その他刑事事件
恐喝罪で逮捕されたらどうなる?無料相談できる窓口と弁護士に依頼するメリット
2024.02.13
副業としても人気の「転売」は、原則として適法であるものの、具体的な事情によっては犯罪に当たる場合があるので要注意です。
転売行為については、さまざまな刑罰法規が適用される可能性があります。
転売ビジネスを営む方は、ご自身の行う転売が何らかの法規制に抵触しないかどうか、弁護士に相談して事前に検討しましょう。
また、万が一転売関連の犯罪で逮捕されてしまったら、すぐに弁護士へご相談ください。
今回は、転売に関する犯罪のパターン・罰則・逮捕を回避するためのポイント・逮捕後の手続きなどを解説します。
転売に対しては、
「本当に欲しい人へ行き渡らないようにしている」
「利ざやを抜いている」
などと悪いイメージを持っている方も多いです。
しかし、「安く買って高く売る」というのは商売の大原則であり、それ自体が悪というわけではありません。
法的にも、転売は仕入先からの購入・譲渡先への売却という2本の売買契約から成り立っており、本質的に違法性のある取引ではありません。
ただし、一部の転売行為については例外的に違法とされています。
副業などとして転売に取り組む際には、適法な転売と違法な転売を明確に区別した上で、違法な転売に手を染めないことが大切です。
以下の転売行為は犯罪に当たり、刑事罰の対象になり得るので注意が必要です。
営業として転売をおこなうことは「古物営業」に該当し、都道府県公安委員会から許可を受けなければなりません(古物営業法第3条)。
「営業」とは、反復継続しておこなうことをいいます。
したがって単発の転売であれば古物営業の許可は不要ですが、何度も転売を繰り返して利益を得ようとする場合は、古物営業の許可が必要となります。
無許可での古物営業は違法であり、刑事罰の対象です。
「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(通称:チケット不正転売禁止法)では、日本国内で開催される芸術・芸能・スポーツのイベントチケットについて、不正転売を禁止しています。
対象となる国内イベントのチケットは、興行主の事前同意を得ずに、定価を超える価格で転売してはいけません(チケット不正転売禁止法第3条)。
不正転売をした場合は、刑事罰の対象となります。
いわゆる「ダフ屋行為」に当たる転売は、各都道府県の迷惑防止条例によって禁止されています。
「ダフ屋行為」とは、公共の場で不特定多数の者からチケットを仕入れたうえで、それを不特定多数の者に転売する行為です。
通行人の不安や不快感を煽り、治安の悪化に繋がり得るため、ダフ屋行為は迷惑防止条例によって禁止されています。
ダフ屋行為をした場合、各都道府県の迷惑防止条例によって刑事罰が科される可能性があります。
転売禁止の条件が付されている商品を、転売目的を秘して購入する行為は、売主を騙して商品を詐取するものとして「詐欺罪」に当たる可能性があります(刑法第246条1項)。
売主が提示する代金を支払った場合でも、詐欺罪が成立し得るので要注意です。
販売について許認可の取得が必要とされている商品については、必要な許認可を取得せずに転売すると刑事罰が科される可能性があります。
たとえば酒類の販売業をしようとする者は、所轄税務署長の免許を受けなければなりません(酒税法第9条1項)。
医薬品等の販売業をしようとする者は、薬機法に基づく厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。
許認可を取得して本格的にブローカービジネスを営む場合は別として、一般的な副業として転売を行う際には、販売業が許認可の対象となっている商品を避けなければなりません。
参考:せどりが違法になる5つのケースとは?転売との違いや事業者とトラブルになる例を解説 – 不正検知Lab
各法律に違反する転売をした場合、以下の刑事罰が科される可能性があります。
古物営業法違反(無許可での古物営業) | 3年以下の懲役または100万円以下の罰金(古物営業法第31条1号) |
チケット不正転売禁止法違反 (国内イベントチケットの定価を超える価格による転売) | 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(チケット不正転売禁止法第9条1項) |
迷惑防止条例違反(ダフ屋行為) | 各都道府県の条例による ※東京都の場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第8条1項1号) |
詐欺罪 (転売禁止の商品を、転売目的を秘して購入する行為) | 10年以下の懲役 |
酒税法違反(無許可での酒類の転売) | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
薬機法違反(無許可での医薬品等の転売) | 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(薬機法第84条) |
違法転売による逮捕や起訴を避けるためには、以下のポイントに十分留意した上で、取り扱う商品などについて事前に法的な検討をおこないましょう。
転売ビジネスを行う際には、法律上問題ない転売と違法な転売を、適切に区別できることが必要不可欠です。
そのためには、転売に関する法規制を正しく理解しなければなりません。
弁護士や同業者などから情報収集をおこない、法規制の知識を増やしてから転売ビジネスに取り組みましょう。
実際に転売する予定の商品などについては、特に具体的な法的検証をおこなう必要があります。
どのような法規制が適用されるのか、法規制を遵守するために必要な対応は何なのかなどを、よく調べてから転売ビジネスへ着手しましょう。
転売行為に適用され得る法規制は幅広く、全体像を正しく理解するのは大変です。
法規制に関する理解が曖昧なまま転売ビジネスをおこなうと、何かのきっかけで違法転売が発覚し、捜査機関による取調べなどの対象になる可能性が否めません。
そのため、疑問点や不安な点があれば弁護士へ相談しましょう。
転売に関する法規制の全体像に加えて、具体的に想定している転売についての注意点などについてもアドバイスを受けられます。
違法転売の疑いをかけられて逮捕された場合、以下の流れで刑事手続きが進行します。
逮捕による身柄拘束は、最長72時間と決められています(刑事訴訟法第205条2項)。
72時間経過時点で勾留状が発せられなければ、被疑者は釈放されます(刑事訴訟法第207条5項)。
逮捕期間中は、警察官と検察官による取調べがおこなわれます。
被疑者には黙秘権が認められているため、取調べに対しては、回答してもしなくても構いません。
罪証隠滅または逃亡のおそれがあるため、被疑者の身柄を引き続き拘束すべきと判断した場合、検察官は裁判官に対して勾留を請求します。
裁判官は勾留の理由と必要性の有無を検討し、いずれも認められると判断した場合には、勾留状を発します(刑事訴訟法第207条1項、60条1項)。
裁判官により勾留状が発せられた場合、被疑者の身柄拘束は延長されます。
勾留期間は勾留状で定められ、当初は最長10日間です(刑事訴訟法第208条1項)。
ただし、原則として1回に限り、最長10日の勾留延長が認められています(同条第2項)。
したがって、勾留期間は最長20日間です。
逮捕から勾留への移行後も引き続き、警察官と検察官による取調べがおこなわれます。
検察官は、取調べを含む捜査の結果を踏まえて、被疑者について以下のいずれかの処分をおこないます。
裁判所に対して、正式裁判(公判手続き)の開催を求める処分です。公判手続きは公開法廷でおこなわれます。
簡易裁判所に対して、略式命令により被疑者に刑罰を科すことを求める処分です(刑事訴訟法第461条)。
略式命令は書面審理のみで、非公開でおこなわれます。
略式起訴ができるのは、100万円以下の罰金または科料を求刑する場合であって、かつ被疑者の書面同意があるときに限られます。
被疑者を起訴せず、刑事手続きを終了させる処分です。
検察官が嫌疑なしまたは嫌疑不十分と判断した場合のほか、社会における更生が相当であると判断した場合にも、不起訴処分がおこなわれることがあります(起訴猶予)。
被疑者が起訴された後は、正式起訴の場合は公判手続きへ、略式起訴の場合は略式手続きへと移行します。
正式起訴された被告人(起訴後は被疑者から被告人へ呼称変更)は、引き続きその身柄が拘束されます。
起訴後勾留への移行後は、裁判所に対する保釈請求が認められます(刑事訴訟法第89条、90条)。
正式起訴から約1ヵ月後に公判手続きが開催されます。
検察官はすべての犯罪要件を立証し、被告人はそれに反論します。
被告人の方針は、罪を認めて情状のみを争うか(=自白事件)、犯罪事実を否認するか(=否認事件)の2つに大別されます。
公判手続きの審理が熟した段階で、裁判所は判決を言い渡します。
判決に対しては、控訴・上告が可能です。
簡易裁判所が書面審査をおこない、略式命令で量刑などを告知します。
正式起訴された場合とは異なり、被告人の裁判所への出頭は不要です。
略式命令に不服がある場合は、告知日から14日以内に限り、裁判所に対して正式裁判を請求できます(刑事訴訟法第465条1項)。
判決または略式命令で有罪が確定した場合には、被告人に対して刑が執行されます。
ただし、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金については、執行猶予が付される場合もあります(刑法第25条1項)。
違法転売について警察に取調べを求められた場合は、弁護士への相談をおすすめします。
違法転売の弁護を弁護士に依頼する際には、主に以下の費用がかかります。
「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考に、各弁護士費用の目安額(いずれも税込)を紹介します。
実際の費用は弁護士が自由に決めているので、依頼前に必ず弁護士へご確認ください。
相談料は、正式に弁護活動を依頼する前の法律相談について支払います。
30分当たり5,500円程度(税込)が標準的ですが、無料相談ができる弁護士も数多く存在します。
着手金は、違法転売に関する弁護活動を正式に依頼する際に支払います。
原則として一括払いですが、経済的に困難な事情がある場合は、弁護士に相談すれば分割払いが認められることもあります。
<違法転売の刑事弁護に関する着手金額の目安>
起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件 (一審・上訴審) | 22万円~55万円 |
上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件 (一審・上訴審) 再審事件 | 22万円~55万円以上 |
※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。
報酬金は、弁護士による違法転売の弁護活動が終了した際に、事件処理の結果に応じて支払います。
<違法転売の刑事弁護に関する報酬金額の目安>
起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審) | <起訴前> 不起訴:22万円~55万円 求略式命令:不起訴の報酬金額を超えない額
<起訴後> 刑の執行猶予:22万円~55万円 求刑された刑が軽減された場合:刑の執行猶予の報酬金額を超えない額 |
上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審) 再審事件 | <起訴前> 不起訴:22万円~55万円以上 求略式命令:22万円~55万円以上
<起訴後> 無罪:55万円以上 刑の執行猶予:22万円~55万円以上 求刑された刑が軽減された場合:軽減の程度による相当額 検察官上訴が棄却された場合:22万円~55万円以上 |
※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。
日当は、弁護士の出張について発生します。
刑事弁護に関しては、たとえば逮捕された際の接見や公判手続きへの出席について日当が発生する場合があります。
<違法転売の刑事弁護に関する日当額の目安>
半日(往復2時間超4時間以内) | 3万3,000円以上5万5,000円以下 |
一日(往復4時間超) | 5万5,000円以上11万円以下 |
転売ビジネスについてわからないことがある場合や、あるいは警察に違法転売に関する取調べを求められたといった場合には、速やかに弁護士へ相談しましょう。
相談できる弁護士に心当たりがない方は、「ベンナビ刑事事件」を活用するのが便利です。
地域や相談内容に応じて弁護士を簡単に検索し、電話やメールで直接の問い合わせができます。
無料相談を受け付けている弁護士も多数登録されていますので、転売ビジネスに関する疑問点やトラブルを抱えている方は、「ベンナビ刑事事件」を通じて弁護士にご相談ください。
【参考】
・転売ヤーは違法?モラル上の問題点や法律に抵触する行為を解説 | 物販ラボ
・【必見】メルカリで転売をするのは違法?3つのケースや注意すべきポイントを解説 | ワンダフルワイフブログ