- 「性犯罪の被害に遭い誰かに話を聞いてもらいたいけれど、どこに相談してよいかわからない。」
- 「対面で相談するのは恥ずかしい。電話やチャットで相談できる窓口はないか。」
性犯罪の被害に遭ってしまったものの、どこに相談してよいかわからず苦しんでいる方は少なくありません。
相談するのが恥ずかしいと考え、踏み出せないでいる方もいるようです。
そこで本記事では性犯罪被害の悩みについて対面・電話・チャット・匿名で相談できる窓口を紹介しています。
いろいろな特徴の窓口を紹介しているので、希望にあう窓口を見つけられることでしょう。
自分にあう窓口が見つかったら、まずは連絡をして悩みを聞いてもらうことをおすすめします。
性犯罪の被害について対面で相談できる窓口
まずは、性犯罪の被害について対面で相談できる窓口や専門家について紹介します。
- 最寄りの警察署
- 法律事務所(弁護士)
最寄りの警察署 | 被害届を出すことができる
性犯罪の加害者を処罰して欲しかったり、接触しないようにして欲しかったりする場合は最寄りの警察署へ相談しましょう。
警察署に被害届を出すことで、警察が捜査を開始し相手を処罰してもらえる可能性があります。
現在も身の危険を感じている場合は、家の周辺を見回ってもらうことも可能です。
法律事務所 | 示談交渉から心理的なサポートまで幅広く対応してもらえる
法律事務所は性犯罪被害に遭ったときに、対面での相談が可能な窓口としておすすめできます。
ひとりで警察に行って被害届を出すのが不安な場合でも、法律事務所の弁護士であれば以下のように幅広い対応をしてもらえるためです。
心理的なサポート | 性犯罪被害者向けの支援制度やカウンセリングをおこなうNPO法人、臨床心理士などを紹介してくれます。弁護士は依頼者の状態にあわせたさまざまな心理的サポートが可能です。 |
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刑事手続きのサポート | 警察が確実に捜査をするためには被害届でなく、告訴状の提出が必要です。しかし告訴状は告訴の趣旨や事実など、専門知識がないと適切に記載できない点が少なくありません。弁護士に依頼すれば、告訴状の作成代行をはじめ刑事手続きのサポートをしてもらえます。 |
加害者との交渉代行 | 加害者に賠償金を支払わせたい場合、示談交渉が必要です。弁護士に依頼すれば依頼者にかわり、相手方と交渉してもらうことができます。 |
マスコミ対応 | 報道しないように訴えるなどマスコミへの対応も可能です。 |
このほかにも弁護士は、被害者の希望に応じてさまざまなサポートが可能です。
そのため性犯罪の被害について誰かに相談したいときは、まず弁護士を頼るとよいでしょう。
法律事務所のなかには、初回の相談を無料とするケースも多いです。
性犯罪被害について電話相談ができる窓口
性犯罪の被害者のなかには、「誰かに相談したいけれど、いきなり弁護士や警察と対面で相談するのは怖い」「自分が性犯罪の被害者かどうかを気軽に相談したい」という方も少なくありません。
ここでは、性犯罪の被害について簡単に電話相談できる以下3つの専門窓口を紹介します。
- #8103(ハートさん)
- #8891(はやくワンステップ)
- 法テラス犯罪被害者相談ダイヤル
なお窓口によっては、電話相談のあとに対面での相談が可能な場合もあります。
対面でじっくり相談したい場合は、あわせて検討ください。
#8103(ハートさん) | 各都道府県警察の性犯罪被害相談窓口につながる
♯8103(ハートさん)は、各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通ダイヤルです。
この番号に電話をかけると、発信された地域を管轄する各都道府県の相談窓口につながり、担当職員が性犯罪に関するさまざまな相談に対応してくれます。
#8103では、性別・年齢を問わず誰でも性犯罪について相談可能です。
秘密厳守、匿名でも相談できるので、「身元を知られたくない」「とりあえず警察の話を聞いてみたい」という希望もかなえられます。
ただし、緊急性の高い性犯罪事案へのスピーディーな対応には不向きなので、性犯罪の被害に遭った直後などの場合には、110番通報が推奨されます。
【参考】各都道府県警察の性犯罪被害相談窓口につながる全国共通番号「#8103(ハートさん)」|警察庁
#8891(はやくワンステップ) | 最寄りのワンストップ支援センターにつながる
#8891(はやくワンステップ)は、最寄りのワンストップ支援センターにつながる共通ダイヤルです。
ワンストップ支援センターは各都道府県に1箇所以上設置されており、性犯罪や性暴力の被害者からの相談を電話もしくは来所による対面で受け付けています。
警察や弁護士など必要な支援を提供する窓口につないでもらえるほか、産婦人科医療(救急医療・証拠採取など)を提供してもらえます。
【参考】性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター|内閣府男女共同参画局
法テラス犯罪被害者相談ダイヤル | 解決に役立つ情報や支援先を案内
法テラスは国が設立した、法律の総合案内所です。
法テラス犯罪被害者相談ダイヤルでは、性犯罪を含む犯罪被害について経験豊富な職員が無料で話を聞いてくれます。
そのうえで解決に役立つ情報や、相談者に適した支援期間・団体を紹介してくれるのです。
必要に応じて、犯罪被害者支援の実績が豊富な弁護士を紹介してもらうこともできます。
犯罪被害者相談ダイヤル | 0120-079714(なくことないよ) 平日:9時〜21時 土曜日:9時〜17時 |
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各地域の法テラスの連絡先 | お近くの法テラス(地方事務所一覧) |
性犯罪被害についてチャット相談ができる窓口
性犯罪被害について対面だけでなく電話でも話しづらいという方は、チャット相談ができる窓口もおすすめです。
ここでは性犯罪被害のチャット相談を受け付けている、以下の窓口を紹介します。
- Curetime
- あなたのいばしょ
Curetime | 性被害について毎日17時~21時までチャットで相談が可能
Cure time(キュアタイム)は、内閣府の性暴力に関するSNS相談支援促進事業として運営されているチャットサービスです。
年齢・性別・セクシュアリティを問わず、毎日17時〜21時の間、誰でも匿名で性被害についてチャット相談ができます。
Curetimeではメールでの相談も可能です。
またチャットサービスによる相談は、日本語だけでなく英語をはじめとした外国語でも受け付けています。
▶︎Cure timeは「公式ホームページ」から
あなたのいばしょ | 24時間365日、匿名で幅広い相談に対応
あなたのいばしょは、社会で孤立している人や、不安や悩みを誰にも相談できずに困っている人に向けたチャットサービスを提供している特定非営利活動法人です。
性犯罪に関する悩みだけではなく、いじめ被害、DV、児童虐待などのさまざまな相談に対応してくれます。
Cure timeとは異なり、あなたのいばしょは、24時間365日、無料・匿名でいつでも利用できるサービスです。
「今すぐ誰かと繋がりたい」「突発的に襲ってくる性犯罪のトラウマについて話を聞いてほしい」などとお考えの場合には、あなたのいばしょを活用ください。
▶︎あなたのいばしょは「公式ホームページ」から
性被害についてなかなか相談できない理由
性犯罪の被害に遭った方々は、誰にも相談できずひとりで苦しむことが多いようです。
ここでは、「性被害について誰にも相談しなかった理由」について、令和2年度及び令和3年度の内閣府男女共同参画局による調査結果を紹介します。
理由 | 割合 |
---|---|
恥ずかしくてだれにも言えなかったから | 43.5% |
自分さえがまんすれば、なんとかこのままやっていけると思ったから | 32.9% |
そのことについて思い出したくなかったから | 21.2% |
相談してもむだだと思ったから | 20.0% |
どこ(だれ)に相談してよいのかわからなかったから | 15.3% |
【参照元】男女間における暴力に関する調査(令和2年度調査)/無理やりに性交等をされた経験
性被害について相談しなかった理由 | 人数 (総数:964人) |
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恥ずかしくてだれにも言えなかったから | 347人 (36.0%) |
相談するほどのことではないと思ったから | 310人 (32.2%) |
相談してもむだだと思ったから | 275人 (28.5%) |
どこ(だれ)に相談してよいのかわからなかったから | 248人 (25.7%) |
そのことについて思い出したくなかったから | 133人 (13.8%) |
自分さえがまんすれば、なんとか、このままやっていけると思ったから | 122人 (12.7%) |
自分にも悪いところがあると思ったから | 97人 (10.1%) |
【参照元】「令和3年度 若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート結果」
どちらのアンケートでも「恥ずかしくてだれにも言えなかったから」という回答が最も多いです。
またアンケートをみると、以下のような回答も多くなっています。
- 自分さえがまんすれば、なんとかこのままやっていけると思ったから
- そのことについて思い出したくなかったから
性被害について相談するのは勇気がいるかもしれません。
匿名でもチャットでもよいから、まずは相談を
性犯罪は、その性質上、被害者が泣き寝入りをすることが多い犯罪類型です。
「警察に相談するのは恥ずかしい」「見ず知らずの人にいきなり性的な話をするのは抵抗がある」というように、被害申告をすること自体に抵抗感を抱く人は少なくありません。
しかし、性犯罪の被害にあった事実をいつまでも自分の胸の内に抱えつづけても、あなた自身の苦しみが消えることはないでしょう。
また、性被害に遭ってから時間が経過し過ぎると、公訴時効が成立して犯人の刑事責任を追及できなくなったり、性犯罪を立証する客観的証拠を収集しにくくなってしまったりする点にも注意が必要です。
必ずしも、最初から警察や弁護士に相談する必要はありません。
匿名でもチャットでもよいので、まずは利用しやすい方法で相談を試みてはいかがでしょうか。
さいごに | 性犯罪被害については希望に合う窓口へ相談を!
性犯罪の被害について相談できる窓口はさまざまです。
弁護士のように加害者との示談交渉まで対応してくれる窓口から、チャット・匿名で気軽に話をきいてもらえる窓口もあります。
性犯罪について「相談するのが恥ずかしい」「誰に相談してよいかわからない」と考える方は少なくありません。
本記事で紹介したなかから、自分の希望にあう窓口をみつけて連絡をしてみましょう。
まずは匿名で話を聞いてもらうだけでも、心が軽くなるはずです。
相手を処罰したい、相手に慰謝料を請求したいという方は弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士であれば被害者に代わり、加害者に対してしっかり適切な慰謝料を請求してくれるでしょう。
弁護士に相談・依頼すれば、心理的なサポートや警察への手続きの代行なども可能です。
全国の弁護士を検索できるポータルサイト「ベンナビ刑事事件」では、性犯罪被害の対応を得意とする弁護士を多数紹介しています。
地域別や無料相談可否など複数の条件を指定して希望にあう弁護士を効率的にみつけられるので、ぜひ活用ください。

