当番弁護士とは|役割や利用できる条件、依頼できる内容の解説

当番弁護士とは|役割や利用できる条件、依頼できる内容の解説

刑事事件の被疑者として逮捕されてしまうと、たとえ相手が家族や会社の同僚・友人・知人であっても自由な連絡や接触は許されません。

誰にも相談できず、誰からも助けも得られないままで刑事手続きが進むため、強い不安を感じることになるでしょう。

そんなとき、逮捕されてしまった被疑者を法的にサポートできる最初の機会となるのが「当番弁護士」制度です。

当番弁護士を利用すれば、逮捕後すぐの不安や疑問を解消できます。

ただし、当番弁護士では解決できないことも多いので、制度の概要やサポートできる内容などを理解しておいたほうがよいでしょう。

この記事では、当番弁護士の役割・利用条件・依頼できる内容を解説します。

ご家族が逮捕された方へ

当番弁護士は初回無料で対応してくれるメリットがあるもののデメリットもあります。

✔ 刑事事件が得意な弁護士が派遣されるとは限らない
✔ 私選弁護人として選任しないと、示談交渉を依頼できない

事件の早期解決を目指すなら、最初から刑事事件が得意な弁護士を選んで依頼するのが得策です。

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この記事を監修した弁護士
上羽 徹
上羽 徹弁護士(法律事務所奈良中央)
刑事事件、少年事件、交通事故、離婚問題、遺産相続、破産事件、消費者問題、建築紛争、企業法務、顧問弁護士、債権回収、労働問題、インターネットトラブルなど様々な法律問題に対応可能。あなたの法律面の専属パートナーになります。

当番弁護士とは?

まずは「当番弁護士」とはどのような制度なのかを確認しておきましょう。

弁護士が逮捕された被疑者に1回限りで面会する制度

当番弁護士とは、各都道府県の弁護士会によって当番で待機しており、被疑者等からの派遣要請を受けて、身体拘束されている被疑者のもとに駆けつけ、1回に限って無料で面会し、疑問への回答、今後の流れ、保障されている権利などを伝える弁護士もしくはその制度のことです。

当番弁護士は無料で利用でき、ただちに弁護士へ依頼できない場合に早期のサポートが期待できます。

くわしくは後述しますが、依頼は逮捕された本人でもその家族でも可能です。

家族が頼む場合には、逮捕された地域を管轄する弁護士会に連絡するようにしてください。

当番弁護士の連絡先一覧を確認する

なぜ当番弁護士制度が存在するのか?

当番弁護士制度は「法的弱者」である被疑者の防衛権を保障するために設けられた制度です。

逮捕された被疑者には、取り調べのなかで「弁護人を選任する権利がある」ことを伝えられます。

しかし、弁護人をどのように選任するのか、そもそも弁護人を選任する必要はあるのかといった判断を下すのは難しいでしょう。

また、逮捕から検察官送致までの72時間は、たとえ家族であっても逮捕された被疑者との面会は原則として認められません。

この期間は、勾留による身柄拘束が決まる非常に重要なタイミングなので、誰のサポートも受けられないことは被疑者にとって大きなマイナスです。

そこで、逮捕直後の被疑者の法的な不利を解消するため、1990年ころから全国の弁護士会が積極的に当番弁護士制度を導入するようになり、1992年にはすべての都道府県において利用できるようになりました。

なお、国から費用が出る国選弁護人と異なり、現在も当番弁護士の費用は全て、弁護士から集めた会費で賄われています。

当番弁護士の役割|サポートできる内容

当番弁護士は、逮捕直後の被疑者の法的不利を解消する制度で、ここで挙げる3つのサポートが期待できます。

逮捕後72時間以内でも弁護士と面会できる

逮捕された被疑者が家族などとの面会を認められるのは、勾留が決定したあとです。

検察官が勾留を請求し、裁判官がこれを許可するのは逮捕から数えて72時間後であり、それまでは誰との面会も認められないことがほとんどです。

しかし、当番弁護士制度を利用すれば、この逮捕後72時間以内でも弁護士との面会が可能になり、特定のサポートを受けられるようになるのです。

逮捕後の72時間以内には、警察官による取り調べ、送致、検察官による取り調べといった刑事手続きを受けることになります。

この間の取調も証拠化されてしまうので、この時点で弁護士と面会できる機会は非常に重要です。

取り調べに対するアドバイスが得られる

当番弁護士との面会を通じて、取り調べに対するアドバイスや、黙秘権などの被疑者に保障された権利について説明をうけます。

これによって、不当な取り調べを防ぐ効果が期待できるのです。

警察・検察官の取り調べでは、被害者の供述をうのみにした思い込みの強い押し付けや自白の強要を受ける可能性があります。

暴力的・威迫的な取り調べが展開されることも考えられます。

当番弁護士からアドバイスをうけることで、不適切な取り調べや、事実と異なる供述調書が作成されることを防ぐ可能性が上がるのです。

また、被疑者には「言いたくなくことは言わなくてもよい」という黙秘権(供述拒否権)が与えられています。

しかし、取調官が必ず権利告知するという保障はなく、告知されても十分な説明が尽くされず権利を行使できなかったりするケースもあり得ますが、当番弁護士が説明することで、そういった事態も避けられます。

逮捕後の刑事手続きの流れを教えてくれる

逮捕後の刑事手続きの流れは非常に複雑です。

これまでに刑事事件とかかわりのなかった方では、いつ、どのような手続きをうけるのかもわからずに「この先、どうなってしまうのか」と強い不安を感じることになるでしょう。

当番弁護士に相談すれば、今後の刑事手続きの流れや事件の見通し、有罪になった場合の責任などの情報を得られます。

これによって、刑事手続きを落ち着いて対処できる可能性があがるのです。

当番弁護士を利用できる条件

当番弁護士を利用できる条件は「被疑者が逮捕・勾留されていること」の一点だけです。

そのほかの資力・資産などの条件は一切ありません。

誰でも広く法的なサポートを受けられるための制度なので、とくに条件は設けられていません。

逮捕・勾留されている被疑者なら、誰もが気兼ねなく利用できる制度です。

当番弁護士を呼ぶことができる人

当番弁護士を呼ぶことができるのは、次の立場にある人です。

逮捕・勾留されている被疑者本人

逮捕・勾留されている被疑者本人からの依頼があれば、当番弁護士が派遣されます。

もっとも、警察は被疑者に対して「弁護人にサポートしてもらう権利がある」ことは伝えるものの、当番弁護士制度について詳しく説明しない場合も考えられます。

つまり、被疑者本人が当番弁護士制度について知らなかった場合、弁護士のサポートを受けることなく取り調べが始まる可能性が高いでしょう。

そのため、逮捕された家族が当番弁護士制度を知っていそうにない場合には、ご家族などが依頼する必要があります。

被疑者の家族や友人・知人など

被疑者本人ではなくても、家族・友人・知人からの依頼があれば当番弁護士が派遣されます。

逮捕された被疑者本人は、不慣れな環境におかれて精神的に大きな不安を抱えているため、当番弁護士を呼ぶことにまで頭が回らないおそれがあります。

また、前述の通り警察官が制度の利用方法を正しく伝えていないケースもあるので、家族・友人・知人などによる積極的な要請も大切です。

本人とご家族で重複して依頼して、2回当番弁護士を派遣することはできませんが、逮捕された本人が当番弁護士制度を知っている可能性はあまりないでしょう。

ご家族の方は念のため、当番弁護士を依頼するようにしてください。

当番弁護士の連絡先一覧を確認する

当番弁護士の弁護士費用

当番弁護士を利用した場合の弁護士費用はすべて無料です。

通常、逮捕・勾留されている被疑者との接見を弁護士に依頼した場合は、1回につき3~5万円程度の接見費用がかかるので、これだけでも大きな負担軽減になるでしょう。

なお、外国人被疑者との面会では通訳人を用意することもありますが、すべて弁護士会が負担するため通訳費用も発生しません。

当番弁護士を利用する方法

当番弁護士を利用する方法を確認していきましょう。

逮捕・勾留されている被疑者本人が依頼する場合

逮捕・勾留されている被疑者本人が依頼する場合は、警察段階では取調官や留置担当官などに「当番弁護士を呼んでほしい」と伝えるだけです。

依頼を受けた警察官が弁護士会に連絡し、当日から翌日の間には当番弁護士が派遣されます。

また、検察官へと送致されて勾留請求された場合は、裁判官による「勾留質問」という機会が設けられますが、ここでも依頼が可能です。

この時は、裁判官に当番弁護士を利用したい旨を伝えるようにしてください。

被疑者の家族や友人・知人などが依頼する場合

被疑者の家族・友人・知人などが依頼する場合は、まず各弁護士会の当番弁護士受付窓口に電話をかけます。

その際に、逮捕されている被疑者は誰なのか、どの警察署に留置されているのか、依頼主は誰なのかといった情報を伝えると、当日または翌日のうちに弁護士が派遣されます。

弁護士会では輪番制で当番弁護士の対応をおこなっているため、夜間・休日でも対応可能です。

ただし、休日・夜間は留守番電話を聞いてからの対応となる、休日明けの対応になるといったところもあるので、まずは弁護士会の窓口に連絡してみましょう。

日弁連刑事弁護センター 当番弁護士連絡先一覧|日本弁護士連合会

当番弁護士を利用できないケースもある

当番弁護士は広く刑事事件の被疑者として容疑をかけられている方の法的不利を解消するために設けられている制度ですが、誰でも利用できるわけではありません。

ここで挙げるケースに該当する場合は、当番弁護士を利用できないので注意が必要です。

逮捕・勾留されていない在宅事件である

当番弁護士を利用できるのは、被疑者が逮捕・勾留されている身体拘束事件に限られます。

身体拘束を受けていない在宅事件では当番弁護士を利用できません。

在宅事件でも、逮捕されるおそれがあるのかを知りたい、どのくらいの刑罰を受けるのか相場を知りたい、自首に同行してほしい、被害者との示談交渉を進めたいといったこともあるでしょう。

これらの悩みを解消したい場合は、私選弁護人を選任するか、弁護士の法律相談を利用することをおすすめします。

すでに起訴されている

すでに検察官によって起訴されている場合は、当番弁護士を利用できません。

これは、起訴されている段階の被告人を法的にサポートするための制度として「被告人国選弁護人制度」が用意されているからです。

弁護人を選任していない場合で、弁護人がいないと裁判が開かれない「必要的弁護事件」ならかならず、それ以外の「任意的弁護事件」では裁判官の職権で国選弁護人が選任されるため、被告人の法的不利は解消されています。

すでに一度当番弁護士を利用している

当番弁護士を利用できるのはひとつの事件について一度限りです。

二度目以降の対応を希望する場合は、私選弁護人として正式に契約するか、国選弁護人としての選任を依頼するかになります。

当番弁護士に相談したあとの流れ

当番弁護士に相談したあとは、どのような流れになるのでしょうか?ここで確認しておきましょう。

そのまま弁護人になってもらう

当番弁護士として接見してもらった弁護士が受任すれば、そのまま弁護人として引き続いてのサポートが受けられます。

基本的には、被疑者が費用を負担し私選弁護人として選任するという形になります。

ただし、罪名や資力・資産などの条件を満たす場合は被疑者国選弁護人制度の対象となるため、国選弁護人としての選任も可能です。

もっとも、国選弁護人を被疑者側が指名することは出来ないので、当番弁護士として派遣された弁護士が国選弁護人として必ず選任されるとは限りません。

また、被疑者国選弁護人制度は勾留が決定した段階からのサポートしか期待できないので、勾留の回避・阻止といった弁護活動は期待できないという点は心得ておきましょう。

別の弁護人を選任する

すでに別の弁護士に心当たりがある、当番弁護士として接見した弁護士では不安が残るといった場合は、別の弁護人を選任することも可能です。

当番弁護士を依頼する際と同じで、警察官に「◯◯事務所の△△弁護士を呼んでほしい」と申し出れば、指定した弁護士に連絡してくれます。

弁護人を選任しない

任意的弁護事件にあたる場合は、弁護人を選任しないままでも対応可能です。

また、必要的弁護事件でも、検察官に起訴されない限りは弁護人を選任しなくても刑事手続きが進みます。

ただし、刑事事件における弁護人の役割は公判対応だけに限りません。

不起訴や処分の軽減を目指した弁護活動も欠かせないので、たとえ事実を認めて争う部分がない事件でも弁護人を選任すべきです。

当番弁護士を利用する場合に注意すべきこと3つ

当番弁護士を利用するにあたって、ここで挙げる3点に注意しておきましょう。

対応は「1回の接見」に限られる

当番弁護士の対応は、1回の接見のみに限られます。

2回目以降の接見を依頼する場合は私選弁護人として選任する必要があります。

資力・資産の要件を満たせば国選弁護人の選任も可能ですが、勾留後からの接見しか対応してもらえません。

たった1回の接見の機会でわからないことや不安なことのすべてを相談しなければならないので「尋ねるのを忘れてしまった」といった事態が起きないように注意しましょう。

家族などとの連絡役にはなれない

当番弁護士は被疑者と面会しますので、このとき家族からの伝言が可能です。

しかし、当番弁護士の対応は1回の接見のみですから、被疑者の様子を家族に伝えてもらうことしかできません。

家族などが被疑者と連絡するには面会の機会を活用するしかありませんが、勾留が決定するまでは面会が認められず、勾留決定後も面会の回数・時間などの制限を受けます。

また、面会を禁止する「接見禁止」が付されてしまった場合は、たとえ家族でも面会が認められません。

逮捕された被疑者は捜査機関からの取り調べなどで大きなプレッシャーを感じています。このとき、家族と連絡がとることは大きな安心感につながるのです。

被疑者との連絡は自由な接見交通権をもつ私選弁護士に頼ることになります。

示談交渉などの弁護活動は期待できない

当番弁護士では、被害者との示談交渉や被疑者にとって有利な証拠を集めて起訴を回避するといった弁護活動が期待できません。

とくに、被害者が存在する事件では今後の処分を決めるにあたって、示談交渉がきわめて重要です。

もっとも、逮捕・勾留されている被疑者本人は身柄を拘束されているため物理的に示談交渉を進めることができません。

また、被疑者の家族であっても、強い怒りや犯人に対する嫌悪感を抱いている被害者との示談交渉を進めるのは容易ではありません。

不起訴や執行猶予つき判決などの有利な処分を得るためには、私選弁護士の弁護活動が必須です。

当番弁護士に相談したあとは、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士を弁護人に選任してサポートを受けましょう。

まとめ

当番弁護士は、逮捕・勾留されている被疑者やその家族などの依頼によって、1回に限り無料で弁護士が接見してくれる制度です。

法的弱者である被疑者が逮捕直後に受けられる最初のサポートとしては非常に重要なので積極的に活用すべきですが、その後の接見や弁護活動は期待できません。

刑事事件を穏便なかたちで解決し、できるだけ処分を軽減したいと考えるなら、当番弁護士に相談するだけでなく、正式に私選弁護人を選任してサポートを受ける必要があります。

当番弁護士による接見を経て今後の刑事手続きの流れや取り調べの対処法などのアドバイスを受けたあとは、ただちに刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士にサポートを依頼しましょう。

もっとも、弁護士であればだれでも依頼してよいかといえばそうとも言い切れません。

弁護士が扱う法律実務は多岐に渡りますので、刑事事件の経験を豊富に持っていない弁護士に依頼した場合には、適切な弁護活動を受けられない可能性があるからです。

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刑事事件はスピードが命ですから、ご家族が逮捕された場合には、直ちに私選弁護士に相談することをおすすめします。

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この記事の調査・編集者
みーさん
2017年にライターとしてアシロに入社し、主に交通事故とIT分野の執筆に携わる。2019年によりIT媒体の専任ディレクターになり、コンテンツの執筆・管理などを行っている。