「2週間ほど家賃滞納してしまいました。昨日、大家さんから支払いをするよう連絡を受けたのですが、お金をすぐに用意できません!強制退去することになりますか?不安です…。」
強制退去は、裁判所を通して行う法的手段ですので今すぐされることはありませんので、お金が用意できないのであれば、まず大家さんにその旨を相談の上、債務整理をご検討してください。
ただ、今すぐに強制退去されないからといって、安心してはいけません。
強制退去以外にも家賃滞納によるリスクがあります。
この記事では、家賃滞納のリスクやリスクを回避するための方法などについて詳しく解説します。
家賃滞納していると財産を差し押さえられる可能性があります
家賃滞納が続くと、遅延損害金が発生する・連帯保証人に支払督促がおこなわれる・給料や家財などの財産を差し押さえられるなどのリスクがあります。
これらのリスクを回避するためには、弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士に相談することで、以下のようなメリットが望めるからです。
・大家や管理会社と代わりに交渉してくれる
・相談状況に適した債務整理の方法をアドバイスしてくれる
・債務整理の手続きを代わりにおこなってくれる
・滞納家賃が減額される
弁護士に相談したからといって必ず依頼する必要はありません。無料で相談できる事務所も多くありますので、まずは今後どのような対応を取るべきかアドバイスしてもらいましょう。
この記事を監修した弁護士
梅澤 康二弁護士(弁護士法人プラム綜合法律事務所)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
家賃滞納するとどうなる?家賃滞納した場合に起こりうるリスク

家賃を滞納した場合には、強制退去や遅延損害金の発生が起こる可能性があります。以下、家賃滞納で起こりうるリスクについて解説します。
強制退去させられる
滞納のリスクとして、代表的なものは強制退去です。
滞納したからといって、すぐに退去を命じられるわけではありません。
下の図のような流れを経て、強制退去に至ります。

強制退去まで数ヶ月の猶予がありますので、この間に対処する必要があります。
なお、保険会社が相手方である場合、強制執行の期間が通常よりも早く進む可能性があることを覚えておきましょう。
給料・家財などの財産を差し押さえられる
家賃滞納者に、滞納金の支払いを命じる判決が出ていれば、強制執行として財産や財産の差し押さえも併せて行われる可能性があります。
差し押さえられる財産には、給料や入居者の部屋の中にある換金価値のある資産(現金、骨董品、金券など)などがあります。
連帯保証人へ支払の督促が行われる
家賃を滞納するリスクは、滞納者だけではなく連帯保証人にも及びます。
連帯保証人には、滞納者本人と同等の滞納した家賃を返済する義務が生じるため、大家さんから督促の連絡だけでなく、借主と同様に連帯保証人の資産が差押さえられるかもしれません。
遅延損害金が発生する
遅延損害金とは、債務者が約束の期日までに返済をしなかった場合に発生する損害賠償金のことです。
賃貸契約を行った時の契約書に遅延損害金についての明記がなければ、法律上5%又は6%の法定利率で遅延損害金の請求されることになります。
しかし、実務的には滞納家賃について逐一利息を請求するケースは少ないと思われます。
なお、遅延損害金は法理論上は、支払期日の翌日から発生しますので、その日から遅れた日数分の利息を算出することになります。
家賃を払うことさえ厳しい状況の時に、滞納している家賃とは別に遅延損害金を払わないといけなくなっては大変です。
家賃を滞納しないに越したことはありませんが、賃貸契約時には念のため、滞納した時の遅延損害金の利率についても確認しておくと良いでしょう。
金銭に困っている場合には弁護士に相談を
借金返済が滞るなど金銭問題を抱えている場合には、弁護士に相談してみましょう。
法律の専門家による正しい方法で金銭問題を整理することで、家賃滞納を解決することができるかもしれません。
まずは、無料相談を活用して、安定した生活を目指しましょう。
家賃滞納者がリスクを回避するためにできる4つのこと

ここでは、家賃を滞納した人が、その後のリスクを回避するためにできることを4つ解説します。
1:まずは大家さんへ家賃が支払えないことを相談する
まず、大家さんや管理会社の方に家賃が支払えない理由を説明した上で、家賃を支払う意思を伝えてください。
給料日など支払い可能な期日を伝えると、大家さんも支払いを待ってくれるかもしれません。
また、全額の支払いが難しい場合は、分割払いを提案してください。大家さんによっては分割での支払いを受け入れてくれるかもしれません。
支払いの意思を見せることが大切な理由
大家さんと入居者の信頼関係が崩れていることを証明されてしまえば、大家さん側から『賃貸借契約』を解除されかねません。
解除されてしまうと、部屋の明け渡しを請求される可能性があります。要するに「家賃を払わないなら出て行け」ということです。
このような事態にならないために、少額でもよいので実際に支払い、信頼関係が崩壊していないことを証明しましょう。
2:住宅救援給付制度を利用する
住宅救援給付制度とは、住宅を喪失する恐れのある離職者に対する賃金住宅の家賃給付制度です。
ただ、この制度を利用するためには、以下のような要件に該当する必要があるでしょう。簡易的なまとめになりますので、各項目についてはお住いの自治体に問い合わせてください。
- 経済的に困窮し住居を喪失しそうであること
- 離職、廃業の日から2年以内であること
- 申請者が主たる生計維持者であったこと
- 収入の合計額が収入基準額以下であること
- 同一の世帯に属する者の預貯金と現金の合計額が資産基準額以下であること
- 就職活動を熱心に行うこと
- 国の雇用施策による給付などを同一世帯のものが受けていないこと
- 暴力団員ではないこと
- 生活保護受給者ではないこと
参考:失業等により住居に困っている方へ(生活困窮者住居確保給付金の申請):練馬区公式ホームページ
相談窓口は、最寄りの役所の福祉課です。
支給額は各市区町村で上限が異なりますので、直接ご確認ください。世帯の人数と収入によって上限支給額は異なりますが、東京都23区内に居住中で単身世帯・月額基準額が84,000円の場合、月々53,700円の給付金を受け取ることが出来ます。
支給期間は原則3ヶ月ですが、状況に応じて最大9ヶ月分の受給が可能です。
一時的な補助制度ではありますが、この制度を活用できる人はするべきでしょう。
また、新型コロナウイルスの流行に伴い、離職や給与の減少があった場合にも住居に関する給付が行われています。該当する方は、一度確認して見ると良いでしょう。
参考:厚生労働省|厚生労働省生活支援特設ホームページ _ 住居確保給付金:制度概要
3:お金を借りて家賃を支払う
①親族から借りる
必要最低限、親族や兄弟など一番身近な人に肩代わりしてもらいましょう。
申し訳ない、恥ずかしいという気持ちはあるかもしれませんが、それで家を失うという最悪のケースは逃れるためには仕方ありません。
ただ、友人などに借りてしまうと、金銭トラブルになりかねませんので相手をよく判断する必要があります。
②消費者金融から借りる
とりわけ審査に柔軟な消費者金融系(カード)であれば、「現在18歳以上69歳以下の安定した収入と返済能力を有する人」という条件に該当していれば審査に通る可能性が高いです。
ただし消費者金融から借りるということは、高い金利が発生します。
短期で返済できる見込みがある場合のみ、借り入れを検討しましょう。
「借金をする」ことに変わりはなく、収入が見合わなければゆくゆく多重債務にもなりかねませんので、くれぐれもご注意下さい。
また、闇金業者に手を出してしまうリスクがあるので、通常の消費者金融との見極めをしっかりと行う必要があります。
4:生活保護を受ける
生活保護は、生活に困っている人の生活を保障するための制度です。
生活保護を受けるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 援助してくれる身内、親類がいない
- まったく資産を持っていない
- 病気や怪我などが原因で働けない
- 1~3を満たしており、月の収入が最低生活費を下回っている
母子家庭の場合や、働いているけれど低収入である場合も生活保護を受けることができます。
ただし、近年不正受給を減らそうと、受給者に対する審査が厳しくなっております。
また生活保護は、「貯金が出来ない、借金が出来ない、車を所持できない」などのデメリットがあるので、こちらも含めて十分に検討してみましょう。
まとめ
くり返しになりますが、家賃を滞納してしまった場合、まずは大家さんと話し合いをしましょう。
もし、家賃が毎月の生活を圧迫して支払いが遅れているのであれば、今よりも家賃の低い部屋へと引っ越すことも検討したほうがいいかもしれません。
家賃は、月収の3分の1以内に抑えることをオススメします。
家賃以外にも借金を抱えている場合には、ご自身の力のみでは解決できないこともあるため、まずは専門家に相談しましょう。
相談料無料の事務所も多くあるため、手持ちがない方でも相談可能です。
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住居を失わずに家賃滞納を解決するには
任家賃を滞納すると、連帯保証人への連絡や給料差し押さえのほか、最終的には強制退去させられる危険性があります。これらを回避するためには、弁護士への相談が有効です。
弁護士に依頼すると大家・管理会社と交渉を行ってもらえるほか、債務整理を依頼できるからです。
整理をすれば、滞納している家賃が減額される・ゼロになります。
相談したからといって必ず依頼する必要はありません。まずは相談してみて、今後どういった対応ができるのか確認してみましょう。
この記事の調査・編集者
みーさん
2017年にライターとしてアシロに入社し、主に交通事故とIT分野の執筆に携わる。2019年によりIT媒体の専任ディレクターになり、コンテンツの執筆・管理などを行っている。