養育費はどのように計算すればよいのでしょうか。養育費は、個人の収入や環境、家庭事情によって大きく異なってきますので、これといった相場はありません。
厚生労働省が公表している2016年の『全国ひとり親世帯等調査の結果』によると、月3~4万円が平均でした。
これ以外にも、従来まで実務で使用されてきた裁判所の養育費算定表、そして、2016年に日本弁護士連合会が作成した新算定表など、養育費を知る目安はあります。
ここでご紹介する養育費の計算方法を目安に、あなたの収入や環境などに沿った適切な養育費を算出しましょう。
また、今ひとつわからなければ、無料相談などを使って弁護士に相談してみるのも方法の1つです。
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ここでは、養育費の計算前に知っておきたい養育費の基礎知識を解説します。
養育費とは、子供が成人して自立するまでに必要となる、子供を育てるための費用です。この費用には、子供の食費から学費、医療費まで、さまざまなものが含まれます。
養育費は、親権を有していない方の親が支払うのが一般的です。
養育費は基本的に子供が成人するまで、または自立するまで支払う必要があるといわれています。
例えば、子供が20歳を迎える誕生月まで、とするケースや、大学を卒業する3月まで、とする場合もあります。
養育費は、いくら支払わなければならないという明確な決まりはないので、父母双方の協議で、所得や環境に応じて自由に決めることができます。
そこで決まった金額を月々で支払っていくことになります。
養育費の知識をもっと知りたい方は下記の記事を読むことで、必要な知識を網羅的に知ることができます。
ここでは、養育費を決める目安となる『養育費算定表』と、算定表の見方などを解説します。
養育費は、経済状況などを考慮して両親双方の協議で決まるので、これといった金額基準がないのは冒頭でお伝えしたとおりです。
しかし、養育費を決める目安は2つあります。1つは、東京・大阪の裁判所が実務上の成果を反映した養育費算定表。もう1つは、日本弁護士連合会(以下、日弁連)が2016年に公表した新算定表です。
裁判所の養育費算定表の例
引用元:裁判所|養育費算定表
これらの算定表で、義務者(支払う側)の収入と権利者(受ける側)の収入を考慮したおおよその目安を算出することができます。
裁判では、養育費算定表を目安として、双方の状況を考慮して養育費が決定されます。
ところが、この裁判所が公表している養育費算定表は、生活保護基準を下回るという指摘もあり、母子家庭の貧困につながるなどとして、最高裁の設置機関も見直しを検討しているようです。
この記事では、後述する養育費の計算方法について、2016年に日弁連が作成した新算定表を用いた計算方法をご紹介します。
ここでは、日弁連が公表している新算定表をもとに、目安となる収入や子供の数別の養育費の算出方法を解説します。
こちらが新算定表です。
一見、裁判所の算定表と同じに見えますが、この新算定表は、従来の算定表から算出した養育費に対して1.5倍増額されています。こちらの計算方法を解説します。
【新養育費算定表はこちら】日本弁護士連合会|養育費・婚姻費用の新算定表とQ&A
引用元:日本弁護士連合会|養育費・婚姻費用の新算定表とQ&A
※枠は編集部で加筆・強調
まずは、表の右上を確認して、あなたの子供の数と年齢に合致する算定表を選びましょう。上記の画像の例だと、子供が1人で、0~5歳のケースに該当する、算定表1を使用して計算します。
縦軸は義務者(支払う側)の年収、横軸は権利者(受ける側)の年収です。年収は給与と自営で分かれており(緑の枠内)、自営業でない方は給与の額を参考にします。
引用元:日本弁護士連合会|養育費・婚姻費用の新算定表とQ&A
※枠・義務者の年収・権利者の年収は編集部で加筆・強調
この表は、算定表1の子供1人0~5歳の場合です。支払う側の年収が給与で300万円と仮定し、受け取る側の年収が給与で200万円の場合、養育費は月4万円が目安となります。
年収とは、サラリーマンの場合、源泉徴収票の支払金額から、公租公課や所定の費用を除いた金額を指します。
源泉徴収票表の例
自営業の場合は、確定申告書を確認して、『課税される所得金額』から公租公課を控除します。給与収入と事業収入の両方がある場合の総収入などについては、同算定表の54ページを参照ください。
【参考元】日本弁護士連合会|養育費・婚姻費用の新算定表とQ&A
2019年12月23日以降に裁判所のサイト上で新養育費算定表が公開されました。
変更点は子供の生活費の指数と基礎収入についてです。
生活費指数とは家計における生活費に基づいて算出される物価指数の事を指します。
つまり、子供の生活費について統計的により正しい費用に見直しが行われたということです。
実際、算定表を用いる際に指数の計算をすることはまれです。しかし、正確な算定をするには、指数(割算の式を用います)が不可欠です。
子供の生活指数に関する変更点は以下の2点です。
これまでと比較して、15歳を基準として高年齢の子供には生活費を少なく見積もられる一方で、低年齢の子供には生活費が多く見積もられるようになったことを意味します(なお、ここでいう指数の基準夫と妻の100と100です)。
基礎収入とは、家庭内で生活費として使用できる金額のことを指します。
収入から、税金や各種保険料などを引いた金額が実際に家庭で生活費として使用できる金額となります。
この総収入に対する基礎収入の割合は以前の統計をもとに想定された比率では、34~42%でした。
しかし、新養育費算定表では38~52%に底上げされています。
この基礎収入と子供の生活費指数に基づいて子供の生活費が算出されます。
子供の生活費を分担したものが養育費となるため、養育費の金額は全体的に底上げされると考えられます。
上記2点が主な変更点となります。
もし離婚した後、再婚した場合も場合によっては養育費として支払う金額が減額される可能性もあります。
しかし、再婚を理由として元夫や妻が養育費を減額したいという主張は基本的には通りません。
ではどのような場合に養育費の減額が可能なのでしょうか。
再婚した場合に養育費の減額が認められるケースは限られます。
減額が認められる場合は一般的には以下の通りです。
要するに、両親の収入の増減があった場合と養子縁組を含んだ扶養義務のある子どもが増えた場合が減額の理由として認められるケースが多いということになります。
再婚時に再婚相手が連れ後と養子縁組をして、元夫や妻から養育費の減額を申し立てられた場合、裁判所が公開している養育費算定表に単純に当てはめることは難しくなります。
そのような場合には、養育費減額調停時に相手方と話し合って具体的な内容を取り決めることが多いのが実態です。
子供の両親のいずれかの収入が増加または減少した場合に減額調停を起こした際は、養育費算定表で適切な養育費を算出することが可能です。
この算定表は、住宅ローンの有無や、子供が私立学校を選択したケースなどの個人事情を考慮していません。あくまで目安とし、個別の事情を反映させた金額を算出しましょう。
また、各算定表にある太線以下の養育費を支払う側は、生活費が生活保護基準を下回る可能性がありますので、算定表にとらわれずに金額を検討してもよいでしょう。
引用元:日本弁護士連合会|養育費・婚姻費用の新算定表とQ&A
引用元:日本弁護士連合会|養育費・婚姻費用の新算定表とQ&A
※枠・義務者の年収・権利者の年収は編集部で加筆・強調
例えば上記の例で見ますと、子供1人、0~5歳に該当する算定表1の場合、支払う側の年収が、サラリーマンなら200万円以下で、月に4万円の養育費を支払うと、支払う側の生活費が、生活保護基準を下回ってしまう恐れがあるということです。
生活保護は、住んでいる地域や世帯数などによって支給される額が異なりますので、具体的な金額を算出することはできませんが、上記に当てはまる場合などは、養育費減額の交渉をしてもよい目安だとお考えください。
個別の事情を反映させる方法や疑問に関しては「日本弁護士連合会|養育費・婚姻費用の新算定表とQ&A」をご覧ください。
ここでは、養育費の相場について解説します。
冒頭でお伝えしたとおり、養育費に相場はありません。養育費は、父母双方の所得、子供の年齢、兄弟の有無、住んでいる地域など、家庭の事情によって大きく異なってくるからです。
月4万円という家庭もあれば、月1万円の場合もあります。
養育費の具体的な相場が知りたい方は、こちらの記事を読んであなたの離婚の養育費相場を確認しましょう。
厚生労働省が公表している2016年の『全国ひとり親世帯等調査の結果』によると、養育費の平均月額は、母子世帯では約4万3,000円、父子世帯では約3万2,000円でした。
子供の数別養育費(1世帯平均月額)の状況はこちらです。
子供の数 |
母子世帯 |
父子世帯 |
1人 |
約3万8,000円 |
約2万9,000円 |
2人 |
約4万8,000円 |
約3万2,000円 |
3人 |
約5万7,000円 |
約4万2,000円 |
4人 |
約6万8,000円 |
記載なし |
【参考元】
厚生労働省|平成28年度 全国ひとり親世帯等調査の結果 別添2 P.61
養育費を決定する際にぼんやりとした内容で取り決めを行ってしまい、
離婚した後から養育費の金額に対する認識のずれや養育費未払いのトラブルが起きるケースが後を絶ちません。
後から後悔しないように養育費を決定する際の正しい手順についてしっかりと確認しておきましょう。
養育費を決定する際になんとなく金額だけを決定すると、養育費の支払い義務者との養育費に対する認識のずれや最悪の場合、養育費未払いが発生することもあります。
養育費の決定は以下の点については具体的に決めておいて、後のトラブルを防ぐようにしましょう。
支払期日は必ず決めておきましょう。
支払い期日を月末などとなんとなく設定するケースが後を絶ちません。
支払期日は着金する日を具体的に決定しておくようにしましょう。どの債務に対する支払いなのか明らかにならないことがほとんどです。
振込先についても事前に取り決めておきましょう。
具体的にどの銀行口座に振り込むのかをあらかじめ決めておかないと、養育費の送金を確認する際に自分の想定外の口座に振り込まれることもあります。
そのような場合は、離婚相手と連絡を取る必要があるため精神的な負担も大きいでしょう。
毎月の支払金額も具体的に決めておきましょう。
毎月の支払金額を一律として設定して、子供が大きくなった後から教育費などが想像より大きくかかり、以前に取り決めた養育費では足らないといったケースが多々見受けられます。
このような事態を防ぐためにも、以下の点を考慮した養育費の算定を行うようにしましょう。
子供は成長するごとに食費や学費、洋服代等、生活を維持するためにかかる金額が増えていきます。
その点を考慮せずに養育費を決めてしまうと以前に取り決めた金額では子供の生活を維持することが出来ないことに繋がりかねません。
子供の成長を考慮して、各年齢に応じたの養育費算定基準表から相場を確認した上で子供の年齢ごとに養育費を取り決めることをお勧めします。
先ほど説明した通り、15歳を基準として養育費算定基準表が変わりますので、15歳前後で養育費をそれぞれ取り決めておくと良いでしょう。
子供が私立高校・大学等に進学した場合は多額の学費が必要となります。
そのため学費の負担についても事前に取り決めておくことをお勧めします。
どのような要素によって養育費の適切な金額は左右されるのでしょうか。
ここでは適切な養育費の金額を左右する要素について解説していきます。
子供の人数(1人・2人・3人の場合)によって裁判所の定める養育費算定表は分かれています。
つまり扶養義務のある子供の人数は、養育費の算定基準に大きな影響を与えていると言えます。
子供の年齢(15歳以上か14歳以下か)によっても養育費算定表は分かれているのです。
そのため、子供の年齢も養育費相場に影響を与えている要素の一つになります。
養育費算定表で適切な養育費を確認する際には、両親の年収によって妥当な養育費をチェックします。
両親の年収のバランスによって子供の生活費の分担比率が異なってくるため、両親の年収は養育費決定に影響を与える要素の1つとみなせます。
養育費算定表で妥当な養育費をチェックする際に、給与として収入を得ている場合と自営業で収入を得ている場合では確認するメモリがそもそも異なります。
そのため、両親がそれぞれ自営業か勤め人かも養育費の金額に左右する要素です。
養育費算定表から妥当な養育費を計算して、具体的に決めておくべき事項についても決定したとしてもここで終わってはいけません。
養育費について決めた内容を公的な書面で必ず具体的に記載して残しておきましょう。
養育費に関する決定内容を書面で取りまとめるには離婚協議書または公正証書の作成を行う必要があります。
離婚協議書は双方の養育費に関する取り決めに対する認識のずれを防いだり、後で養育費についてもめた際の客観的な取り決め内容の証拠として活用できます。
しかし、離婚協議書は法的拘束力を持たないことに注意しましょう。
一方で公正証書は、養育費の未払いが続いた場合に強制執行により養育費の回収を行う場合などにも法的な根拠として活用することもできます。
そのため、公正証書を作成することで養育費未払いに対する不安も少なくなります。
ただし、離婚協議書は夫婦間で作成する場合には費用はかかりませんが、公正証書は公証役場で作成する必要があるため、手数料がかかります。
とはいえ、公正証書の方が法的拘束力をもち、強制執行を行うことも可能となるためお勧めです。
養育費が増額・減額されるケースはさまざまです。例えば、支払う側の所得が増額した場合、子供の進学や病気などに伴って増額の交渉をすることは考えられます。
一方で、受け取る側が再婚して子供と養父が養子縁組した場合は、養父に扶養義務が生じますので、減額されることが考えられます。
反対に、支払う側が再婚して新たに子供をもうけた場合も同様です。養育費1度決めたからといって固定するのではなく、人生のステップや収入など、状況に合わせて柔軟に取り決めることが望ましいでしょう。
養育費の計算をした際に、相手の提示額より相場が高い場合は養育費をさらに獲得できる可能性があります。
養育費の増額が認められる場合は、以下の通りです。
子供が私立大学や医学部などに進学する場合は、非常に多額の学費が必要となります。
そのような場合、取り決めていた養育費だけでは学費を支払いきれないことも起こりますよね。
そのような子供の環境に変化があった場合などには養育費の増額が認められる場合があるのです。
ここまで、養育費の決定や養育費の減額・増額を認められるケースについて説明していきました。
もし、実際に養育費が決定した後に相手が養育費を支払わなくなったらどのようにしたらよういのでしょうか。
養育費が未払いの場合には「債務名義」があるか否かで回収する方法が異なります。
養育費の取り決めを行った際の以下のいずれかの書類がある場合に「債務名義」があるとみなすことが出来ます。
もし「債務名義」がない場合は、養育費調停を家庭裁判所に申し立てる必要があります。
例えば協議離婚の際に口約束で養育費を取り決めてしまって未払いがおこった場合などに養育費調停を申し立てる必要があります。
養育費調停で相手が養育費の支払いを拒否して話がまとまらない場合は審判へと移行します。
「債務名義」がない場合は、多くの時間を要しますし精神的なストレスも大きくなってしまいます。
出来れば事前に取り決めた内容を書面で残しておくことが望ましいです。
「債務名義」があった場合は、相手の財産や給与を差し押さえることで養育費を強制的に支払ってもらうことが出来ます。
養育費の未払い分の強制執行についてより詳しく知りたい場合は以下の記事をご覧ください。
養育費の計算方法や、算定表の見方はおわかりになったでしょうか。裁判所の算定表も同様の見方で確認することが可能です。
実務上はまだ裁判所の算定表を使うことの方が多いようですが、どちらを目安とするとしても、あなたの生活に合わせて柔軟に金額を決めることが求められるでしょう。
離婚においては、相手に対して好ましい感情を抱けないこともあるかと思います。
しかし、養育費は子供の権利ですので、できれば元パートナーと協力して、子供に関していつでも話し合える関係を築いておきたいですね。
養育費について、双方で折り合いがつかなければ、弁護士に相談してみるのも1つの方法です。
当サイトでも、無料相談を受けつけている弁護士事務所を掲載していますので、ぜひご活用ください。
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