名誉毀損は事実でも成立する?要件・具体例・加害者への対応を解説

名誉毀損は事実でも成立する?要件・具体例・加害者への対応を解説

名誉毀損には構成要件があり、指摘内容が真実でも嘘でも成立する可能性があります。

判断するには法律への深い知見が必要となる場合もあり、その際は弁護士へ相談・依頼することをおすすめします。

この記事では、名誉毀損の成立条件のほか、名誉毀損された場合の対処法などを解説します。

【注目】事実だけど…これって名誉毀損?とお悩みの方へ

ネット上での誹謗中傷に対して「確かに事実だけど名誉毀損にならないの…?」と悩んでいませんか。

結論からいうと、名誉毀損が成立するかを判断するには、法律への深い知見が必要なため、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 名誉毀損が成立するかどうかがわかる
  • 加害者に請求できる損害賠償の金額がわかる
  • 依頼すれば、投稿削除や身元特定等の手続きを一任できる
  • 損害賠償や刑事告訴する場合もサポートしてくれる

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この記事を監修した弁護士
春田 藤麿弁護士(弁護士法人春田法律事務所)
「お客様の期待を上回る結果を目指す」「生涯にわたり、お客様のパートナーとなる」ことを理念とし、2016年に設立。現在は全国にオフィスを構え、個人・法人を問わず、ニーズに合わせたサポートを提供。

名誉毀損は内容が事実であってもなくても成立する

刑法では「その事実の有無にかかわらず」と記載があることから、誹謗中傷の内容の真偽について直接は問われません。

(名誉毀損)

第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法 | e-Gov法令検索

このことから、「本当のことを言っただけ」「冗談だから問題ない」といった主張は、名誉毀損の成否には通用しないといえます。

ただし、公共性のある事柄、かつ公益目的によるものである事実につき、真実であることの証明があった場合には、名誉毀損に値するような行為であったとしても、違法性が否定されることもあります(刑法第230条の2第1項)。

名誉毀損が成立するための条件

ここでは、名誉毀損が成立するための条件についてそれぞれ解説します。

人の社会的評価が下がり得るような内容であること

「名誉を棄損する」という場合の名誉とは、「人の社会的評価」を指しますので、通常社会的評価を害するに足りる行為があればこの要件を満たします。

なお、「社会的評価を害する」内容についての具体的な基準はありません。

社会通念上、一般的にその人の社会的評価および評判が下がり得ると判断できるような内容であれば該当するといえます。

たとえば、「家族に対して暴力を振るっている」「会社の上司と不倫関係にある」などといった、事実や不貞行為などは、一般的に後ろめたい事柄とされています。

このような事実や不貞行為に対して、具体的事実を踏まえて指摘した場合、社会的評価を害する行為と認められる可能性が高くなると考えられます。

なお、誹謗中傷の内容が事実であるかどうかにかかわらず、名誉毀損は成立する余地があります。

不特定多数の方がいる状況で発信していること

指摘した事項が、不特定もしくは多数の方に広がっていく状態になることもまた、名誉毀損の成立要件として必要となります。

たとえば、周囲に大勢の方がいる職場や教室のほか、一斉送信メールを使って名誉を傷つけられた場合、誰もが閲覧できるSNSなどの書き込みによって名誉を傷つけられた場合も「公然」の要件に該当します。

具体的な事実を挙げていること

「事実の適示」とは、指摘した内容が感想や評価ではなく、その真偽を確かめることができる状態をいいます。

なお、指摘した内容の方法・手段には制限がないものと解釈されることから、対面での発言やメール、SNSや掲示板などへの投稿も含みます。

名誉毀損が成立しない場合の条件

ここからは、名誉毀損が成立しない場合の条件についてそれぞれ解説します。

社会的利益につながるような内容であること

社会的利益につながるような内容とは、具体的に挙げた事実が公共性のある情報であることを指します。

一例として、政治家のスキャンダルなどといった事実は、有権者が投票の可否を判断する材料にもなります。

このことから、社会的利益につながるものであるといえます。

対して、著名人の不祥事に関する事実については、本人の私情が公共性のあるものとはいえず、事実の公共性が認められないケースがあると考えられます。

上記に挙げた例のように、事実に公共性が認められるか否かは、当該事実が社会的利益につながるかどうか、当該事実が多数の国民の正当な関心事といえるかどうかがポイントになるでしょう。

社会的利益を目的に発信していること

社会的利益(公益)を目的とした発信とは、事実が社会的利益を実現することを目的としていることを指します。

個人的な恨みといった、図利加害目的(不正の利益を得る目的またはその保有者に損害を加える目的)による行為である場合、たとえ事実に公共性があったとしても名誉毀損の責任を問われます。

例えば、個人的に恨みのある者に対し、過去の不祥事を知らしめるようなメールを被害者の勤務先に送信したり、ネット上に個人間で起こったトラブルにまつわる書き込みをする行為などは、私怨を晴らす目的があるものもしくは相手を害するものとして、責任を免れることは厳しいでしょう。

しかし、指摘した具体的な事実に関して公共性が十分にあると認められれば、例に挙げた言動は社会的利益を目的とした発信であると認められるケースもあります。

内容が真実である・真実だと信じられるだけの理由があること

名誉毀損が成立しない条件として、具体的な事実に対する公共性や公益性の高い事実であるほか、事実が真実でなければなりません。

そのため、どれだけ公共性の高い事実であると訴えたところで、さらにそれが虚偽の内容であった場合には免責される余地はないといえます。

しかし、加害者が真実であると信じるに足りる相当な理由があると判断された場合には、故意による行為ではないということであり、名誉毀損罪は成立しないと考えられます(※名誉毀損罪は故意犯であることから、過失は不処罰となる)。

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名誉毀損が成立するケース・成立しないケース

ここでは、名誉毀損が成立しうるケースおよび成立しないと考えられるケースについて、具体例を交えながら解説します。

名誉毀損が成立するケース

社会的評価を低下させる恐れのあるネット上での誹謗中傷

名誉毀損は、被害者の社会的評価を低下させる恐れのある事実に基づくものであることが必要となります。
過去の判例には、下記のようなものがあります。

  • SNS上での誹謗中傷投稿による名誉毀損

漫画家である原告が自身の作成した似顔絵が無断転載されたことを受け、SNSに「全力で潰します。」と投稿。
無断転載をした被告から「殺害予告をされた」という趣旨の投稿を受けたことに対し、名誉毀損が認められた。

【参考】【参考】平成24(ワ)24571 損害賠償等請求事件|裁判所

具体的な事実が社会的評価を低下させる恐れがあるコメントや口コミ

口コミサイトのユーザーにとって、低評価のコメントも有益な情報源となることから、その全てに名誉毀損が成立する事実として扱うことはありません。

ただし、「犯罪歴のあるスタッフが在籍し、客に対して高圧的な態度をとる」といった、具体的な事実が社会的評価を低下させる恐れがあるものに関して、名誉毀損が認められる場合も考えられます

名誉毀損が成立しないケース

誹謗中傷の対象となった個人の特定が難しい

ニックネームやハンドルネームなど、誹謗中傷の対象となった個人の特定が難しい場合、被害者の社会的評価に影響が及ばないと判断し、名誉毀損が成立しないことがあると考えられます。

ただし、特定個人を示すものであると社会的に認知されている芸名やペンネームなどの場合には、名誉毀損が成立するケースも考えられます。

個人を特定できるような情報や写真を晒す

住所や個人名などといった個人を特定できるような情報や個人の容ぼう要等をネット上などに晒された場合、名誉毀損ではなく、肖像権やプライバシーの侵害にあたることがあります。

しかし、個人情報とともに被害者への誹謗中傷が書き込まれている、摘示した事実が社会的評価を低下させる恐れがある場合には、名誉毀損が成立する余地はあると考えられます。

なお、肖像権侵害やプライバシー侵害は、法律上刑事処罰の対象とはなりません。

ただし、刑事上の責任は発生せずとも、民事上の責任を問うことは可能であり、民法第709条の不法行為であることをもとに損害賠償を請求するケースも考えられます。

個人での問題解決が難しいと判断した場合は、弁護士への相談を検討してください。

個人の主観に基づいた口コミやコメント

前述のとおり、口コミサイトのユーザーにとって、低評価のコメントも有益な情報源となることから、その全てを名誉毀損が成立する事実として扱うことはありません。

たとえば、「人気店だという評判にしては、あまり美味しくなかった」「スタッフの接客態度が気に入らなかった」といった、一個人の主観に基づいたコメントは、具体的な事実を摘示しているとはいえず、名誉毀損が成立しないと考えられます。

名誉毀損された場合の対処法

ここからは、ネット上で名誉毀損を実際にされた場合の対処法について、順を追って解説します。

サイト管理者に投稿削除を依頼する

一般的に、多くのサイトでは利用規約に名誉毀損に相当する誹謗中傷の書き込みや投稿を禁止する事項が記載されています。

サイト管理者に対し、利用規約に違反している事実に基づき削除を求めることで、該当する書き込みや投稿を削除してもらいやすくなると考えられます。

なお、削除申請をしたにもかかわらず該当する投稿や書き込みが削除されない場合は、削除の必要性はないと判断された可能性があります。

このような場合には、「裁判(仮処分)」の対応をとるべきケースもあるため、弁護士へ一度相談することをおすすめします。

加害者の身元を特定して損害賠償請求する

誹謗中傷によって名誉毀損の被害を受けた際、加害者に対し損害賠償を請求することが可能です。

金額はその時々で異なりますが、一般的には1万~50万円程度の範囲内で判断されることが多いでしょう。

なお、ネット誹謗中傷の加害者を特定する手続きの流れは、一般的に下記のとおりです。

  1. 名誉毀損の投稿サイトへIPアドレス開示請求をする
  2. (①で開示に応じてもらえなかった場合は)仮処分を申し立てる。
  3. IPアドレスからプロバイダを特定する
  4. プロバイダへ投稿者の個人情報開示請求をおこなう
  5. (④で開示に応じてもらえなかった場合)発信者情報開示請求訴訟を提起する。
  6. 加害者の身元を特定し、損害賠償請求を行う。

しかし、サイトやプロバイダ(ネット事業者)においても個人情報の守秘義務があることから、開示に対し速やかに応じてくれることは稀です。

そのため、多くの場合には裁判での対応が必要となることから、弁護士への依頼をおすすめします。

また、IPアドレスがサイトに保管されている期間は、おおよそ3ヵ月が目安であるとされています。

この期間を過ぎた後は加害者の特定ができなくなる可能性があるため、訴訟をする際は、然るべき手続きを早めに進めるようにしましょう。

2022年10月1日より改正プロバイダ責任制限法が施行されました

この度の改正により、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続きのみでおこなうことができるようになり、被害者側の負担が軽減されるようになりました。

また、ログイン時情報の発信者情報開示請求が、明文で認められるようになりました(※一定の条件あり)。

加害者の身元を特定して刑事告訴する

インターネット上での誹謗中傷が「名誉毀損が成立するための条件」内で述べた3つの要件をすべて満たしている場合、名誉毀損罪が成立するとして刑事告訴する余地があります。

基本的に、摘示した事実が真実であるかどうかは、上記の要件では問われません。

ただし、公共性、公益性があり、事実が真実である場合に関しては違法性が認められず、処罰されない可能性もあります。

なお、名誉毀損罪の法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金と定められています。

名誉毀損のトラブルに巻き込まれた際は弁護士がおすすめ

掲示板やSNSをはじめ、名誉毀損のトラブルに巻き込まれた際には、弁護士に相談するのがおすすめです。

名誉毀損が成立するかどうか判断してくれる

誹謗中傷をされた際、名誉毀損罪にあたるのかを正しく判断するには、法律的な知識・経験を必要とするものです。

弁護士に相談することで、事実をもとに名誉毀損が成立するかどうかを判断してもらうことができます。

投稿削除や身元特定などの手続きを一任できる

被害者が発信者情報開示請求や誹謗中傷された投稿削除をおこなう場合、プロバイダのログ保存期間が限られていることから、期間内で迅速に手続をする必要があります。

ただし、このような手続きを個人で行うことは難しいため、複雑な手続きを弁護士に一任することができます。

損害賠償請求や刑事告訴する場合もサポートしてくれる

名誉毀損による損害賠償請求では、刑事告訴を行うケースも多くあります。

裁判所の手続は法にのっとり行われる厳格かつ複雑な手続きであることから、弁護士に相談することでサポートを受けることができます。

さいごに|名誉毀損のトラブルで弁護士を探すなら「ベンナビIT」

ここまで、名誉毀損の成立条件や、名誉毀損が成立する場合の対処法などを解説してきました。

なお、名誉毀損のトラブルに関して、弁護士に無料相談したいときには「ベンナビIT」がおすすめです。

ベンナビITを通じて、ご自身の悩みにあった弁護士を見つけてみてください。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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