過払い金請求権の消滅時効|起算点・期間・完成を阻止する方法などを解説

過払い金請求権の消滅時効|起算点・期間・完成を阻止する方法などを解説

過払い金請求権は、最後の取引(完済など)から一定期間が経過すると、時効完成により消滅してしまいます。多額に及ぶ過払い金を回収できなくなってしまっては、債務者にとって大きな不利益です。

過払い金があると思われる場合には、早い段階で内容証明郵便の送付などの手段を講じ、消滅時効の完成を阻止しましょう。消滅時効の完成を阻止する法的効果を確実に発生させるには、弁護士へのご相談をお勧めいたします。

今回は過払い金請求権の消滅時効について、起算点・期間・完成を阻止する方法などを解説します。

過払い金に関する主な相談窓口としては弁護士がおすすめです

弁護士であれば安心して十分なサポートを受けられるでしょう。弁護士に相談するメリットは以下の通りです。

・漏れのない正確な請求ができる
・債権者と対等に交渉を進められる
・訴訟に発展した場合もスムーズに対応できる
・債務整理もセットで依頼できる(過払い金返還請求をしても債務が残る場合)

債務整理ナビ』では、過払い金請求に注力している弁護士を掲載しています。何度でも相談無料・分割払い可能・休日相談可能などの事務所もありますので、まずは一度ご利用ください。

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この記事を監修した弁護士
阿部 由羅
阿部 由羅弁護士(ゆら総合法律事務所)
ゆら総合法律事務所の代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。

消滅時効の基本ルール

民法では、一定期間行使しない権利が消滅する「消滅時効」のルールが定められています。

まずは「消滅時効」とは何かについて、基本的なポイントを確認しておきましょう。

消滅時効制度の趣旨

消滅時効が認められていることには、以下の3つの理由があると解されています。

  1. 永続した事実状態の保護
  2. 長期にわたって権利が行使されていない場合は、形式的な権利関係よりもその事実状態を尊重すべきであるという考え方が、消滅時効制度の背景にあります。

  3. 証明困難の救済
  4. 時間の経過によって証拠が散逸し、請求に対する反論が困難となることを考慮して、債務者(とされた者)の救済を図るために消滅時効が認められている面があります。

  5. 「権利の上に眠る」者を保護しない
  6. 権利があるにもかかわらず、それを長期間にわたって行使しない怠惰な債権者は、法的な保護に値しないと考えられています。

期間の経過により消滅時効が「完成」|「援用」により権利行使が不可能に

民法所定の期間が経過すると、債権の消滅時効が完成します。しかし、それだけで債権が消滅するわけではなく、債務者による消滅時効の「援用」が必要です。

「援用」とは、時効完成によって利益を受ける者が、消滅時効の完成を主張することを意味します(民法145条)。実務上は、内容証明郵便や訴状の中で消滅時効を援用するのが一般的です。

債務者が時効を援用すると、それ以降債権者は、債務者に対して支払いを請求できなくなります。

過払い金請求権の消滅時効について

過払い金請求権についても、発生後長年にわたって行使せずにいると、時効完成により消滅してしまうおそれがあります。過払い金を回収したい場合には、速やかに請求の準備を進めましょう。

過払い金請求権の消滅時効期間

過払い金請求権の消滅時効期間は、借入金の債権者(金融機関など)との間で、いつ最後の取引を行ったかによって決まります。

  1. 2020年3月31日以前に最後の取引をした場合
  2. 消滅時効期間は、最後の取引日から10年です。

  3. 2020年4月1日以降に最後の取引をした場合
  4. 消滅時効期間は、最後の取引日から5年です。

過払い金請求権の消滅時効の起算点

過払い金請求権の消滅時効期間は、借入金の債権者との「最後の取引日」です。

「最後の取引日」とは、借金などを完済済みの場合は完済日、未完済であれば最後の入出金(返済or借入れ)が行われた日となります。

(例)

  • 2009年4月1日に借入れ
  • 2014年4月1日に完済(その後は取引なし)

→完済日である2014年4月1日を起算点として、10年経過により過払い金請求権の消滅時効が完成します。具体的には、2024年4月1日の経過をもって消滅時効が完成です。

ただし、同じ金融機関との間で何度も完済・借入れを繰り返している場合には、上記の考え方が修正される点に注意が必要です。

完済を「区切り」として、形式的に取引が分かれている場合でも、全体として一連の貸付取引と評価できることがあります。

その場合には各完済の時点からではなく、最終の完済時点から、すべての過払い金請求権の消滅時効を起算するのが最高裁判例の立場です。

取引全体が一連の貸付取引と評価できるかどうかについて、最高裁は以下の判断基準を示しています。これらの事情を考慮して、各取引が「1個の連続した貸付取引である」と評価すべき場合には、前の取引の過払い金を後の取引の返済に充当する合意が存在すると判示しました(最高裁平成20年1月18日判決)。

  • 貸付けと弁済が反復継続して行われた期間の長さ
  • 完済から次の貸付けまでの期間
  • 前の取引に係る契約書の返還の有無
  • カードの失効手続きの有無
  • 完済から次の貸付けまでの期間における、貸主と借主の接触状況
  • 後の取引に係る契約が締結されるに至る経緯
  • 前後の取引における利率等の契約条件の異同 など

さらに別の最高裁判決では、過払い金充当合意を含む基本契約に基づく継続的取引について、すべての取引の終了時(最後の完済時)から過払い金請求権の消滅時効が進行すると判示されています(最高裁平成21年1月22日判決)。

このように取引全体の一連性が認められれば、個々の借入れに対応する過払い金請求権の消滅時効の起算点を、後ろにずらせる可能性がある点を覚えておきましょう。

過払い金請求権の消滅時効の完成を阻止する方法

過払い金請求権の消滅時効の完成を阻止するには、時効の「完成猶予」または「更新」のいずれかの効果を発生させる必要があります。

また、旧民法が適用されていた2020年3月31日以前に発生した時効の「停止」または「中断」事由も、消滅時効が完成していないと主張する際の根拠になり得ます。

時効の完成猶予

時効の「完成猶予」とは、時効期間が経過してもなお、消滅時効の完成を猶予することを意味します。「完成猶予」の効果が生じている間は、消滅時効が完成しないため、過払い金請求を行うことが可能です。

時効の完成猶予の効果は、以下のいずれかの事由が発生した場合に生じます。

  1. 裁判上の請求
  2. 支払督促
  3. 和解
  4. 調停
  5. 倒産手続参加
  6. 強制執行
  7. 担保権の実行
  8. 競売
  9. 財産開示手続
  10. 第三者からの情報取得手続
  11. 仮差押え、仮処分
  12. 内容証明郵便などによる履行の催告(6か月間のみ)
  13. 協議の合意

 時効の更新

時効の「更新」とは、消滅時効期間をリセットして、ゼロからカウントし直すことを意味します。時効が更新された場合、その後新たに進行する消滅時効期間が経過しなければ、過払い金請求権が時効消滅することはありません。

時効の更新の効果は、以下のいずれかの事由が発生した場合に生じます。

  1. 以下のいずれかの手続きを行った後で、権利が確定したこと
  2. ・裁判上の請求
    ・支払督促
    ・和解
    ・調停
    ・倒産手続参加

  3. 以下のいずれかの手続きが終了したこと
  4. ・強制執行
    ・担保権の実行
    ・競売
    ・財産開示手続
    ・第三者からの情報取得手続

  5. 権利の承認

2020年3月31日以前に時効の停止・中断事由が発生した場合

旧民法では、時効の完成猶予に対応する「停止」、時効の更新に対応する「中断」の事由が定められていました。

【時効の停止事由】
天災地変など
・内容証明郵便などによる履行の催告(6か月間のみ)
【時効の中断事由】
・裁判上の請求
・差押え、仮差押え、仮処分
・債務の承認

民法改正附則10条2項により、2020年3月31日以前に時効の停止または中断の事由が発生した場合、旧民法に従って時効の停止・中断の効力が生じます。

たとえば、2020年3月1日時点で裁判上の請求(過払い金請求訴訟の提起)が行われた場合、その時点で時効の中断の効果が発生します。

この場合、消滅時効期間はリセットされ、新たに2030年3月1日を終期とする消滅時効期間がスタートすることになります。

なお完済日が2020年3月31日以前の場合でも、今後の手続きによって過払い金請求権の消滅時効の完成を阻止するには、完成猶予・更新のルールが適用される点にご注意ください。

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消滅時効に注意して過払い金請求を行う手順

過払い金請求を行う際には、消滅時効が完成しないように気を付けつつ、迅速に準備・対応を進めることが大切です。

おおむね以下の手順に沿って、適正額の過払い金を回収できるように対応しましょう。

弁護士に依頼する

過払い金請求を自分で行う方もいらっしゃいますが、法的な観点から適正額の過払い金を回収するには、弁護士に依頼するのが安心かつスムーズです。

今後の手続きに関する流れ・見通しも教えてもらえますので、まずは弁護士に相談してみるのがよいでしょう。弁護士を信頼できると感じた場合には、過払い金請求の手続きを一任することをお勧めいたします。

内容証明郵便で請求書を送付する|消滅時効の完成を猶予

消滅時効の完成が迫っている場合、ひとまず暫定的に消滅時効の完成を阻止するため、相手方に対して内容証明郵便で請求書を送付しましょう(民法150条1項)。内容証明郵便での催告により、6か月間消滅時効の完成が猶予されます。

具体的な過払い金額がまだ判明していなくても、債権者・債務者・借入日などによって過払い金請求権を特定すれば、時効の完成猶予の効果を発生させることは可能です。

なお、消滅時効の完成まで比較的余裕がある場合には、後述する引き直し計算が済んでから請求書を送付しても問題ありません。

「引き直し計算」を行い、過払い金額を算出する

過払い金の請求額は、いわゆる「引き直し計算」を行って算出します。

引き直し計算とは、利息制限法の上限金利が適用されたと仮定して、本来支払うべき債務の金額を計算することです。もし本来支払うべき債務を超えて返済を行っていた場合には、超過額が過払い金に当たります。

過払い金の引き直し計算は、ウェブサイト上の計算ツールなどをダウンロードして行うことも考えられますが、弁護士に依頼した方がより安心です。

和解交渉を行う

過払い金の計算が済んだら、金額を記載した請求書を内容証明郵便で相手方に送付し、和解交渉の開始を提案しましょう。

多くの金融機関では、過払い金請求に法的な根拠があると判断すれば、和解交渉に応じています。和解が成立すれば、訴訟などへの対応コストを省くことができるからです。

和解交渉を通じて適正額の過払い金を獲得するには、相手方に対して、正確な引き直し計算に基づく金額を提示することが大切になります。

訴訟を通じて過払い金を請求する

過払い金額に関する当事者の主張に大きなずれがある場合、和解交渉がまとまらないことも考えられます。その場合には、裁判所に訴訟を提起するのが次のステップです。

訴訟では、過払い金請求権の存在・金額を、証拠に基づいて立証する必要があります。そのためには、正確な根拠に基づく引き直し計算の結果を証拠提出し、裁判所にその内容を認めてもらわなければなりません。

相手方も、過払い金請求権がそもそも存在しない、あるいは金額が高すぎるなどと反論してくることが予想されます。特に、前述の「取引の一連性」に関する論点が問題となった場合、主張・立証が激しく対立する可能性があるので注意が必要です。

判決確定|消滅時効の更新

過払い金請求訴訟を提起すると、判決の確定などにより訴訟が終了するまでの間は、過払い金請求権の消滅時効の完成は猶予されます(民法147条1項1号。ただし、権利が確定せずに訴訟が終了した場合、終了時から6か月後まで完成猶予の効果が継続します)。

訴訟の判決が確定した場合、その時点で時効の更新の効果が発生し、過払い金請求権の消滅時効がリセットされます(同条2項)。

原告が勝訴して過払い金の支払いを命ずる判決が確定した場合、その後の過払い金請求権の消滅時効期間は、判決確定日から10年です(民法169条1項)。

過払い金の精算or強制執行

和解または訴訟で過払い金の支払い義務が確定したら、その内容に従って過払い金の精算を行います。

もし相手方が確定した過払い金を支払わない場合には、裁判所に対して強制執行を申し立てましょう。確定判決がある場合には、それを債務名義として強制執行を申し立てることができます(民事執行法22条1号)。

これに対して和解によって過払い金を取り決めた場合、公正証書を作成していない限り、そのままでは強制執行を申し立てることができません。この場合は改めて訴訟を提起し、和解内容を立証して、裁判所に過払い金請求権の存在を認めてもらう必要があります。

過払い金請求を弁護士に依頼するメリット

過払い金請求の手続きには、専門的かつ複雑な内容が含まれるため、弁護士へのご依頼をお勧めいたします。

弁護士に過払い金請求を依頼することの主なメリットは、以下のとおりです。

消滅時効の完成を阻止するため、正しく対応できる

過払い金の存在には、完済後時間が経ってから気づくという方も多くいらっしゃいます。その場合、過払い金請求権の消滅時効が問題になるケースもしばしば見受けられます。

弁護士に依頼すれば、消滅時効の完成を阻止するため、時効の完成猶予や更新の手続きを迅速に取ってもらえるでしょう。過払い金請求権の時効消滅を防ぎたい場合には、弁護士へ依頼するのが安心です。

適正額の過払い金を請求できる

過払い金額を計算するには、利息制限法のルール・契約内容・過去の返済履歴を正しく把握したうえで、正確に引き直し計算を行わなければなりません。計算方法に不備があると、和解交渉や訴訟を通じて、適正額の過払い金を獲得できなくなってしまいます。

過払い金請求の経験が豊富な弁護士は、引き直し計算の方法についても精通しているため、正確な計算を行うことができます。仮に訴訟へと発展した場合にも、裁判所に対して計算資料を提出することで、適正額の過払い金を獲得できる可能性が高まるでしょう。

和解交渉・訴訟の対応を一任できる

弁護士に依頼すれば、過払い金請求の和解交渉や訴訟への対応を、すべて弁護士に任せられます。

金融機関などとの和解交渉や訴訟について、債務者が自ら対応すると、大きなプレッシャーがかかってしまいます。和解交渉では相手方から精神的な動揺を突かれたり、訴訟では専門的な手続きに戸惑ったりすることがあるかもしれません。

弁護士は、専門的知識と適切な法的分析を裏付けとして、万全な体制で和解交渉や訴訟に臨みます。過払い金請求権を、ストレスなくスムーズに最大限回収したい場合には、弁護士へのご依頼をお勧めいたします。

まとめ

過払い金請求権には消滅時効があるため、特に完済後時間が経っている場合には、早急に請求へと着手しなければなりません。

弁護士に依頼すれば、過払い金額の計算・消滅時効に関する対応・実際の請求など、過払い金請求に必要な手続きを一括して代行してもらえます。

適正額の過払い金を回収したい方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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この記事の調査・編集者
myamaguchi