倫相手とドライブした映像や、車中の会話が残されている可能性があります。
相手の顔は写り込みませんが、会話の内容から不倫を特定できるかもしれません。
カーナビにも行き先の履歴が残っており、ホテルやデートスポットなど、1人ではまず行かないような場所を特定できるケースがあります。
カーナビの履歴を頻繁に消去する人はあまりいないので、履歴がまったくないようであれば、証拠隠滅を図っている可能性もあるでしょう。
Suicaなどの交通系ICカードも利用履歴を確認できるため、パートナーが車に乗らない場合でも、デートに利用している最寄駅の特定が可能です。
パートナーの財布などを調べると、不倫を裏付けるレシートや領収書が残っている場合もあります。
仕事上で利用する可能性がほとんどない飲食店や、ホテルのレシートなどがあれば、写真やコピーを取ってください。
名前を知らないお店のレシートや領収書だったときは、ネットで検索してみましょう。
配偶者にプラトニック不倫がバレないよう、遠方のお店などをデートに利用しているケースがあります。
なお、パートナーの職業によってはお客との付き合いがあり、夫婦では絶対に行かないお店を接待に利用しているケースも想定されます。
不倫を裏付けるレシートなどがあっても、すぐには相手を追求せず、メールやラインのやりとりも念のためチェックしておきましょう。
クレジットカードの明細には「ご利用店舗名」などが記載されており、ホテルの利用や、不倫相手にプレゼントを購入した履歴がわかる場合もあります。
明細書が郵送で届いている場合は、相手が外出している隙に写真を撮ってください。
クレジットカードの明細をメール受信しているときは、自分のスマートフォンなどに転送おしておきましょう。
プラトニック不倫を理由に離婚するときは、以下のように手続きを進めてください。
基本的には夫婦間の協議で離婚を決めますが、話し合いが決裂した場合は調停を申し立てる、または裁判によって離婚するケースもあります。
協議離婚とは、夫婦間の協議で離婚を決定する方法です。
プラトニック不倫は離婚の法定離婚事由になりませんが、パートナーと離婚条件などを話し合い、双方の合意があれば離婚は可能です。
協議離婚するときは、以下の内容を話し合っておきましょう。
夫婦だけで離婚条件を決めると、慰謝料や養育費の支払いが滞るなど、トラブルが発生しやすいため、必ず離婚協議書を作成してください。
離婚協議書に法的効力を担保させたいときは、公正証書化をおすすめします。
公正証書や公証役場に作成依頼するため、費用はかかりますが、相手が養育費や慰謝料を支払わないときは、財産を差し押さえる強制執行が可能になります。
夫婦間の協議が決裂したときは、家庭裁判所に離婚調停を申し立ててください。
パートナーが離婚に同意しない場合、いつまで経っても婚姻関係を解消できないため、状況によっては法的手段も必要です。
離婚調停には裁判官の判決がなく、あくまでも話し合いで和解を目指すため、パートナーがプラトニック不倫を反省し、夫婦関係を修復できる可能性があります。
調停の際には夫婦が別々の部屋に案内され、調停委員を介して話し合いを進めるので、お互いが顔を合わせる必要もありません。
なお、離婚調停が不成立になっても審判には移行しないため、パートナーが調停案に同意しないときは、以下の離婚裁判を起こす必要があります。
離婚調停が不成立になったときは、離婚裁判を検討してください。
裁判を起こすときは訴状を作成し、自分が原告となって離婚の妥当性を裁判官に主張します。
ただし、プラトニック不倫だけでは離婚を認めてもらえない確率が高く、裁判官から和解を提案されるケースが多いでしょう。
裁判を起こして離婚を認めてもらう場合、法定離婚事由や証拠があるかどうかを問われます。
判決までには1年以上かかるケースがあり、裁判は平日しか開かれないため、休暇の取得が難しい方は口頭弁論などに対応できないかもしれません。
「一人では難しいかも」と感じたときは、弁護士に訴状の作成や代理人を依頼してください。
プラトニック不倫で離婚するときは、以下のポイントをチェックしてください。
一時的な感情で離婚し、生活に困ってしまうケースが少なくないため、慰謝料請求や収入の確保を考えておきましょう。
プラトニック不倫を理由に離婚する際は、必ず証拠を集めてください。
メールやライン、レシートなどの証拠を集めると、性交渉を推測させる情報が見つかるかもしれません。
週末や月末は残業が多いなどといいつつ、同じタイミングでホテルを利用していれば、すでに「本気」の不倫になっている可能性があるでしょう。
プラトニック不倫だけでは強い離婚理由になりませんが、性交渉を追求できれば、高額な慰謝料請求も認められます。
プラトニック不倫は夫婦関係の破たん原因になる可能性もありますが、一時的な感情で離婚すると、生活に困窮するかもしれません。
子どもの親権者となった場合、養育費の一部を元パートナーから受け取れますが、自分の生活費は自分で稼ぐ必要があります。
無収入の状態で離婚すると生活が成り立たないため、専業主婦などが離婚する際は、まず就職先を決めてください。
プラトニック不倫をしたパートナーに慰謝料請求するときや、離婚時に親権争いが発生した場合は、弁護士にトラブル解決をサポートしてもらいましょう。
自分で慰謝料を請求すると、「金額に根拠がない」などと反論され、支払いを拒否される可能性があります。
親権は子どもの成長に影響するため、どちらが監護親として相応しいか、冷静に判断しなければなりません。
弁護士に依頼すると、過去の判例などをもとに慰謝料や養育費を計算し、親権についても専門的なアドバイスを受けられます。
双方が納得できる形で離婚したいときは、弁護士にサポートを依頼してください。
パートナーのプラトニック不倫が発覚しても、離婚が最善策になるとは限りません。
離婚するかどうかじっくり考えたいときは、別居も検討したほうがよいでしょう。
なお、別居中でも婚姻費用の請求は認められるため、離婚しない限り相手に生活費を支払ってもらえます。
一人になると、「やっぱりパートナーが必要」または「離婚して新たな人生をスタートさせよう」など、冷静に判断できる可能性があります。
プラトニック不倫は決定的な離婚事由にならないため、慰謝料請求も基本的には認められません。
不倫相手との性交渉もないので、ラブホテルに入るところを写真に撮るなど、証拠の確保も難しいでしょう。
ただし、プラトニック不倫が夫婦関係を破たんさせる直接的な原因になっていれば、離婚や慰謝料請求を認めてもらえる可能性があります。
パートナーのプラトニック不倫に悩んでいる方は、「本当の不倫」になってしまう前に弁護士に相談してみましょう。