協議離婚・調停・裁判
離婚調停中に嫌がらせ行為をするとどうなる?4つの不利益やとるべき対応などを解説
2024.08.21
離婚の話し合いがまとまらず裁判になり、自分で対応できるのか、弁護士に依頼すべきなのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
また、弁護士に依頼するといくらかかるのか、費用も気になりますよね。
本記事では、離婚裁判で弁護士に依頼すべき理由や、費用の目安などについて解説します。
離婚裁判をできるだけ有利に、円滑に進めたい方は、本記事を参考に、弁護士への依頼を検討してみてください。
日本弁護士連合会の調査によると、令和4年の離婚裁判における弁護士の選任率は98.3%に上ります。
裁判は、弁護士に依頼せずご自身で対応することも可能です。
これを、「本人訴訟」といいます。
本人訴訟は弁護士費用を節約できるというメリットがありますが、弁護士に依頼する場合と比較して勝てる可能性は低いといえるでしょう。
法律や裁判の知識がないと適切な主張ができず、有利に進められないケースが多いからです。
実際に離婚裁判の大半が弁護士を通しておこなわれており、相手方が弁護士をつけてくることも予想されるため、やはり裁判は弁護士へ依頼するのが賢明な判断といえます。
【参考】人事訴訟事件における弁護士選任状況|日本弁護士連合会
離婚裁判は、弁護士への依頼がおすすめです。
ここからは、離婚裁判を弁護士に依頼すべき4つの理由を解説します。
離婚裁判を弁護士に任せたほうがよい理由の1つ目は、勝訴できる可能性が高まるからです。
裁判は、裁判官に自身の主張を認めてもらえれば勝訴となります。
裁判官に自身の主張を認めてもらうには、適切な内容・方法で主張書面を提出し、さらに主張を裏付ける証拠も出す必要があるのです。
むやみに自身の意見を主張すればよいというわけではありません。
また出した証拠が、裁判の場で必ず効力を発揮するとも限らないでしょう。
弁護士に依頼すれば、裁判で有利になる適切な主張書面を作成し、法的に有効な証拠を集めてくれます。
知識や経験がないなかで本人訴訟をおこなうよりも、勝訴できる可能性は格段に高まるといえるでしょう。
離婚裁判を弁護士に任せたほうがよい理由の2つ目は、弁護士が有利な結果になるように努めてくれるからです。
離婚裁判は、離婚請求を認めるか棄却するかを争うだけではありません。
子どもがいる場合は親権や養育費、面会交流の取り決め、さらには財産分与など、決めなければならないことがたくさんあります。
弁護士は依頼者の味方なので、少しでも有利な取り決めができるよう全力を尽くしてくれるはずです。
全ての要求を通すことが難しいケースでも、部分的に認めてもらえないか、裁判官に訴えてくれるでしょう。
納得のいく解決をするためにも、弁護士への依頼がおすすめです。
離婚裁判を弁護士に任せたほうがよい理由の3つ目は、訴状や陳述書などを作成してくれるからです。
裁判を起こすには、訴状を作成して裁判所に提出する必要があります。
裁判が始まったら、主張書面や陳述書などさまざまな書面を出さなければなりません。
しかし、書面の作成には法律の知識も必要なので、ご自身で調べながら対応するのは困難だといえます。
弁護士に依頼すれば、これら書面の作成から提出まで、全て代理でおこなってくれます。
書面を一から作成する手間を省けるため、ストレスも抑えられるでしょう。
離婚裁判を弁護士に任せた方がよい理由の4つ目は、裁判期日に出廷する必要がなくなるからです。
裁判は平日の日中におこなわれます。
裁判の度に仕事を休まなければならず、ご自身の負担も大きいでしょう。
弁護士に依頼すれば、裁判期日への出席も代理で対応してくれます。
毎回仕事を休めない方や、裁判に行きたくないという方は、弁護士への依頼を検討しましょう。
ストレスを軽減できるはずです。
弁護士には、それぞれ得意不得意があります。
離婚裁判は、離婚裁判が得意な弁護士への依頼がベストです。
ここからは、離婚裁判が得意な弁護士を探す方法を3つ、紹介します。
離婚裁判が得意な弁護士を探す1つ目の方法は、「ベンナビ離婚」を利用することです。
「ベンナビ離婚」には、全国の離婚問題が得意な弁護士が多数登録されています。
相談内容の絞り込み機能で「離婚裁判」を選択すれば、離婚裁判の経験が豊富な弁護士だけを一覧で表示させることも可能です。
インターネットの膨大な情報量の中から離婚問題が得意な弁護士を探すのは、時間と労力がかかります。
よさそうな弁護士だと思っても、蓋を開けてみると離婚問題の経験が少なかったということも考えられるでしょう。
「ベンナビ離婚」には、そもそも離婚問題の経験が豊富な弁護士しか登録されていないので、相談時のミスマッチも防げるはずです。
離婚問題が得意な弁護士を探すなら、「ベンナビ離婚」を利用しましょう。
2つ目の方法は、弁護士会に紹介してもらうことです。
弁護士会とは、各都道府県にある弁護士が所属している団体のことです。
相談したい分野に対応してくれる弁護士を、無料で紹介してくれます。
インターネットで探すのが不安という方は、弁護士会を経由したほうが安心かもしれません。
ただし、弁護士会によっては紹介制度がないところもあります。
まずは居住地にある弁護士会のホームページを確認してみましょう。
3つ目の方法は、インターネットで検索することです。
インターネット上には、さまざまな弁護士の情報があります。
時間をかけてじっくり選ぶのであれば、インターネットで探してみましょう。
たとえば、東京都在住で離婚裁判が得意な弁護士を探す場合は、「東京 離婚裁判 弁護士」などと検索してみてください。
また、法律事務所のホームページには、得意分野や解決事例などが掲載されている場合があります。
ご自身の状況と似ている事例があれば、実際に担当した弁護士に相談してみるのもおすすめです。
たくさんの選択肢の中から、ご自身に合う弁護士を探すのはたいへんです。
なるべく効率よく、信頼できる弁護士を探すためのポイントを知っておきたいですよね。
ここからは、離婚裁判を依頼する弁護士を選ぶ際の5つのポイントを解説します。
1つ目のポイントは、離婚問題の解決実績が豊富な弁護士を選ぶことです。
上述のとおり、弁護士には得意不得意があります。
たとえば刑事事件が得意な弁護士に離婚裁判を依頼しても、ノウハウがなく思うような結果を出せないかもしれません。
これまでの弁護活動の中で離婚問題に注力し、解決実績が豊富な弁護士であれば任せても安心だといえます。
弁護士歴の長短に限らず、これまでどのくらいの離婚問題に携わってきたのかをしっかり確認しておきましょう。
2つ目のポイントは、親身になって相談に乗ってくれる弁護士を選ぶことです。
離婚問題に限らずですが、納得のいく解決をするためには弁護士に話をしっかり聞いてもらう必要があります。
話を聞いてもらえなければ事案の背景や自分自身の意向を把握してもらえず、思うような結果に至らない可能性があるからです。
親身になって相談に乗ってくれる弁護士であれば、ご自身の気持ちを理解して、なるべく意向に沿った解決を目指してくれるでしょう。
3つ目のポイントは、話しやすくて相性がよいと感じる弁護士を選ぶことです。
離婚は、今後の人生を大きく左右する問題でもあります。
ご自身がどうしたいのか、希望をしっかり弁護士に伝えなければなりません。
しかし、ご自身が話しにくいと感じる弁護士に依頼すると、隠し事や嘘につながるおそれもあります。
裁判に悪影響が生じる可能性も否定できないので、できるだけ依頼は避けたほうがよいでしょう。
また、離婚裁判は年単位で時間がかかるケースもあります。
長い付き合いになるからこそ、話しやすくて相性がよい弁護士を選ぶことが大切です。
4つ目のポイントは、リスクについても説明してくれる弁護士を選ぶことです。
裁判で全ての希望が通るとは限りません。
法律的に難しいこともあるでしょう。
相談したときに、できること、できないことをきちんと説明してくれる弁護士であれば、信頼できるといえます。
反対に、耳障りの言葉ばかりを並べて、リスクに触れようとしない弁護士は信頼できないため依頼することはおすすめしません。
裁判は、弁護士と二人三脚で進めていくものなので、信頼関係を築ける相手を選ぶことが大切です。
5つ目のポイントは、相場と比べて弁護士費用が妥当な弁護士を選ぶことです。
弁護士費用が高すぎると支払いが困難になるほか、逆に安すぎても、きちんと対応してくれるか不安に感じられてしまいます。
そのため、相場からかけ離れていない、適正な金額の弁護士を選ぶのがおすすめです。
では弁護士費用の相場は、どのくらいなのでしょうか。
次項で解説します。
離婚裁判は弁護士への依頼がおすすめです。
しかし、弁護士費用がいくらかかるのか気になる方もいるのではないでしょうか。
ここからは、離婚裁判を弁護士に依頼した場合にかかる費用と相場について紹介します。
費用項目 | 費用相場 |
相談料 | 30分5,000円程度 |
着手金 | 20万〜50万円程度 |
報酬金 | 経済的利益の額の10〜20% |
日当 | 3万〜5万円程度 |
実費 | 事件によって異なる |
相談料とは弁護士に相談した際に発生する費用のことで、相場は30分あたり5,000円程度です。
相談する度に相談料が発生します。
なお、法律事務所によっては、無料相談を実施している場合もあります。
初回限定のケースがほとんどですが、相談料が気になる、まずは気軽に相談してみたいという方は、無料相談を活用してみましょう。
実際に弁護士に離婚裁判を依頼することになった場合、着手金が発生します。
着手金とは弁護士が事件に着手する際に必要なお金で、相場は20万円~50万円程度です。
基本的には依頼するときに支払い、どんな結果になっても返金はされません。
なお、法律事務所によっては調停から引き続き裁判も依頼する場合に、裁判の着手金が割引になるケースもあります。
離婚裁判が解決したら、報酬金が発生します。
報酬金の計算方法は、法律事務所によって異なります。
一般的には、固定額として着手金と同額程度の費用であったり、経済的利益の10%~20%程度であることが多いです。
経済的利益とは、裁判で獲得できた利益のことです。
たとえば500万円の財産分与を獲得できた場合、500万円の10%~20%にあたる50万円~100万円が報酬金と計算します。
裁判手続には、日当も発生します。
日当とは、弁護士が裁判所に出廷したり、交渉の場に立ち会ったりする際に発生する費用です。
弁護士の拘束時間によって費用が変わりますが、相場は1日当たり3万円~5万円程度だといわれています。
たとえば遠方の裁判所に出廷する場合、拘束時間が長くなるため日当が高くなるかもしれません。
そのため、管轄裁判所がどこにあるのか、事前にしっかり確認したうえで弁護士を選ぶことが、日当の負担を抑えるコツといえるでしょう。
裁判手続には、実費も発生します。
訴訟提起する際の印紙や郵便切手代、裁判所や相手方に提出する書面の郵送代や弁護士の交通費など、事件によってかかる実費は異なります。
少なくとも、数万円程度はかかると考えておきましょう。
離婚裁判を弁護士に依頼するには、数十万円単位でのまとまったお金が必要です。
用意するのが難しい方もいるのではないでしょうか。
ここからは、離婚裁判の弁護士費用を支払えない場合の対処法を紹介します。
弁護士費用が支払えないときは、法テラスの民事法律扶助制度を利用するのも選択肢のひとつです。
法テラスとは、法律トラブルに巻き込まれた人に法的支援を提供してくれる窓口のことです。
法テラスが定めた条件を満たせば、弁護士費用を立て替えてもらうことができます。
収入が一定以下であることや、勝訴の見込みがないとはいえないことなどさまざまな条件があるので、ご自身が利用対象かどうか一度法テラスに相談してみるとよいでしょう。
弁護士費用が支払えないときは、分割払いに対応している弁護士を探しましょう。
弁護士に依頼する場合、相談料や着手金などのまとまった金額が必要です。
一気に支払うことが難しくても、月々数万円程度なら支払えるかもしれません。
なかには、後払いに応じてくれる弁護士もいます。
どうしても一度に弁護士費用を支払えない場合は、事情を丁寧に説明することが大切です。
弁護士費用が支払えないときは、完全成功報酬型の弁護士に依頼しましょう。
裁判が終了した際に、得られた結果によって報酬を支払う料金体系を完全報酬型といいます。
たとえば、離婚相手への慰謝料請求をおこなったものの、一切認められなかった場合には弁護士費を支払う必要がありません。
依頼する際の初期費用がかからず、終わってから報酬を払えばよいので経済的に余裕がなくても裁判を進められます。
ただし、離婚裁判の依頼において、完全報酬型を導入している法律事務所は少ないといえます。
その中から自分に合う弁護士を探すのは、時間がかかってしまうかもしれません。
そもそも離婚裁判は、どのような流れで進んでいくのでしょうか。
ざっくりとした流れを把握しておくと、心構えができるので安心です。
ここからは、訴状を提出してから判決言い渡されるまでの、離婚裁判の大まかな流れを解説します。
まずは管轄の家庭裁判所に、訴状を提出します。
提出先の裁判所は、原則夫もしくは妻の住所地を管轄する裁判所です。
訴状には、以下のような内容を記載します。
また訴訟提起をするには、訴訟物の価格に応じた収入印紙と、訴状を被告に送達するための郵便切手も購入しなければなりません。
離婚を求める際の訴額は160万円とみなされるので、収入印紙の額は1万3,000円です。
ただし養育費や財産分与など、請求内容によって印紙額は追加されるので、提訴の前に家庭裁判所に確認しておきましょう。
郵便切手の金額は、家庭裁判所によって異なります。
たとえば横浜家庭裁判所の場合は6,000円分の郵便切手が必要です。
訴状が受理されると訴訟期日が開かれ、事件についての審理がおこなわれます。
第1回の訴訟期日は、訴状提出の約1ヵ月~1ヵ月半後に設定されるケースが一般的です。
その後被告に、期日通知書とともに訴訟書類一式が郵送されます。
なお、第1回期日は被告の予定を聞かずに決めているため、被告は答弁書を提出すれば期日の欠席が認められます。
第1回期日では、原告の訴状と被告の答弁書をもとに裁判の争点を確認し、それぞれが主張を裏づける証拠を提出するのが基本的な流れです。
通常、第1回期日で判決が下されることはなく、次回期日の日程調整などがその場でおこなわれます。
以降は、1ヵ月~1ヵ月半に1回程度のペースで期日が設けられ、争点を整理していくことになります。
争点の整理が終わると、「証拠調べ」に移行します。
複数回の期日が開催され、和解の見込みがない場合、判決が言い渡されます。
判決期日は、最後の証拠調べが終わったあと、約1ヵ月後に設定されることが多いようです。
なお、判決の詳細は、後日郵送される「判決書」に記載されています。
判決の内容に不服がある場合は、控訴を検討しなければなりません。
判決書を受け取ってから2週間以内に控訴すれば、高等裁判所で改めて審理してもらうことができます。
ここからは、離婚裁判と弁護士に関するよくある質問を紹介します。
離婚裁判で弁護士をつけないと、ご自身に不利な流れで裁判が進むリスクがあります。
おそらく多くの方が、裁判手続を経験したことがないはずです。
裁判で提出すべき書類にはどんなものがあるのか、証拠は何を出せばいいのか、裁判の勝手がわからないことも多いでしょう。
また、自分では有力だと思っていても、裁判の世界ではあまり意味がない主張や証拠もあるかもしれません。
これは裁判に慣れている弁護士でないと、見極めが難しいものです。
裁判所は、あくまで公平に審理を進める立場にあるため、弁護士をつけていないほうに肩入れするようなことはしません。
裁判で弁護士をつけないと、手続きがわからないだけでなく、効果的な主張ができず不利になってしまう可能性があります。
裁判所の調査結果によると、令和4年における離婚裁判の平均期間は14.7ヵ月です。
およそ1年、長ければ2年ほどかかると考えておきましょう。
基本的に、弁護士費用を相手方に請求することはできません。
弁護士に依頼するかどうかは本人が自由に決められることなので、当然、費用も自己負担になります。
ただし、配偶者が不倫などの不貞行為をおこなったことに対して損害賠償請求をする場合は、弁護士費用の一部を請求できる可能性があります。
全額の請求が認められることは難しいですが、かかった弁護士費用の一部は支払いが認められることがあります。
不法行為の被害者が、自己の権利擁護のため訴を提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものにかぎり、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである。
離婚裁判を検討している場合は、まず弁護士に相談してみてください。
離婚裁判を弁護士に相談・依頼すべき理由には、以下の4つが挙げられます。
ご自身で対応する本人訴訟も可能ではありますが、手続きに慣れている弁護士が対応したほうが、ご自身に有利な結果になるでしょう。
弁護士に離婚裁判を依頼する際の費用の目安は、着手金が20万円~50万円程度、報酬は得られた経済的利益によります。
ほかにも実費や日当が発生するので、トータルで50万円~100万円程度はかかると考えておきましょう。
裁判手続になると、解決までに年単位の時間を要します。
早く解決をしたいなら、裁判になる前に弁護士へ相談するのがおすすめです。
トラブルを大きくせずに交渉で解決できるかもしれません。
離婚したいと思ったら、早めに弁護士へ相談しましょう。