悪意の遺棄とは?悪意の遺棄の定義や事例、慰謝料請求の注意点を解説!

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目次
  1. 悪意の遺棄に関する3つの義務
    1. 同居義務
    2. 協力義務
    3. 扶養義務
  2. 離婚になる?悪意の遺棄が認められる事例
    1. 生活費を渡さない
    2. 正当な理由なく同居を拒否する
    3. 浮気相手の家で同居・生活している
    4. 配偶者を虐待して家から追い出す
    5. 健康であっても働かない
    6. 配偶者が病気でも面倒を見ない
    7. 家事を放棄する
    8. 何度も家出する
  3. 悪意の遺棄が認められない事例
    1. モラハラやDVが原因での別居
    2. 離婚を前提として手紙を残して出て行った
    3. 病気や出産などの理由で実家から戻らない
    4. 破綻しかけた夫婦関係を回復するための別居
    5. 仕事での単身赴任
  4. 悪意の遺棄と認められた判例
    1. 病気の妻を置き去りにして生活費を出さなかった判例
    2. 夫の出張があまりに多く、生活費を入れなかった判例
    3. 愛人の家に入り浸った夫から離婚請求をした判例
  5. 悪意の遺棄で請求可能な慰謝料相場は?
  6. 慰謝料請求のためには有効な証拠を集める必要がある
  7. 悪意の遺棄であれば離婚できるの?離婚が認められる理由とは
    1. 悪意の遺棄は法定離婚事由
    2. 悪意の遺棄をした側からは離婚の申し出ができない
    3. 悪意の遺棄をされた側からは離婚の申し出ができる
  8. 悪意の遺棄をされた場合の対応
    1. 協議|慰謝料の請求
    2. 調停
    3. 婚姻費用を請求するには婚姻費用分担請求
    4. 裁判
  9. 円滑な解決を望むなら離婚事案の経験が多い弁護士へ相談する
  10. さいごに|悪意の遺棄で慰謝料を受け取るには正当な理由と証拠が必要

「音信不通が続いていて、どこに行ったか分からなくなってしまった」

「生活費を払ってくれなくて、家計のやり取りに困っている」

このような悩みは民法第770条1項2号に定められている「悪意の遺棄」として慰謝料請求できる可能性があります。

悪意の遺棄とは、正当な理由がなく夫婦間の義務に不当に反することです。夫婦には同居をして互いに助け合う義務があります。配偶者の行動が義務に反している場合は、離婚や慰謝料を請求できます。

悪意の遺棄の定義、悪意の遺棄として認められる事例や慰謝料相場など悪意の遺棄について徹底的に解説します。

本記事を読んで、悪意の遺棄について理解を深めて、慰謝料請求や離婚できるケースなのか照らし合わせてください。

悪意の遺棄に関する3つの義務

同居義務」「協力義務」「扶養義務」これら3つの義務に違反すると悪意の遺棄として認められ、慰謝料や離婚請求できるケースがあります。

 

個人それぞれで状況が異なるため、悪意の遺棄にあたるかどうか一概に判断はできません。悪意の遺棄の事例を多数取り扱っている弁護士に相談して、慰謝料請求できるケースか判断してもらいましょう。

 

ただし、「慰謝料」を請求するためには有効な証拠を集める必要があります。

証拠の確保を個人で行う場合、どこにいるか分からない相手を探すのは時間と労力がかかるうえに、確保した証拠が法的に認められない可能性があります。

 

そこで、個人で証拠を集めるのではなく、証拠集めに精通した調査業者や探偵に依頼することをおすすめします。


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この記事を監修した弁護士
齋藤健博弁護士(銀座さいとう法律事務所)
男女問わず不倫問題全般を得意とし、円満解決の実績もあり。不倫が原因の男女トラブル、離婚慰謝料の請求や親権獲得など、幅広い相談に対応している。

悪意の遺棄に関する3つの義務

悪意の遺棄とは、民法770条2項に定められた法定離婚事由です。配偶者が正当な理由がなく婚姻生活への協力を拒むことを指します。法廷離婚事由である悪意の遺棄が認められると、離婚が成立します。

(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

(引用元:民法|e-gov法令検索

悪意の遺棄の具体例は、生活費を渡してくれない、連絡なしに家から出ていくなどです。

民法752条には、次のような夫婦の義務が定められています。

(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
引用:民法

夫婦には、一緒に住む必要がある「同居義務」、協力し合う必要がある「協力義務」、助け合う必要がある「扶助義務」という3つの義務が法律に示されています。これらの義務違反が認められると、悪意の遺棄と認定されます。

同居義務

同居義務とは、夫婦は同居すべきという義務です。正当な理由がなく同居の拒否や別居をしている場合は、同居義務違反となります。単身赴任など仕事の都合や親の介護など、正当な理由があって同居していない場合は、同居義務違反とはなりません。

  • 不倫相手と一緒に暮らすために家を出た
  • 理由も言わず出ていった

このような場合は、同居義務違反となるでしょう。

協力義務

協力義務とは、生活のあらゆる場面で夫婦が協力すべき義務を指します。病気療養中である配偶者の面倒を見ない、家事を放棄するなどが協力義務違反の例です。

扶養義務

扶養義務とは、相手を経済的に養う義務です。協力義務と扶養義務は、合わせて「相互扶助義務」とも呼ばれています。夫婦は、収入の高い方が経済的に相手を支え、低い方は家事などで相手を支えるという協力関係にあるからです。

扶養義務違反にあたるケースとして、理由なく働かない、生活費を入れないなどが挙げられます。

離婚になる?悪意の遺棄が認められる事例

悪意の遺棄が認められる具体的な例を紹介します。

生活費を渡さない

生活費を払わないケースも、悪意の遺棄と認められます。同居はもちろん、単身赴任の夫が生活費を送らない場合も該当します。

生活費を渡さないケースが悪意の遺棄に該当するかどうかは、夫婦の収入によって変わる場合があります。夫より妻の収入が多く、夫の生活費がなくても家庭の生活が成り立つ場合は、悪意の遺棄に該当しない可能性が生じます。反対に、妻が専業主婦で少しのお金では生活が成り立たない場合、少額の生活費を渡していても悪意の遺棄とみなされる可能性があります。

現代では、男女間の収入格差が縮まっているとの評価もありますが、女性は育児・家事を中心となって担うことが多いため、男性と同等の稼ぎを得ることは困難であるといえるでしょう。

悪意の遺棄に関与する男女間賃金格差

引用:男女間の賃金格差解消のためのガイドライン_厚生労働省

男性に生活費を入れてもらえない場合、女性は生活に困窮する可能性が高いことが伺えます。

正当な理由なく同居を拒否する

正当な理由なく同居を拒否している場合、悪意の遺棄とみなされます。具体的には理由なく別の家に住む、または、里帰りしたまま帰ってこないケースです。

義理の両親と同居していた場合、姑と仲が悪く実家に帰ったままというケースもあるでしょう。状況によっては、同居義務違反となる可能性があります。

ただし、以下ように、正当な理由があって別居している場合は、悪意の遺棄とはなりません。

  • 介護のための里帰り
  • 子どもの通学のため別の家を借りている

浮気相手の家で同居・生活している

浮気相手の家で同居している場合も、悪意の遺棄に該当します。同居義務、協力義務双方に違反しているからです。

配偶者を虐待して家から追い出す

自分が出ていくだけでなく、配偶者を家から追い出すケースも、悪意の遺棄です。暴力や脅迫により、配偶者が家にいられないようにする場合も、配偶者を家から追い出す悪意の遺棄に該当します。

過去の判例では、夫からの暴力により妻が家から追い出された事案で、悪意の遺棄を原因とする妻からの離婚請求が認められました。

(参考:昭和59年 9月19日浦和地裁判決、昭58(タ)55号 ・ 昭58(タ)4号

健康であっても働かない

健康であるにもかかわらず、働かずに生活費を家に入れない場合、夫婦の協力義務に反した悪意の遺棄とみなされる可能性があります。働く意思がないことも同様です。ただし、専業主婦や主夫の場合は、家庭を保つ役割を果たしていると考えられるため、外で働かなくても悪意の遺棄に該当しません。

配偶者が病気でも面倒を見ない

配偶者に病気や重い障害あるにもかかわらず面倒を見ない場合も、悪意の遺棄とみなされます。

過去の判例では、病気で半身不随となった妻を置いて家を出ていき生活費を送らなかった夫の行為が悪意の遺棄とされ、妻の離婚請求が認められました。

(参考:昭和60年11月29日浦和地裁判決、昭60(タ)56号 ・ 昭58(タ)12号

家事を放棄する

一方が家事を放棄している場合も、悪意の遺棄とされる可能性があります。相互扶助義務の考え方に立つと、生活費を稼ぐ一方を支える家事がもう一方の仕事であるとされます。

また、妻の家事放棄が悪意の遺棄とみなされる場合、家事放棄が一定期間続いていることが条件となります。一定期間の基準は、個々の事例により異なります。

何度も家出する

正当な理由がなく家出している場合も、悪意の遺棄とされるでしょう。警察庁の統計によると、令和3年に警察に行方不明届が出された総数のうち、男性の割合は63.5%です。統計から、男性の方が家出をする率が高いことが伺えます。

精神疾患により失踪癖が出る場合もあるため、家出のすべてが悪意の遺棄であるとは言えません。正当な理由がない家出の場合のみ、悪意の遺棄となります。

(参考:令和3年における行方不明者の状況|警察庁生活安全局人身安全・少年課

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悪意の遺棄が認められない事例

悪意の遺棄が認められない事例について解説します。正当な理由があって別居している場合は、悪意の遺棄が認められないことがほとんどです。

モラハラやDVが原因での別居

配偶者からモラハラやDVを受けていて別居に至った場合は、正当な理由による別居とされます。別居の原因はモラハラやDVをする配偶者にあり、配偶者から逃れる正当な理由があるからです。

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離婚を前提として手紙を残して出て行った

離婚の意思を告げることは、別居の正当な理由となります。「何も言わず出ていった」場合は悪意の遺棄となりますが、手紙であっても離婚の意思を伝えて出ていくことは、悪意の遺棄に該当しません。

病気や出産などの理由で実家から戻らない

病気や出産は、別居するための正当な理由となります。正当な理由があって里帰りしている場合は、悪意の遺棄とはなりません。

破綻しかけた夫婦関係を回復するための別居

いわゆる「冷却期間」を置くための別居は、正当な理由となります。したがって、破綻しかけた夫婦関係を回復するための別居は悪意の遺棄とは認められません。

仕事での単身赴任

仕事での単身赴任は、悪意の遺棄とは認められません。ただし、単身赴任先で不倫関係になった相手の家に住んでいる場合は、不貞行為があったとされる可能性が高くなります。

悪意の遺棄と認められた判例

前述した通り、悪意の遺棄が離婚理由となるケースは少なくありません。ご自身の状況を客観的に判断するためにも、実際に悪意の遺棄として認められた判例を確認しておきましょう。

病気の妻を置き去りにして生活費を出さなかった判例

夫は、半身不随の身体障害者で日常生活を送ることが難しい妻の境遇を知りながら、自宅に置き去りにし、正当な理由がなく家を飛び出して長期間別居を続けた。別居の間に生活費を全く送金していないため、夫の行為は民法770条1項2号の「配偶者を悪意で遺棄したとき」に該当する。

妻の財産形成への寄与や、夫の不貞行為による慰謝料など一切の事情を考慮して、夫から妻に対して土地建物の財産分与が命じられた。

裁判年月日 昭和60年11月29日 裁判所名 浦和地裁 裁判区分 判決
事件番号 昭60(タ)56号 ・ 昭58(タ)12号
事件名 離婚等本訴請求、同反訴請求事件
裁判結果 本訴認容、反訴請求棄却 文献番号 1985WLJPCA11291009

夫の出張があまりに多く、生活費を入れなかった判例

夫は仕事で1ヶ月の大半を家庭外で過ごし、1ヶ月平均2万円程度の生活費を家庭に入れた。仕事のためとは言え、あまりに多い出張や外泊は家族を顧みない行動であり、夫としての同居協力扶助の義務を十分に尽くさなかったといえる。

夫の行動は、今直ちに「悪意の遺棄」に当たるとすればやや足りないけれども、「婚姻を継続し難い重大事由」があるとするには十分であるとされた。
その責任の過半が夫にあることから、土地建物及び50万円の慰謝料を支払う必要が生じた。

裁判年月日 昭和43年 6月27日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決
事件番号 昭41(タ)44号
事件名 離婚等請求事件
文献番号 1968WLJPCA06270010

愛人の家に入り浸った夫から離婚請求をした判例

夫は、会社が倒産したことをきっかけに家出をして、愛人の家で同棲を始めた。夫は、アル中の入院中に妻が見舞いに来なかったこと、妻が生活費や入院費を負担しなかったこと、妻が夫の帰宅を受け入れなかったことが、悪意の遺棄に当たると主張したが、それは退けられた。

妻が夫の財産を仮差押えして、夫も別の女性と同棲するなどの破綻状態が続いており、夫婦仲の修復は不能であるが、有責配偶者である夫からの離婚請求は認められないとされた。

裁判年月日 昭和55年11月26日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 昭54(ネ)2626号
事件名 離婚請求控訴事件
文献番号 1980WLJPCA11260006

悪意の遺棄で請求可能な慰謝料相場は?

過去の判例によると、悪意の遺棄による慰謝料相場は数十万円程度です。50万円を下回る場合もあれば、300万を超える事例もあります。

「同居義務違反についての事情」や「協力・扶助義務違反についての事情」を考慮した上で、慰謝料は増減します。

また、慰謝料を請求する際には、「時効」に注意が必要です。民法724条により、悪意の遺棄による慰謝料請求の時効は、悪意の遺棄があったことを知った時から3年間と定められています。

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

(引用元:民法|e-gov法令検索

悪意の遺棄があったことを知ってから3年経つと、慰謝料の請求ができません。慰謝料は悪意の遺棄があったことを知ってから3年以内に必ず請求しましょう。

慰謝料請求のためには有効な証拠を集める必要がある

悪意の遺棄で慰謝料を請求する場合は、悪意の遺棄であることが認められる証拠を多く集める必要があります。証拠は、悪意の遺棄があったと訴える側が準備します。以下に、悪意の遺棄の証拠となる例を挙げます。

  • 生活費を払っていない証拠として、預貯金通帳の写し
  • 不倫相手と同居している場合は、不倫相手に送ったLINEや通話履歴、録音データ
  • 別居先を特定できる賃貸借契約書 など

自分でつけていた日記も、悪意の遺棄があった証拠となる可能性があります。特に、配偶者が不貞行為により悪意の遺棄をしている場合は、慰謝料が高額になる傾向です。別居の時期や原因など、悪意の遺棄に至った経緯を詳しく記録しておきましょう。

金銭に関する悪意の遺棄であれば証明は比較的簡単といえるでしょう。しかし、姑との折り合いが悪く実家に帰っているケースや、生活費の入金はあるが、愛人の家に住んでいるケースなどは決定的な証拠となるものが少ないため、立証が難しいのです。

そういった場合には、弁護士であったり、探偵業者に相談すると良いアドバイスがもらえるかもしれません。法テラスや無料相談可能な弁護士あれば、お金がかからないため気軽に相談できるでしょう。

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悪意の遺棄であれば離婚できるの?離婚が認められる理由とは

悪意の遺棄は、民法に定められた法定離婚事由です。悪意の遺棄と認められれば、配偶者が反対していても離婚が成立します。離婚には次の3種類があります。

  1. 協議離婚
  2. 調停離婚
  3. 裁判離婚

協議離婚は、配偶者の同意により成立する離婚です。離婚に対して配偶者の同意がない場合は、調停離婚や裁判離婚となります。裁判所でおこなわれる調停離婚や裁判離婚では、民法770条に定められた法定離婚事由がないと離婚できません。

悪意の遺棄は法定離婚事由

悪意の遺棄は、民法770条2項に定められた法定離婚事由です。

(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

(引用元:民法|e-gov法令検索

民法770条における「悪意」とは、他人を害する意思を指します。悪意の遺棄と認定されるには、遺棄により配偶者を困らせる意思や苦しめる意思があったかどうかがポイントです。

悪意の遺棄により夫婦関係が破たんした事実は、悪意の遺棄があったと主張する側が証明します。たとえば、「家事育児に協力しない」という事実だけでは、夫婦関係を破綻させる意図があったとは言い難いでしょう。

調停や裁判で離婚する場合は、法廷離婚事由である悪意の遺棄があることが必須となります。悪意の遺棄が認められれば、離婚に対して同意がなくても調停や裁判での離婚が可能です。

悪意の遺棄をした側からは離婚の申し出ができない

悪意の遺棄をした側は、有責配偶者となります。原則として、有責配偶者からの離婚請求は受け入れられません。したがって、悪意の遺棄をした側からは離婚の申し出ができないこととなります。

悪意の遺棄をされた側からは離婚の申し出ができる

悪意の遺棄をされた側は、悪意の遺棄を理由とした離婚請求ができます。悪意の遺棄をした側と異なり、悪意の遺棄をされた側からの離婚請求は、原則として認められます。

悪意の遺棄をされた場合の対応

悪意の遺棄をされて慰謝料請求や離婚請求をおこなう場合には、最初に夫婦間での協議が必要です。協議で解決しない場合、調停や裁判へ進む流れとなります。

協議|慰謝料の請求

最初に、悪意の遺棄をされた側に慰謝料を求める書状を送付します。書状の送付後、夫婦間で慰謝料の金額などについて協議します。協議の際に、弁護士を代理人に立てても問題ありません。

協議で話し合いがまとまらない場合は、調停に進みます。

調停

調停とは、家庭裁判所で行われる調停委員を交えての話し合いです。離婚せず同居や協力を求める場合は、「夫婦関係調停調整(円満)」を利用します。離婚を求める場合の調停は「夫婦関係調停調整(離婚)」です。

夫婦関係調停調整(円満)|同居や協力を求める場合

夫婦関係調停調整(円満)は、配偶者に同居や協力を求めて、円満な夫婦関係を回復するために利用される調停です。円満調停とも呼ばれています。円満調停では、夫婦関係を円満にするための助言や解決案の提示を調停委員から受けられます。

夫婦関係調停調整(離婚)|離婚を求める場合は

夫婦関係調停調整(離婚)は、離婚を前提とした調停です。離婚調停とも呼ばれています。離婚について当事者間の話し合いがまとまらない場合や話し合いができない場合に利用されます。

離婚調停の利用は、夫婦関係の破たんが前提です。財産分与や子どもの親権、慰謝料といった離婚条件の話し合いを行う場となります。

婚姻費用を請求するには婚姻費用分担請求

婚姻費用とは、生活費や養育費など、婚姻生活を営むのに必要な費用です。悪意の遺棄で生活費を入れてもらえない場合、配偶者へ婚姻費用を請求できます。婚姻費用を配偶者に請求する方法は、婚姻費用分担請求です。

婚姻費用分担請求のやり方

婚姻費用分担請求は、まず配偶者に口頭で婚姻費用を請求します。書面を用意する必要はありません。配偶者が口頭での申し出に応じない場合、次におこなうのは、「婚姻費用分担調停」の申立てです。

婚姻費用分担調停では、配偶者と話し合って婚姻費用額や支払方法を決定します。調停で合意に達しない場合は、婚姻費用を支払う旨の審判が出されます。

審判により婚姻費用の支払義務が発生します。審判が出されると、悪意の遺棄をした側は婚姻費用を必ず支払わなければいけません。配偶者が婚姻費用を支払わない場合は、差押によって強制的に支払いの義務を負うことになります。

裁判

裁判は、調停が決裂した場合の最後の手段です。原告・被告とも証拠や主張を提出し、それに反論を繰り返す形で行われます。裁判は証拠や主張がなくなるまでおこなわれ、判決が出たら結審です。

円滑な解決を望むなら離婚事案の経験が多い弁護士へ相談する

悪意の遺棄は、個々のケースに応じて状況を総合的に考慮して判断されます。したがって、個々の事例が悪意の遺棄にあたるかどうかは、一概に判断できません。

悪意の遺棄など離婚事案の経験が多い弁護士であれば、悪意の遺棄の事例を豊富に知っています。さらに、法的視点からも、妥当な慰謝料額の算出が可能です。

初回相談を無料でおこなう法律事務所も多くあります。悪意の遺棄かもしれない事例で悩んだときは、一度弁護士へ相談してみましょう。

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配偶者が生活費を入れない場合や何も言わず出ていった場合、 悪意の遺棄に該当する可能性があります。配偶者の行為が悪意の遺棄と判断されれば、婚姻費用や慰謝料を受け取れます。しかし、悪意の遺棄と判断されるには正当な理由が必要です。加えて、悪意の遺棄と判断できる証拠を準備する必要があります。

悪意の遺棄により慰謝料を受け取りたい場合、弁護士への相談がおすすめです。悪意の遺棄に関する事例を熟知している弁護士なら、妥当な慰謝料額の算出が可能です。配偶者の行為が悪意の遺棄に該当するか分からない場合は、離婚事案の知識や経験が豊富な弁護士へ一度相談してみましょう。

この記事の調査・編集者
梶原美香
法律系SEOライターとして入社。何よりも読者第一であることを掲げ、読みやすく、理解しやすいコンテンツ制作を心がけている。離婚問題に注力している。
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