不倫の慰謝料相場はいくら?請求できる条件や浮気相手から取る方法

不倫の慰謝料相場はいくら?請求できる条件や浮気相手から取る方法

配偶者が不倫していた事実を知り、配偶者か不倫相手に慰謝料を支払わせることで、怒りと悲しみを何とか解消しようと苦しんでいる方もいるでしょう。

本コラムでは、「慰謝料請求できるかどうか知りたい」「不倫・浮気相手から慰謝料を取る方法を知りたい」というお悩みに回答します。

不倫(不貞行為)は、慰謝料請求の対象となります。

不倫の内容や不倫の事実を証明する有効な証拠など、請求できる条件が揃えば、配偶者や不倫相手に慰謝料を支払わせることができます。

また、次に気になるのが慰謝料はいくらくらいもらえるかという相場でしょう。

不貞行為によって請求できる慰謝料額について、具体的に定めた法律などはありません。

実際のところは、婚姻期間、子供の有無、不倫期間、不倫回数、不倫発覚後の対応等様々な事情をもとに慰謝料額は決定されるため、ケースバイケースであり、慰謝料の支払いをめぐって裁判になった場合は、過去の類似事件の判例を参考に決めます。

とはいえ、自分が傷ついた分、「少しでも高額な慰謝料を支払ってもらいたい」と誰もが思うところです。

この記事では、不倫された場合に慰謝料請求できるケース・慰謝料相場・請求方法の他、慰謝料が高額になるポイントや高額になりやすいケースを判例とともに詳しく解説します。

不倫慰謝料で200万?慰謝料請求は弁護士に相談

不倫問題の場合、一般的な慰謝料相場は50~300万円程度です。しかし、慰謝料請求に関する知識がなければ、相場より低額になることもありますし、請求が却下されることもあります。

慰謝料請求で損をしないためには、弁護士への相談が有効です。弁護士に慰謝料請求を依頼することで、以下のようなメリットが望めます。

・慰謝料請求の要件を満たしているかどうか判断してくれる
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・慰謝料請求の手続きをすべて任せられる
・増額要素をチェックしてもらうことで慰謝料が増える可能性がある

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この記事を監修した弁護士
竹中 朗
竹中 朗弁護士(シティクロス総合法律事務所)
離婚・男女トラブルについて最善の解決を目指します。経験豊富な弁護士が小まめな連絡で安心対応いたします。

不倫の慰謝料とは?法律上の定義と責任

法律上、夫婦には「配偶者以外の者と性的な関係をもってはならない」という貞操義務があります。

不倫(不貞)は離婚原因とされているほか(民法第770条第1項第1号)、判例上不法行為に該当するため配偶者や不倫相手に対して損害賠償請求(慰謝料請求)が可能です(民法第709条、第710条)。

慰謝料の金額は、法律や判例で具体的な金額が決まっているわけではないため、基本的には相手と交渉し決定します。

お互いに合意していれば、金額はいくらでも構いません。

当事者同士では話がまとまらない場合には、調停や裁判などを検討することになります。

調停や裁判では、過去の類似事件を参照し、大まかな相場の範囲での解決が図られることになります。

不倫の慰謝料を請求するための5つの要件

不倫慰謝料を請求するためには、「配偶者が貞操義務に違反したことにより精神的苦痛を受けた」といえることが必要です。

具体的な要件について説明していきます。

1.不貞行為があったこと

不貞行為とは、配偶者がいるにもかかわらず、他者と性的関係を結ぶことです。

配偶者が不倫相手と性行為をおこなっている場合には、慰謝料を請求することが可能です。

不倫のボーダーラインは人それぞれですので、「性行為がなければ不倫とはいえない」という方もいれば「キスやハグでも不倫だ、許せない」という方もいるでしょう。

しかし、不倫の慰謝料請求は、基本的には肉体関係にまで至っていなければ認められない可能性が高いです。

過去の裁判例では、肉体関係までは認められなくても、婚姻関係を破綻に至らせる可能性のある性交類似行為があったとして慰謝料を認めたケースがありますが、限定的なケースであり、また肉体関係があった場合よりも慰謝料額は低くなる傾向にあります。

そのほかにも、肉体関係は認められないまでも、相手に高価なプレゼントをしたり、二人だけで旅行に出かけたりしていたなど、社会的妥当性の範囲を逸脱し、夫婦生活の平穏を害したとして、慰謝料請求額の一部(10万円)が認められた裁判例もありますが、これもレアケースと言えるでしょう。

東京簡裁判決平成15年3月25日:Westlaw Japan 文献番号 2003WLJPCA03259001

2.婚姻関係にあったこと

不倫の慰謝料請求をするには、前提として自身と配偶者が婚姻関係を結んでいなければいけません。

また、事実婚(内縁関係)が成立している場合も、慰謝料を請求できる可能性があります。

事実婚として認められるには、「お互いに婚姻意思があり、夫婦として共同生活を送っていること」が必要です。

お互いの親族や同僚などに配偶者として紹介していたり、共同生活を長年(目安として3年以上)続けていたりする場合は、事実婚として認められる可能性は高いでしょう。

3.婚姻関係が破綻していないこと

不貞行為があった時に婚姻関係が破綻していないことも必要です。

不貞行為によって、法的に保護されるべき婚姻関係が侵害されたといえる必要があるからです。

どういった場合に婚姻関係が破綻しているといえるのか、という点について厳密な基準はありません。

ただ、裁判所の傾向として、「不貞行為時には既に婚姻関係が破綻していた」と認定されるのは限られます。

同居中の場合、その傾向は顕著です。

また、たとえ別居中であっても、夫婦げんかをして一時的に別居した場合や、別居期間が短い場合、配偶者の一方が関係継続を強く希望している場合には、婚姻関係は破綻していないと判断される可能性が高いです。

一方、双方に離婚の意思があり、すでに離婚に向けて話し合いや調停を進めていたり、別居状態が長期間続いていたりする場合には、婚姻関係が破綻していると判断される可能性が高くなります。

4.不倫が自由意思によっておこなわれたこと

自由意思とは、他者に強制されない自発的な意思をいいます。

配偶者や不倫相手が自ら望んで不貞行為に及んでいる場合には、自由意思によって不倫をしたといえます。

一方、「脅迫や強引な手段によって無理やり肉体関係を結ばされていた」という場合には、自由意思によっておこなわれた行為ではなく、その者に対する慰謝料請求は認められない可能性が高いでしょう。

5.故意・過失があったこと

自由意思の要件と重なる点がありますが、不倫相手の方に慰謝料請求する場合、不倫相手に故意・過失があることも必要です。

この故意・過失の認識は、「相手が既婚であったことを認識していたか、それとも認識することができたのに落ち度があり認識できなかったこと」を指すと考えられています(相手の婚姻関係が破綻していないことまでの認識が必要とする考えもあります)。

いずれにせよ不倫相手に、配偶者が結婚しているという認識があったのであれば、故意が認められる可能性は高いでしょう。

一方、配偶者が相手に対し「独身である」と嘘をつき、状況から不倫相手も独身であると信じることがやむを得ないといえる場合であれば、仮に不倫があった場合でも、不倫相手には故意・過失はないと判断される可能性があります。

裁判では、不倫相手側から「独身と聞いていた」「もう妻(夫)とは別居しており婚姻関係は破綻してると聞いていた」と反論がされるケースがよくあります。

裁判所は、過去の二人のやりとりや交際時の内容から「嘘を信じてもやむを得ない」と判断した場合には、故意・過失を否定しますが、一般的にそのように判断するケースは少ないといえます。

不倫する場合、甘言を用いて口説き落とすことはよくあることであり、相手がそのようなことを言っていたとしても素直に信じるべきではない、と考えられているからです。

不倫の慰謝料請求が認められるケース・認められないケース

不倫の慰謝料請求に必要な要件を前提に、具体的に不倫による慰謝料請求が認められるケース・認められないケースについて説明します。

慰謝料請求が認められる5つのケース

以下のようなケースでは、慰謝料請求が認められる可能性があります。

いずれの場合でも、「不貞行為を裏付ける証拠」があることは重要です。

証拠がなくても相手方が不倫の事実を認め慰謝料を支払ってくれる場合は別ですが、相手方が不倫の事実を認めない場合には証拠が必要になってきます。

慰謝料請求が認められない4つのケース

以下のようなケースでは、慰謝料請求が認められない可能性があります。

不倫に関する慰謝料請求権(損害賠償請求権)の時効は、以下の2種類があります。

いずれかの時効が成立している場合、慰謝料請求することはできません(民法第724条)。

なお、配偶者に対する不貞慰謝料請求権は、3年以上前の不貞行為であっても、婚姻中であれば時効にかからず、仮に離婚しても6か月経過するまでは時効は完成しません(民法159条)。

そのため、離婚後でも慰謝料請求できるということになります。

ただし6か月の間に裁判上の請求をする必要があります。

時効については以下のような手段で更新又は完成猶予することもできます。

裁判上の請求等(民法第147条 裁判上の請求等(訴訟・支払督促・調停など)をおこなうと、その事由が終了するまで(訴訟手続きが終了するまで等)時効の完成は猶予され、請求が認められた場合には、時効期間が10年更新されます(民法第169条第1項)。
催告(民法第150条第1項 裁判所を介さずに内容証明郵便などで慰謝料請求した場合には、時効の進行が6ヵ月ストップします。
債務承認(民法第152条第1項 債務承認とは、債務者が債務の存在を認めることをいいます。相手が慰謝料の一部を支払ったり、慰謝料の支払義務を認める旨の書類に署名捺印したり、減額や支払期日の延長を求めてきたりするなどの行為が該当します。債務承認が行われた場合、これまでの時効進行がリセットされ再スタートします。

【関連記事】不倫の慰謝料を請求するなら時効に注意!時効の中断方法と注意点も解説

不倫の慰謝料請求ができるのは配偶者?浮気相手?

不倫の慰謝料は、配偶者と不倫相手のどちらに対しても請求可能です。

まず、配偶者については、配偶者以外と不貞行為をおこなうことは貞操義務違反であり、不貞をした場合、損害賠償責任を負うことになります。

また、不倫相手(配偶者の交際相手)も他人の婚姻関係を不当に侵害したとして不法行為責任を負うため、損害賠償責任を負うことになります。

したがって、配偶者と不倫相手のどちらに対しても慰謝料を請求することができるのです。

慰謝料の請求相手は自由に選択でき、どちらか一方にだけ請求することもできますし、両者に対して請求することもできます。

ただし、両者に対して慰謝料請求するときでも、二重取りはできません。

たとえば、慰謝料額が200万円であると仮定した場合、配偶者と不倫相手の両方に請求するときであっても、法的には、受け取れる金額は合計200万円です。

それぞれから200万円、合計400万円を受け取れるわけではありません(これは裁判になった場合には、このような結論になる可能性が高いということであり、例えば不倫相手から200万円受け取った後に、さらに配偶者から任意に慰謝料を受け取ることは問題ありません。)。

なお、どちらか一方にだけ慰謝料請求して、当該対象者が慰謝料を全額支払った場合、支払いをした不倫当事者は他方の不倫当事者に対し求償権を行使することができます。

ここでいう求償権とは、慰謝料を支払った一方の不倫当事者が、もう一方の不倫当事者に対して負担を求める権利のことです。

たとえば、不倫相手に慰謝料請求し不倫相手が慰謝料を支払った場合、不倫相手は配偶者側(不倫をした配偶者)に対して「私が負担した慰謝料の半額を支払え」などと要求することができます。

場合によっては、「私の責任は軽いから、(半額ではなく)私が負担した分の8割を支払え」などと要求するケースもあります。

不倫発覚後、配偶者と離婚しないのであれば、求償権の行使は家計にも影響しますので、「浮気相手にだけ慰謝料請求したい」と考えている方は、このような事態も起こり得ることを知っておき、慎重に対応しましょう。

場合によっては、求償権の放棄と引き換えに慰謝料の減額が行われるケースなどもあります。

慰謝料の交渉にあたっては、弁護士に相談するのがよいでしょう。

不倫に関する慰謝料相場|高くなるケース・低くなるケース

不倫に関する慰謝料相場や、慰謝料が高額になりやすいケース・低額になりやすいケースなどを解説します。

不倫の慰謝料相場

不倫の慰謝料相場は、一般的に50万~300万円程度です。

相場にこれだけ幅があるのは、それだけケースごとに事情が異なるからです。

まず、不倫が原因で離婚した場合の方が離婚しない場合よりも慰謝料は高額になる傾向にあります。

慰謝料とは、要は「不倫によって被った精神的苦痛を慰謝(償う)するための賠償金」ですが、不倫をきっかけに離婚する場合のほうが、この精神的苦痛は大きいからと考えられるからです。

ただし、上記はあくまでもひとつの目安であり、実際には以下の事情なども踏まえて総合的に判断されます。

慰謝料が高額になりやすいケース・事例

以下のようなケースでは慰謝料が高額になる可能性があります。

該当する場合は、交渉時に増額理由を主張しましょう。

婚姻期間が長い

一般に、婚姻生活が長いほど、不貞された場合の精神的ダメージは大きいと考えられています。

実際に、婚姻期間の長さが考慮されて慰謝料が算定された裁判例もあります。

11年間夫婦生活を送っていた妻が、勤務先病院の経営者である男性と不貞行為に及んだという事例です。

この事例では、不貞行為が発覚した後に妻が家を出て別居状態となり、離婚に向けて話し合いを進めていました。

裁判では、婚姻期間の長さなどが考慮され、不倫男性に対する200万円の慰謝料請求が認められています。

(参考:東京地裁判決令和3年1月18日:Westlaw Japan 文献番号 2021WLJPCA01188016)

不貞行為が複数回・長期間行われている

複数回・長期間にわたって不貞行為が行われている場合も、慰謝料が増額する可能性があります。

以下は、不貞行為の悪質性などが考慮された裁判例です。

妻が不倫相手の男性と結託して、約2年間にわたり密会を繰り返して不貞行為に及んだという事例です。

この事例では、夫が精神病院に入院していて家を不在にしている期間、妻が複数回にわたって不倫男性を呼んで不貞行為に及んでいました。

裁判では、不貞行為の悪質性の高さ・婚姻期間が20年間であること・夫婦が離婚に至ったことなどの事情が考慮され、不倫相手に対する250万円の慰謝料請求が認められています。

(参考:東京地裁判決令和2年10月21日:Westlaw Japan 文献番号 2020WLJPCA10218006)

夫婦間に子どもがいる

夫婦間に子どもがいる場合も、不倫による精神的苦痛は大きくなると考えられ、慰謝料が増額する可能性があります。

以下は、夫婦間に幼いこどもがいることなどが考慮された裁判例です。

2人の子供(当時2歳・5歳)を抱える夫婦の夫が、当時同じ会社で働いていた女性と不貞行為に及んだという事例です。

この事例では、不貞行為が疑われるようになってから妻の精神状態が不安定になり、夫婦は別居状態で、離婚を前提に話し合いを進めていました。

裁判では、幼い子供が2人いること・婚姻期間が4年間であることなどの事情が考慮され、不倫女性に対する200万円の慰謝料請求が認められています。

(参考:東京地裁判決平成19年8月24日:Westlaw Japan 文献番号 2007WLJPCA08248012)

配偶者と不倫相手との間で子供ができている

不倫相手との間に子供ができていている場合、配偶者に与える精神的ダメージは大きいでしょう。

以下は、不倫のうえでの妊娠・出産などが考慮された裁判例です。

妻が、茶会で知り合った男性と不貞行為を働き、不倫男性との子供を妊娠・出産したという事例です。

この事例では、一度の流産を経て、不倫男性との子供を出産しています。

不倫関係が開始してからは、夫婦はセックスレスの状態にあり、子供もいませんでした。

裁判では、不倫男性との子供を出産したこと・婚姻期間が12年間であること・不貞関係が2年半以上に及ぶことなどの事情が考慮され、不倫男性に対する250万円の慰謝料請求が認められています。

(参考:東京地裁判決令和2年8月4日:Westlaw Japan 文献番号 2020WLJPCA08048003)

不倫による精神的ダメージで病気を発症している

不倫による精神的ダメージでうつ病などの病気を発症してしまったケースでは、慰謝料が高額になる傾向にあります。

以下は、不倫が原因で病気を発症したことなどが考慮された裁判例です。

内科医の妻が、当時研修医だった男性と不貞行為を働き、夫がうつ病とPTSDを発症したという事例です。

この事例では、夫婦で2人の子供(当時10歳・12歳)を育てながら、妻が不倫男性との子供を出産しました。

裁判では、夫が通院を継続していること・小学生の娘が2人いること・不倫男性との子供を出産したことなどの事情が考慮され、不倫男性に対する300万円の慰謝料請求が認められています。

(参考:東京地裁判決令和3年1月20日:Westlaw Japan 文献番号 2021WLJPCA01208011)

相手が不倫していることを認めない

反省の態度などが一切みられない場合、慰謝料が高額になる可能性があります。

以下は、相手が不誠実な態度をとっていることなどが考慮された裁判例です。

デイサービス施設長の夫が、当時同じ施設で働いていた女性と不倫関係にあったことについて、口裏合わせをするなどして否定した事例です。

この事例では、妻の要望で、不貞行為を謝罪する誓約書作成に応じたものの、結局その後も不倫関係を続けたうえ、訴えられた際の対策として「知り合い以上の関係にはない」と事前に口裏合わせをしていました。

裁判では、提訴前後の夫の態度が不誠実であること・不貞行為により生じた被害者の精神的苦痛などが考慮され、不倫女性に対する200万円の慰謝料請求が認められています。

(参考:東京地裁判決令和2年8月24日:Westlaw Japan 文献番号 2020WLJPCA08248002)

相手の社会的地位が高い・収入や資産が多い

年齢・社会的地位・資力なども、慰謝料額算定に考慮されます。

以下は、社会的地位の高さなどが考慮された裁判例です。

看護師の妻が、当時同じ病院で働いていた男性医師(当時55歳)と不貞行為に及んだという事例です。

この事例では、男性医師は夫婦に子供(当時2歳)がいることを知りながら、妻を連れ出して子供一人だけ置き去りにしており、夫から追及された際も「他人の家庭のことはわからない」などと述べていました。

裁判では、男性医師の年齢や社会的地位を踏まえると軽率かつ自分勝手な行為であること・不貞行為により生じた被害者の精神的苦痛などが考慮され、不倫男性に対する250万円の慰謝料請求が認められています。

(参考:東京地裁判決令和元年5月30日:Westlaw Japan 文献番号 2019WLJPCA05308023)

慰謝料が低額になりやすいケース・事例

以下のようなケースでは、慰謝料が低額になる可能性があります。

婚姻期間が短い

婚姻期間が短いほど、慰謝料は低額となる傾向にあります。

以下は、婚姻期間の短さなどが考慮された裁判例です。

6ヵ月間夫婦生活を送っていた妻が、知人男性と不貞行為に及んだという事例です。

この事例では、夫婦はすでに一度結婚・離婚しており、再婚後に不貞行為が発覚したことで、再び離婚に至りました。

裁判では、不貞行為が原因で離婚に至ったことが認められたものの、婚姻期間の短さなどが考慮され、不倫男性に対する慰謝料として90万円が相当と判断されました。

(参考:東京地裁判決平成30年6月27日:Westlaw Japan 文献番号 2018WLJPCA06278003)

不貞行為が1回のみ

不貞行為が1度のみの場合、悪質性が比較的低いと評価され、慰謝料が低額となる傾向にあります。

以下は、不貞行為が1回のみであることなどが考慮された裁判例です。

夫が知人女性と1度不貞行為に及んだという事例です。

この事例では、夫自身が1度だけでなく何度も不貞行為を働いたことを供述していましたが、具体性や裏付けがないことから認定されていません。

裁判では、不貞行為が1度のみであることや、婚姻期間が6ヵ月程度であることなどが要因となり、不倫女性に対する慰謝料として40万円が相当と判断されました。

(参考:東京地裁判決令和元年10月30日:Westlaw Japan 文献番号 2019WLJPCA10308029)

不倫発覚前から夫婦関係が破綻寸前だった

すでに夫婦関係が破綻寸前であれば、不倫により夫婦関係に与える影響は小さいと判断される可能性があります。

以下は、夫婦関係が破綻寸前であることなどが考慮された裁判例です。

7年間別居状態にあった夫婦の夫が、看護師の女性と不貞行為に及んだという事例です。

この事例では、不倫関係が始まる前から夫婦が別居状態にあったほか、夫によって離婚調停・離婚訴訟が申し立てられていました(調停は不成立・訴訟は棄却)。

裁判では、婚姻期間が約15年半であることなどを踏まえても、夫婦関係は破綻こそしていないが良好ではなかったことや、継続的な不倫関係が認められなかったことなどが考慮され、不倫女性に対する慰謝料として80万円が相当と判断されました。

(参考:東京地裁判決令和2年9月2日:Westlaw Japan 文献番号 2020WLJPCA09028006)

不倫の落ち度が自分にもある(例:自身にも不倫の経験がある など)

自分にも落ち度があると評価されれば、慰謝料も低額になりやすいでしょう。

以下は、不貞をされた側にもある程度の落ち度があることなどが考慮された裁判例です。

夫婦関係がうまくいっていない夫が、同僚女性と不貞行為に及んだという事例です。

この事例では、不倫関係が開始する前から妻が性交渉を拒否していたり、無断で実家に帰ったりしていたほか、夫の生活態度に対する抗議の意味を込めて離婚届を提出したりするなどの行動もありました。

裁判では、不貞行為によって夫婦関係が破綻した事実は認められるものの、そもそも不倫関係が開始する前から夫婦間の協力意思が薄く、夫婦のあり方自体にも問題があったとして、不倫女性に対する慰謝料として30万円が相当と判断されました。

(参考:東京地裁判決平成21年11月26日:Westlaw Japan 文献番号 2009WLJPCA11268011)

不倫したことを謝罪している・社会的制裁を受けている(例:退職している など)

謝罪や社会的制裁などがあった場合、「被害者の精神的苦痛を埋めるもの」として考慮されることがあります。

以下は、すでに社会的制裁を受けていることなどが考慮された裁判例です。

2人の子供(当時4歳・10歳)を抱える夫婦の夫が、既婚者である知人女性と不貞行為に及んだという事例です。

この事例では、妻が、夫・不倫女性・不倫女性の夫などに対して強硬な態度で交渉に臨んだ結果、不倫女性は夫との離婚に至っています。

裁判では、夫婦間に子供がいることなどを踏まえつつ、不倫女性が夫と離婚したことについて相応の社会的制裁を受けたものと考慮して、不倫女性に対する慰謝料としては90万円が相当と判断されました。

(参考:東京地裁判決平成30年1月29日:Westlaw Japan 文献番号 2018WLJPCA01298010)

不倫の慰謝料を獲得するための重要な5つの証拠例

不倫されて慰謝料を請求するには、証拠収集が重要です。

もし相手側が不倫関係を否定している場合、慰謝料を請求する側が事実を立証しなければいけません。

その際、十分な証拠を揃えていなければ、仮に裁判に持ち込んでも慰謝料請求が認められない可能性が高いでしょう。

裁判での立証見込みが低い場合、交渉段階でも不利・弱い立場にならざるを得ず、慰謝料請求全体に強く影響します。

ここでは、慰謝料請求の際に証拠になるものについて解説します。

1.配偶者と不倫相手に肉体関係があったと推測できる写真・動画

以下のような写真・動画データは、一般的に証拠価値が高いです。

ただし、写真が不鮮明だと証拠にならない可能性もあるため、配偶者と不倫相手の顔がハッキリと写った写真・動画である必要があります。

2.不倫事実について認めている音声データ

「不倫によって家族に迷惑をかけて申し訳ない」など、相手が不倫した事実を認めている音声データ・自認書・謝罪文なども証拠になります。

ただ、のちのち「無理やり言わされた」「無理やり書かされた」などと反論される可能性もあります。

このような反論をさせないためにも、やり取りは全て録音しておくことをおすすめします。

3.LINE・メールなどの記録

配偶者と不倫相手とのLINEやメールなどのやり取りも証拠になります。

しかし、これらだけでは不倫の事実を立証するのに不十分なケースも多いです。

そのため、複数の証拠と組み合わせることで不倫の事実を立証できる可能性が高まります。

たとえば、配偶者と不倫相手がデートしている動画が撮れたとしても、それだけでは不貞を証明するのは難しいでしょう。

しかし、同日にLINEなどで肉体関係を思わせるやり取りがあれば、不貞の立証はしやすくなります。

LINEやメールなどは履歴を消すなどして証拠隠滅される恐れもあるため、やり取りの画面を写真に撮ったり、自分のスマホにデータ転送したりして証拠化することも検討しましょう。

4.ラブホテルのレシート・クレジットカードの利用履歴

ラブホテルのレシートやクレジットカードの利用履歴なども、それだけでは証拠価値は低いかもしれません。

そのため、複数の証拠と組み合わせて提出するようにしましょう。

たとえば、レシートやクレジットカードの利用履歴だけでは、「誰とラブホテルに行ったのか」まではわかりませんし、言い訳をされることもあるでしょう。

しかし、不倫相手とのLINEやメールで「昨日は楽しかった。

またホテル行こうね」などのやり取りが残っており、レシートやカード利用履歴の日付が一致すれば、不貞の立証はしやすくなります。

5.探偵が作成した調査報告書

探偵に不倫調査・浮気調査を依頼した際に作成される「調査報告書」は、不倫の証拠として使用できます。

調査報告書には、調査期間内の行動記録(「どこに行ったのか」「誰と接触していたのか」など)や、調査員による所見(一緒にいた人物との親密性など)が記載されます。

ただし、事務所ごとに調査報告書のクオリティは異なり、画像や映像が不鮮明で証拠として使用できないこともあります。

また、探偵費用は高額になることが多く、慰謝料よりも探偵費用が高くついたなどということになりかねません。

さらに、探偵業者によっては、「今ある証拠だけだと証拠として不十分だから調査が必要です」「1回ラブホテルに入っただけでは証拠として不十分ですから、最低でも2回調査が必要です」などと相談者を不安にさせて依頼を得ようとする業者もいます。

証拠の評価は法的にも難しく、専門家にきちんと相談するべきです(探偵業者は調査のプロであっても、法律のプロではありません)。

そのため、依頼前にきちんと見積もりを取り、また、調査が本当に必要かどうかを弁護士に確認したほうがよいでしょう。

【関連記事】不倫慰謝料の相場|慰謝料を確実に徴収する為に覚えておくべき大事なこと

不倫の慰謝料を請求する方法と手順

慰謝料は相手に直接請求することも可能ですし、裁判を起こして請求することも可能です。

ここでは、慰謝料の請求方法について解説します。

直接交渉する

相手方と連絡を取って話し合いができる状況であれば、直接交渉することも可能です。

ただし、できれば「第三者がいる場所」で交渉をおこなうほうがよいでしょう。

2人きりでの交渉の場合、後になって「脅された」などの言いがかりをつけられてトラブルになる可能性もなくはありません。

交渉が成立した場合には、必ず合意内容を示談書などの形で書面化しましょう。

書面化しないと、あとになってから「言った・言わない」の争いになる可能性が高いです。

書面を作成した後は、公証役場にて公正証書にしてもらうのも効果的でしょう。

執行認諾文言付きの公正証書にしておけば、もし相手方が合意内容どおりに慰謝料等を支払ってくれない場合、訴訟手続きを踏むことなく強制執行をおこなうことが可能となります。

内容証明郵便を送る

直接会っての交渉はせず、内容証明郵便を送って請求するという方法もあります(名前と住所を把握している必要があります)。

内容証明郵便とは、「差出日・差出人・宛先・書類内容」などを郵便局が証明してくれるサービスです。

ただし、内容証明郵便は任意での支払いを促すものですので、支払いに応じるかどうかはあくまでも相手次第です。

それでも、慰謝料請求の強い意思があることを伝えるという意味では有効です。

また、相手によってはのちのち裁判などに発展することを恐れて支払いに応じることもあるでしょう。

【関連記事】不倫相手に内容証明を送る流れや守るべきルールについて解説

調停をおこなう

相手が、上記の方法では慰謝料の支払いに応じない場合は、裁判所を介して請求することになります。

方法は調停と裁判の2種類があります。

調停では、裁判所で調停委員を交えて話し合いを進めます。

基本的に、当事者同士で顔を合わせることはありません。

裁判所を介する手続きではありますが、調停はあくまで話合いの場です。

そのため、解決するためには双方の合意が必要となります。

当事者間で合意できれば調停成立となりますが、話し合っても合意が困難な場合には調停不成立となります。

調停を起こす前の交渉段階で、相手が不倫を一切認めない、慰謝料を一切払わないという強硬な態度を取っている場合、調停を起こしても話し合いにならないケースも多いため、その場合には調停を経ずにすぐに裁判を起こしたほうがよいでしょう。

裁判を起こす

交渉や調停でも合意に至らなかった場合、最終的には訴訟で解決を図ることになります。

本人訴訟といって、自分一人で裁判を起こすことも可能ですが、裁判では特に法律的な知識が求められるため、基本的には弁護士に依頼することをおすすめします。

裁判では、原告被告それぞれが主張書面を作成・提出し、かつ主張を裏付ける証拠を提出します。

期日を何度か実施した後、場合によっては、裁判官から和解案が提示されることもあります。

和解案とは、裁判所がこれまでの双方の主張・立証の程度を考慮して、「これくらいの金額で和解して解決しませんか?」という提案です。

双方が和解案を受け入れれば判決を待たずに終了となりますが、どちらか一方でも応じなければ和解協議は決裂し、最終的には判決まで至ることになります。

判決に至る場合には、その前に尋問という手続きが実施されるのが一般的です。

ドラマや映画でよく見る、法廷で裁判官の前に座り、質問に回答する手続きです。

不倫慰謝料に関する相談なら弁護士がおすすめ

慰謝料を請求したいと考えている方は、弁護士に相談することをおすすめします。

ここでは、弁護士に相談するメリット・弁護士費用・弁護士の選び方などを解説します。

弁護士に相談するメリット

不倫の慰謝料について弁護士に相談した場合、以下のようなメリットがあります。

慰謝料が増額できる可能性が高まる

不倫に関する慰謝料相場はあくまでひとつの目安に過ぎません。

個々の事情によっては相場から大きく外れることもあります。

不倫慰謝料について知識がないと、本来であれば受け取れたはずの金額より損をしてしまうこともあるでしょう。

弁護士に依頼すると、依頼者の利益を優先して動いてくれます。

いくら請求できそうかアドバイスしてくれたり、増額要素の見落としがないかチェックしてくれたりしますので、自力で請求するより増額することもあるでしょう。

慰謝料請求に関する面倒な手続きや交渉を全て任せられる

どのような手段でも、慰謝料を受け取るためには手間と時間がかかります。

慰謝料請求の知識や経験もなく、まだ不倫のショックやストレスが癒えていない方にとっては、不倫相手と交渉したり、書面を作成したりすることは大きな負担になるでしょう。

弁護士に依頼した場合には、これらの面倒な手続きを全て任せることができます。

不倫相手と顔を合わせる必要もなくなりますし、法律知識が求められる裁判などでもスムーズに対処してくれるでしょう。

裁判に発展する前に早期解決できる可能性がある

慰謝料請求がスムーズにおこなえるかどうかはケースバイケースです。

金額交渉で揉めることもありますし、そもそも不倫を認めないこともあるでしょう。

素人同士では、解決が長引くことも珍しくありません。

弁護士という第三者が間に入ることによって、早期解決に向けたサポートが期待できます。

たとえば、相手の主張に対して法的視点から的確に反論したり、妥当な落とし所を見極めることができるため、早期決着に至ることもあるでしょう。

また、内容証明郵便で請求する際にも、合法的な範囲で、相手がプレッシャーを感じるような内容の書類を作成してくれます。

また、弁護士名義で送付することになるため、個人名義で送るよりも相手に与えるプレッシャーは強いといえます。

【関連記事】不倫の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットとは?相談前によくある質問

弁護士費用の相場

不倫に関する慰謝料請求を弁護士に依頼した場合の弁護士費用相場は以下のとおりです。

費用項目 相場
相談料 0~5,000円程度/30分
着手金 20万~30万円程度
報酬金 獲得した金銭の10~20%程度
実費 対応内容によって異なる(交通費・通信費・収入印紙代・郵便切手代など)
日当 1万~2万円程度/日

たとえば「着手金:20万円、報酬金:獲得した金銭の20%」という料金設定の事務所であれば、慰謝料額に応じて以下の費用が発生します。

獲得した慰謝料金額 費用合計
50万円 20万円(着手金)+10万円(報酬金)=30万円
100万円 20万円(着手金)+20万円(報酬金)=40万円
300万円 20万円(着手金)+60万円(報酬金)=80万円
500万円 20万円(着手金)+100万円(報酬金)=120万円

ただし、事務所ごとに料金設定が異なる場合がありますので、より具体的な金額を知りたい方は事務所に直接ご確認ください。

【関連記事】弁護士費用が気になる方へ|分野別の相場・払えない場合の対処法

弁護士の選び方

弁護士にはそれぞれ得意分野があり、解決実績なども人によってさまざまです。

弁護士だからといって、必ずしも不倫慰謝料について知識やノウハウがあるわけではありませんので、弁護士を選ぶ際は注意しましょう。

不倫慰謝料に注力している弁護士を探す際は、離婚弁護士ナビがおすすめです。

離婚弁護士ナビでは、不倫の慰謝料請求を得意とする法律事務所を、住んでいる地域ごとに検索することができます。

無料相談可能・土日祝の相談可能・オンライン相談可能・電話相談可能など様々な事務所がありますので、まずは一度ご相談ください。

【関連記事】不倫問題は弁護士へ相談!弁護士の選び方や相談の流れまで詳しく解説

最後に|不倫の慰謝料請求なら弁護士に相談を

配偶者や不倫相手に対する慰謝料請求が認められるためには、「不貞行為時に夫婦関係が破綻していなかったこと」「自由意思に基づいた不貞行為だったこと」「故意・過失があったこと」などの要件を満たしていなければいけません。

慰謝料相場は50万~300万円程度ですが、婚姻生活の長さ・不貞行為の悪質性・精神的損害の大きさなど、さまざまな要素によって金額は変わります。

自分のケースではいくらが妥当か気になる方は、弁護士に相談してみましょう。

弁護士には請求対応を一任でき、慰謝料の増額や早期解決が望めますので、ご自身で対応するのが不安な方にはおすすめします。

不倫慰謝料で200万?慰謝料請求は弁護士に相談

不倫問題の場合、一般的な慰謝料相場は50~300万円程度です。しかし、慰謝料請求に関する知識がなければ、相場より低額になることもありますし、請求が却下されることもあります。

慰謝料請求で損をしないためには、弁護士への相談が有効です。弁護士に慰謝料請求を依頼することで、以下のようなメリットが望めます。

・慰謝料請求の要件を満たしているかどうか判断してくれる
・慰謝料の妥当額を計算してくれる
・慰謝料請求の手続きをすべて任せられる
・増額要素をチェックしてもらうことで慰謝料が増える可能性がある

離婚弁護士ナビは、不倫慰謝料の請求対応に注力している弁護士掲載サイトです。初回相談であれば無料の事務所も多くあります。一人で悩まず、まずはご相談ください。

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この記事の調査・編集者
ぐっぴー
法律ライターとして入社後、新規事業部のコンテンツSEO、外部ライターディレクション、SNSマーケティング、インフルエンサーマーケティングに従事。ほぼ全ての法律分野の執筆に携わる。