少額訴訟でお金を取り戻す方法|メリット・デメリット・対象金額・必要書類など

少額訴訟でお金を取り戻す方法|メリット・デメリット・対象金額・必要書類など
目次
  1. 少額訴訟とは?60万円以下の金銭の支払いを請求する際に使える訴訟のこと
    1. 相手の住所を把握できていること
    2. 請求金額が60万円以下であること
    3. 少額訴訟の回数が年10回以下であること
  2. 少額訴訟のメリットとデメリット|通常訴訟との違いについても確認しよう
    1. 少額訴訟の4つのメリット
    2. 少額訴訟の4つのデメリット
  3. 少額訴訟を申し立てる際に必要なもの|提出書類や費用など
    1. 訴状|少額訴訟を提起するために欠かせない
    2. 添付書類|証拠資料や必要書類などを提出する
    3. 収入印紙|請求金額に応じた金額を手数料で支払う
    4. 予納郵券代|当事者の人数に応じて郵便切手が必要になる
  4. 少額訴訟の「訴状」の書き方|記載例を見ながら作成しよう
    1. 少額訴訟の訴状(賃金請求事件)の記載例
    2. 少額訴訟の訴状を作成するときのポイント
  5. 少額訴訟の大まかな流れ|5つのステップで債権回収ができる
    1. 1.簡易裁判所に少額訴訟を申し立てる
    2. 2.裁判所に受理され、口頭弁論期日の連絡を受ける
    3. 3.答弁書のやり取りをし、少額訴訟の準備を進める
    4. 4.口頭弁論期日に簡易裁判所で審理がおこなわれる
    5. 5.和解または判決によって少額訴訟が終了となる
    6. 相手が弁済をしない場合は強制執行が必要になる
  6. 少額訴訟を成功させるための5つのポイント
    1. 少額訴訟が適しているのかをよく検討する
    2. 借用書などの証拠をできるだけ多く集める
    3. 事実関係を時系順に詳しくまとめておく
    4. 債務者の財産調査をおこなっておく
    5. 簡易裁判所や弁護士に相談しておく
  7. 少額訴訟に関するよくある質問
    1. Q.少額訴訟以外にどのような債権回収手段があるか?
    2. Q.少額訴訟で敗訴した場合はどうすれば良いか?
    3. Q.少額訴訟を弁護士に依頼する必要はあるのか?
    4. Q.訴訟費用を相手方に請求することはできるか?
  8. さいごに|60万円以下の金銭債権は少額訴訟で請求するのがおすすめ!

「友人に貸したお金を返してほしいので少額訴訟を起こしたい」

「少額訴訟の特徴や手続きの流れについて知りたい」

少額訴訟は、60万円以下の金銭債権を請求する際に利用できます。

通常の訴訟に比べ、法律の知識がなくても手続きしやすいのがメリットですが、少額訴訟の仕組み、必要書類、手続きの流れについてわからない方は多いのではないでしょうか?

本記事では、少額訴訟の特徴・メリット・デメリット、少額訴訟の申し立てに必要な書類、手続きの流れなどについて解説します。

少額訴訟を提起しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
黒井 新弁護士(井澤・黒井・阿部法律事務所)
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少額訴訟とは?60万円以下の金銭の支払いを請求する際に使える訴訟のこと

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを要求する場合に、簡易裁判所でおこなう民事訴訟手続のことです。

民事訴訟法では、少額訴訟の要件が以下のように定義されています。

(少額訴訟の要件等)

第三百六十八条 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。

引用元:民事訴訟法 | e-Gov法令検索

本来、金銭の支払いを請求する場合は「通常訴訟」をおこないますが、一定の条件を満たせば少額訴訟を起こすことができます

少額訴訟を起こせる条件は、以下の3つです。

相手の住所を把握できていること

相手の住所がわからない場合、「公示送達」という制度を使って相手に「お金を返してほしいと思っている」という意思表示をします。

公示送達を利用すれば、相手が行方をくらましても金銭の支払いを求められますが、通常訴訟の手続きをおこなうことになるので注意が必要です。

(通常の手続への移行)

第三百七十三条

(中略)

3 次に掲げる場合には、裁判所は、訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。

一 第三百六十八条第一項の規定に違反して少額訴訟による審理及び裁判を求めたとき。

二 第三百六十八条第三項の規定によってすべき届出を相当の期間を定めて命じた場合において、その届出がないとき。

三 公示送達によらなければ被告に対する最初にすべき口頭弁論の期日の呼出しをすることができないとき。

四 少額訴訟により審理及び裁判をするのを相当でないと認めるとき。

引用元:民事訴訟法|e-Gov法令検索

請求金額が60万円以下であること

少額訴訟の手続きができるのは、60万円以下の金銭の支払いを求める場合のみです。

請求金額が60万円を超える場合や、土地・建物などの明け渡しを求める場合は少額訴訟を起こせないので注意しましょう。

なお、60万円には利息や違約金は含まれないため、請求金額が60万円以下なら少額訴訟を起こせます

(少額訴訟の要件等)

第三百六十八条 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。

引用元:民事訴訟法|e-Gov法令検索

少額訴訟の回数が年10回以下であること

同一人物が同じ裁判所に少額訴訟できるのは、年10回までと決められています。

少額訴訟は、幅広い人が民事トラブルを迅速に解決できるようにと設立された制度です。

特定の誰かが同じ裁判所で何度も訴訟を起こすと、ほかの人の利用が阻害されるおそれがあります。

全ての人が少額訴訟のメリットを平等に受けられなくなる可能性も考慮したうえで、少額訴訟には回数制限が設けられています。

ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。

引用元:民事訴訟法|e-Gov法令検索

少額訴訟のメリットとデメリット|通常訴訟との違いについても確認しよう

少額訴訟は、通常訴訟に比べてどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

ここからは、少額訴訟のメリット・デメリットについて解説します。

少額訴訟と通常訴訟の違いは、下表のとおりです。

【少額訴訟と通常訴訟の主な違い】

項目少額訴訟通常訴訟(地方_簡易裁判所の場合)
請求項目60万円以下の金銭請求金銭請求

金銭以外の請求

審理回数1回平均2.7回
判決までの期間(平均審理期間)即日平均3.4ヵ月(令和4年)
控訴の可否不可 (異議申し立ては可能)可能

【参考】第2 審理期間|裁判所

少額訴訟の4つのメリット

少額訴訟には、主に以下の4つのメリットがあります。

簡単に手続きできる

1つ目のメリットは、通常訴訟よりも手続きが簡単であることです。

弁護士に依頼しなくても一人で手続きできるほど簡便なので、通常訴訟よりも心理的なハードルが低いといえます。

1回の審理で終わる

2つ目のメリットは、1回の審理で終了することです。

判決が即日言い渡されるので、2〜3回ほど裁判所に行かなければならない通常訴訟に比べると、きわめてスピーディに問題を解決できます。

訴訟費用が安く済む

3つ目のメリットは、コストが安いことです。

少額訴訟は、弁護士に依頼する必要がないうえ、裁判所に出向く回数も少なく済みます

弁護士費用や交通費などのコストを抑えることができるので、通常訴訟よりも金銭的な負担が少ないといえます。

強制執行が可能になる

4つ目のメリットは、強制執行が可能になることです。

強制執行とは、相手が支払いに応じない場合に財産を差し押さえたり競売にかけたりして、支払いを強制的に履行させることです。

少額訴訟の判決には強制執行力があるため、相手が判決に従わない場合はすぐに強制執行をおこなえます。

これにより、未回収だった債権を現金化できる可能性が高くなります。

少額訴訟の4つのデメリット

一方、少額訴訟には以下の4つのデメリットがあります。

相手の住所を知らないと利用できない

1つ目は、相手の住所がわからない場合は利用できないことです。

民事訴訟法では、「相手の住所がわからず公示送達を利用する場合は通常訴訟の手続きとなる」ことが定められています。

お金を持ち逃げされてしまって相手の居場所がわからない場合は、たとえ請求金額が60万円以下であっても通常訴訟となるため注意が必要です。

1年間で10回までという上限がある

2つ目は、少額訴訟の利用には回数制限があることです。

同じ人が同じ簡易裁判所に少額訴訟できるのは、年10回までと決められています。

少額訴訟の回数が10回を超える場合は、別の簡易裁判所に訴訟を申し立てる必要があります

事前に全ての準備が必要になる

3つ目は、事前に全ての準備をおこなう必要があることです。

少額訴訟は1回の審理で判決が言い渡されるので、その際に有効な主張をしなければなりません。

そのためには、証拠資料や証人を事前にしっかりと用意しておくといった対策が必要です。

準備が不十分だと分割払いや支払い猶予が認められてしまう可能性があるほか、最悪の場合請求自体が棄却されてしまうこともあります。

少額訴訟をおこなうなら、事前準備は不可欠といえるでしょう。

地方裁判所への控訴はできない

4つ目は、地方裁判所に控訴できないことです。

通常訴訟での場合は、判決に納得できないときには控訴することが可能です。

しかし、少額訴訟では控訴ができないため、判決に納得がいかない場合であっても上級審で争うことはできません

ただし、「簡易裁判所」に対する異議申し立ては認められることがあります。

判決後2週間以内であれば簡易裁判所に異議申し立てをおこなえますが、その場合は通常訴訟の手続きとなってしまうので注意しましょう。

(異議後の審理及び裁判)

第三百七十九条 適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。

引用元:民事訴訟法|e-Gov法令検索

少額訴訟を申し立てる際に必要なもの|提出書類や費用など

少額訴訟を申し立てる場合、どのような書類が必要なのでしょうか?

また、少額訴訟にかかる費用について気になる方もいるでしょう。

ここからは、少額訴訟の申し立てに必要な書類と費用について解説します。

訴状|少額訴訟を提起するために欠かせない

少額訴訟の申し立てには、訴状が必要です。

訴状は、各簡易裁判所に備え付けてある定型用紙、もしくは裁判所のホームページからダウンロードしたものを使用します。

裁判所によっては独自の書式がある場合があるので、申し立てをする裁判所のホームページに別の書式がないかチェックしておきましょう。

添付書類|証拠資料や必要書類などを提出する

審理の際に使用する証拠資料の写しも必要です。

証拠資料として認められるのは、契約書、見積書、請求書、相手とのやりとりがわかるものなどです。

電話でのやりとりなど音声データを証拠資料として送る場合は、USBメモリーやCD-ROMなどにコピーしたうえで反訳書を作成する必要があります。

反訳書は、音声データの内容の全てを文字起こしした書類です。

反訳書の書き方には、特段ルールはありません。

しかし、発言内容の前に発言者の名前を入れたり、発言ごとに番号を振ったりすると、裁判官が内容を理解しやすいでしょう。

収入印紙|請求金額に応じた金額を手数料で支払う

少額訴訟では、請求金額に応じて収入印紙が必要です。

請求金額と印紙代は、以下のとおりです。

請求金額印紙代(手数料額)
〜10万円1,000円
〜20万円2,000円
〜30万円3,000円
〜40万円4,000円
〜50万円5,000円
〜60万円6,000円

予納郵券代|当事者の人数に応じて郵便切手が必要になる

予納郵券代とは、トラブルの当事者に対し裁判に必要な書類を送る際の郵送費用のことです。

どのくらいの費用が必要かは、当事者の人数に応じて裁判所で定められています

東京簡易裁判所の予納郵券代は、以下のとおりです。

当事者の人数予納郵券代
1人5,200円
2人目以降2,500円(1名増えるごと)

ただし、裁判所によって予納郵券代が異なるので、少額訴訟を申し立てる裁判所にあらかじめ確認しておきましょう。

【参考】郵便切手一覧表(東京簡易裁判所)|裁判所

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少額訴訟の「訴状」の書き方|記載例を見ながら作成しよう

少額訴訟の手続きには、訴状の提出が必要です。

ここからは、訴状の書き方について解説します。

少額訴訟の訴状(賃金請求事件)の記載例

ここでは、賃金請求事件の訴状の書き方について解説します。

以下の記載例に従い、必要事項を記入しましょう。

引用元:貸金請求の記載例(PDF:1MB)|裁判所

少額訴訟の訴状を作成するときのポイント

少額訴訟の訴状を作成する際は、原告欄、被告(相手方)欄、訴訟物の価格等の金額欄、請求の趣旨欄、紛争の要点欄、添付書類欄に必要事項を記入します。

記入する際は、以下の点にとくに気をつけましょう。

  • 枠外の「少額訴訟による審理及び裁判を求めます」にレ点を入れる
  • 「原告」欄に必ず押印をする(認め印でも可)
  • 利息や遅延損害金を求める場合、「請求の趣旨」欄の該当箇所にレ点を入れる
  • 仮執行宣言を求める場合、「訴訟の趣旨」欄の「及び仮執行の宣言」にレ点を入れる
  • 相手方からの主張がある場合は「紛争の要点」欄の「その他の参考事項」に記入する

少額訴訟の大まかな流れ|5つのステップで債権回収ができる

少額訴訟の手続きは、大まかに5つのステップに分かれます。

通常訴訟に比べ手続きが簡便なので、時間と労力をあまりかけずに債権回収できます。

ここからは、少額訴訟の一般的な流れについて解説します。

1.簡易裁判所に少額訴訟を申し立てる

まずは、簡易裁判所に必要書類を提出して少額訴訟を申し立てます。

訴状、手数料、郵便切手、証拠書類の写しなどの書類を用意したうえで、郵送または窓口にて簡易裁判所に提出しましょう。

少額訴訟を申し立てるのは、原則として相手方の住所を管轄する簡易裁判所です。

管轄の裁判所は裁判所のホームページで確認できるので、書類を提出する前にチェックしておきましょう。

なお、トラブルの当事者が法人の場合は「商業登記簿謄本」か「登記事項証明書」、未成年者の場合は「戸籍謄本または抄本」も必要です。

商業登記簿謄本、登記事項証明書は法務局で入手できるので、あらかじめ用意しておいてください。

【参考】訴訟(少額訴訟)の申立てについて|裁判所

2.裁判所に受理され、口頭弁論期日の連絡を受ける

少額訴訟の申し立てが受理されたら、簡易裁判所から口頭弁論期日について連絡を受けます。

その際、原告と被告それぞれに訴状、期日呼出状、証拠書類なども合わせて送られてきます。

書類を受け取った被告は、少額訴訟を受け入れるか反対するかを選択することが可能です。

被告が少額訴訟に反対した場合は、通常訴訟の手続きに移行します。

3.答弁書のやり取りをし、少額訴訟の準備を進める

被告が少額訴訟を受けた場合、被告側は答弁書と証拠書類を簡易裁判所に提出します。

提出された書類は裁判所を通じて原告に送付されるので、原告は書類の内容を確認して追加の証拠書類や証人を用意します。

なお、証人尋問をおこなう場合には、通常訴訟と同様、少額訴訟でも証人の出席が必要です。

証人にあらかじめ少額訴訟の期日を伝え、必ず出席してもらえるよう準備しておきましょう。

4.口頭弁論期日に簡易裁判所で審理がおこなわれる

口頭弁論期日になったら、簡易裁判所で審理がおこなわれます。

審理には、原告、被告、裁判官、裁判所書記官、司法委員などが参加します。

原告、被告がそれぞれの言い分を述べ、それを聞いた裁判所が争点の整理や証拠書類・証人などの取調べをおこないます。

5.和解または判決によって少額訴訟が終了となる

審理の途中で原告と被告の間で和解が成立したら、「和解調書」を作成します。

和解が成立しなかった場合は、裁判所が双方の主張を聞いたうえでどちらの言い分が正しいかを判断し、判決を下します。

ただし、原告が勝訴した場合でも分割払い、支払い猶予、遅延損害金の免除などが言い渡されることがあります。

通常訴訟なら債権の一括払いと遅延損害金の支払いを求める判決が下されるため、条件付きの勝訴となる可能性がある点は少額訴訟のデメリットといえるでしょう。

なお、審理は30分〜2時間で終了するケースが一般的です。

相手が弁済をしない場合は強制執行が必要になる

和解が成立したり、原告が勝訴したりした場合でも、相手が期日までに支払わない可能性があります。

相手が支払いに応じない場合は、強制執行の手続きをおこなうことが可能です。

強制執行をおこなった場合、相手の財産を差し押さえて強制的に債権を回収することになります。

少額訴訟を成功させるための5つのポイント

少額訴訟を成功させて債権を確実に回収するためのポイントは、大きく5つあります。

少額訴訟が適しているのかをよく検討する

1つ目は、少額訴訟が適しているかを検討することです。

債権額が少ないなど少額訴訟の要件を満たしている場合でも、ケースによっては少額訴訟に向かないこともあります。

少額訴訟が不向きであるケースは、主に以下の5つです。

  • 証拠が十分にそろっていない場合
  • トラブルの関係者が多く、事件が複雑な場合
  • 相手が弁護士に依頼している場合
  • 交通事故の過失割合などに問題がある場合
  • 分割払いや支払い猶予などが受け入れられない場合

少額訴訟に向かない場合は、通常訴訟の手続きをおこなったほうがよいでしょう。

借用書などの証拠をできるだけ多く集める

2つ目は、できるだけ多くの証拠を集めることです。

少額訴訟は1回の審理で判決が言い渡されるため、そこでいかに説得力のある主張をできるかが重要といえます。

裁判所に言い分を聞き入れてもらうためには、主張を裏付ける十分な証拠書類や証人を準備することが必要です

相手に何を請求するかによって必要な証拠書類は異なりますが、代表的なものは以下のとおりです。

請求内容証拠書類
貸金請求借用書、消費貸借契約書、念書 など
売買代金請求契約書、受領書(控)、請求書、納品書(控) など
敷金返還請求賃貸借契約書、敷金受領書 など
損害賠償請求交通事故証明書、示談書、修理代金の見積書 など
給料支払請求就業規則、給与等支払明細書 など

事実関係を時系順に詳しくまとめておく

3つ目は、トラブルに関わる事実関係を時系列順にまとめておくことです。

事実をあらかじめ整理しておけば、審理で主張を述べる際に裁判官が事実を把握しやすくなるため、主張を聞き入れてもらいやすいでしょう。

事実関係をまとめる際は、箇条書きで整理しておいたほうがわかりやすいのでおすすめです。

債務者の財産調査をおこなっておく

4つ目は、相手の財産調査をしておくことです。

審理で下された判決に相手が従わない場合、財産を差し押さえて強制的に債権を回収する必要があります。

どの財産を差し押さえるかは、相手の財産を調査したうえで債権者が自分で決めなければなりません

あらかじめ相手の財産状況について調べておけば、相手が万が一支払いに応じなくても、強制執行の手続きをスムーズにおこなえます。

簡易裁判所や弁護士に相談しておく

5つ目は、簡易裁判所や弁護士に相談しておくことです。

少額訴訟の手続きは通常訴訟に比べ簡単なので、債権者が一人で手続きすることは十分可能です。

しかし、「少額訴訟をすべきかどうか迷っている」「どのような証拠書類を用意すればよいのかわからない」などの不安がある場合は、専門家に相談するとよいでしょう。

簡易裁判所の窓口なら手続きに関する不明点について相談できるほか、少額訴訟に詳しい弁護士・司法書士なら個別の事情を考慮して具体的なアドバイスを受けることができます。

一人で手続きを進めることに不安があるなら、まずは気軽に相談してみましょう。

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少額訴訟に関するよくある質問

ここからは、少額訴訟に関するよくある質問をまとめています。

少額訴訟について疑問を抱えている方は、ぜひチェックしてください。

Q.少額訴訟以外にどのような債権回収手段があるか?

債権を回収する方法は、少額訴訟以外に「通常訴訟」「民事調停」「支払督促」などがあります。

それぞれの手続きの特徴は、以下のとおりです。

  • 通常訴訟:裁判官が双方の主張を聞いたうえで判決を下し、問題解決を図る方法
  • 民事調停:裁判所の調停委員会があっせんし、双方の話し合いによって円満な解決を図る方法
  • 支払督促:裁判所書記官が書類にて金銭の支払いを求め、迅速な問題解決を図る方法

Q.少額訴訟で敗訴した場合はどうすれば良いか?

少額訴訟で敗訴した場合、控訴ができないので注意しましょう。

通常訴訟の場合、判決に納得できない場合は控訴することが可能ですが、少額訴訟では控訴が認められていません。

ただし、判決を言い渡された日の翌日から2週間以内なら異議申し立てをおこなうことができます。

異議申し立てをおこなった場合は通常訴訟に移行するため、時間や費用がかかる点は留意しておく必要があるでしょう。

Q.少額訴訟を弁護士に依頼する必要はあるのか?

少額訴訟の手続きや証拠書類などについて不安があるなら、弁護士に依頼するとよいでしょう。

少額訴訟は債権額が少ないため、相手から回収した金額よりも弁護士費用のほうが高くなってしまうおそれがあります。

しかし、弁護士に依頼すれば手続きを全て任せられるほか、必要な証拠書類について相談することも可能です。

少額訴訟の手続きは簡便ですが、法律の専門家である弁護士に任せたほうがスムーズかつ確実でしょう。

また、証拠書類を十分に揃えられていないと、審理で不利になってしまう可能性もあります。

弁護士に依頼したほうが勝訴率を高めることができるので、相手から確実に債権を回収したいなら弁護士への依頼を検討しましょう。

【参考】少額訴訟で弁護士を雇うのはアリ?弁護士に依頼するメリットと費用相場

Q.訴訟費用を相手方に請求することはできるか?

「訴訟費用を被告の負担とする」旨の判決が下された場合は、相手に訴訟費用を請求することができます

訴訟費用に含まれるのは、少額訴訟の申し立てにかかった収入印紙代、予納郵券代、出頭日当、旅費、証人の旅費日当などです。

弁護士費用は訴訟費用に含まれないため、自己負担となる点は覚えておきましょう。

また、和解した場合は訴訟費用を請求できない点にも注意が必要です。

さいごに|60万円以下の金銭債権は少額訴訟で請求するのがおすすめ!

少額訴訟は通常訴訟に比べ手続きが簡単なので、自分一人でおこなうことが可能です。

訴訟費用が安く済むうえ即日で判決が言い渡されるため、費用と時間を最低限に抑えることができます。

60万円以下の金銭債権の支払いを求めるなら、少額訴訟を申し立てるのがおすすめです。

少額訴訟に関して不安や悩みがある方は、弁護士に一度相談してみるとよいでしょう。

少額訴訟に詳しい弁護士に依頼すれば、手続きの流れや必要な証拠書類などについてアドバイスを受けられます。

無料で相談できる法律事務所も多くあるので、ぜひ気軽に相談してみてください。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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