不倫・離婚慰謝料
プラトニック不倫で離婚や慰謝料請求は可能?| 離婚する流れやポイントも解説
2024.10.01
配偶者の不倫が発覚し、慰謝料を支払ってもらったうえで離婚しようと決意している方もいるでしょう。
しかし、
など、具体的な行動を起こす前に知りたいことがたくさんあるものです。
不倫の慰謝料の相場は数十万円から300万円ほどです。実際の金額はさまざまな要因の影響を受けて決まりますが、特に不倫が夫婦関係に与えた影響に応じて大きく異なります。
実際に請求するには、原則として、まずは相手と直接交渉をすることから始めますが、当事者同士ではなかなかスムーズに進まないケースも多く、弁護士に依頼する方がよいでしょう。
今回は不倫による慰謝料について解説するほか、慰謝料の請求方法や流れなどについて解説します。
配偶者の許しがたい不倫が発覚し、慰謝料を支払ってほしい!でも実際はどれくらい支払ってもらえるのかな…と気になっていませんか?
結論から言うと、不倫の慰謝料の相場は数十万円から300万円ほどです。
ただし、相手との直接交渉はスムーズに進まないケースも多いため、弁護士への相談・依頼をおすすめします。弁護士に相談・依頼すると、以下のようなメリットを得ることができます。
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そもそも配偶者が不倫をすれば、なぜ慰謝料を請求できるのでしょうか?
その理由は民法第709条、710条で定義されているところによります。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索
つまり、相手の不法行為によって損害を受けた被害者は、加害者に対して損害賠償を請求できます。
そして賠償の対象となる損害は財産に限りません。
不倫とは、法律用語で「不貞行為」といい、不法行為に該当します。
不倫による慰謝料とは、不貞行為という不法行為によって、不倫をされた側が受けた精神的苦痛という損害の賠償を請求するものとなります。
不倫していた配偶者や不倫相手に慰謝料を請求するには、以下の3つの条件を満たしていなければなりません。
慰謝料を請求するには、不法行為、すなわち「不貞行為」がなければなりません。
不貞行為とは肉体関係のことをいい、夫婦が互いに負うべき貞操義務を果たさなかったことを意味します。
肉体関係を示す貞操義務については、現行の民法では規定こそありませんが、法定離婚事由として認められている(民法第770条)こともあり、法律上の義務として捉えられています。
原則として、プラトニックな関係や、手をつないだだけ、キスをしただけでは不貞行為があったとはいえず、慰謝料の請求はできません。
不貞行為があったとみなされ、慰謝料の支払いが認められやすいケースとしては、下記のような例が挙げられます。
民法第709条にあるとおり、不法行為による損害賠償請求が認められるには、加害者に「故意又は過失」がなければなりません。
つまり、意図的に不法行為をした(故意)か、不法行為だと気づけたはずなのに確認を怠ったためにその行為をしてしまった(過失)といえる必要があります。
不倫をした配偶者に慰謝料請求をする場合は、当然故意があったといえますが、不倫相手に請求したい場合は少々注意が必要です。
配偶者が独身者だと偽っており、相手と将来の話までするなど、独身であるかのように振る舞い続けて相手をだましていた場合は、故意も過失もなかったと判断される可能性が高く、不倫相手への慰謝料の請求は難しくなるでしょう。
慰謝料を請求するには、不貞行為と認められる事実を立証しなければなりません。
事実を証明するに足る証拠を示す必要があります。
不倫による慰謝料を請求するのに有効な証拠の例としては下記のようなものが挙げられます。
慰謝料を請求できるなら、その金額が気になる方も多いでしょう。
実は慰謝料額の算定には法律上の決まりはありません。
しかし、裁判になった場合には何らかの基準が必要となるため、過去にあった類似事件の裁判例を参考に算定するのが一般的です。
ここでは裁判になった場合の慰謝料額の相場を紹介します。
不倫の慰謝料の相場は数十万円から300万円程度です。
金額の増減にはさまざまな要因が影響しますが、特に不倫発覚後、夫婦関係がどうなったかによって大きく異なります。
不倫発覚後、離婚に至った場合、請求できる慰謝料の相場は離婚に至らなかった場合よりも高く、概ね100万~300万円程度でしょう。
損賠賠償金の一種である慰謝料は、被害者の受けた損害の程度に応じて決まるものです。
離婚に至ったということは不倫が夫婦関係に与えた損害は大きいものと判断されるため、離婚しなかった場合よりもその額は高くなる傾向にあります。
不倫発覚後も離婚はしなかった場合、慰謝料の相場は概ね50万円から100万円程度でしょう。
夫婦関係に与えた損害はそれほど大きくなかったと判断され、被害者が受けた精神的苦痛分のみ考慮されるため、離婚至った場合より低くなる傾向にあります。
慰謝料の算出にはさまざまな要素が影響します。
特に次のような要素がある場合は慰謝料が増額となる可能性が高いでしょう。
相手にできるだけ多額の慰謝料を支払ってもらうためには、弁護士に依頼するのが賢明です。
弁護士に依頼すれば、弁護士があなたに代わって相手方と交渉してくれます。
弁護士は法律の専門家であり、交渉のプロですから、あなたにとって有利な内容で解決できる可能性が高まるでしょう。
不倫していた事実が間違いなくても、次のような場合は慰謝料の請求はできません。
慰謝料の請求が認められるためには、請求原因となる事実があったことを立証しなくてはなりません。
そのためには不貞行為を証明する証拠が必要です。
証拠がなければ、請求原因となる事実の存在が認められず、慰謝料の請求も認められません。
不倫相手に対して慰謝料を請求する場合、相手に故意や過失がなければ慰謝料の請求はできません。
民法第709条で定められているとおり、加害者に損害賠償責任が生じるのは、故意又は過失がある場合に限られるからです。
すなわち、不倫相手が配偶者のことを独身であると信じ、その事実を疑いようがない状態であったなら、故意や過失があったとはいえず、不倫相手に対する慰謝料の請求はできません。
時効が完成し、損害賠償請求権が消滅していれば、慰謝料の請求はできません。
不倫の慰謝料請求権の時効は民法第724条に定められているとおり、原則損害及び加害者を知った時から3年です。
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
引用元:民法|e-Gov 法令検索
また、不倫相手に慰謝料を請求したい場合で、不倫の事実は明らかであるものの、相手が誰なのかわからないケースなどでは、不貞行為のあったときから20年が時効となります。
不貞行為の前から夫婦関係が破綻していた場合、慰謝料の請求は難しいでしょう。
不倫の事実が夫婦関係に及ぼした損害はなく、保護されるべき権利の侵害もなかったと判断されるためです。
相手に慰謝料を支払ってもらうには次の3つの方法があります。
当事者同士で交渉して慰謝料の支払いを求める方法です。
直接相手と面会したり電話したりして話し合ってもかまいませんが、やり取りの内容が残るよう手紙やメールでやり取りすることをおすすめします。
やり取りの内容が残っていれば、交渉で話がまとまらず裁判を起こさざるを得なかった場合に証拠として使える可能性があるからです。
両者の話がまとまったら示談書を作成しましょう。
示談書には慰謝料額のほか、支払い期日や支払い方法、その他の条件を記載し、双方が署名(または記名)、押印をして作成します。
また、示談書は公正証書にしておくと安心です。
公正証書を作成しておけば、万が一相手方が約束を反故にして支払いをしなかった場合に、裁判手続を経なくても強制執行手続ができます。
交渉を始めるにあたって、内容証明郵便を利用して慰謝料を請求するのもよいでしょう。
内容証明郵便とは郵便局が、いつ、誰が、誰あてにどのような内容の郵便を送ったかを証明してくれる郵便です。
これを利用すれば、相手が受け取っていないなどと主張できなくなるため、特に時効が迫っている場合に有効です。
一般的に内容証明郵便を利用するのは交渉開始時だけです。
以降の交渉は文書やメール、話し合いでおこなわれることが多いでしょう。
慰謝料を請求するには民事訴訟を起こすという方法もあります。
しかし、一般的に手間のかかる裁判手続の利用はできるだけ避ける傾向にあるため、最初から裁判を起こすケースはほとんどありません。
交渉が上手くいかなかった場合の手段として利用されることが多いでしょう。
慰謝料請求を弁護士に依頼した場合、以下のような流れで進めることになります。
弁護士にはできるだけ早く相談、依頼することをおすすめします。
弁護士への相談が早いほど有利に解決できる可能性が高まるからです。
証拠集めや今後の方針についてのアドバイスをもらい、慰謝料請求への備えを始めましょう。
確実に相手に慰謝料を支払ってもらうためには、不貞の事実を証する証拠を入手しておくことが非常に重要です。
弁護士のアドバイスに従い、証拠を集めましょう。
また、別居を考えているなら、証拠を集め終わってからがおすすめです。
なぜなら、別居してしまうと証拠を集めるのが難しくなる傾向があるからです。
相手の行動を把握しにくくなるうえ、相手の持ち物や郵便物などのチェックも困難になります。
慰謝料を支払ってもらうためにも、安易に家を飛び出さず、計画的に行動しましょう。
準備が整ったらいよいよ相手との交渉を開始します。
弁護士に依頼した場合、まずは内容証明郵便を利用して相手に慰謝料の支払いを求め、相手の出方をうかがうのが一般的でしょう。
その後の相手との交渉も全て弁護士がおこないます。
相手からの連絡も全て弁護士の元に届くので、依頼者が相手と直接やり取りする必要はありません。
また、相手方も弁護士に依頼した場合は弁護士同士で交渉を進めます。
慰謝料額やそのほかの条件で合意に至り示談交渉が成立すれば、示談書を作成します。
弁護士に依頼すれば、示談書も弁護士が作成し、署名(または記名)押印も代理人である弁護士がおこないます。
相手方は交渉で決定した金額の慰謝料を指定の期日までに支払います。
弁護士に依頼した場合は、弁護士の預り金口座に振り込まれるのが一般的です。
弁護士が着金を確認後、依頼者に支払います。
示談交渉で解決できなければ、訴訟を提起することになります。
訴訟提起には訴状の作成や、裁判所の書証の準備など、不慣れな方には少々複雑に感じられる作業をおこなう必要がありますが、弁護士に依頼していれば全て弁護士がおこないます。
相手に確実に慰謝料を支払ってもらうためには慰謝料請求をするタイミングも大切です。
以下のことに注意して請求しましょう。
不倫の慰謝料請求の時効は、実際に不貞行為をした日から20年、不倫の事実または不倫相手を知ったときから3年です。
時効が成立してしまえば慰謝料の請求はできません。
特に不倫が発覚した直後はショックや悲しみでとても行動を起こす気にはなれないかもしれませんが、時間は刻々と過ぎていきます。
つらいかもしれませんが、慰謝料請求を考えているなら、できるだけ早めに動き始めましょう。
不貞行為があったことを立証できる証拠がなければ、相手が認めなければ慰謝料を支払わせられませんし、訴訟になったとしても有利な結果は得られません。
慰謝料請求をする前に、確実に証拠を入手しておきましょう。
ただし、証拠集めにも注意が必要です。
証拠を無理に自分で集めようとして、相手や不倫相手のプライバシーを侵害してしまう可能性もあります。
証拠を集める前に弁護士に無料相談でアドバイスを受けておくとよいでしょう。
場合によっては提携している探偵事務所なども紹介してもらえます。
慰謝料を請求したいなら、弁護士への相談や依頼はできるだけ早いタイミングでおこなうのが望ましいところです。
弁護士に相談すれば、慰謝料請求に向けた準備を早い段階からおこなえるので、自分にとって有利な結論を得やすくなるでしょう。
また、相手との話がこじれてから依頼すると、弁護士が交渉しても解決できず、訴訟提起をせざるを得なくなる可能性もあります。
解決までに多くの時間を要するでしょう。
自分にとって有利な内容で迅速な解決を望むなら、弁護士への相談や依頼はできるだけ早いタイミングでおこなうことをおすすめします。
慰謝料請求は自分でもおこなえますが、弁護士に依頼する方がよいでしょう。
弁護士に依頼すれば以下で紹介するようなメリットを享受できるからです。
配偶者であれ、不倫相手であれ、慰謝料を請求したい相手と関わるのは不快感を伴うものです。
さらに相手が慰謝料の支払いを拒んだり、反省の色を見せなかったり、それどころか、こちらの感情を逆なでするような言動があったりすれば、かなりのストレスを感じることでしょう。
弁護士に依頼すれば、相手とのやり取りは全て弁護士がおこないます。
相手と関わる必要がなくなるため、精神的な負担をかなり減らせるはずです。
慰謝料を請求して解決するまでには意外と多くの書面を作成しなければならず、慣れない方にとっては難しいことも多いものです。
内容証明郵便を利用するのであれば、独特のルールに従って作成しなければなりませんし、交渉成立後に作成する示談書も初めて作成する方にとっては難しく感じられるでしょう。
また、訴訟となった場合、訴状のほかに、準備書面など多くの書類を作成する必要があります。
裁判所への書類提出にも特有のルールがあるため、慣れない方にとっては多くの時間と労力を要することになり大変です。
弁護士に依頼すれば、書類の作成はもちろん訴訟手続きも全ておこなってもらえます。
弁護士はこれらの業務を日常的におこなっているため、スムーズに進めてくれるでしょう。
自分で慰謝料を請求しても、相手に無視されたり、弁の立つ相手に反論されて十分な額を支払ってもらえなかったりするケースも多くあるものです。
弁護士の名で連絡すればこちらの本気度が伝わります。
連絡を無視していた相手が、弁護士の名で連絡した途端に驚いて応じるケースも少なくありません。
また、弁護士は交渉のプロです。
口が立つ相手でも、弁護士が法律的知識をもって論理的に話をすれば請求に応じる場合もあるでしょう。
自分で交渉するよりも多額の慰謝料の獲得が期待できます。
自分で相手との交渉を成立させて離婚したとしても、相手が慰謝料を支払わないというトラブルが起こるケースは多いものです。
相手に支払ってもらおうにも、離婚後では相手が逃げやすくなかなか支払ってもらえないこともあります。
弁護士に依頼すれば、離婚後のトラブルに備えて先手を打っておいてもらえます。
示談書を公正証書にしたり、示談の際の条件を工夫したりするなど、後になって起こりそうなトラブルを防ぐ対策を講じてもらえるでしょう。
離婚成立後も安心して過ごせるはずです。
配偶者の不倫が発覚し、慰謝料の請求を考えているなら、できるだけ早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士のアドバイスのもと、しっかり準備したうえで請求すれば、相手が慰謝料を支払う可能性が高まるからです。
また、交渉のプロである弁護士に示談交渉をしてもらえば、自分で請求するよりも高額な慰謝料を獲得できることも少なくありません。
自分が納得できる結果を得るためにも、慰謝料を請求するなら早めに弁護士へ依頼しましょう。