爆サイへ開示請求を行う流れとは?有効期間や費用・慰謝料の金額を弁護士が解説

爆サイへ開示請求を行う流れとは?有効期間や費用・慰謝料の金額を弁護士が解説

「爆サイ」とは、様々なジャンルについてのインターネット上の掲示板で、主に携帯・スマホ利用者が閲覧・投稿できるサイトです。関東版、関西版など、地域ごとに掲示板が分けられており、各掲示板では匿名で書き込みすることができます。

こうしたインターネット上での匿名掲示板では、誹謗中傷、プライバシー侵害等の権利侵害行為が横行しています。ここでは、爆サイで名誉毀損等の権利侵害の内容が投稿されてしまった際の対処法や、投稿した本人(加害者)を特定するための開示請求の方法などについて、弁護士の視点で解説します。

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この記事を監修した弁護士
南 陽輔 弁護士
一歩法律事務所
大阪大学法学部卒業。法律事務所に12年勤務した後、2021年3月独立開業。いわゆる「町弁」として、労働トラブルや、離婚トラブル等の一般民事事件全般、刑事事件トラブルなどを主に取り扱っている

爆サイの開示請求の方法と手順

爆サイの掲示板で、自身の権利を侵害する内容の書き込みがなされた場合、その書き込みを行った相手方を特定するためには発信者情報開示の手続きを取る必要があります。大まかに、①爆サイ運営元に当該書き込みを行った者のIPアドレスの開示を求める、②IPアドレスをもとにプロバイダを特定し、プロバイダに対して、投稿者の氏名・住所などの発信者情報開示を求める流れになります。

1.爆サイに「発信者情報開示請求の仮処分」を行う

匿名掲示板で自分の権利が侵害する内容の書き込みがなされた場合、一般的には掲示板運営者に対して当該投稿を行った者のIPアドレスの開示を求めるところから始めます。掲示板運営者にIPアドレスを開示してもらい、そのIPアドレスからプロバイダを特定し、次はプロバイダ事業者に対して当該IPアドレス所持者の契約者情報(氏名、住所等)の開示を求めるという二段階の手続きが必要となるからです。

これは、プロバイダ責任制限法に基づく手続きです。掲示板運営者が任意の開示に応じない場合には裁判所に仮処分の申し立てをして裁判所から命じてもらうことでIPアドレスの開示を受けられます。

爆サイ運営元にはどこから問い合わせる?

まずは爆サイの運営元「爆サイ.com」に対して、IPアドレスとタイムスタンプの開示を求めるところから始めましょう。爆サイなどのインターネット掲示板の運営元は、当該書き込みを行った者(発信者)に関する情報としてはIPアドレスとタイムスタンプしかありません。発信者の氏名などについて、爆サイは把握していません。

基本的には、権利侵害行為があれば爆サイ側はIPアドレスの開示に応じる可能性が高いですが、開示に応じず、強制的に開示させるためには裁判所の命令を得る必要があります。その場合には、裁判所に対して、爆サイ運営元を相手方(債務者)として、IPアドレスの開示を求めることを内容とする発信者情報開示の仮処分を申し立てることになります。

爆サイの利用規約では、裁判所の管轄は東京地方裁判所とすることが明記されていて、また、実態としても爆サイ運営元は東京の会社ですので、東京地裁に仮処分を申し立てます(参考:利用規約|爆サイ.com (bakusai.com))。

2. IPアドレスから発信者のプロバイダを特定する

爆サイ運営元からIPアドレスの開示を受けたら、次にそのIPアドレスをもとに当該発信者が利用している通信事業者(プロバイダ)を特定します。プロバイダは、ドコモ、ソフトバンクなどの携帯電話機の通信事業者であったり、NTTコミュニケーションなどのパソコン等の通信回線を管理する会社であったりします。爆サイは主に携帯、スマホからの投稿が主ですので、携帯電話機の通信事業者であることが多いでしょう。

IPアドレスから、当該発信者がどの通信事業者(プロバイダ)を利用して投稿したかということが分かります。

プロバイダのアクセスログ保存期限に要注意

プロバイダを特定したら、そのプロバイダを相手に発信者情報開示請求を行いますが、アクセスログの保存を併せて請求することを忘れずに行ってください。

アクセスログとは、当該投稿者が、いつ、どこから(何を用いて)サイトにアクセスし、どのような操作(書き込み)を行ったかなど、当該投稿に関してプロバイダが保管している情報のことです。明確な決まりはありませんが、一般的にプロバイダのアクセスログ保存期間は3か月程度とされています。つまり、3か月以上経ってしまうと、当該投稿に関する情報が消えてしまう危険性があります。

こうしたリスクを回避するために、発信者情報開示を請求する際には併せて、当該投稿のアクセスログの保存も請求するようにしましょう。

3.プロバイダへ情報開示請求とアクセスログの保存を申請する

IPアドレスをもとにプロバイダを特定したら、そのプロバイダ事業者に対して、同IPアドレスの保有者(発信者)の氏名、住所などの情報開示を求めます。爆サイ運営元と違って、基本的にプロバイダ事業者は任意での発信者情報の開示に応じることは少ないですので、裁判所を通して手続きを行うことになります。

裁判の中でプロバイダが争ってきた場合には開示までに時間がかかる可能性がありますので、併せて、IPアドレス保有者(発信者)がサイトにアクセスした記録(アクセスログ)の保存も請求する必要があります。

プロバイダ側が争ってくることが多いポイントは、当該投稿の内容は個人(被害者)が特定できるものではないということや、当該投稿の内容からは名誉毀損などの権利侵害が明らかではないというところです。最終的には裁判所がこれらの点について判断することになりますので、裁判所にこれらの点が正確に理解してもらえるように説明するようにしましょう。

4.プロバイダから発信者の個人情報の開示をもらう

裁判所が発信者情報の開示命令を出すと、プロバイダから、IPアドレスをもとに当該IPアドレス保有者(発信者)の氏名、住所、メールアドレスなど、プロバイダが保有する発信者の個人情報の開示を受けることができます。

こうした一連の流れを経て、ようやく発信者がどこの誰であるかの特定ができることになります。発信者を特定したら、その発信者に対して、慰謝料請求や謝罪などの名誉回復処分などを求めることができるようになります。

【弁護士が回答】爆サイの開示請求と訴訟のポイント

爆サイに発信者開示請求を行い、訴訟などの法的措置を取る場合のポイントについて解説します。

爆サイの開示請求を弁護士に依頼する費用相場

爆サイへのIPアドレスの開示、IPアドレスから判明したプロバイダ事業者への発信者情報の開示などの手続きを弁護士に依頼した場合には、弁護士への着手金・報酬が必要となります。弁護士費用については各法律事務所により異なりますが、一般的には20万円~50万円程度の弁護士費用がかかるものとお考え下さい。

また、これらの手続について、裁判所に仮処分の申し立てを行うことになりますが、裁判所から仮処分命令を出してもらうためには担保金を求められます。担保金の額は事案に応じて裁判所が決めますが、一般的には20万円程度と言われています。担保金は正当な請求であれば後で還付されるものですが、一時的とはいえ、数十万円のお金を用意しておく必要があります。

爆サイでの誹謗中傷に対する慰謝料の相場

爆サイなどのインターネット上の掲示板で誹謗中傷・名誉毀損などの権利侵害の内容が投稿された場合には慰謝料請求などを行うことができますが、裁判所が認定する金額としては、概ね数万円から数十万円程度とされています。

一部の例をご紹介しますと、例えば、東京地裁令和3年5月25日判決の事案では、風俗店に勤務する女性に関し、爆サイ掲示板で「ブス」「ババア」などの書き込みがなされたことに対して、原告である同女性は200万円の慰謝料を求めましたが、裁判所が名誉感情侵害に対する慰謝料として認定した金額は50万円でした。

また、東京地裁平成29年8月5日判決の事案では、元従業員が勤務先であった会社に関して、爆サイ掲示板で「悪徳詐欺」などの会社を貶める書き込みを複数回行ったことに対して、会社側は信用低下などの無形の損害を被ったとして100万円の損害賠償を求めましたが、裁判所が賠償額として認定した金額は50万円でした。

こうした裁判例の傾向を踏まえますと、裁判所が認定する慰謝料の相場としては数十万円程度で、発信者情報の開示にかかる弁護士費用の負担の方が大きくなってしまう事例も多数あります。

爆サイの開示請求は比較的に難しくない

爆サイ運営元が管理している発信者情報は、当該投稿者(発信者)のIPアドレスとタイムスタンプですが、基本的には爆サイ運営側はIPアドレスの開示に応じてくれやすいです。特に弁護士からの開示請求に関しては、爆サイ側で弁護士からの開示請求の専用フォーム(弁護士・法務関連の申告フォーム)を設定しており、弁護士からの開示請求には真摯に対応する姿勢を見せています(参考:弁護士・法務関連の申告フォーム|爆サイ.com (bakusai.com))。

開示請求できない・難しい・失敗しやすいケース

爆サイ運営側としては、基本的には権利侵害の投稿内容と判断した場合にはIPアドレスなどの開示には応じてくれやすいですが、あらゆる開示請求に応じてくれるわけではありません。開示請求に応じてもらうためには、それ相応の理由が必要です。この点は、IPアドレス開示後のプロバイダに対する発信者情報開示においても同様です。

まず、当該投稿・書き込みが誰のことを指すものか特定できるものである必要があります。悪口であっても誰のことを悪く言っているのか分からない内容の投稿については、開示請求できない(請求しても応じてくれいない)可能性が高くなります。

また、当該投稿の内容が、他人の権利を侵害するものであることが必要となります。例えば、「AはBと不倫している」などの具体的な事実が明記されていれば、名誉毀損・プライバシー侵害などの権利侵害が明らかですが、「Aはやましいことをしている」などの抽象的な表現だと、権利侵害が明らかとは言えず、発信者情報開示に応じてもらえないかもしれません。

発信者情報開示を求める際には、これらの点を正確に説明して理由を付けて請求する必要があります。

警察への依頼は事件性が無い限り難しい

警察には捜査権限がありますので、犯人の身元特定のために爆サイ運営側やプロバイダ事業者は警察からの発信者情報の照会に対しては応じることが多いです。ただ、警察が捜査するのは、刑事事件としての事件性がある事案に限られます。殺害予告などの殺人罪(刑法199条)や脅迫罪(刑法222条)など、犯罪性のある事案については捜査してもらいやすいです。

警察に依頼する際には少なくとも、名誉毀損罪(刑法230条)どの何らかの罪名に該当する可能性があるかどうかを確認するようにしましょう。

開示請求はネット誹謗中傷に詳しい弁護士へ依頼がおすすめ

爆サイ掲示板で誹謗中傷などの被害にあい、慰謝料を請求したい、削除や謝罪を求めたい、そのためにはまず発信者情報の開示を求めたいとお考えの人は、まずは弁護士に相談しましょう。ただ、弁護士業務は多種多様で、扱っている分野により得手不得手がありますので、依頼するならば、誹謗中傷やIT問題、開示請求手続などネット上の誹謗中傷問題に詳しい弁護士に依頼しましょう。

ネット誹謗中傷に詳しい弁護士に依頼すれば、まず、権利侵害などの開示請求の理由を整理し、開示請求できるかどうか、また、慰謝料請求できるとしてどれくらいの金額が見込めるかなども見立ててくれます。加えて、実際に依頼して動いてもらう場合にも、手続きに慣れているため、裁判所への仮処分の申し立てなどをスムーズに行ってくれます。弁護士に依頼することには、こうしたメリットがあります。

爆サイの投稿削除を行う方法と手順

爆サイでは、掲示板運用者が独自に投稿削除を行ってくれるケースがあります。慰謝料や謝罪等を要求するよりも先にまずは、当該投稿を削除してほしい場合には、爆サイ運営者に対して投稿削除(書き込み削除)を求めましょう。

その手順は以下の通りです。

1.「削除依頼について」のページを確認する

まず爆サイ掲示板の最下部に「削除依頼について」というリンクがありますので、このページに入り、その内容を確認しましょう。「削除依頼の方法」、「注意事項」、「非弁行為に関する注意喚起」の3点が記載されています。

2.当該スレッドの削除依頼フォームへアクセスする

上記の「削除依頼について」のページにある削除依頼の方法の項目に従って、削除依頼を行いましょう。削除依頼の方法の1に「各スレッド及びレスが表示されている画面の最下部に削除依頼フォームがございます。そこから依頼して下さい。」と記載されているように、まずは当該投稿が行われたスレッド(掲示板)に入り、当該投稿(レス)が表示されている画面の最下部にある削除依頼フォームにアクセスしましょう。

3.「スレッドNo.」「レス番号」「削除依頼理由」などを入力する

削除依頼フォームにアクセスしたら、そのフォームに沿って必要な情報を入力していきます。スレッドNo(対象スレッドのタイトルに表示されている番号です)、スレッドタイトル(対象スレッドのタイトル名)、レス番号(削除を求めたいレス・コメントの番号)の順に入力していきます。

特に重要なのは、「削除理由」です。どのような権利侵害があるのかを明確に説明するようにしましょう。

4.削除依頼フォームを送信し認証メールを受信する

必要事項の入力が完了したら、「削除依頼を送信」をクリックします。これで削除依頼は完了です。削除依頼を行うと、削除依頼フォームに入力したメールアドレスに、削除依頼を受け付けた旨の認証メールが届きます。

5.72時間以内を目処に書き込みが削除される

爆サイ運営側が削除理由を正当なものと判断すれば、削除請求を認め、当該投稿(コメント、レス)は、爆サイ運営側により削除されます。爆サイ運営者は、削除依頼から72時間以内を目処に削除を行います。

まとめ

爆サイの掲示板において、名誉毀損やプライバシー侵害等の権利を侵害する内容の書き込みがなされてしまった場合、以下の二つを検討しましょう。

発信者情報開示から損害賠償請求などへの流れは以下の順に行います。

また、書き込みの内容が悪質である場合には、警察への被害相談も検討しましょう。

ただ、発信者情報開示は、実際に行うとなると複雑です。また、警察に相談するとしても、そもそも権利侵害と言えるかどうかもご自身では判断が付かないケースも多々あります。こうした判断や手続きを進めていくためには、法律の専門家である弁護士にぜひ一度ご相談してみてください。

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この記事の調査・編集者
梶原美香
法律系SEOライターとして入社。何よりも読者第一であることを掲げ、読みやすく、理解しやすいコンテンツ制作を心がけている。離婚問題に注力している。