無断で自分の写真を使われたら肖像権侵害?侵害にあたる基準と慰謝料相場、対処法を解説

無断で自分の写真を使われたら肖像権侵害?侵害にあたる基準と慰謝料相場、対処法を解説

自分のプライベートを無断で写真撮影されたり、SNSや雑誌などに自分の写真や動画を許可なく公開されたりするのは誰にとっても不快なものです。

自分の顔や容姿を勝手に撮影や公表をされた場合、「肖像権」の侵害といえる可能性があります。

肖像権を侵害された場合は、相手に対して慰謝料請求や、写真の削除請求・差し止め請求などをおこなうことができます。

この記事では肖像権侵害の被害に遭った可能性がある方に向けて、肖像権の基礎知識をはじめ、肖像権侵害の判断基準や慰謝料相場、過去の裁判事例などを解説します。

また、肖像権侵害で慰謝料請求をしたいという方に向けて、大まかな流れや対処法も紹介します。

肖像権侵害について正しく理解し、適切な対応を取れるようになりましょう。

IT問題について弁護士に相談する

電話相談可・初回面談無料・完全成功報酬
の事務所も多数掲載!

北海道・東北 北海道青森岩手宮城秋田山形福島
関東 東京神奈川埼玉千葉茨城群馬栃木
北陸・甲信越 山梨新潟長野富山石川福井
東海 愛知岐阜静岡三重
関西 大阪兵庫京都滋賀奈良和歌山
中国・四国 鳥取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知
九州・沖縄 福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児島沖縄
この記事を監修した弁護士
社内弁護士アイコン
当社在籍弁護士(株式会社アシロ)
弁護士登録後、地方で一般民事・家事、刑事事件を中心に様々な案件を手掛ける。次第に司法アクセスの改善に課題を感じ、2020年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

そもそも肖像権とは?2つの構成要素と法律上の解釈

肖像権とは、自分の顔や容姿をみだりに撮影や公表をされない権利のことをいいます。

法律上明文化はされていませんが、憲法第13条の「幸福追求権」を根拠として認められると解釈されています。

判例でも、肖像権に関して言及されたものがあります。

二 何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有し、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法一三条の趣旨に反し許されない。

裁判年月日 昭和44年12月24日
裁判所名 最高裁判所大法廷
裁判種別 判決
事件番号 昭和40(あ)1187
事件名 公務執行妨害、傷害

引用元:裁判例結果詳細 | 裁判所 – Courts in Japan

人は,みだりに自己の容姿を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有し,また,自己の容姿をみだりに公表されない人格的利益も有している。

裁判年月日 令和2年10月13日
裁判所名 東京地裁
裁判種別 判決
事件番号 令2(ワ)133号
事件名 発信者情報開示請求事件
文献番号 2020WLJPCA10138005

この肖像権は、プライバシー権とパブリシティ権という2つの権利で構成されると考えられています。

プライバシー権とは|他者から個人の情報を守る権利

プライバシー権とは、私生活上の事柄や姿などをみだりに公開されず、また、自己に関する情報を自らコントロールする権利を指します。

プライバシー権によって守られる情報には名前、住所、電話番号、出身地、職業、病歴、交際歴など、自分に関わるあらゆることが含まれています。

パブリシティ権とは|経済的価値がある人の肖像を利用する権利

パブリシティ権とは、有名人や著名人といった経済的価値がある人の名前や肖像を独占的に利用するための権利のことです。

ライセンス契約を結んでいない人や企業が、勝手にその有名人の名前や写真を使って商品化や広告をするとパブリシティ権の侵害となる可能性があります。

著作権と肖像権の違い

著作権とは、文章や音楽、絵画といった著作物を作成した著作者の人格的価値と財産的価値を保護するための権利です。

肖像権は勝手に写真を撮影・使用・公開されない権利であるのに対し、著作権は著作物を無断で使用させない権利です。

写真でいえば、撮影した側には写真についての著作権が発生し、肖像権は被写体側に発生するということです。

肖像権侵害は罪になる?問われる責任

肖像権侵害は犯罪行為ではないため、加害者が逮捕されたり、刑事罰を科されたりすることはありません。

しかし、民事上の責任は発生するため、肖像権侵害をされた側は、相手方に対し、公開された写真や動画の差し止め請求や損害賠償請求をすることは可能です。

なお、肖像権侵害に伴い名誉毀損や侮辱などもあった場合は刑事事件になる可能性があります。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

これって肖像権侵害?侵害にあたる4つの基準と具体例

肖像権は明文化されていないため、権利侵害に関する明確な判断基準はありません。

しかし、最高裁は「被撮影者の社会的地位、撮影された活動内容、撮影場所、撮影目的、撮影態様、撮影の必要性などを総合的に考慮し、人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えているかを判断して決めるべき」としています(最高裁判所第一小法廷平成17年11月10日)。

ここでは、肖像権侵害において重要になる4つの基準と具体例について確認しましょう。

1.画像や動画から個人が特定できる

撮影された画像や動画から個人を特定できる場合は、肖像権侵害として認められる可能性が高くなります。

一方で写り込みが小さい、ピントがぼけているなど、個人を特定できない場合は肖像権侵害になる可能性は低いでしょう。

肖像権侵害になるケース 肖像権侵害にならないケース
・個人の顔にピントが合っており、はっきりと認識できる
・写真の中で自分や家族などがメインで写されている
・小さく写り込んでいる、ぼけているなど個人が特定できない
・メインの被写体とは別に、偶然写り込んでしまった
・個人が大きく写っているがモザイクなどの加工がされている

2.撮影された場所が自宅内など私的領域

撮影場所が自宅やホテルの個室、病室、葬儀場といった私的空間の場合は、肖像権侵害として認められる可能性が高いでしょう。

一方で、道路や公園、イベント会場など他人が入り込む場所は肖像権侵害になりにくいといえます。

肖像権侵害になりやすいケース 肖像権侵害になりにくいケース
・自宅やホテルの個室、病室などで撮影されている ・道路、公園といった公共の場で撮影されている
・カメラ撮影が予定されている会場や施設に行っている

ただし、公共の場であっても、駅や街中で女性のスカートの中を盗撮した場合などは、肖像権侵害とともに迷惑防止条例違反にもなり得ます。

3.自分の許可なく公の場に公開された

肖像権は撮影された写真を公表されないための権利であるため、本人の許可なく公の場に公開された場合は肖像権侵害になる可能性が高いでしょう。

一方、事前に本人から許可を得ている場合は肖像権侵害にはなりません。

なお、撮影の許可を得ている場合でも、公開については別途本人から許可を得る必要があるので注意しましょう。

肖像権侵害になるケース 肖像権侵害にならないケース
・撮影許可は出したが、公開については許可していない
・自撮り写真を勝手に公開されてしまった
・撮影された本人が事前に公開を許可している
・スポーツ大会などで黙示的に承諾したと解釈できる

4.公開先がSNSなど拡散性の高い媒体

肖像権侵害になるかどうかは公開先の拡散性の高さも影響します。

不特定多数の人が閲覧できるSNSやインターネット掲示板などに掲載されている場合は、拡散性が高いと判断されて肖像権侵害が認められる可能性が高いでしょう。

一方で、撮影した写真や画像を家族や友達などに見せる程度の場合は、肖像権侵害とは認められにくいと考えられます。

肖像権侵害になるケース 肖像権侵害にならないケース
・TwitterやInstagramなどのSNSに無断で投稿されている
・インターネット掲示板などに投稿されている
・スマホ上の写真や動画などを見せ合う
・家族や友達など少人数に対してだけ見せている

肖像権侵害の慰謝料相場はいくら?ケース別の相場

肖像権を侵害された被害者は、加害者に対して慰謝料などの損害賠償を請求できる可能性があります。

ここではプライバシー権を侵害された場合とパブリシティ権を侵害された事例における慰謝料相場をそれぞれ紹介します。

プライバシー権が侵害された場合

個別的な事情によって異なりますが、肖像権侵害に伴いプライバシー権が侵害された場合は10万~50万円程度の慰謝料を請求できるでしょう。

パブリシティ権が侵害された場合

パブリシティ権を侵害された場合は、精神的損害(慰謝料)を請求できるケースもありますが、基本的には財産的損害のみを請求することになります。

パブリシティ権侵害による財産的損害額は被害状況や評価方法などによって大きく異なりますが、中には数百万円以上の損害をみとめた事例もあります。

実際にあった肖像権侵害の裁判例を解説

肖像権侵害に関連する過去の裁判事例を紹介します。

事例1.破廉恥な写真を無断でTwitter上に公開された

プライベートで撮影した緊縛状態の写真を無断で複製されて、それを被害者の許可なく加害者が自身のTwitter上に勝手にアップしたという事件です。

被害者は「著作権や肖像権、プライバシー権を侵害する」と主張し、裁判所はプライバシー権等の侵害を認めました。この事例では、合計47万1,500円の損害が認められています。

裁判年月日 平成30年9月27日
裁判所名 東京地裁
裁判種別 判決
事件番号 平成29年(ワ)第41277号
事件名 損害賠償請求事件

事例2.漫画に描かれたキャラが実在する人物だった

漫画雑誌に、被害者の外見と酷似していたキャラクターが暴力的な発言とともに許可なく掲載されたという事件です。

本件はイラストではありましたが、裁判所は肖像権侵害を認め、合計55万円の損害を認めています。

裁判年月日 平成22年7月28日
裁判所名 東京地裁
裁判種別 判決
事件番号 平成21年(ワ)第46933号
事件名 損害賠償請求事件

事例3.Twitterに娘の写真が無断で転用された

この事件は、夫婦が子どもの画像をTwitter上で虚偽の内容とともに無断転用されたとし、Twitter社から開示されたIPアドレスをもとにプロバイダに投稿者の情報開示を求めていた事件です。

新潟地裁は「肖像権が侵害されていることは明らか」としたうえで、プロバイダに対して情報開示をおこなうよう命じました。

裁判年月日 平成28年9月30日
裁判所名 新潟地裁
裁判種別 判決
事件番号 平27(ワ)542号
事件名 損害賠償等請求事件

もし肖像権侵害の被害に遭ったら?対処法と流れ

掲載媒体や被害内容などによって異なりますが、肖像権侵害の被害者ができる対処法には以下のようなものがあります。

また、それぞれの対処法の具体的なやり方や慰謝料請求するための流れについても詳しく確認しましょう。

肖像権侵害に対する対処法 メリット デメリット
投稿者に削除依頼を出す ✔写真を早く削除できる可能性がある ✔投稿者が削除に応じない可能性がある
運営会社に削除依頼を出す ✔専用フォームから手軽に申請できる
✔写真を早く削除できる可能性がある
✔削除申請が認められない可能性がある
裁判所を通じて削除請求や慰謝料請求などをする ✔慰謝料を受け取れる可能性がある
✔請求が認められれば確実に削除できる
✔削除や慰謝料請求までに時間がかかる
✔ひとりでおこなう場合は負担が大きい

媒体の運営会社に任意の削除依頼を出す

Twitter、Instagram、FacebookといったSNSやインターネット掲示板などに掲載された写真を削除したい場合は、運営会社に対して削除依頼を出すことで対応できます。

それぞれの会社が設けている専用フォームなどを使い肖像権侵害に関する削除申請を出しましょう。

【主なWebサービスの削除フォーム】

弁護士に相談して慰謝料請求する方法と流れ

肖像権侵害の被害に遭っている場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば投稿者や運営会社に対する任意の削除依頼だけでなく、裁判所を通じた慰謝料請求や削除請求などの手続きを一任することも可能です。

以下で、弁護士に依頼して肖像権侵害の慰謝料請求をするまでの流れを確認しましょう。

1.本当に肖像権侵害にあたるか確認する

弁護士に相談する前に「これって肖像権侵害?侵害にあたる4つの基準と具体例」の部分を参考に、本当に肖像権侵害されているかどうかを確認しましょう。

また、肖像権侵害で慰謝料請求を考えているなら「画像や映像が掲載されているページをスクリーンショットする」など、肖像権が侵害されているという証拠を残しておきましょう。

2.弁護士に相談し、今後の対応を決定する

肖像権侵害の可能性があるなら弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談すれば「本当に肖像権侵害にあたるか」「いくらくらい慰謝料を請求できるか」「今後、どのような対応をするのか」などを確認できます。

以降の選択肢としては任意の削除要請や、裁判所を通じた削除請求、慰謝料請求などが考えられます。

3.写真や動画を削除するための手続きをする

Web上に公開された写真や動画を削除するために、弁護士から投稿者や運営会社に対して削除依頼を出してもらいます。

削除依頼が拒否された場合は、裁判所に対して写真や動画を削除するための手続きをおこなうことになるでしょう。

4.プロバイダなどに情報開示請求をおこなう

誰がSNSやインターネット掲示板などに写真や動画を投稿したかわからない場合は、サイト運営者やプロバイダに情報開示請求をおこないます。

これにより投稿者を特定し、慰謝料を請求できるようになります。

5.加害者に対して慰謝料を請求する

算定した慰謝料金額をもとに加害者に対して慰謝料を請求します。

慰謝料を請求する方法には示談交渉、調停、裁判があり、一般的には示談交渉から始めて示談が成立しなかった場合に調停や裁判へと移行します。

裁判中に和解が成立する可能性もありますが、最後まで和解ができない場合は裁判所から判決が言い渡されます。

警察への相談はケースバイケース

肖像権侵害は犯罪行為ではないため、基本的に警察は捜査などをしてくれません。

しかし、肖像権侵害だけでなく名誉毀損、侮辱、脅迫、ストーカー、盗撮といった犯罪行為が関わっている場合は警察が動いてくれる可能性もあります。

犯罪行為が疑われるなら警察に相談すべきですが、肖像権侵害だけが問題なら弁護士に相談しましょう。

最後に|肖像権侵害の慰謝料請求は弁護士に相談を

肖像権は無断で人に写真を撮られたり、許可なく公開されたりしない権利です。

肖像権を侵害されてしまった場合は、加害者に対して慰謝料を請求できる可能性があります。

加害者や運営会社への削除請求を含めて肖像権侵害の問題を解決したいなら、肖像権侵害やIT問題などを得意としている弁護士に早めに相談してみましょう。

IT問題について弁護士に相談する

電話相談可・初回面談無料・完全成功報酬
の事務所も多数掲載!

北海道・東北 北海道青森岩手宮城秋田山形福島
関東 東京神奈川埼玉千葉茨城群馬栃木
北陸・甲信越 山梨新潟長野富山石川福井
東海 愛知岐阜静岡三重
関西 大阪兵庫京都滋賀奈良和歌山
中国・四国 鳥取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知
九州・沖縄 福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児島沖縄
この記事の調査・編集者
みーさん
2017年にライターとしてアシロに入社し、主に交通事故とIT分野の執筆に携わる。2019年によりIT媒体の専任ディレクターになり、コンテンツの執筆・管理などを行っている。