リベンジポルノを削除するには？投稿削除の流れや相談窓口を解説

復讐目的で元恋人や元配偶者の性的な画像や動画をインターネット上に公開するリベンジポルノは、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律（通称、リベンジポルノ防止法）によって禁止されている犯罪です。

リベンジポルノは重大な権利侵害行為であるため、サイト管理者に削除依頼を出せば当該記事や投稿を削除してもらうことが可能です。

この記事では、リベンジポルノの被害に遭っている方に向けて、画像や動画を削除するための方法、リベンジポルノに関する相談先、元データを削除するためのポイント、削除に時間がかかってしまった場合のリスクなどについて解説します。

この記事を読んで、リベンジポルノの画像や動画を削除するためにできることを理解しましょう。

この記事を監修した弁護士

春田　藤麿弁護士（弁護士法人春田法律事務所）

「お客様の期待を上回る結果を目指す」「生涯にわたり、お客様のパートナーとなる」ことを理念とし、2016年に設立。現在は全国にオフィスを構え、個人・法人を問わず、ニーズに合わせたサポートを提供。

法律事務所のプロフィールを見る

リベンジポルノの画像や動画の削除方法｜3つの手段

リベンジポルノの被害に遭っている場合は、その写真や動画を掲載しているWebサイトやSNSなどの運営会社に削除依頼を出す必要があります。

また、送信防止措置依頼書の送付や、削除仮処分命令の申立てなどでも削除することができます。

ここでは、リベンジポルノの写真や動画などを削除するための方法について解説します。

①サイト管理者に削除依頼を出す

一般的にネット掲示板やSNSなどには、削除依頼を受け付けている専用フォームや連絡先が用意されています。まずはこれらを使い、リベンジポルノをされている記事や投稿を削除するよう依頼を出すとよいでしょう。

リベンジポルノや規約違反に該当していると判断された場合は、数日程度で当該記事や投稿などが削除されます。

②サイト管理者に送信防止措置依頼をおこなう

ネット掲示板やSNSなどに削除依頼を受け付けている専用フォームや連絡先が用意されていない場合、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置依頼をおこなうのもひとつの方法です。

送信防止措置依頼書に必要事項を記入し、サイト管理者に提出すれば、サイト管理者が投稿者に対して意見照会などをしてくれ、削除するかどうかを判断してくれます。

なお、意見照会や事務処理に時間がかかるため、削除するまでに1ヵ月程度の期間がかかってしまいます。

③裁判所に削除仮処分命令の申し立てをおこなう

裁判外での削除依頼でリベンジポルノの写真や動画を削除できなかった場合、裁判所に対して当該記事や投稿を削除するための仮処分命令の申立てをおこないましょう。

仮処分命令の申立てをしてから、裁判所での審尋（面談）を受けたり、担保金を納めたりすることで、裁判所から当該記事や投稿を削除するよう命令が出されます。

これによりサイト管理者は基本的に投稿や記事を削除してくれます。なお、発令までに通常1～2ヵ月程度かかります。 

リベンジポルノは第三者に削除依頼することもできる

リベンジポルノの画像や動画の削除は、弁護士、セーファーインターネット協会、警察などに依頼することも可能です。

ここでは、それぞれの相談先のメリットやデメリットなどについて解説します。

弁護士｜一刻でも早く削除してほしい・加害者を訴えたい場合

リベンジポルノの写真や動画を迅速に削除したいなら、インターネットトラブルが得意な弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

弁護士であれば、任意削除と裁判手続きの両方に対応できますし、加害者の特定や損害賠償請求を依頼することも可能です。

ただし、ほかの相談先と異なり、有料である点はデメリットといえるでしょう。

セーファーインターネット協会｜無料で削除してほしい場合

セーファーインターネット協会が提供している「セーフライン」に相談することで、国内外のサイト管理者に対して違法情報（リベンジポルノに該当する画像・動画）を削除するよう要請を出してくれます。

「専用フォーム」にURLや情報のジャンルなどを入力し、送信するだけで、当該記事や投稿を削除できる可能性があります。

警察｜削除だけでなく逮捕に向けて動いてほしい場合

平成26年にリベンジポルノ防止法が施行されたため、リベンジポルノについて刑事告訴すれば刑事事件として立件される可能性があります。
また、警察は「サイバー犯罪相談窓口」や「性犯罪被害相談電話」も設置し、リベンジポルノに関する相談を積極的に受け付けています。

処罰を求めるなら、最寄りの警察に相談するとよいでしょう。

リベンジポルノの元データを削除するためのポイント

リベンジポルノの写真や動画は、発見次第できる限り早く削除するのが重要です。

しかし、投稿された写真や動画を削除できたとしても、相手が元データを持っている限りリベンジポルノが繰り返される恐れがあります。

そこで、リベンジポルノを確実に削除するためのポイントについて確認しましょう。

リベンジポルノの被害に遭った証拠を保存しておく

リベンジポルノの写真や動画の削除依頼を出す前には、被害に遭った証拠を必ず保存しておきましょう。

被害に遭った証拠は、加害者を特定して示談交渉をしたり、刑事告訴をしたりする際に必要になります。

パソコンやスマートフォンなどのスクリーンショットで問題ありませんが、必ずURLが全てわかる状態で保存する必要があります。

元データの削除を含めた示談交渉をおこなう

発信者情報開示請求などで加害者を特定できたら、元データや複製したデータの削除を含めた示談交渉をおこないましょう。

そして「データを完全に削除する旨の規定」や「再びリベンジポルノに及んだ場合の損害賠償に関する規定」を設けた示談書を作成させ、実際に目の前で当該データの削除までさせることで、リベンジポルノの再発防止が期待できます。

なお、示談交渉が難航する可能性もあるため、示談交渉をする際は弁護士への依頼を検討するほうがよいでしょう。

リベンジポルノの削除が遅れてしまった場合のリスク

リベンジポルノの写真や動画は発見次第、できる限り早く削除するのが重要です。

削除が遅れると、別のサイトに転載されたり、出会い系サイトで悪用されたりするなど、被害が大きくなってしまう可能性があります。

ここでは、リベンジポルノの削除が遅れてしまった場合のリスクについて確認しましょう。

拡散・転載されて完全な削除が難しくなる

リベンジポルノの性的な写真や動画は、ネット掲示板やSNSなどで拡散されやすいため、時間がかかると完全な削除が困難になってしまいます。

また、一度インターネット上に投稿されると、それを見た誰かが写真や動画を保存している可能性もあります。

その結果、写真や動画を一時的に削除できたとしても、別のサイトに転載されるリスクが大きくなります。

周囲に知られて日常生活に支障が生じる

ネット掲示板やSNSなどにリベンジポルノの写真や動画が投稿された場合、それを身近な人が見てしまう可能性もあります。

その結果、変な噂が立ったり、いわれのない差別を受けたりと人間関係によくない影響が生じてしまうかもしれません。

また、写真や動画に顔が写っている場合、身元を特定されてしまい嫌がらせ行為を受けるリスクもあります。

リベンジポルノの削除に関するよくある質問

最後に、リベンジポルノの削除に関するよくある質問・疑問に回答します。

Q.リベンジポルノの被害に遭う前でも画像や動画を削除できる？

元恋人や元配偶者に性的な写真や動画を撮影された場合、その写真や動画を削除するよう本人に依頼することは可能です。

しかし、写真や動画を処分する権利は相手にあるため、削除してくれるかどうかは相手次第となります。

また、相手に直接依頼すると「写真をインターネットに晒すぞ」、「削除する代わりに×××しろ」などと脅迫・強要される可能性もあるので注意が必要です。

リベンジポルノで困っているなら、まずはインターネットトラブルの解決が得意な弁護士に相談することをおすすめします。

Q.Googleの検索結果からリベンジポルノのURLを削除するには？

Google検索の結果から自分のポルノ画像を削除したい場合は、Googleヘルプセンターから通報するのがおすすめです。

同意がない性的コンテンツは「同意のない、露骨なまたはわいせつな個人的画像を Google から削除する」というページから削除リクエストを申請できます。

「削除リクエストを開始する」ボタンを押して手続きをしましょう。

さいごに｜リベンジポルノの被害に遭ったら弁護士に相談を

リベンジポルノは犯罪行為であり、重大な権利侵害行為であるため、多くはネット掲示板やSNSなどの運営会社に削除依頼を出せば削除されます。

しかし、削除に時間がかかったり、リベンジポルノが繰り返されたりする可能性もあります。

そのため、リベンジポルノの被害に遭ったら、まずは弁護士や警察などに相談するのが重要です。

特に警察が受け付けてくれない場合は、インターネットトラブルが得意な弁護士に相談することをおすすめします。

この記事の調査・編集者

アシロ編集部

本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。