借金の滞納はリスク大|借金滞納の危険性や対処法、弁護士についても解説

借金の滞納はリスク大|借金滞納の危険性や対処法、弁護士についても解説
目次
  1. 借金の返済を滞納するとどうなる?
    1. 厳しい取り立てを受ける
    2. 遅延損害金が発生する
    3. 一括返済を求められる
    4. 裁判所から支払督促を受ける
    5. 訴訟を提起される
    6. 強制執行により財産を失う
  2. 滞納した借金の消滅時効について
    1. 消滅時効とは
    2. 借金の時効期間
    3. 時効期間はリセットされることがある
    4. 借金の時効完成を待つのは現実的でない
  3. 借金を滞納し、返済が困難になった場合は「債務整理」をするのがおすすめ
    1. 債務整理とは
    2. 3種類の債務整理手続き
  4. 任意整理の概要とメリット・デメリットを紹介
    1. 任意整理の概要
    2. 任意整理のメリット
    3. 任意整理のデメリット
  5. 個人再生の概要とメリット・デメリットを解説
    1. 個人再生の概要
    2. 個人再生のメリット
    3. 個人再生のデメリット
  6. 自己破産とは?メリット・デメリットについても紹介
    1. 自己破産のメリット
    2. 自己破産のデメリット
  7. 借金の滞納問題を弁護士に相談・依頼するメリット
    1. 借金の滞納問題の解決策がわかる
    2. 債権者対応を弁護士に一任できる|貸金業者からの取り立てはストップ
    3. 個人再生・自己破産の代理申立てを依頼できる
  8. 借金の滞納問題を弁護士に相談して解決するまでの流れ
    1. 法律相談|借金問題解決のためのアドバイス
    2. 委任契約の締結|着手金の支払い
    3. 受任通知の発送
    4. 債務整理の実施
    5. 債務の減額・免除|報酬金の支払い
  9. 弁護士費用が準備できない場合の対処法
    1. 弁護士に分割払い・後払いを相談する
    2. 法テラスを利用する
  10. まとめ

借金の返済を滞納すると、遅延損害金が発生する上に、債権者から残債の一括返済を求められる可能性が高いです。

最終的には、訴訟・強制執行により財産を失ってしまうことになりかねません。

借金の滞納問題を解決するためには、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、借金の滞納問題の適切な解決方法がわかり、借金に関するストレスの軽減にも繋がります。

今回は借金の返済を滞納した場合のリスク、解決策となる債務整理手続きの種類、弁護士に相談するメリットなどを解説します。

借金の悩みを相談したい方へ

債務整理をすれば、借金が減額されたり、免責されたりします。

しかし債務整理にも種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

借金の返済で毎月のやりくりが苦しい方や、督促がつらいと感じている方は弁護士に相談しましょう。

債務整理がどういった手続きで、今後はどういった生活になるか丁寧に説明してもらえますので、それぞれのメリット・デメリットも理解したうえで債務整理に臨めます。

また弁護士に依頼をすれば、債務整理手続きを任せることが可能です。

債務整理ナビには自己破産が得意な弁護士を多数掲載しております。

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この記事を監修した弁護士
阿部 由羅
阿部 由羅弁護士(ゆら総合法律事務所)
ゆら総合法律事務所の代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。

借金の返済を滞納するとどうなる?

借金の返済を滞納した場合、以下のようなリスクを負うことになります。

  • 厳しい取り立てを受ける
  • 遅延損害金が発生する
  • 一括返済を求められる
  • 裁判所から支払督促を受ける
  • 訴訟を提起される
  • 強制執行により財産を失う

厳しい取り立てを受ける

債権者としては、1日も早く借金の返済を受けるため、債務者に対して厳しい取り立てをおこなうことが予想されます。

電話・郵便・メールなどによる取り立てに加えて、債務者の自宅に訪問して取り立てをおこなうケースもあります。

日常的に厳しい取り立てを受け続けることは、精神的に大きな負担になるでしょう。

特に家族がいる場合には、取り立てが続くことによって家族に不信感を与えてしまう可能性があります。

家族関係の悪化を防ぐためにも、借金について厳しい取り立てを受け続ける状況は避けなければならないでしょう。

遅延損害金が発生する

借金の返済が遅れると、返済期日の翌日から遅延損害金が発生します。遅延損害金の利率は、以下のとおりです。

(1)約定がない場合法定利率※が適用されます(民法419条1項)。

※法定利率:2020年3月31日以前に借り入れた場合は年5%、2020年4月1日以降に借り入れた場合は年3%

(2)約定がある場合

約定利率が法定利率以下の場合は、法定利率が適用されます(民法419条1項)。

約定利率が法定利率を超える場合は、約定利率が適用されます※(民法419条)。

※約定利率には、以下の上限が適用されます(利息制限法4条、7条)。

(a)営業的金銭消費貸借の場合

年20%

(b)それ以外の金銭消費貸借の場合

  • 元本額が10万円未満の場合:年29.2%
  • 元本額が10万円以上100万円未満の場合:年26.28%
  • 元本額が100万円以上の場合:年21.9%

遅延損害金が発生すると、本来返済すべき金額以上の返済を強いられることになってしまいます。

一括返済を求められる

借金の返済を滞納した場合、金銭消費貸借契約の規定に従い、債務者は「期限の利益」を喪失する可能性が高いです。

期限の利益とは、返済期日まで借金を返済しなくてよい(=元本を利用できる)利益を意味します。

期限の利益を失った場合、残債を直ちに一括で返済しなければなりません。

多額に及ぶ残債を一括返済することは、ただでさえ借金を返済できない状況では不可能でしょう。

一括返済を求められた時点で、自己破産に追い込まれてしまうケースも多々見られます。

裁判所から支払督促を受ける

残債の一括請求に応じないと、債権者はいずれ法的手続きを講ずることになります。

借金回収のためにとられる法的手続きの一つが「支払督促」です。

債権者が裁判所に支払督促を申し立てると、裁判所は債務者に対して借金の支払いを督促します。

裁判所から支払督促が送達されてから2週間が経過し、債権者の申立てによって「仮執行宣言付支払督促」が発せられると、債権者は強制執行を申し立てることができるようになります。

債務者が強制執行を回避するには、遅くとも仮執行宣言付支払督促の送達を受けた日から2週間以内に、裁判所に対して異議を申し立てなければなりません。

支払督促に対して異議申立てをおこなった場合、自動的に訴訟手続きへと移行します。

訴訟を提起される

滞納された借金を回収するため、債権者は最終的に、裁判所へ訴訟を提起する可能性があります。

訴訟は、裁判所の公開法廷でおこなわれる法的手続きです。

債権者は原告として、債務者に対する貸付金債権の存在を立証し、裁判所に対して支払いを命ずる判決を言い渡すよう求めます。

裁判所が債権者の主張を認めた場合は、債務者に対して借金の支払いを命ずる判決を言い渡します。

債務者が裁判所の呼び出しを無視して訴訟を欠席し続けた場合も、同様に債権者の主張が認められます。

控訴・上告の手続きを経て訴訟の判決が確定すると、債権者は裁判所に対して強制執行を申し立てられるようになります。

この段階に至ると、もはや債権者との交渉の余地はなくなってしまいます。

強制執行により財産を失う

仮執行宣言付支払督促や確定判決を得た債権者は、裁判所に対して強制執行を申し立てることができます。

強制執行の手続きでは、債務者が有する預貯金や給与債権などの財産が、強制的に借金の返済に充てられます。

不動産など換価・処分が必要な財産は、強制競売によって売却された上で、借金の返済に充当されます。

強制執行によって財産を失ったり、給料の一部が差し押さえられたりすると、生活に多大な影響が生じることは避けられません。

したがって、強制執行に至る前の段階で、できるだけ早く借金滞納の問題を解決する必要があります。

滞納した借金の消滅時効について

借金を滞納しても、一定の期間が経てば、消滅時効が完成して返済が不要となります。

しかし時効完成までは長い期間がかかる上に、債権者が何の行動も起こさないことは考えにくいので、時効完成を待つのは現実的でないでしょう。

消滅時効とは

「消滅時効」とは、行使されずに一定の期間が経過した権利を消滅させる制度です。

消滅時効は、権利の種類に対応する時効期間が経過することによって完成します。

債務者は、時効完成後に時効を援用※することで、債務の支払いを免れます。

※援用:時効完成によって利益を受ける者が、時効の完成を主張すること。

借金の時効期間

借金の時効期間は、金銭消費貸借契約を締結した時期によって以下のとおり異なります。

<2020年3月31日以前に契約を締結した場合>

返済を請求できる時から10年

※商事債権(銀行や貸金業者による貸付けなど)の場合は、返済を請求できる時から5年

<2020年4月1日以降に契約を締結した場合>

以下のいずれか早く経過する期間

  • 返済を請求できることを知った時から5年
  • 返済を請求できる時から10年

時効期間はリセットされることがある

ただし、時効期間が経過すれば、常に時効が完成するというわけではありません。

以下のいずれかの事由が発生した場合には、消滅時効の完成が阻止されてしまいます。

(1)時効の停止・完成猶予

該当事由が消滅するまでの間、消滅時効の完成が猶予されます。

※2020年3月31日以前に契約を締結した場合は時効の停止、2020年4月1日以降に契約を締結した場合は時効の完成猶予

<時効の停止事由>

  • 天災地変など
  • 内容証明郵便などによる履行の催告(6か月間のみ)

<時効の完成猶予事由>

  • 裁判上の請求
  • 支払督促
  • 和解
  • 調停
  • 倒産手続参加
  • 強制執行
  • 担保権の実行
  • 競売
  • 財産開示手続
  • 第三者からの情報取得手続
  • 仮差押え、仮処分
  • 内容証明郵便などによる履行の催告(6か月間のみ)
  • 協議の合意

(2)時効の中断・更新

時効期間がリセットされ、改めてゼロから起算されます。

※2020年3月31日以前に契約を締結した場合は時効の中断、2020年4月1日以降に契約を締結した場合は時効の更新

<時効の中断事由>

  • 裁判上の請求
  • 差押え、仮差押え、仮処分
  • 債務の承認

<時効の更新事由>

  • 裁判上の請求、支払督促、和解、調停、倒産手続参加の後で、確定判決または確定判決と同一の効力を持つものによって権利が確定したこと
  • 強制執行、担保権の実行、競売、財産開示手続、第三者からの情報取得手続が終了したこと(取下げ・取消しの場合を除く)
  • 権利の承認

なお、確定判決または確定判決と同一の効力を持つものによって借金の請求権が確定した場合、新たな時効期間は10年となります(民法169条1項)。

借金の時効完成を待つのは現実的でない

個人が善意で貸してくれた場合などを除き、債権者が5年または10年もの間、借金返済の請求をせずに待ってくれることは考えられません。

特に銀行や貸金業者は、貸付金の時効について厳密な管理をおこなっているケースがほとんどです。

したがって、銀行・貸金業者からの借金については、どこかの段階で必ず時効完成を阻止されると考えておきましょう。

時効完成を期待して借金を返済しないでいると、その間に遅延損害金が積み重なってしまいます。

最終的には、時効完成前の段階で訴訟などの法的措置を講じられて、本来よりも多くの返済を強いられることになりかねません。

時効完成によって借金が消滅するのを待つのは現実的でなく、弁護士に相談して債務整理をおこない、早期に借金問題の解決を図ることをおすすめいたします。

借金を滞納し、返済が困難になった場合は「債務整理」をするのがおすすめ

借金の返済が困難になってしまった場合は、弁護士に相談して債務整理をおこないましょう。

債務整理をすれば、借金の減額・免除や返済スケジュールの変更により、返済困難な状態を解消できる可能性があります。

債務整理とは

債務整理とは、債権者との交渉や法的手続きによって、借金の減額・免除や返済スケジュールの変更を認めてもらう手続きです。

本来であれば、債務者は契約に従い、債権者に対して借金を期限どおりに返済しなければなりません。

しかし、債務者が返済資金を準備できないのに請求を続けても、債権者が借金を回収できる見込みは立ちません。

そこで、少しでも回収の可能性を上げるため、債権者が借金の軽減に応じることがあります。

また、経済的な苦境に陥ってしまった債務者については、立ち直らせるための救済が必要と考えられます。

そのため、債務者の負担を軽減・免除するための制度・手続きがあるのです。

適切な方法によって債務整理をおこなえば、借金の負担を合法的に軽減し、返済困難な状況を抜本的に改善できる可能性があります。

3種類の債務整理手続き

債務整理には、主に以下の3種類の手続きが存在します。

(1)任意整理

債権者との個別交渉により、債務負担を軽減する手続きです。

(2)個人再生

原則として債権者全員との間で、裁判所を通じて債務負担を軽減する手続きです。

(3)自己破産

債務者の財産を換価・処分して債権者に配当した後、残った債務全額を免除する裁判手続きです。

各債務整理にはそれぞれ異なる特徴があるため、債務者の状況に合った適切な手続きを選択することが大切です。

任意整理の概要とメリット・デメリットを紹介

任意整理の概要とメリット・デメリットを紹介します。

任意整理の概要

任意整理は、債権者と個別に交渉をおこない、利息・遅延損害金のカットや返済スケジュールの変更などを認めてもらう手続きです。

任意整理の交渉は、債権者に直接連絡を取ることから始めます。

債権者から返信があれば、希望する債務の軽減内容や具体的な返済の見込みなどを、債権者に伝えて交渉します。

債権者との間で合意が成立すれば、その内容をまとめた合意書を締結し、合意書に従って減額後の借金を返済します。

任意整理のメリット

任意整理の主なメリットは、以下のとおりです。

手続きが簡単、短期間で完了する

任意整理は裁判所を通さずにおこなうため、大量の書類の準備などが必要なく、短期間で手続きが完了する傾向にあります。

財産が処分されない

任意整理では原則として、債務者の財産が処分されることはありません。

対象とする債務を自分で選べる

任意整理の対象とする債務は、債務者自身が選ぶことができます。

たとえば保証の対象となっている債務を対象から外せば、保証人に迷惑がかかることを回避できます。

任意整理のデメリット

任意整理の主なデメリットは、以下のとおりです。

元本はカットされないことが多い

任意整理でカットされるのは、原則として利息と遅延損害金のみであり、元本はカットされないことが多いです。

そのため、個人再生や自己破産に比べると、債務そのものの減額幅は小さくなる傾向にあります。

債権者の同意が必要

任意整理には債権者の同意が必須であるため、交渉により債権者を説得できなければ、債務負担を軽減することはできません。

個人信用情報機関に事故情報が登録される

任意整理の事実が「事故情報」として個人信用情報機関に登録され、新規の借入れやクレジットカードの利用などができなくなります。

任意整理に関する事故情報の登録期間は5年間です。

個人再生の概要とメリット・デメリットを解説

個人再生について、メリット・デメリットをあわせて解説していきます。

個人再生の概要

個人再生は、原則として債権者全員との間で、元本を含めた債務の減額や返済スケジュールの変更を取り決める裁判手続きです。

債務者はまず、裁判所に対して個人再生手続開始の申立てをおこないます。

裁判所は、以下の要件をすべて満たすことを確認した上で、再生手続開始の決定をするのです。

(1)以下のいずれかに該当すること(民事再生法21条1項

  • 債務者が支払不能を生ずるおそれがあること
  • 債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく、弁済期にある債務を弁済できないこと(個人事業主の場合)

(2)以下のいずれにも該当しないこと(民事再生法25条

  • 再生手続きの費用の予納がないこと
  • 破産手続きまたは特別清算手続きが裁判所に係属しており、その手続きによることが債権者の一般の利益に適合すること
  • 再生計画案の作成もしくは可決の見込み、または再生計画の認可の見込みがないことが明らかであること
  • 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたこと、その他申立てが誠実にされたものでないこと

(3)将来において継続的に、または反復して収入を得る見込みがあること(民事再生法221条1項

(4)再生債権の総額が5,000万円以下であること(

再生手続開始の決定後、債権者が有する再生債権の届出・評価の手続きなどを経て、再生計画案の決議・認可がおこなわれます。

再生計画案には、債務の減額や支払いスケジュール変更の内容をまとめて記載します。

債務者が再生計画案を作成するケースが多いですが、債権者も作成・提出することが可能です。

減額後の債務は、原則として3年(特別の事情がある場合は5年)で返済することになります。

再生計画案は、債権者による決議と裁判所の認可、さらに異議申立て(即時抗告)の手続きを経て確定します。

再生計画が確定した場合は、その内容に従って債務が減額され、減額後の債務をスケジュールに従って支払います。

個人再生のメリット

個人再生の主なメリットは、以下のとおりです。

元本を含めた債務を大幅に減額できる可能性がある

個人再生では元本も減額の対象となるため、大幅に債務負担を軽減できる可能性があります。

一部の債権者が反対しても、債権者全員に対する債務を減額できる可能性がある

個人再生に反対する債権者との間でも、多数決により再生計画が決議されれば(裁判所の認可も必要)、債務を減額できます。

マイホームの処分を回避できる制度がある

担保権が設定された財産は原則として処分されますが、自宅の土地・建物については、処分を回避したまま債務を減額できる制度があります(住宅資金特別条項)。

個人再生のデメリット

個人再生の主なデメリットは、以下のとおりです。

安定した収入がなければ利用できない

将来において継続的に、または反復して収入を得る見込みがあることが要件とされているため、無職の方や定職に就いていない方は利用できません。

最低弁済額がある

最低でも100万円以上、かつ破産手続きの債権者配当を上回る金額を返済する必要があります。

対象とする債務を選ぶことはできない

個人再生の対象とする債務を選ぶことはできず、原則として債権者全員が手続きの対象となります。

たとえば保証人がいる場合は、一括請求がされて迷惑がかかってしまうので注意が必要です。

個人信用情報機関に事故情報が登録される

任意整理と同様に、個人再生の事実についても事故情報が登録され、新規の借入れやクレジットカードの利用ができなくなります。

個人再生に関する事故情報の登録期間は5年間(全国銀行個人信用情報センターについては10年間)です。

自己破産とは?メリット・デメリットについても紹介

自己破産とは、債務者の財産を換価・処分して債権者に配当した後、残った債務全額を免除する裁判手続きです。

債務者はまず、裁判所に対して破産手続開始の申立てをおこないます。

裁判所は、以下の要件をすべて満たすことを確認した上で、破産手続開始の決定をおこないます。

(1)債務者が支払不能であること(破産法15条1項

(2)以下のいずれにも該当しないこと(破産法30条1項

  • 破産手続きの費用の予納がないこと
  • 不当な目的で破産手続開始の申立てがされたこと、その他申立てが誠実にされたものでないこと

破産手続開始の決定後、裁判所によって選任された破産管財人が、債務者の財産(破産財団)を調査した上で換価・処分をおこないます。

破産財団の換価・処分が完了した段階で、破産管財人は債権者に対する配当をおこないます。

債権者に対する配当後に残った債務については、免責手続きによって免責の可否が判断されます。

免責不許可事由(破産法252条1項)がない場合には、残った債務全額の免責が認められます。

また、免責不許可事由がある場合でも、裁判所の判断で裁量免責が認められることがあります(同条2項)。

自己破産のメリット

自己破産の主なメリットは、以下のとおりです。

債務全額が免除される

自己破産は、債務全額が免除される唯一の債務整理手続きです。

借金の返済が非常に困難な方にとっては、自己破産が強力な救済手段となります。

収入の有無・金額・安定性にかかわらず利用できる

個人再生とは異なり、自己破産は収入の状況にかかわらず利用できます。

債権者の同意が不要

自己破産による債務の免責について、債権者の同意は必要ありません。

自己破産のデメリット

自己破産の主なデメリットは、以下のとおりです。

財産が処分されてしまう

破産手続開始の決定時点で債務者が有した財産は、原則として処分されてしまいます。

ただし、99万円以下の現金や生活に必要な財産など、例外的に処分されない財産もあります。

一部の職業について資格制限が発生する

弁護士・司法書士・税理士・公認会計士などの各種士業や、警備員など一部の職種については、破産手続開始の決定から破産免責の確定まで職務をおこなうことができなくなります。

対象とする債務を選ぶことはできない

個人再生と同様に、自己破産の対象とする債務を選ぶことはできず、原則として債権者全員が手続きの対象です。

保証人がいる債務については一括請求がなされ、保証人に迷惑がかかってしまう点にご注意ください。

個人信用情報機関に事故情報が登録される

任意整理・個人再生と同様に、自己破産の事実についても事故情報が登録され、新規の借入れやクレジットカードの利用ができなくなります。

自己破産に関する事故情報の登録期間は5年間(全国銀行個人信用情報センターについては10年間)です。

借金の滞納問題を弁護士に相談・依頼するメリット

借金の返済資金を用意できず、滞納問題の解決が困難な場合には、弁護士への相談・依頼をおすすめいたします。

借金の滞納問題を弁護士に相談・依頼することの主なメリットは、以下のとおりです。

  • 借金の滞納問題の解決策がわかる
  • 債権者対応を弁護士に一任できる
  • 個人再生・自己破産の代理申立てを依頼できる

借金の滞納問題の解決策がわかる

借金の滞納問題を解決するには、適切な手続きを選択して債務整理をおこなうのが効果的です。

弁護士に相談すれば、債務整理手続きの選択や進め方についてアドバイスを受けられ、借金の滞納問題を解決するまでの見通しを立てることができます。

債権者対応を弁護士に一任できる|貸金業者からの取り立てはストップ

債権者から厳しい取り立てを受け続ける状況は、債務者にとって精神的に大きな負担となります。

弁護士に依頼すれば、債権者への対応をすべて任せることができます。

弁護士から受任通知が発送されれば、貸金業者からの取り立ては止まるので、生活の平穏や精神的な安定にも繋がるでしょう。

個人再生・自己破産の代理申立てを依頼できる

個人再生や自己破産によって借金問題の解決を図る際には、弁護士に依頼すれば、裁判所への申立てを代理でおこなってもらうことができます。

裁判所に提出する書類を作成することは認定司法書士もできますが、裁判所への代理申立てをおこなうことができるのは弁護士のみです。

なお自己破産の場合、弁護士が代理申立てをおこなえば、裁判所に納める予納金額が減額されることがあります(少額管財)。

借金の滞納問題を弁護士に相談して解決するまでの流れ

借金の滞納問題を弁護士に相談してから、債務整理が完了して解決に至るまでの大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 法律相談|借金問題解決のためのアドバイス
  2. 委任契約の締結|着手金の支払い
  3. 受任通知の発送
  4. 債務整理の実施
  5. 債務の減額・免除|報酬金の支払い

法律相談|借金問題解決のためのアドバイス

まずは弁護士に連絡をとり、債務整理に関する法律相談を申し込みましょう。

相談料がかかるかどうかは弁護士によりますが、無料で相談を受け付けている弁護士もたくさんいます。

法律相談の段階で、弁護士に借金や収入などの状況を伝えた上でアドバイスを受け、債務整理手続きの種類を選択します。

今後の手続きの進め方や、弁護士費用などについても確認して、正式な依頼の前に疑問点を解消しておきましょう。

委任契約の締結|着手金の支払い

依頼する弁護士が決まったら、弁護士との間で委任契約を締結します。

事前に説明を受けていた業務内容や弁護士費用と、委任契約の間に齟齬がないかを確認しましょう。

委任契約の締結後、弁護士に債務整理の着手金を支払います。

受任通知の発送

弁護士は債務整理を受任した直後、各債権者に対して受任通知を発送します。

受任通知には、借金の取り立てに関する連絡を、今後はすべて弁護士宛におこなうべき旨が記載されます。

受任通知を受領した貸金業者は、正当な理由がない限り、債務者に対して直接取り立てをおこなうことが禁止されます(貸金業法21条1項9号)。

債務整理の実施

受任通知の発送後、依頼時に債務者が選択した手続きに従い、弁護士が債務整理に関する対応をおこないます。

まず弁護士は、債権者に対して回答依頼を発送して、債務の状況に関する調査を実施します。

その後、任意整理の場合は債権者との交渉を、個人再生・自己破産の場合には裁判所への申立てをおこないます。

個人再生は民事再生法、自己破産は破産法に従って手続きが進行します。

債務の減額・免除|報酬金の支払い

債務整理手続きの種類に応じて、以下の手続きによって債務が減額・免除されます。

任意整理:債権者との間で合意書を締結

個人再生:再生計画案の債権者による決議、裁判所による認可・確定

自己破産:裁判所による免責許可・確定

債務の減額・免除が確定した段階で、弁護士に報酬金を支払い、依頼は終了です。

弁護士費用が準備できない場合の対処法

債務整理について弁護士に依頼する際、弁護士費用が準備できない場合には、以下の対処法が考えられます。

  • 弁護士に分割払い・後払いを相談する
  • 法テラスを利用する

弁護士に分割払い・後払いを相談する

着手金の支払いが難しい場合、弁護士に相談すれば、分割払いや後払いが認められる可能性があります。

弁護士に経済的な事情を話して、着手金の支払い方法を調整してもらえるように頼んでみましょう。

法テラスを利用する

収入・資産が一定の水準以下の場合、法テラスの民事法律扶助を利用すれば、弁護士に支払う着手金を立て替えてもらえます。

立替金は、事件進行中は毎月5,000円または1万円、事件終了後は原則3年以内に分割で返済します。

ただし、法テラスを通じて依頼できるのは、法テラスと契約している弁護士に限られる点にご注意ください。

まとめ

借金を滞納している状況が続くと、債権者から厳しい取り立てがおこなわれ、最終的には強制執行などにより財産を失ってしまいます。

事態が深刻化する前に、弁護士に相談して債務整理をおこない、借金問題の解決を目指しましょう。

借金の悩みを相談したい方へ

債務整理をすれば、借金が減額されたり、免責されたりします。

しかし債務整理にも種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

借金の返済で毎月のやりくりが苦しい方や、督促がつらいと感じている方は弁護士に相談しましょう。

債務整理がどういった手続きで、今後はどういった生活になるか丁寧に説明してもらえますので、それぞれのメリット・デメリットも理解したうえで債務整理に臨めます。

また弁護士に依頼をすれば、債務整理手続きを任せることが可能です。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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