不倫と浮気の違いとは?慰謝料の請求条件や請求方法を解説

不倫と浮気の違いとは?慰謝料の請求条件や請求方法を解説
目次
  1. 不倫も浮気も法律用語ではなく明確な区別はない
    1. 法律上は「不貞行為」という用語が使われる
    2. 不貞行為の成立要件
  2. 一般的な意味での不倫・浮気の違い
    1. 既婚者の有無
    2. 不貞行為の有無
    3. 関係の継続性・頻度
    4. 精神的苦痛の大きさ
    5. 夫婦関係への影響
  3. どこからが不倫・浮気になる?
  4. 不倫や浮気はどんなきっかけで起こる?
    1. 仕事の相談を聞いてもらう・聞く
    2. 残業で二人きりになる
    3. 職場で上司と部下になる
    4. 同じチームで仕事をする
    5. 出張先や社内旅行で一緒に行動する
    6. SNSなどで知らない人と交流する・同窓会に参加する
  5. 配偶者の不倫・浮気を疑っている場合の対応|不貞行為の証拠の集め方
    1. 不倫・浮気の証拠になるもの
    2. 自力で不倫・浮気の証拠を集めて事実確認する
    3. 自力での証拠集めが難しい場合は探偵に依頼する
  6. 配偶者の不倫・浮気が発覚した場合は慰謝料を請求できる
    1. 慰謝料は不倫相手・浮気相手にも請求できる
    2. 慰謝料を請求できるケース
    3. 慰謝料を請求できないケース
  7. 配偶者や不倫相手・浮気相手に慰謝料請求する方法
    1. 直接会って交渉する
    2. 内容証明郵便を送る
    3. 訴訟を起こす
  8. 不倫・浮気を理由に慰謝料請求するなら弁護士がおすすめ
    1. 慰謝料請求が可能な状況かどうか判断してくれる
    2. 慰謝料の請求対応を代わってくれる
    3. 自力で請求するよりも慰謝料の増額が望める
  9. さいごに|配偶者の不倫・浮気で悩んでいる方は弁護士に相談!

配偶者が自分以外の誰かと肉体関係をもったり、交際したりする状態を不倫や浮気といいます。

不倫と浮気はどちらも似たような意味ではありますが、一般的には肉体関係の有無などで区別されています。

また、肉体関係があれば法律上の「不貞行為」に該当するため、被害者は配偶者や不倫相手に対して慰謝料を請求することが可能です。

この記事では、不倫と浮気の違い、不貞行為をした配偶者への慰謝料請求の条件、慰謝料請求するための具体的な方法、不倫・浮気トラブルを弁護士に相談するメリットなどを解説します。

配偶者の不倫・浮気を疑っている方や、配偶者の不倫・浮気を知ってしまった方は、今後どうすればいいのかについての参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
野条 健人
野条 健人弁護士(弁護士法人かがりび綜合法律事務所)
かがりび綜合法律事務所は、お一人おひとりの悩みに最後まで寄り添いながら問題解決に取り組んでおります。お気軽にご相談ください。

不倫も浮気も法律用語ではなく明確な区別はない

配偶者以外の人と肉体関係や恋愛関係を持つことを、一般的に不倫や浮気といいます。

しかし、法律上には不倫や浮気という言葉はありません。

ここでは、不倫や浮気が法律上はどのような行為になるのかについて解説します。

法律上は「不貞行為」という用語が使われる

厳密には異なりますが、不倫や浮気を表す法律上の用語は「不貞行為」です。

不貞行為とは、配偶者以外の誰かと性的な関係を持つ行為を指します。

配偶者に不貞行為をされた場合、民法上の不法行為に該当するため慰謝料を請求できますし、「裁判上の離婚」の事由に該当するため交渉や法的手続きで離婚を求めることもできます。

民法七七〇条
一項一号の不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない。
引用元:裁判例結果詳細 | 裁判所 – Courts in Japan

不貞行為の成立要件

不貞行為の基本的な成立要件は、以下のとおりです。

  • 行為者に配偶者がいる
  • 配偶者以外の性的関係を結ぶ
  • 本人は自由な意思に基づいている
  • 相手が自由な意思かどうかは問わない

これらの条件に全て当てはまる場合に不貞行為が成立します。

言い換えると、行為者双方が未婚の場合、肉体関係を伴わない場合、脅迫などにより自由意思に基づかない場合は、不貞行為にはなりません。

一方、回数や恋愛感情の有無などの要件はないため、1回きりの肉体関係や風俗店の利用でも、不貞行為に該当すると考えられます。

一般的な意味での不倫・浮気の違い

不倫や浮気を明確に区別するのは困難ですが、一般的にどのように使い分けられているのでしょうか。

ここでは、一般的な不倫・浮気の意味の違いについて確認しましょう。

【一般的な意味での不倫と浮気の違い】

不倫浮気
既婚者の有無一方または双方が既婚いずれも未婚
不貞行為の有無肉体関係がある肉体関係はない
関係の継続性・頻度継続して性的な関係をもっている性的な関係があっても一度きり
精神的苦痛の大きさ精神的苦痛が大きい不倫行為よりも精神的苦痛は少ない
夫婦関係への影響夫婦関係の修復は難しい夫婦関係の修復の余地がある

既婚者の有無

当事者のどちらかが既婚者であり、肉体関係を伴う交際をしていたら不倫となります。

一方、恋人がいたとしても独身同士の場合は、浮気となることが多いです。

不貞行為の有無

一般的に、不貞行為(肉体関係)があれば不倫といわれます。

一方、配偶者以外の人と映画を観に行く、食事に行くなどの肉体関係のない交際であれば、浮気とされることが多いでしょう。

関係の継続性・頻度

一般的に、継続して何度も同じ人と肉体関係を持っている場合は不倫とされます。

一方、酔った勢いや気の迷いなどで一度だけ肉体関係を持ってしまった場合は、不貞行為ではあるものの、浮気に分類されることが多いでしょう。

精神的苦痛の大きさ

不倫も浮気も配偶者に対する裏切り行為であり、いずれの場合も精神的苦痛は避けられません。

ただし、肉体関係を伴う不倫のほうが、肉体関係をもたない浮気よりも、精神的苦痛が大きいとされています。

夫婦関係への影響

不貞行為は「裁判上の離婚事由」に該当するため、肉体関係をもつ不倫の場合は夫婦関係が破綻・終了する可能性があります。

一方、浮気は不貞行為に該当しないことが多く、不倫の場合に比べると夫婦関係への影響は小さいと考えらえます。

どこからが不倫・浮気になる?

恋人・配偶者の行為がどこから不倫や浮気に当たるのかという線引きは、それぞれの感覚によって異なります。

しかし、縁結び大学などを運営している株式会社ネクストレベルが、交際相手がいる20代の独身男女149人に対しておこなったアンケート調査によると、一般的な感覚での「浮気かどうかの線引き」は以下のようになっています。


引用元:恋人のいる20代男女へ意識調査!男女で違う「コレをやったら浮気確定」のラインはどこ?|株式会社ネクストレベルのプレスリリース

アンケート調査によると、異性と肉体関係をもったら浮気と感じる方もいれば、自分以外の異性と二人だけで出かけているだけで浮気と感じる人もいることがわかります。

しかし、自分が不倫・浮気と思っていても、法律上の不貞行為に該当するかどうかは別問題です。

配偶者に不倫や浮気の疑惑があり、慰謝料請求や離婚手続きなどを検討しているなら、まずは一度「不倫トラブルが得意な弁護士」に相談することをおすすめします。

不倫や浮気はどんなきっかけで起こる?

配偶者の不倫・浮気が心配なら、不倫のきっかけを知っておくのが重要です。

マイナビウーマンが22~34歳の女性148人に対しておこなったアンケート調査によると、不倫の主なきっかけには以下のようなものがありました。(画像は「浮気調査ナビ」より引用)

【参考記事】女性に聞いた! 「不倫のきっかけ」になることランキングTOP10|「マイナビウーマン」
ここでは、配偶者が不倫や浮気を始めるきっかけについて確認しましょう。

仕事の相談を聞いてもらう・聞く

アンケート調査によると、仕事の相談をきっかけに不倫に至るケースが最も多いといいます。

普段から仕事で接しているため距離感が近く、悩みを聞いてくれたことでより信頼感が増すことなどが要因となっているようです。

同じ職場でもない限りは、配偶者が仕事の悩みを抱えているかどうかを判断するのは難しいでしょう。

しかし、家で仕事の不満を言っていたのがなくなったり、家庭内で「○○さん」などと異性の名前をよく耳にしたりする場合は、仕事先で何か変化があった可能性があるため注意したほうがよいかもしれません。

残業で二人きりになる

残業で同じ時間を過ごすことも、不倫に至るきっかけとしては多いです。

二人きりで過ごすため親近感がわきやすいこと、残業後に一緒に食事に行ったり、帰宅したりする機会が多いことなどが関係しています。

配偶者の残業が多く、帰り時間が遅かったり、よく外食で済ましたりしている場合は、少し注意をすることをおすすめします。

しかし、ただでさえ残業で疲れているのに、さらに配偶者から浮気・不倫を疑われていると知ったら、相手のストレスは増えてしまいます。

仕事の繁忙期や相手の出世なども十分考慮したうえで気にするとよいでしょう。

職場で上司と部下になる

職場で上司と部下になったことをきっかけに、不倫に至るというケースもあります。特に、仕事ができる上司に対して尊敬する人は多くおり、そこに恋愛感情も入ることで不倫に至ってしまうことがあるようです。

配偶者の部署に新しい上司・部下が配置されたり、新年度で配偶者の勤務先が変わったりしたときには、少し気に掛けるほうがよいでしょう。

また、家庭で配偶者から人事に関する話題や、上司をほめるような話題があったら、頭の片隅に入れておくことをおすすめします。

同じチームで仕事をする

同じチームで仕事をしている従業員・メンバーと不倫に至ることもあります。

同じ目標に向かってチームで仕事をするため、強い信頼関係や仲間意識が芽生え、さらにそれが恋愛感情へと発展する可能性があります。

同じ会社・職場にいない限りは、配偶者が職場でどのような社員と仲良くしているかを把握することは困難です。

しかし、家庭よりも仕事を優先していたり、積極的に飲み会に参加したりしている場合は少し怪しいと思われます。

依然と比べて働き方に変化があるか、人付き合いがよくなったかなどを確認してみることをおすすめします。

出張先や社内旅行で一緒に行動する

出張や社員旅行などがきっかけで不倫に至る場合もあります。

出張先・旅行先であれば配偶者から気付かれにくいことや、宿泊自体も自然なため不倫しやすい条件が整っていることなどが関係しています。

年に1回などの少ない出張や社員旅行などであれば不倫の可能性は少ないかもしれません。

しかし、もともと出張が多かったり、結婚してから出張が増えたりした場合には注意が必要になります。

また、出張や社員旅行などが不倫や浮気の口実となっている可能性もあるため、不自然な出張・旅行がある場合は注意するほうがよいでしょう。

SNSなどで知らない人と交流する・同窓会に参加する

仕事以外の不倫のきっかけとしては、SNSで知り合った、同窓会に出席したなどがあります。

直接顔を合わせる職場での不倫とは異なり、SNSや同窓会がきっかけの不倫の場合は、スマートフォンや携帯電話でのやり取りが基本です。

そのため、スマートフォンを手放さなくなった、画面にロックをかけるようになった、画面を下向きにして置くようになったなどの変化がある場合には注意が必要になります。

配偶者の不倫・浮気を疑っている場合の対応|不貞行為の証拠の集め方

配偶者の不倫・浮気を疑っている段階では、まず不倫や浮気の有無を確定させることが重要です。

そのためには不倫や浮気の証拠を集める必要があります。

また、証拠を集めることができれば、この先の離婚手続きや慰謝料請求などで有利になる可能性が高まります。

ここでは、不倫・浮気の証拠の種類や集め方について解説します。

不倫・浮気の証拠になるもの

不倫や浮気の証拠にはさまざまな種類があり、証明力が高く証拠として有効なものもあれば、証明力が低いものもあります。

それぞれの証拠について確認しておきましょう。

不倫・浮気の証拠として有効なもの

不倫・浮気の有効な証拠は、以下のとおりです。

  • 不倫・浮気をしたことを認める念書や録音
  • 不倫相手とホテルに出入りしている写真や動画
  • 性行為の写真や動画、裸や下着姿の写真
  • 性行為をしたことがわかるメールやLINE
  • 探偵や興信所が作成した調査報告書 など

このように肉体関係があったと明らかにわかる資料は、有効な証拠として扱われます。

単体では証拠として弱いもの

不倫・浮気の証拠として弱いものは、以下のとおりです。

  • 不倫相手と食事している写真
  • 不倫相手との単なる通話記録
  • 不倫相手との単なるメールやLINE
  • ビジネスホテルなどの領収書
  • 不倫相手からの手紙やプレゼント など

このような証拠のみだと、配偶者が不倫・浮気をしている可能性はありますが、肉体関係があることまでを立証するのは難しいです。

しかし、不倫相手とのやり取りで「奥さんは大丈夫?」などと書いてあれば、相手方が既婚者であることを知っているという事実を証明できます。

これらの証拠を見つけたら、手元に残しておきましょう。

自力で不倫・浮気の証拠を集めて事実確認する

配偶者の不倫・浮気を疑ったら、まずは自分でその証拠を集めるようにしましょう。

不貞行為をしている証拠を見つけられれば、慰謝料請求や離婚手続きなどに向けた行動に移れます。

また、不倫や浮気に関する確実な証拠が見つからなかったとしても、見知らぬ異性との電話やメールが多かったり、普段とは異なる駅を利用していたりすることが知れれば、探偵や興信所などに依頼するきっかけになります。

ただし、違法な盗撮や盗聴、配偶者のスマートフォンに対しての不正アクセスなどをしないように注意する必要があります。

違法に収集した証拠は、場合によっては証拠能力が否定される可能性がありますし、配偶者から訴えられてしまうリスクもあるので気を付けましょう。

自力での証拠集めが難しい場合は探偵に依頼する

自力での証拠集めが難しい場合は、探偵に依頼するのがおすすめです。

探偵に依頼した場合、配偶者の不倫・浮気の事実を「調査報告書」にまとめてくれます。

調査報告書には、一般的に配偶者と浮気相手がラブホテルなどに出入りしている様子や詳細を写真付きで記載してくれるため、仮に慰謝料請求や離婚手続きが裁判になったときでも有効な証拠として扱われることが多いです。

また、探偵には尾行や写真収集なども全て任せられますし、配偶者に見つかるリスクが低いというメリットもあります。

費用はかかりますが、確実に不倫や浮気の証拠を集めたいなら探偵への依頼を検討してみるといいでしょう。

配偶者の不倫・浮気が発覚した場合は慰謝料を請求できる

不貞行為は民法上の不法行為に該当するため、不貞行為を働いた配偶者やその不倫相手・浮気相手に対して慰謝料を請求すること可能です(民法第709条)。

しかし、慰謝料請求をするためには、以下の要件を全て満たしている必要があります。

ここでは、配偶者の不倫・浮気で慰謝料を請求できるケース、できないケースなどを解説します。

【不貞行為の場合に慰謝料請求できる条件】

  • 他人の権利または利益を侵害している(権利等侵害行為)
  • その行為が故意または過失に基づいている(故意・過失)
  • 精神的苦痛などの損害が発生している(損害の発生)
  • 損害が、その行為によって発生している(因果関係)
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慰謝料は不倫相手・浮気相手にも請求できる

慰謝料(損害賠償)は、不貞行為を働いた配偶者だけでなく、その不倫相手・浮気相手にも請求できます。

この理由は、不倫相手・浮気相手が共同不法行為をおこなったと判断されるからです(民法第719条)。

共同不法行為をおこなった場合、各自が連帯して損害賠償の責任を負うとされています。

そのため、被害を受けた方は不貞行為をおこなった配偶者だけでなく、不倫相手・浮気相手に対しても慰謝料を請求することができるのです。

慰謝料を請求できるケース

配偶者や不倫相手に慰謝料を請求できるケースを確認しましょう。

不貞行為があった場合

配偶者が不倫相手・浮気相手と肉体関係を持っている場合は、慰謝料を請求することができます。

不貞行為が不法行為になる理由には、不貞行為が夫婦の守るべき貞操義務違反に該当することや、夫婦の平穏で円満な生活を送る権利が侵害されたことなどが関係しています。

配偶者が自分以外の誰かと肉体関係を持っていることを証明できる場合には、これらを根拠にその配偶者や不倫相手・浮気相手に対して慰謝料を請求できるでしょう。

肉体関係はないが悪質性が高い場合

肉体関係がなくても、以下のようなケースでは慰謝料請求が認められることがあります。

  • 愛撫やオーラルセックスなどの性的類似行為があった
  • 繰り返しキスやハグなどのスキルシップがおこなわれていた
  • 配偶者に隠れて「好きだよ」「愛している」などのやり取りをしていた など

ただし、慰謝料を請求できるかどうかは、その行為の様態、内容、経緯などが不法行為に準ずるものとして、社会的に許容できる範囲を逸脱し、夫婦生活の平和を維持する権利が侵害されたかどうかで判断されます。

そのため、配偶者に同様の行為があったからといって、必ずしも慰謝料請求が認められるわけではありません。

ワンナイトラブや風俗利用の場合

ワンナイトラブや風俗利用などでも不貞行為に該当する場合には、配偶者に対して慰謝料請求ができます。

不貞行為の要件には回数や相手の素性などは規定されていないため、1回きりの肉体関係や恋愛感情を伴わない肉体関係であっても、不貞行為に該当すると判断されます。

なお、風俗店にはさまざまな種類があり、肉体関係を伴わないサービスもあります。

いわゆる「ソープランド」を利用していた場合には肉体関係があったと考えられます。

慰謝料を請求できないケース

夫婦関係の状態、故意・過失の有無、不貞行為の発覚時期などよっては、配偶者や不倫相手・浮気相手に慰謝料を請求できないケースもあります。

ここでは、不貞行為があったとしても慰謝料を請求できないケースを確認しましょう。

不貞行為の前から夫婦関係が破綻していた場合

慰謝料を請求できるのは、不貞行為によって平穏な夫婦関係を送る権利を侵害された場合です。

離婚協議が進んでいる、長期間にわたり別居状態が続いているなど、不貞行為以前に夫婦関係が破綻していたら、夫婦の守られるべき権利はそもそもありません。

このような場合には配偶者が不貞行為をしていても、慰謝料の請求は難しいでしょう。

【夫婦関係が破綻しているかどうかの判断基準】

主観的要素夫婦の双方に離婚の意志がある
客観的要素長いこと別居状態が続いている
・同居しているが夫婦間での接触が全くない
有責性暴力や暴言などのDV行為がある
・置き去りなどの悪意の遺棄がある など

不倫相手・浮気相手が既婚者であることを知らなかった場合

不倫相手・浮気相手に慰謝料を請求するためには、相手方に故意・過失が必要になります。

「配偶者が独身だと偽っていた」「お見合いパーティーで出会ったので独身だと信じていた」などの事情がある場合は、故意・過失が認められないこともあります。

このような場合、不倫相手・浮気相手に対しては慰謝料を請求することができません。

慰謝料請求権の時効が成立している場合

慰謝料請求権の時効は、配偶者の不倫の事実を知り、かつ不倫相手を特定してから3年間です。

また、除斥期間といって、不倫の事実を知らない場合でも、不貞行為があってから20年が経過すると、慰謝料を請求することができなくなります(民法第724条)。

場合によっては、時効を更新できる可能性もありますが、除斥期間は更新することができません。

配偶者の不倫・浮気していると疑っている場合は、できる限り早く不貞の証拠を確保し、慰謝料請求を進めるほうがいいでしょう。

配偶者や不倫相手・浮気相手に慰謝料請求する方法

不貞行為の証拠を確保し、慰謝料請求をしようと思っても、どのような方法をとればいいのかわからないこともあるでしょう。

ここでは、配偶者や不倫相手・浮気相手に慰謝料請求をする方法を解説します。

直接会って交渉する

相手方が話し合いに応じる姿勢を見せている場合は、直接会って交渉することが考えられます。

その場で話し合いがまとまれば、取り決めた内容を和解合意書にまとめて署名・捺印をもらうようにしましょう。

また、慰謝料が支払われないなどのトラブルに備えて、強制執行認諾文言付き公正証書を作成するのもおすすめです。

内容証明郵便を送る

内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に対してどのような内容の書面を送ったのかを、日本郵便が証明してくれる制度です。

普通郵便と異なり「受け取っていない」と言い逃れされる心配がありません。訴訟になった際の有力な証拠にもなりますし、請求側の強い意思も伝わります。

慰謝料請求を書面でおこなう際は、内容証明郵便を使いましょう。

訴訟を起こす

交渉がまとまらない場合や、内容証明郵便で慰謝料が支払われない場合には、慰謝料請求訴訟を提起することも考えられます。

訴状を作成し、自分または相手方の住所地を管轄する裁判所に提出します。その後、法廷で口頭弁論などがおこなわれて、裁判所から和解案が提示されたり、判決が言い渡されたりします。

和解が成立した場合や裁判で勝訴判決を得た場合は、相手方から慰謝料が支払われます。

不倫・浮気を理由に慰謝料請求するなら弁護士がおすすめ

不倫・浮気を理由に慰謝料請求をするなら、不倫トラブルが得意な弁護士に依頼するのがおすすめです。

ここでは、弁護士に依頼するのがおすすめの理由を紹介します。

慰謝料請求が可能な状況かどうか判断してくれる

不倫・浮気で慰謝料請求ができるのは、原則として配偶者に不貞行為があった場合に限られます。しかし、自分では不貞行為だと思っていても、実際には不貞行為といえない場合や証拠が足りない場合もありえます。

弁護士に相談すれば、相談内容や証拠から慰謝料請求が可能なのかどうかを判断してくれます。

また、仮に証拠が不十分で慰謝料請求が難しくても、今後どのような証拠を集めたらいいかなどのアドバイスがもらえるでしょう。

慰謝料の請求対応を代わってくれる

配偶者の不倫相手と直接交渉するのは、精神的なストレスが大きいです。怒りや悲しみから、冷静な話し合いができないかもしれませんし、適切な交渉ができなければまた不倫トラブルに巻き込まれてしまうリスクもあります。

弁護士に依頼すれば、相手との交渉や訴訟対応などを任せられます。また、交渉が成立した際には「二度と不倫しない」「名誉を傷つけることを禁止する」などの内容を盛り込んだ和解合意書を作成してくれるでしょう。

時間的な負担や精神的なストレスを軽減するためにも、弁護士へ依頼することをおすすめします。

自力で請求するよりも慰謝料の増額が望める

不貞行為の慰謝料の相場は、一般的には50万~300万円程度といわれています。このように慰謝料金額に幅がある理由は、不貞行為の期間・頻度、被害の程度、夫婦関係の破綻の有無、子どもの有無などで変化するからです。

弁護士に依頼すれば、被害者の状況に応じて適正な慰謝料金額を算出してくれます。また、弁護士に相談・依頼している場合は有効な証拠を集められることが多く、有利な条件で示談交渉を進められる可能性が高いです。

自力で慰謝料を請求するよりも、弁護士に依頼したほうが慰謝料の増額が望めるでしょう。

さいごに|配偶者の不倫・浮気で悩んでいる方は弁護士に相談!

不倫と浮気には明確な違いはありませんが、一般的には当事者が既婚者なのか独身同士なのか、肉体関係があるのかどうかで使い分けされています。また、肉体関係があれば法律上の「不貞行為」に該当します。

配偶者の不貞行為が発覚したら、弁護士への相談・依頼がおすすめです。弁護士に相談すれば、慰謝料請求をするための証拠収集についてアドバイスをしてくれたり、実際に依頼すれば示談交渉や訴訟手続きなどに対応してくれたりします。

その結果、精神的なストレスを軽減しつつ、適正な慰謝料を請求できるでしょう。

配偶者に不倫・浮気されたという事実に、大きなショックと怒りでどうしたらいいかわからなくなってしまうかもしれません。

まずは冷静になり、「離婚弁護士ナビ」で不倫慰謝料の請求が得意な弁護士を探して、相談することをおすすめします。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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