過払い金請求とは、利息制限法の上限を超えて支払った金利を返してもらうための請求のことですが
- 「過払い金請求はおかしい」
- 「本当にお金が戻ってくるのかあやしい」
- 「テレビやラジオCMでよく見るけど不審なお金なの?」 など
法律や裁判例によって公的に認められた請求にもかかわらず、あまりよいイメージを持っていない方もいらっしゃるでしょう。
たしかに、過去に発生した法律事務所の不祥事などが原因で、過払い金請求に対して悪いイメージが先行している可能性もあります。
しかし過払い金請求は、適切な方法によっておこなえば、借金の負担を大幅に軽減できる場合があります。
過払い金請求をおこなう際には、信頼できる弁護士を見極めて依頼しましょう。
本記事では、過払い金請求がおかしいといわれている主な理由や、概要やイメージがよくないワケ、過去の法律事務所における不祥事、請求時のリスクなどを解説します。
過払い金請求を考えている方へ
過払い金請求は、利息を払い過ぎた方に認められている正当な権利です。
従って過払い金がある方が請求をためらう必要はありません。
ただ自分がいくらの過払い金があるのか正確に計算するのは難しいことでしょう。
また過払い金請求には時効があるため、その時効が完成していたら請求をすることはできません。
過払い金請求を検討している方は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼をすれば下記のような対応をしてもらえます。
- 自身の過払い金に関する計算
- 消滅時効が完成しているかの確認
- 過払い金請求手続きの代理など
初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずは下記からあなたのお悩みをご相談ください。
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過払い金請求がおかしいといわれる6つの理由
過払い金請求に対して「おかしい」と感じる理由には、いくつかの誤解や不安が存在しているようです。
以下にその理由を6つあげて、それぞれの理由について解説します。
1.本当にお金が戻ってくるかわからない
過払い金請求は、過去に払い過ぎた利息を取り戻すための正当な手続きです。
しかし、実際にお金が戻ってくるかどうかに不安を感じる方が多いです。
これは、過去に請求しても返金が得られなかった事例や、手続きが複雑であることから来る不安感が原因としてあります。
適切な手続きを踏むことで、法律に基づき過払い金を取り戻すことが可能ですが、手続きを誤ると返金が難しくなることもあります。
したがって、債務問題に強い弁護士に依頼することが、返金の可能性を高めます。
過払い金が発生している理由
過払い金が発生しているのは、2010年6月17日まで適用されていた旧貸金業法のもとで、いわゆる「グレーゾーン金利」により貸付けが横行していたためです。
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グレーゾーン金利とは?過払い金の請求方法と計算式
旧貸金業法では、利息制限法の上限金利を超える利息の支払いについても、以下の要件を満たすことで有効になると定められていました。
- 債務者が、利息であることを認識したうえで、上限金利を超える利息を任意に支払ったこと
- 貸金業者が債務者に対して、所定の事項を記載した契約締結時書面を交付したこと
- 貸金業者が債務者に対して、弁済の都度直ちに、所定の事項を記載した受取証書を交付したこと
- 出資法の上限利率(当時は年2%)に違反しないこと
本来であれば、利息制限法違反で無効となるはずの金利の支払いが、旧貸金業法の規定により有効になる場合があるとされていたのです。
当時の貸金業者の多くは、利息制限の上限を超え、出資法の上限を超えない利率による貸付けを盛んにおこなっていました。
これが「グレーゾーン金利」による貸付けです。
「グレーゾーン金利」の具体例
グレーゾーン金利による貸付けは、債務者の知識の乏しさに乗じて、貸金業者が少しでも多くの利息を回収しようとする行為です。
たとえば、元本100万円以上の場合、年15%超えから29.2%までが「グレーゾーン金利」の範囲となります。
このような行為は、消費者保護の観点から大きな問題があります。
そこで最高裁は、判例法理によってグレーゾーン金利の支払いを無効化し、債務者から貸金業者に対する過払い金請求を認めました。
最高裁が確立した判例法理を踏まえて、2010年6月18日に出資法・貸金業法が改正され、グレーゾーン金利は廃止されたのです。
それ以降、貸金業者のグレーゾーン金利による貸付けは、基本的におこなわれていません。
現在では、グレーゾーン金利が撤廃されてからすでに10年以上が経過しています。
しかし、2010年6月17日以前に貸金業者から借入れをしたことがある場合は、過払い金請求権が残っている可能性があるのです。
2.広告やCMが多すぎる
過払い金請求に関する広告やCMが多いことも、「おかしい」と感じる理由のひとつです。
これは、法律事務所が多くの方に過払い金の存在を知ってもらい、依頼を受けるために広告を出しているためです。
しかし、過剰な広告は一部の方にとって「しつこい」と感じられ、過払い金請求自体の信頼性に疑問を抱かせることがあります。
広告の多さは、まだ多くの方が過払い金を請求できる可能性があることを示しています。
3.債権者に迷惑がかかると考えている
過払い金請求をおこなうことで、貸金業者やクレジットカード会社に迷惑がかかるのではないかと心配する方もいます。
しかし、過払い金請求は法律に基づく正当な権利であり、債権者に対して不当な要求をしているわけではありません。
むしろ、過去に払い過ぎた利息を正当に取り戻す行為であり、債権者側も法的に対応する義務があります。
4.返還される過払い金額がおかしいと感じる
過払い金請求をおこなったが、返金された金額が期待よりも少ないと感じることがあります。
これは、計算方法の違いや、手続きの過程での誤解が原因です。
過払い金の計算は複雑であり、弁護士などの助けを借りることで正確な金額を把握することができます。
また、交渉の結果として返金額が減少することもあるため、事前にしっかりと確認することが重要です。
5.借りたお金を返さないことへの道義的非難
過払い金といえども、貸金業者との契約によって借りたお金です。
借りたお金を返すことなく過払い金の返還を請求することには、道義的な問題があると感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし貸金業者と締結した契約にグレーゾーン金利が定められていた場合、それは貸金業者が、当時の貸金業法などの法令に関する債務者の知識の乏しさに付け込んだものといえます。
事業者と消費者の間では、取引に関して情報・知識の格差があるのが通常です。
そのため事業者に消費者への説明を義務付けたり、必要に応じて契約内容を修正したりするのが、消費者保護法制の基本的な考え方です。
いい換えれば、グレーゾーン金利による貸付けを内容とする契約は、貸金業者と債務者の関係性に鑑みて不適切な内容だということです。
そのような契約にしたがって支払われた過払い金については、債務者が返還を受ける権利を持つのが当然といえます。
6.法律事務所の不祥事や高額な報酬
過払い金請求のイメージ悪化には、過去に過払い金請求を主力事業としていた一部の法律事務所について、大規模な不祥事が報道されたことも影響しています。
最高裁によって過払い金の支払いが無効であるとの判例法理が確立されて以降、多くの法律事務所が、過払い金請求を積極的に取り扱うようになりました。
大半の法律事務所は適正に業務をおこなっていますが、ごく一部の法律事務所は悪徳業者と提携して、不適切な形で過払い金請求の業務をおこなっていたことが報道されています。
法律事務所による大規模な不祥事の報道は、当時も世間に対してセンセーショナルな印象を与えました。
その影響が今も残っており、過払い金請求のイメージが悪くなっている側面があります。
過払い金請求で有名だった法律事務所の破産事件
過払い金請求を取り扱う法律事務所の不祥事として報道されたものに法律事務所Xの破産事件があります。
法律事務所Xは、過払い金請求の処理による収益の獲得が、中核的な事業でした。
法律事務所Xには、代表弁護士Aのほか、数名の勤務弁護士が在籍していました。
しかし、法律事務所Xの経営を実質的に支配しているのは、代表弁護士Aではなく、広告代理店を運営するY社グループでした。
Y社グループは、雇用する従業員を法律事務所Xに事務員として派遣し、過払い金請求の事務の大半を担当させていました。
過払い金請求の処理業務は、原則として弁護士のみが取り扱えるところ(弁護士法72条)、代表弁護士AはY社グループに名前を貸していたに過ぎなかったのです。
また、Y社グループは広告代理店として、法律事務所Xから過払い金請求の広告宣伝業務を受注していました。
法律事務所Xは、成立以来8期中7期において、売上高を超える額の経費をY社グループに支払っていました。
Y社グループへの経費の支払いが膨らむ一方で、過払い金請求の案件は年々減少し、X法律事務所の債務超過は拡大していったのです。
最終的に、30億円あまりの破産債権が認められることになりましたが、破産財団の換価金額は5億円あまりと遠くおよばない結果となりました。
弁護士賠償責任保険によってある程度の金額は補填される見込みですが、それでも過払い金全額を依頼者へ返すことは困難な状況です。
【おかしくない】過払い金が発生する2つの要件
過払い金とは、債権者(貸し手)に対して払い過ぎた借金の利息のことです。
利息制限法では、借金の元本額に応じて、以下のとおり上限金利が設定されています(利息制限法1条)。
元本額 | 上限金利 |
10万円未満 | 年20% |
10万円以上100万円未満 | 年18% |
100万円以上 | 年15% |
この利息制限法の上限を超えて、債務者が債権者に支払った利息が「過払い金」です。
債務者による債権者への過払い金の支払いは無効です。
したがって、債務者は債権者に対して、不当利得(民法703条、704条)に基づき過払い金の返還を請求できます。
過払い金が発生するのは、以下の(1)および(2)の要件を満たす場合です。
1.利息制限法の上限を超えた利息を支払っていること
上限を超える部分が過払い金に当たります。
なお、礼金・割引金・手数料・調査料など、利息以外の名目で債権者に交付された金銭も「利息」とみなされるのです(利息制限法3条)。
2.過払い金請求権の消滅時効が完成していないこと
過払い金請求権は、以下の期間が経過すると時効は消滅します。
2020年3月31日以前に最後の取引をした場合 | 最後の取引日から10年 |
2020年4月1日以降に最後の取引をした場合 | 最後の取引日から5年 |
「最後の取引日」とは、完済後であれば完済日、完済前であれば最後の返済または借入れの日です。
なお、同じ債権者との間で完済と借入れを繰り返しているケースでは、取引の一連性が認められるかどうかで、消滅時効の起算点が異なります。
取引の一連性あり | 一連性のある借入れに係るすべての過払い金請求権の消滅時効が、最後の完済日から進行する |
取引の一連性なし | 個々の借入れに係る過払い金請求権の消滅時効が、対応する債務の完済日から進行する |
取引の一連性があるかどうかは、以下の各事情を総合的に考慮して判断されます(最高裁平成20年1月18日判決 文献番号2008WLJPCA01189001)。
- 貸付けと弁済が反復継続しておこなわれた期間の長さ
- 完済から次の貸付けまでの期間
- 前の取引に係る契約書の返還の有無
- カードの失効手続きの有無
- 完済から次の貸付けまでの期間における、貸主と借主の接触状況
- 後の取引に係る契約が締結されるに至る経緯
- 前後の取引における利率等の契約条件の異同 など
過払い金請求の金額が計算がおかしい場合の確認手順
過払い金請求の金額が「おかしい」と感じる理由には、計算の複雑さや誤解、手続き上の問題が関与しています。
以下にその理由を詳しく解説します。
1.計算ミスや計算方法の誤解
過払い金の計算は、過去の取引履歴を基にして、法律で定められた上限金利にもとづいておこなわれます。
この計算は複雑であり、特に長期間にわたる取引がある場合、計算ミスが生じやすいです。
個人で計算をおこなう場合、使用する計算ツールや方法が適切でないと、正確な金額を算出できないことがあります。
計算ミスによって、請求額が実際よりも少なくなることがあるため、法律事務所に依頼することが推奨されます。
2.取引履歴の不備
過払い金の計算には、正確な取引履歴が必要です。
しかし、取引履歴が不完全であったり、貸金業者からの開示が不十分であると、正確な計算が困難になります。
取引履歴の取得には時間がかかる場合があり、また手数料が発生することもあります。
これにより、計算に必要な情報が揃わず、誤った金額を基に請求をおこなってしまうことがあります。
3.法律事務所の手数料の上乗せ
過払い金請求を弁護士に依頼した際、手数料が高額になる場合があります。
手数料が過払い金の返還額に対して大きいと、手元に残る金額が少なくなり、「おかしい」と感じることがあります。
特に手数料の内訳が不明瞭であったり、事前の説明が不十分であると、依頼者に不信感を与えることがあります。
4.貸金業者との交渉結果
個人で過払い金請求をおこなうと、貸金業者との交渉が難航することがあります。
貸金業者は返還額を少しでも減らそうとするため、交渉の結果として請求額が減額されることがあります。
弁護士に依頼することで交渉力が高まる可能性がありますが、個人でおこなう場合は、満額の返還を得るのが難しいことがあります。
5.計算ツールの限界
過払い金の計算には専用のツールが使用されますが、これらのツールは一般的な計算をおこなうものであり、個別の契約条件や取引の詳細に完全に対応できないことがあります。
そのため、ツールによる計算結果が実際の過払い金額と異なる場合があり、誤った金額で請求をおこなってしまうことがあります。
ベンナビ債務整理では「債務減額シュミレーション」と「専門家への相談」をセットにして正しい計算ができるページを用意しています。
自分で計算した結果や診断ツールの限界を感じている方は、ぜひご活用ください。
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過払い金請求をおこなう際に専門家に依頼すべきケース
過払い金請求をおこなう際に弁護士に頼るべき場合はいくつかあります。
以下にその理由を詳しく解説します。
煩雑な手続きを任せたい場合
過払い金請求には、取引履歴の取り寄せ、引き直し計算、過払い金額の確定、貸金業者との交渉といった複雑な手続きが含まれます。
これらの手続きは非常に煩雑であり、特に引き直し計算はミスをしやすい部分です。
弁護士に依頼することで、これらの手続きをすべて任せることができるため、計算ミスのリスクを減らせます。
また、消滅時効が迫っている場合でも、弁護士などは迅速に対応し、時効の完成を阻止することが可能です。
法的知識や交渉力が必要な場合
過払い金請求は、貸金業者との交渉を伴うため、法的知識や交渉力が必要です。
個人で交渉をおこなうのは難易度が高く、専門家に依頼することで、より有利な条件で交渉を進めることができます。
弁護士・司法書士は法律の専門家であり、交渉においても有利に進めることができるため、返還額を最大化する可能性が高まります。
自分での手続きが困難な場合
過払い金請求を自分でおこなうことも可能ですが、すべての手続きを自分で進める必要があります。
特に、取引履歴の取得や正確な計算が難しいと感じる場合、専門家に依頼することで、手続きの負担を軽減できます。
弁護士や司法書士は、過払い金請求の手続きに精通しており、迅速かつ正確に処理を進めることができます。
家族や職場に内緒にしたい場合
過払い金請求をおこなう際、家族や職場に知られたくない場合があります。
弁護士に依頼することで、手続きを内密に進めることが可能です。
弁護士は守秘義務を持っており、依頼者のプライバシーを守りながら手続きを進めてくれます。
消滅時効が迫っている場合
過払い金には消滅時効があり、請求権が失われる前に手続きを完了する必要があります。
弁護士に依頼することで、迅速に手続きを進め、時効を阻止することが可能です。
特に時効が迫っている場合は、弁護士への迅速な対応が重要です。
【要注意】過払い金請求を扱う一部の法律事務所は非弁提携の可能性
法律事務所Xのケースは、「非弁提携」と呼ばれる違法行為がなされた事案です。
過払い金請求については、ほかの種類の案件に比べると、非弁提携が問題になりやすい傾向にあります。
非弁提携とは
「非弁提携」とは、弁護士または弁護士法人とそうでない者の間で、法律事件の周旋や名義貸しなどをする行為です。
弁護士が、弁護士・弁護士法人ではない者から事件に周旋を受け、またはこれらの者に自己の名義を利用させることは禁止されています(弁護士法27条)。
また弁護士・弁護士法人でない者は、業として法律事件を取り扱う行為、および弁護士・弁護士法人に対して業として法律事件を周旋する行為を禁じられています(弁護士法72条)。
このように、非弁提携は弁護士法に反する違法行為です。
非弁提携をおこなった者は、「2年以下の懲役または300万円以下の罰金」に処されます(弁護士法77条1号、3号)。
過払い金請求は「大量」「機械的」に事務員が対応するケースがある
過払い金請求が非弁提携に陥りやすいことの一因は、大量の案件を機械的に取り扱うということが挙げられます。
過払い金請求は、金額を正確に計算できれば比較的すんなり認められるため、大量・機械的な事務処理が可能です。
複雑な法的検討を要しないケースが多いので、弁護士ではなく、事務員が過払い金請求の処理を担当するということもあります。
弁護士が適切に監督をおこなう限り、事務員に一部の事務処理を任せること自体は問題ありません。
しかし、財務基盤がしっかりしている中規模以上の法律事務所を除き、多数の事務員を自ら雇用することは困難です。
そのため法律事務所Xのように、非弁提携を持ち掛ける悪徳業者が、法律事務所に「派遣」する形で事務員を確保する例があります。
結果、事務員に対する弁護士の監督が行き届かず、非弁提携の状態が生まれてしまうのです。
案件のあっせんと称して、弁護士に近づく広告業者が存在する
特に非弁提携のターゲットになりやすいのは、案件を十分に受注できていない弁護士(特に若手弁護士など)です。
新規案件の獲得を渇望する弁護士は、非弁提携を持ち掛ける悪徳業者の誘いに乗ってしまいやすい傾向にあります。
特に過払い金請求の案件は、広告宣伝によって大量に問い合わせを得られることがあります。
そのため、広告代理店が自社のチャネルを通じて集客をおこない、弁護士に案件を横流しするという構図が生まれやすい特徴があります。
このような構図は、非弁提携の典型例です。
悪徳な弁護士は一部|信頼できる相談先を見極めるポイント
過払い金請求を取り扱う弁護士のうち、悪徳な弁護士は一部です。
大半の弁護士は、過払い金請求の業務を適正におこなっています。
しかし、違法行為である非弁提携に手を染める弁護士が存在することも、残念ながら事実です。
そのため、過払い金請求は依頼先の見極めが大切になります。
法律事務所の規模が大きい
一般民事系の大規模法律事務所は、過払い金案件の大量受注によって拡大した例が多いです。
このような大規模法律事務所は、過払い金請求のノウハウが蓄積されており、かつ非弁提携に手を染める必要がないしっかりした財務基盤を持っています。
そのため、過払い金請求の依頼先としては、比較的安心でしょう。
弁護士が対応してくれるかどうか
中規模以下の法律事務所でも、過払い金請求の相談に関して、弁護士が自ら対応してくれる場合はある程度信頼できます。
これに対して、最初から最後まで事務員だけで対応し、弁護士はほとんど表に出てこないような法律事務所は、不適切な業務運営をおこなっている疑いがあるので要注意です。
過払い金請求の経験がある方からの紹介
過去に過払い金請求をおこなった経験のある方が周囲にいれば、その方に依頼先を紹介してもらうことも有力な選択肢です。
依頼当時の弁護士の対応などについて質問し、安心感のある回答が得られた場合には、実際に弁護士へ相談してみるとよいでしょう。
過払い金請求をおこなうことのリスク
最後に、過払い金請求をおこなうことのリスクについても触れておきます。
過払い金請求は法的に認められた権利ですが、念のため、そのリスクを正しく理解しておきましょう。
ブラックリストに登録されることがある
個人信用情報機関のデータベースに、債務不履行や債務整理に関する情報(事故情報)が登録されることは、俗に「ブラックリスト入り」と呼ばれています。
ブラックリスト入りすると、新たにローンを組めなくなる、クレジットカードが解約されるなどのデメリットが生じます。
過払い金請求をおこなったとしても、それ自体は権利の行使に過ぎないので、ただちに事故情報が登録されるわけではありません。
しかし借金の完済前に過払い金請求をおこなった結果、完済にならずに債務が残った場合は、任意整理として事故情報が登録される可能性があるので注意しましょう。
請求先との契約が解除される
過払い金請求をおこなうと、請求先との間で締結している契約は解除される可能性が高いです。
たとえば、クレジットカードの利用契約などは、ほぼ確実に解除されてしまうでしょう。
また請求先との間では、将来にわたって取引できなくなることが多い点にもご注意ください。
残債の一括請求を受けることがある
過払い金の精算後も残債がある場合は、残債の一括返済を求められる可能性があります。
残債の一括返済が困難な場合は、過払い金請求と併せて任意整理の交渉をおこなわなければなりません。
その場合、具体的な返済計画を示したうえで、債権者を説得する必要があります。
過払い金請求と任意整理の交渉について、ご自身で対応することが難しければ、弁護士へのご依頼がお勧めです。
弁護士費用がかかる
過払い金請求を弁護士に依頼する場合、弁護士費用が発生します。
回収できた過払い金の10~20%程度が弁護士費用の目安です。
ただし、具体的な金額は依頼先の弁護士によって異なるため、依頼前の段階で事前に見積もりを取得しましょう。
なお、収入・資産について以下の要件を満たす場合には、法テラスの立替払制度(民事法律扶助)を利用できます。
<月収>
生活保護一級地※ | それ以外 | |
単身者 | 200,200円以下 | 182,000円以下 |
2人家族 | 276,100円以下 | 251,000円以下 |
3人家族 | 299,200円以下 | 272,000円以下 |
4人家族 | 328,900円以下 | 299,000円以下 |
5人家族以上 | 5人目以降、33,000円を加算 | 5人目以降30,000円を加算 |
【参考元】無料法律相談のご利用の流れ
医療費・教育費・家賃・住宅ローンを考慮し、金額が加算される場合あり
<保有資産>
単身者 | 180万円以下 |
2人家族 | 250万円以下 |
3人家族 | 270万円以下 |
4人家族 | 300万円以下 |
将来負担すべき医療費、教育費などの出費がある場合は、相当額を控除
法テラスは、各都道府県に設置されています。
弁護士費用の支払いが不安な方は、無料相談窓口へ相談してみましょう。
【関連記事】
過払い金請求でお金を取り戻す秘訣!無料相談窓口5選と弁護士に相談する理由とポイント
まとめ|過払い金請求は信頼できる弁護士に相談を
2010年6月17日以前に借金をした方は、過払い金請求が認められる可能性があります。
過払い金請求は法的に認められた権利なので、請求をためらう必要はありません。
ただし、過払い金請求をおこなう際には、非弁提携をおこなう悪徳業者・悪徳弁護士を避けることが大切です。
家族・知人の紹介や、法テラスなどを通じて、信頼できる弁護士を見つけてご依頼ください。