警察は証拠がないと動かない?加害者向けに捜査のきっかけや対処法などを詳しく解説

警察は証拠がないと動かない?加害者向けに捜査のきっかけや対処法などを詳しく解説
  • 「犯罪を犯してしまったが、おそらく証拠は残していないはず」
  • 「証拠がなければ警察は動かないから、大丈夫だろう」

このように考えて、何も対処せずに日々を過ごしていませんか?

確かに、十分な証拠が揃っていなければ警察はすぐに捜査や逮捕に動くとは限りません。

しかし、「証拠がなければ警察は絶対に動かない」というわけではありません。

通報や被害者の証言、周囲からの情報提供などがきっかけで密かに捜査が進められ、ある日突然逮捕されるケースもあるのです。

本記事では、警察が証拠なしで動くことがあるのかどうか、警察の主な証拠収集方法、加害者として取るべき対応について解説します。

逮捕のリスクを少しでも下げたい、不安な状況を解消したいという方は、ぜひ参考にしてください。

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「警察は証拠がないと動かない」というのは間違い!

警察は、証拠が完全に揃っていない場合でも、何らかのきっかけがあれば、事実確認のために捜査を開始する場合があります

ここでは、警察が捜査を開始する主なきっかけを2つ紹介します。

1.通報されれば警察は事件現場に駆けつける

通報があれば、警察は現場に駆けつけ状況を確認します。

通報は被害者本人だけでなく、第三者も可能で、匿名通報も受け付けられています。

通報内容に「いつ・どこで・どのようなことが起きたか」といった具体的な情報が含まれていれば、警察が実際に現場に出向く可能性は高まるでしょう。

ただし、匿名通報の場合、通報者の身元が確認できず、通報者に捜査の結果を伝えられません。

そのため、警察が捜査をおこなうかどうかは、通報内容や現場の状況をふまえて慎重に判断されます。

2.被害届を受理すれば捜査を始める可能性がある

被害者から被害届が提出された場合、被害届の内容に基づき警察が捜査を開始する可能性があります。

被害届とは、犯罪の被害にあったことを捜査機関に知らせるための正式な届け出です。

書面だけでなく、口頭でも提出することが可能で、口頭で申し出た場合には、警察官が内容を聞き取りながら書面にまとめてくれます。

被害届が受理されると、明確な証拠が揃っていなくても、警察は事件の詳細を確認し、犯人の特定に向けた捜査を開始します。

事件性があれば証拠がなくても警察が動く可能性はある

警察は、被疑事件に関する証拠がまだ十分に揃っていない段階でも、事件性が認められれば、さまざまな方法を用いて証拠の収集を進めます

ここでは、警察が実際におこなっている主な証拠収集の手法を紹介します。

1.警察自身が証拠を集められる

警察は、通報や情報提供を受けた時点で必要と判断すれば、自ら積極的に証拠を収集することが可能です。

たとえば、事件発生直後に現場に急行し、以下のような初動対応をおこない情報収集を進めます。

  • 目撃者への聞き取り
  • 防犯カメラ映像の確認
  • 関係者への事情聴取

また、客観性の高い証拠を確保するために、以下のような科学技術を積極的に活用します。

  • デジタルフォレンジック
    スマートフォンやパソコンなどの電子機器に残されたデータを解析し、証拠として活用する
  • DNA型鑑定
    犯行現場に残された血液・毛髪などの微細な痕跡から、犯人を高精度で特定する
  • 指掌紋自動識別システム
    現場に残された指紋・掌紋とデータベース情報を自動照合し、個人を特定する
  • 三次元顔画像識別システム
    防犯カメラなどで撮影された人物の顔画像と、別に取得した三次元顔画像とを照合し、個人を識別する

このように、警察は複数の手法を組み合わせて捜査をおこないます。

そのため、初期段階では証拠が見つからなかった場合でも、後になって決定的な証拠が発見されることも少なくありません。

2.取り調べ中の自白を証拠にできる

刑事事件では、被疑者の「自白」も重要な証拠のひとつとされており、捜査の進行や裁判の結果に大きく影響を与えます。

自白とは、被疑者本人が自分が事件を起こしたと認めることです。

とくに、犯行現場の様子や凶器の隠し場所など、加害者しか知りえない情報が自白の中に含まれている場合には、自白の信ぴょう性が高いと判断される傾向があります。

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警察が動くかどうかにかかわらず加害者が取るべき対応

警察の捜査開始をただ待っているだけでは、事態が悪化してしまうおそれがあります。

そのため、刑事事件を起こしてしまった場合には、「できるだけ早く、かつ適切に」行動することが非常に重要です。

ここでは、少しでも不利益を被る可能性を下げるために加害者がとるべき対応を、主に3つ解説します。

1.自首や出頭などをする

まずは、状況に応じて自首や出頭を検討しましょう。

自首とは、警察などの捜査機関がまだ犯人を特定していない段階で、自ら罪を申告することをいいます。

自首には、以下のようなメリットがあります。

  • 逃亡や証拠隠滅のおそれがないと評価され、逮捕されにくくなる
  • 有罪判決を受けた場合でも、情状面で反省の意思があると判断され、刑罰が軽減される可能性がある

ただし、自首として認められるのは、あくまで警察がまだ加害者を特定していない段階に限られます。

すでに氏名や顔などが判明している場合は「出頭」と扱われ、自首としての法的な効果は得られません。

とはいえ、自分から進んで出頭すること自体が評価されるのは変わりません。

どんなタイミングであっても、早めに動き出すようにしましょう。

なお、自首すべきかどうかについては慎重な判断が求められるため、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

場合によっては自首に同行してもらえることもあるので、判断を仰ぎましょう。

2.被害者がいる場合は謝罪し示談をする

被害者がいる事件では、誠意をもって謝罪し、示談成立に向けた交渉を進めるのが重要です。

示談とは、加害者と被害者が話し合い、被害の補償や謝罪の方法などについて合意することをいいます。

示談が成立していれば、「被害者が加害者の処罰を強く求めていない」と評価されやすく、不起訴処分なる可能性が高まります。

示談の成立に時間がかかる場合もあるので、できる限り早い段階から被害者との話し合いを進めましょう

3.刑事事件が得意な弁護士に相談をする

自首を検討する場合も、示談交渉を進めたい場合も、まずは刑事事件を得意とする弁護士へ相談するのがおすすめです。

弁護士に相談すれば、自首をする際の注意点や準備すべき書類、警察での対応方法などについて具体的なアドバイスを受けられます。

また、自首後の流れや、今後の手続きの見通しも説明してもらえるため、適切に対応しやすくなります。

また、示談交渉についても、弁護士を通じておこなうのが望ましいといえます。

被害者にとって加害者と直接顔を合わせることは大きな心理的負担になり、感情的な対立を深めるリスクがあるからです。

弁護士であれば、被害者の心情に配慮しながら、誠実かつ円滑に示談交渉を進めてくれます。

金銭の支払い方法や示談書の作成など、法的に適切な手続きをとってもらえる点でも安心です。

また、弁護士は警察での取り調べ対応についてもサポートしてくれます。

警察の取り調べの際に発言した内容は、「供述調書」として記録されます。

しかし、弁護士のサポートがないまま取り調べに臨んでしまうと、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

  • 捜査官から強い口調で追及され、精神的に追い詰められてしまう
  • 自分が話した内容とは異なる内容で調書が作成されてしまう

その点、事前に弁護士へ相談しておけば、取り調べにどう対応すべきか、どこまで話すべきかなどについて、的確なアドバイスを受けられます。

証拠とは関係なく警察が動かない可能性が高い3つのケース

警察は証拠がなくても動くことがある一方で、証拠が揃っていてもすぐに動かないケースもあります。

ここでは、警察が動かない可能性が高い3つの代表的なケースを紹介します。

1.事件性がないと判断される場合

警察は証拠が揃っていたとしても「事件性がない」と判断した場合には、捜査をおこなわないのが一般的です。

たとえば、高齢者が自宅で亡くなった場合が一例です。

がんなどの持病があり療養中だった場合や、かかりつけ医が健康状態を継続的に把握していた場合には、外傷や不審な点がなければ「自然死」と判断されることが多くなります。

自然死と考えられる状況であれば、事件性は否定され、捜査が展開されることはありません

2.民事不介入の原則に該当する場合

証拠が揃っていたとしても「民事不介入の原則」に該当する事案については、警察は対応しないのが原則です。

民事不介入の原則とは、警察は私人同士のトラブルといった民事事件には原則として関わらないというルールです。

たとえば、以下のような事案は民事事件と扱われるので、基本的に警察は動きません

  • 知人との金銭の貸し借り
  • 配偶者の不貞行為に関するトラブル
  • 近隣との騒音トラブル
  • 私有地への無断駐車

民事事件であれば、弁護士などに相談して、民事手続きによって解決を図る必要があります。

3.親告罪であるが被害者の告訴がない場合

親告罪に該当する犯罪は、被害者からの告訴がない場合には警察は捜査を進めないのが通常です。

親告罪とは、被害者やその家族など、一定の立場にある人が警察に対して告訴しなければ、起訴ができないとされる犯罪です。

主な申告罪は、被害者のプライバシーや人間関係への配慮が重視される、以下のような犯罪類型です。

  • 親族間の窃盗などの財産犯
  • 器物損壊などの軽微な犯罪
  • 名誉棄損罪や侮辱罪

なお、いったん告訴しても、「起訴前」であれば取り下げが可能ですが、「起訴後」は認められません。

また、親告罪で告訴がないまま起訴された場合、その手続き自体が無効となり、公訴は棄却されます。

さいごに|犯罪をした可能性があるなら弁護士に相談しよう

本記事では、警察は証拠がないと動かないのかどうかについて詳しく解説しました。

たとえ現時点で証拠が見つかっていなくても、警察が捜査を始める可能性は十分あります。

そして、捜査が進んで犯罪の嫌疑が固まれば、ある日突然逮捕されるという事態も起こり得ます

このようなリスクを回避するためには、できるだけ早い段階で刑事事件に強い弁護士に相談することが非常に重要です。

弁護士に相談することで、以下のようなサポートが受けられます。

  • 自首の方法やタイミングに関する具体的なアドバイス
  • 被害者との示談交渉の代理
  • 警察・検察への対応に関するアドバイス

「ベンナビ刑事事件」を利用すれば、相談内容やお住まいの地域に応じて、刑事事件を得意とする弁護士を簡単に探せます。

刑事事件では、対応が早ければ早いほど、不利益な処分を回避できる可能性が高まります。

少しでも不安を感じたら、ひとりで悩まず、早めに弁護士へ相談しましょう。

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監修記事
弁護士法人若井綜合法律事務所 新橋オフィス
澤田 剛司 (東京弁護士会)
【盗撮・風俗店トラブル・痴漢・暴行・傷害・窃盗・援助交際など】幅広い刑事事件に対応してきた経験豊富な弁護士がスピーディーに対応。「どこよりも素早い対応で、どこよりも安心して任せられる」を心がけている。
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アシロ編集部
編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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