大切な家族が逮捕されてしまい、刑事事件の対応が得意な弁護士に相談したいと考える方もいるでしょう。
日本では起訴されると有罪になってしまう確率が99%であるといわれており、前科がつく事態を避けるためには、起訴前の弁護活動がとても重要です。けれど、弁護士費用が高くて依頼を躊躇してしまうといったことはないでしょうか。そういったときには、国選弁護人制度の利用がおすすめです。
国選弁護人制度は、検察官送致をうけ、勾留された被告人であれば誰でも利用することができ、費用は国に負担してもらえる制度で、家計に負担を与えず弁護士に依頼できるという大きなメリットがあります。しかし、国選弁護人制度はあまり一般的に知られているものではありませんので、次のような疑問や不安を持つ人もいるでしょう。
そこでこの記事では、「国選弁護人制度を利用してみたい」といった人に向けて、制度の概要や、国選弁護人制度を利用できる条件、実際の依頼方法などについてくわしく解説します。
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国選弁護人制度(こくせんべんごにんせいど)とは、刑事事件の被告人及び被疑者が、貧困などの理由から自分で弁護士をつけられない場合に、国が弁護士を選任し、弁護士費用も負担してくれる制度のことです。
国選弁護人制度の概要についてみていきましょう。
2016年に刑事訴訟法が改正され、2018年6月2日より国選弁護人制度の利用対象事件の範囲が拡大されました。
改正前は、被疑者国選弁護については、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件について被疑者に対して勾留状が発せられている場合」の中で、原則として資力要件(現金や預金を合わせて50万円未満)を満たしている場合に限られていました。
改正後は、資力要件に関する条件は変わらず、勾留状が発せられている全ての被疑者が制度を利用できるようになりました。
つまり、住居侵入罪など、法定刑の重さの関係で改正前は被疑者国選弁護の対象外であった事件も、改正後は制度の利用が可能になったということです。
仮に罪を犯した人であっても、身柄を拘束され、刑罰を受けるということは、重大な権利制約であるといえます。
弁護人選任権は、被疑者や被告人の権利擁護のためにも重要な権利であり、憲法でも以下のように規定されています。
第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
第三十七条
1,2 (省略)
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
このうち、被告人国選弁護制度は憲法37条3項を実現した制度であるといえるでしょう。
国選弁護人が使えるのは、被告人(起訴された人)と被疑者です。
そのため、「被告人国選」「被疑者国選」と区別されることがあります。
被告人国選を利用するには、原則として現金・預貯金などの資力が50万円を下回っていることが条件となります。
もっとも、この条件を満たさなくても私選弁護人を選任できない状況であれば、国選弁護人を選任することは可能です。
一定の事件では、弁護人がついていなければ裁判ができないため、裁判所が職権で国選弁護人を選任する場合もあります。
被告人国選が使える場合を整理すると、次のようになります。
利用条件 | |
被告人が請求する場合 (刑事訴訟法36条、36条の3) |
・現金・預貯金などの資力が50万円を下回ること ・資力が50万円を超える場合には、あらかじめ事件が係属する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の弁護士会に弁護人選任申出(刑事訴訟法31条の2第1項)をしたものの、私選弁護人が選任されないこと |
弁護人がいないと裁判ができない場合 (必要的弁護事件の場合) |
・死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役・禁固刑にあたる事件(刑事訴訟法289条1項)(例:殺人罪、強盗罪、窃盗罪、傷害罪、強制性交等罪)など。 ⇒これらの場合で弁護人が選任されていなければ、資力要件や選任申出の有無にかかわらず、裁判所の職権で国選弁護人が付される。 |
裁判所が任意的に選任する場合 (刑事訴訟法37条) |
・被告人が次のいずれかに該当すること ①未成年者 ②70歳以上 ③耳が聞こえない人又は口のきけない人 ④心神喪失者または心神耗弱者の疑いがある人 ⑤その他裁判所が必要と認めるとき ⇒これらの場合で弁護人が選任されていなければ、資力要件や選任申出の有無にかかわらず、裁判所の職権で国選弁護人が付される場合がある。 |
被疑者国選の場合も、原則として現金・預貯金といった資力が50万円を下回ることが条件になります。
そして、勾留状が発せられていることも条件になります。
なお、仮に資力要件を満たさない場合(50万以上持っている場合)でも、弁護士会に私選弁護人選任の申出をし、申出を受けて接見した弁護士が受任を拒否すれば、国選弁護人の請求は可能になります。
私選弁護人と国選弁護人の違いは、次のような点です。
私選弁護人 | 国選弁護人 | |
弁護士を選べるか | ○ | × |
費用負担者 | 依頼人 (被疑者や被告人、その家族など) |
国 |
簡単にいうと、好きな弁護士を自分で選び自分で費用負担をするのが私選弁護人で、国が弁護士を選び国が費用負担をするのが国選弁護人です。
ここでは国選弁護人に依頼するメリット・デメリットについて紹介します。
国選弁護人の最大のメリットは、基本的に費用がかからないことです。
一部の事件では訴訟費用等の負担を判決として命じられることがありますが、多くのケースでは負担はありません。
国選弁護人制度は、経済面で弁護人を選任できない被疑者・被告人にとって、重要な制度です。
国選弁護人は、裁判所が日本司法支援センター(法テラス)を通じて職権で選任するため、被疑者・被告人は自分の希望する弁護士を選ぶことはできません。
もっとも、当番弁護士として接見した弁護士に、引き続き国選弁護人となってもらえる場合もあります。
ただ、当番弁護士自体も自分では選べませんので、結局は自分で自由に選べないと考えてよいでしょう。
国選弁護人は、法テラスの登録名簿から選ばれます。
この名簿登録は、弁護士資格があれば誰でも登録できます。
そのため、登録されている弁護士は必ずしも刑事事件の解決実績が豊富な弁護士ばかりではありません。
経験の乏しい弁護士が選任される可能性があるという点は、デメリットのひとつといえるでしょう。
現在は被疑者段階で勾留されている全件について国選弁護人が選任できるようになりましたが、それでも選任可能となるのは勾留が決定されてからです。
そのため、逮捕段階では国選弁護人のサポートを受けることが出来ません。
なるべく早期の解決や早期釈放を望むのであれば、逮捕直後から的確な刑事弁護活動が開始される方が望ましいでしょう。
次に、私選弁護人のメリット・デメリットについて紹介します。
私選弁護人は、自ら弁護士を選ぶことが出来ます。
そのため、自身の刑事事件に近い事件の解決実績をもつ弁護士を見つけることができれば、これを弁護士として選任することができます。
弁護士が同種事件を取り扱った経験があれば、あなたの事件についても的確なサポートが期待できるかも知れません。
私選弁護人は選任後直ちに弁護活動を開始します。
例えば逮捕直後に選任すれば、逮捕直後からサポートを受けられますし、逮捕前から相談しておけば、逮捕を待たずにサポートが受けられるでしょう。
このようにスピード感ある対応をされることで、刑事手続に関する不安を最小限にすることができる可能性があります。
弁護士が行う刑事弁護活動としては、例えば以下のような活動が想定されますが、これに限定されません。
私選弁護人に依頼する際のデメリットとしては、費用がかかるということです。
弁護士費用の分割払いやカード払いを可能としている弁護士も多いので、弁護士に相談してみることをおすすめします。
最初は国選弁護人に対応してもらっていたが、私選弁護人に切り替えたいというケースもあるかもしれません。
この場合は特に難しい処理は不要であり、私選弁護人と契約しつつ、弁護人選任届が提出されれば、自動的に切り変えられます。
国選弁護人の依頼方法は、状況によって多少の違いはあるものの、留置場の警察官に依頼の意向を伝えたり(身柄拘束された被疑者の場合)、裁判所に対して依頼の意思がある旨の書面を送付したり(在宅事件の被告人の場合)すると、国選弁護人選任の手続きを行ってもらえます。
このときの国選弁護人選任の大まかな流れは、以下のようになります。
図のように、最終的に国選弁護人選任の決定をするのは裁判所ですが、国選弁護人候補の指名・通知をおこなうのは法テラスが担っています。
ここでは、国選弁護人のよくある疑問について、気になるポイント・知っておくと役に立つ知識をご紹介していきます。
国選弁護人は刑事事件の被疑者・被告人のための制度なので、離婚や相続・損害賠償などの民事事件で利用することはできません。
国選弁護人の報酬は、基本的に国が負担します。
しかし、例外的に一定額を負担しなければならない場合もあります(刑事訴訟法181条1項)。
第百八十一条 刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。但し、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときは、この限りでない。
2 被告人の責に帰すべき事由によつて生じた費用は、刑の言渡をしない場合にも、被告人にこれを負担させることができる。
3 検察官のみが上訴を申し立てた場合において、上訴が棄却されたとき、又は上訴の取下げがあつたときは、上訴に関する訴訟費用は、これを被告人に負担させることができない。ただし、被告人の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、この限りでない。
4 公訴が提起されなかつた場合において、被疑者の責めに帰すべき事由により生じた費用があるときは、被疑者にこれを負担させることができる。引用元:刑事訴訟法|e-Gov法令検索
貧困等の事情があると認められ、弁護士費用を負担せずに済むことが多いです。
しかし、資力状況から費用負担が可能と認められた場合には、裁判所から費用負担を命じられる可能性はあります。
国選弁護人は、弁護士にとって経済的なメリットはない場合が多いです。
しかし、多くの弁護士は、私選や国選の区別なく、被疑者・被告人の利益のために全力で活動しており、私選弁護人と国選弁護人とでやる気が大きく違うというのは誤解です。
職務に対する姿勢は変わらないと考えてよいでしょう。
国選弁護人制度の対象は徐々に拡大され、現在では、被疑者事件について全ての勾留事件が対象となりました。
私選弁護人に依頼するお金がない人にとっては、とても助かる制度でしょう。
もっとも、早期解決、早期釈放を目指すのであれば、勾留前の段階から私選弁護人への依頼を検討したほうがよいでしょう。
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