大麻所持で逮捕されても不起訴にできる?不起訴になる条件と弁護士の役割

大麻所持で逮捕されても不起訴にできる?不起訴になる条件と弁護士の役割

大麻所持は罰金刑だけで済むことはなく、起訴され実刑になった場合は最大で7年間の懲役になります。

一方で、大麻所持は不起訴になるケースも多く、令和3年では50.6%が不起訴になっています。

不起訴になれば前科がつくこともないので、就職や海外旅行に制限がかかることもありません。

それでは、大麻所持で不起訴になるのは、一体どのようなケースなのでしょうか。

本記事では、大麻所持で不起訴になる事例や、大麻所持で逮捕されてしまった場合の対処法についてわかりやすく解説します。

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この記事を監修した弁護士
春田 藤麿弁護士(弁護士法人春田法律事務所)
「お客様の期待を上回る結果を目指す」「生涯にわたり、お客様のパートナーとなる」ことを理念とし、2016年に設立。現在は全国にオフィスを構え、個人・法人を問わず、ニーズに合わせたサポートを提供。

そもそも大麻の所持・使用は違法?

そもそも大麻とは麻科の植物で、日本では各地で自生しています。

衣類や調味料の原材料として古くから馴染みがあり、医療の現場では薬としても利用される場合もあります。

その中でも、一般的に大麻といわれているものは、大麻草から作成された違法薬物のことです。

幻覚・幻聴や意識傷害を起こし、その高い有害性から違法薬物として扱われています。

衣類や薬にも利用されているなかで、一体どのようなケースだと違法になってしまうのでしょうか。

所持と使用の2つの観点で解説していきます。

大麻の所持は違法

特別な許可を受けた大麻取扱者の免許を受けている者でなければ、大麻の所持・栽培や譲渡は違法となります。

大麻取締法第三条の一項では、以下のように記載されています。

第三条 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。

引用元:大麻取締法 | e-Gov 法令検索

個人の嗜好品としての利用や販売目的にあたるような行為を目的としている場合、所持や栽培はできないということです。

また、所持とは単にポケットに入っている状態だけでなく、自宅の机の引き出しに入れていた場合や車のトランクルームに入れていた場合など、自分が管理している状態になっていることを指します。

そのため、自分の所有物として大麻が存在していること事態が違法といえます。

使用も合法という訳ではない

大麻の使用を制限する法律がないと説明されることが多々ありますが、使用が合法という訳ではありません。

先ほどの大麻取締法麻取締法には、次のような記載があります。

第二十四条の三 次の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役に処する。

一 第三条第一項又は第二項の規定に違反して、大麻を使用した者

引用元:大麻取締法 | e-Gov 法令検索

大麻を所持することなく、使用することはほぼ不可能なため、使用と所持はセットで逮捕・起訴されるのが一般的です。

つまり、大麻を使用した場合であっても、罪に問われる可能性が高いといえるでしょう。

大麻事件の不起訴率はおおよそ50%

令和3年のデータによれば、大麻による事件の起訴率は約50%です。

初犯であったり、所持量が0.5g未満と少量の所持の場合や改善の余地が見られる場合は、不起訴になる傾向があります。

ただし、初犯であっても、営利目的の所持であったり、本人に反省の様子が伺えない場合や依存傾向が強い場合には、起訴されてしまう可能性が高いでしょう。

参照:令和3年犯罪白書

また、起訴の手前の段階である逮捕については、約60%が身柄を拘束されています。

大麻や吸引器具は、小さく、証拠隠滅も比較的簡単にできてしまいます。

また、被害者や密売人が口裏を合わせてしまうことも可能なので、逮捕に踏み切ることが多い傾向にあります。

そのため、逮捕されなかった40%は疑いがあったが見つからなかったケースがほとんどであり、所持が確認された場合は、ほぼ確実に逮捕されてしまうと考えてよいでしょう。

参照:検察統計

大麻所持で不起訴になるのはどんなとき?

大麻で不起訴になるのはどのようなケースなのでしょうか。

具体的な例を3つ紹介します。

所持している量が少ない。初犯である

所持していた量が少量の場合は不起訴になりやすい傾向があります。

必ずしも少量であれば悪質性が低いという訳ではありませんが、所持量が少ない場合は起訴されたとしても軽い刑罰で済むことが多めです。

具体的な基準はありませんが、所持していた量が0.5g未満であれば不起訴になる可能性が高いでしょう。

また、初犯の場合も同様に悪質性や習慣性が低いため、逮捕されても起訴されずに済むことが多いでしょう。

もっとも、上述のとおり、初犯で大麻の所持量が0.5g未満であったとしても、本人に反省の態度が伺えない場合や依存傾向があると判断された場合には起訴されるリスクは高くなっていきます。

大麻が見つからず証拠不十分になった

大麻栽培の疑いをかけられて家宅捜索されても、大麻が見つからなければ証拠不十分で逮捕や起訴することは難しいです。

また、譲渡の場合も同様で、仮にほかの売人や買った顧客からの通報があったとしても、大麻の所持が確認できなければ起訴される可能性は極めて低いでしょう。

共同所持の疑いで非がなかった場合

共同所持とは、2人以上で共同して大麻を所持しているケースのことです。

大麻の共同所持が認められるには①大麻を管理・支配していること②大麻の存在を認識していることが認められる必要があります。

そのため、共同所持であっても、検察官が、自分が犯行の主体であることを立証できなければ不起訴になるケースが多いです。

たとえば、同居人が大麻を所持していた場合、本人がその存在を知らなかったり、大麻であることを知らなかった場合は、不起訴になる可能性が高いです。

反対に、それが大麻であることを知っていながら自宅や身の回りに保管している場合や他人が所持する大麻を自由に使用したり処分できたりできる状態にあった場合には逮捕・起訴される可能性が高いでしょう。

起訴された場合は実刑?それとも執行猶予はつく?

大麻所持の場合、初犯であれば起訴されたとしても執行猶予付きの判決になる傾向があります。

令和3年の犯罪白書によると、大麻取締法違反によって実刑判決を受けた方の割合は11.4%です。

これは、初犯に限ったものではありませんが、起訴された方の約9割は執行猶予つきの判決になっています。

大麻の初犯率が78.1%と高めであることを考えると、比較的悪質性の低い初犯であれば高い確率で執行猶予がつくといっていいでしょう。

ただし、初犯であっても必ず執行猶予がつく訳ではありません。

所持していた量や反省しているかどうかなど総合的に判断されるということを覚えておきましょう。

参照:令和3年犯罪白書令和3年における組織犯罪情勢

起訴されたときの量刑は?

営利目的なし所持・譲渡・譲渡受け5年以下の懲役
栽培・輸入・輸出7年以下の懲役
営利目的あり所持・譲渡・譲渡受け7年以下の懲役

 

もしくは7年以下の懲役と

200万円以下の罰金

栽培・輸入・輸出10年以下の懲役

 

もしくは10年以下の懲役と

300万円以下の罰金

大麻所持の場合は懲役刑か罰金刑との併科のみで、罰金刑だけで済むことはありません。

基本的には単純に所持しているよりも、栽培や輸出入、営利目的があった場合に罪が重くなっていきます。

大麻で不起訴になるにはどうしたらいい?

大麻は重大な犯罪ではあるものの、初犯であったり所持している量が少量だったりする場合は不起訴や起訴猶予になることもあります。

起訴猶予とは、犯罪を起こしていることが明らかであっても、裁判をするまでもないと検察官が判断して起訴しないことです。

不起訴や起訴猶予になれば前科がつくことはないので、就職や海外渡航で悪影響が出ることもありません。

不起訴や起訴猶予を獲得するには悪質性や再犯の可能性がないことを主張することや、情状酌量を訴えることが重要です。

そのためには真摯に罪と向き合いつつ、弁護士や家族のサポートを受けるのがよいでしょう。

大麻で不起訴を目指すなら弁護士に相談しよう

不起訴を目指すなら弁護士に相談するのがよいでしょう。

弁護士に依頼すべき理由は次の3つです。

取り調べや捜査で不利にならないようサポートしてくれる

大麻で逮捕された場合、まずは警察が身柄を拘束し警察から取り調べを受けます。

その間は、家族や知り合いと面会はできません。

慣れない取り調べのなかで自分に不利な供述をしてしまったり、場合によっては取り調べの誘導にのってありもしない証言をしてしまうことも考えられます。

裁判に発展した際、取り調べで作成された供述調書は証拠として扱われるため慎重に対応することが重要です。

弁護士に相談すれば、取り調べへの対応方法や今後の方針を相談できるため、より有利に物事を進められるようになります。

逮捕されたら当番弁護士と面談できるようすぐに警察に依頼しておくとよいでしょう。

早期の釈放に期待ができる

逃亡や証拠隠滅の可能性が低かったりする場合には、勾留による身柄拘束から釈放されることもあります。

その場合、自分よりも第三者である弁護士から勾留に対する準抗告といった手続きや、起訴後であれば保釈の手続きをしてもらう方が効果的です。

また、そのためには日々の取り調べに誠実に対応したり、勾留中の生活態度も真面目で反省の様子が伺えるよう過ごすことも重要です。

弁護士が更生プランや贖罪寄付を提案してくれる

贖罪寄付とは、刑事事件において被疑者が反省の意を表すためにおこなう募金活動のことです。

とくに薬物事件は被害者となる相手がいないため、何か償いたいと思った場合はこのような寄付を活用するのが一般的です。

必ずしもこれによって反省の気持ちを汲んでくれる訳ではありませんが、罪に対して償いの気持ちがあるのであればこういった方法をとることで反省していることをアピールするのがよいでしょう。

そのためには弁護士と相談し、いつ・いくらくらい寄付金を入れるのがよいのかを相談するのがおすすめです。

まとめ

大麻所持は重大な犯罪ですが、日本での起訴率は50%と半分近くは不起訴になっています。

初犯の場合や、情状酌量の予知があるなど、悪質性が低い、今後の改善が見込める場合などであれば、不起訴になり前科がつくこともありません。

ただし、重要なことは、弁護士にサポートをお願いし、誠心誠意罪を償うことです。

罪から逃れようとするのではなく、きちんと罪と向き合いどう対処していくかが不起訴になるための大事なポイントです。

そして、不起訴や執行猶予を獲得した場合は、二度と薬物に手を出さないよう治療を受けたり、生活態度を変えることも重要といえるでしょう。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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