その他刑事事件
恐喝罪で逮捕されたらどうなる?無料相談できる窓口と弁護士に依頼するメリット
2024.02.13
IDやパスワードを盗用して、不正に他人のコンピュータへアクセスする行為などは、不正アクセス禁止法違反によって処罰されます。
不正アクセス禁止法違反を犯してしまった方は、刑事弁護についてお早めに弁護士へご相談ください
今回は不正アクセス禁止法違反について、違反行為・罰則(法定刑)・刑事手続きの流れなどを解説します。
不正アクセス禁止法とは、不正アクセス行為やその関連行為の禁止などを定めた法律です。
電気通信回線を通じておこなわれる犯罪の防止や、アクセス制御機能により実現される電気通信の秩序維持を図ることなどを目的としています。
不正アクセス禁止法では、以下の行為が犯罪として禁止されています。
「不正アクセス行為」とは、電気通信回線(コンピュータ・ネットワーク)を通じて行われる、以下のいずれかに該当する行為をいいます(法2条4項)。
なお、ネットワークに接続されていない端末(PC・スマートフォンなど)の無断使用は、不正アクセス行為の対象外です。
またネットワークを介することなく、端末を直接操作して無断で使用する行為も、不正アクセス行為には当たりません。
不正アクセス行為は一律禁止とされており(法3条)、違反した場合は犯罪の責任を問われます。
「識別符号」とは、電気通信回線に接続されたコンピュータ(=特定電子計算機)の電気通信回線を通じた利用(=特定利用)について、アクセス管理者およびその許諾を得た利用権者を他の者と区別するためにアクセス管理者が設定した符号であって、以下のいずれかに該当するものをいいます(法2条2項)。
(a)アクセス管理者によって、その内容をみだりに第三者に知らせてはならないものとされている符号
(例)ID、パスワード
(b)アクセス管理者または利用権者の身体の全部もしくは一部の影像・音声を用いて、アクセス管理者が定める方法により作成される符号
(例)指紋認証、顔認証、声紋認証
(c)アクセス管理者または利用権者の署名を用いて、アクセス管理者が定める方法により作成される符号
(例)署名の形状・筆圧・動態などから特徴を取り出して、数値化・符号化することにより本人を照合する認証
※その他の符号と組み合わせたものも含みます。
何人も、識別符号の盗用による不正アクセス行為の用に供する目的で、アクセス制御機能※に係る他人の識別符号を取得することは禁止されています(法4条)。
※アクセス制御機能(法2条3項):特定電子計算機の特定利用を、正規のアクセス管理者または利用権者以外の者ができないように制限するために、アクセス管理者によって設定された自動制御機能です。識別符号の確認を経て、初めて特定利用の制限が解除されます。
上記の規定に違反して他人の識別符号を不正に取得した場合は、不正アクセス行為禁止法違反によって処罰されます。
何人も、業務その他正当な理由による場合を除き、アクセス制御機能に係る他人の識別符号をアクセス管理者および利用権者以外の者に提供してはなりません(法5条)。
このような識別符号の提供行為は、利用権限のない者による不正アクセス行為を助長するためです。
上記の規定に違反して他人の識別符号を提供した場合は、不正アクセス行為禁止法違反により処罰されます。
なお、「業務その他正当な理由による場合」としては、以下の例が挙げられます。
何人も、不正アクセス行為の用に供する目的で、不正に取得されたアクセス制御機能に係る他人の識別符号を保管してはなりません(法6条)。
このような保管行為は、不正アクセス行為の予備行為に相当するものとして処罰の対象とされています。
なお正当な権原に基づいて取得した他人の識別符号につき、取得後に不正アクセス行為の用に供する目的を生じた場合には、上記の禁止行為に該当しません。
何人も、アクセス管理者になりすますなど、アクセス管理者であると誤認させて以下の行為をしてはなりません(法7条)。
ただし、アクセス管理者の承諾を得ている場合は除きます。
上記の規制は、いわゆる「フィッシング行為」を禁止する規定で、違反した場合には不正アクセス行為禁止法違反により処罰されます。
不正アクセス禁止法違反を犯した場合、行為の類型に応じて以下の罰則が科されます。
不正アクセス行為 | 3年以下の懲役または100万円以下の罰金(法11条) |
他人の識別符号を不正に取得する行為 不正アクセス行為を助長する行為(不正アクセス行為の用に供する目的があることの情を知っていた場合) 他人の識別符号を不正に保管する行為 識別符号の入力を不正に要求する行為 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金(法12条) |
不正アクセス行為を助長する行為(不正アクセス行為の用に供する目的があることの情を知らなかった場合) | 30万円以下の罰金(法13条) |
捜査機関に不正アクセス禁止法違反を疑われた場合、以下の流れで刑事手続きが進行します。
これらの刑事手続きについて適切に対応するためには、できるだけ早い段階で弁護士にご相談ください。
悪質な不正アクセス行為をした場合や、他にも余罪がある場合などには、被疑者が逮捕される可能性があります。
逮捕の期間は最長72時間です(刑事訴訟法205条2項)。
ただし、裁判官が引き続き身柄拘束する必要性を認めた場合は、逮捕から勾留に移行して身柄拘束が継続します。
勾留の期間は当初10日間、延長により最長20日間です(刑事訴訟法208条)。
逮捕・勾留の期間中は、警察官や検察官による取調べがおこなわれます。
これに対して被疑者が逮捕されない場合や、逮捕後勾留に移行せずに釈放された場合は、被疑者在宅の状態で捜査が進められます。
この場合、被疑者は警察官や検察官に呼び出され、任意による取調べを受けることになります。
取調べにおいて、被疑者には黙秘権が認められています。
一切供述を拒否することもできますし、話したいことだけを話すことも可能です。
取調べにおける供述は、起訴・不起訴の判断における参考資料となり、起訴されれば刑事裁判の証拠となります。
供述する内容は、弁護士のアドバイスを踏まえて慎重に検討しましょう。
検察官は、被疑者を起訴して刑事裁判にかけるか、それとも不起訴として刑事手続きを終了させるかを判断します。
勾留されている被疑者については勾留期間の満了までに、勾留されていない被疑者については適宜のタイミングで、起訴・不起訴の判断をおこないます。
なお、100万円以下の罰金または科料を求刑する場合は、検察官が略式起訴を選択することもあります(刑事訴訟法461条以下)。
被疑者が略式起訴に同意すれば、簡易的な略式手続きによって審理がおこなわれ、有罪であれば刑罰が科されます。
被疑者が正式起訴された場合は「被告人」と呼称が変更され、公判手続き(刑事裁判)による審理がおこなわれます。
公判手続きでは、検察官がすべての犯罪要件を立証します。
被告人は、罪を認める場合は情状酌量を求め、否認する場合は検察官立証に対して反論します。
公判手続きへ臨む際には、弁護士と綿密な打ち合わせをおこなった上で準備を整えましょう。
公判手続きにおける審理が熟した段階で、裁判所は判決を言い渡します。
犯罪要件がすべて立証されたと裁判所が判断した場合は有罪判決、一つでも立証されていないものがあると判断した場合は無罪判決となります。
判決に対しては、不服申立てが認められています。
第一審判決に対しては控訴(刑事訴訟法372条)、控訴審判決に対しては上告(刑事訴訟法405条)が可能です。
控訴・上告の期間は、判決が言い渡された日の翌日から起算して14日間です(刑事訴訟法373条、414条)。
控訴・上告を経て判決が確定し、有罪の実刑判決であれば刑が執行されます。
不正アクセス禁止法違反で逮捕され、または取調べを要請された場合は、速やかに弁護士へ刑事弁護を依頼しましょう。
取調べについてのアドバイスを受けられるほか、さまざまな角度から弁護活動をおこなってもらうことができ、重い刑事処分を避けられる可能性が高まります。
不正アクセス禁止法違反の刑事弁護を弁護士に依頼する際、主に以下の弁護士費用が発生します。
①相談料
正式依頼前の法律相談について発生することがあります。
②着手金
刑事弁護を正式に依頼する際に支払います。
③報酬金
弁護士による対応が終了した段階で、最終的な刑事処分の内容などに応じて発生します。
④日当
刑事弁護の対応をおこなう際、弁護士が出張した場合に発生します。
「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考に、各弁護士費用の目安額(いずれも税込)を紹介します。
実際の弁護士費用は弁護士が自由に決定しているので、相談の段階で個別にご確認ください。
不正アクセス禁止法違反に関する刑事弁護の相談料は、30分当たり5,500円程度が標準的です。
ただし、弁護士によっては無料相談を受け付けていることもあります。
不正アクセス禁止法違反に関する刑事弁護の着手金額は、事件処理の難易度などによって決まることが多いです。
<刑事弁護に関する着手金額の目安>
起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審) | 22万円~55万円 |
上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審) 再審事件 | 22万円~55万円以上 |
※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。
不正アクセス禁止法違反に関する刑事弁護の報酬金額は、最終的な刑事処分の内容によって決まることが多いです。
<刑事弁護に関する報酬金額の目安>
起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審) | <起訴前> 不起訴:22万円~55万円 求略式命令:不起訴の報酬金額を超えない額
<起訴後> 刑の執行猶予:22万円~55万円 求刑された刑が軽減された場合:刑の執行猶予の報酬金額を超えない額 |
上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審) 再審事件 | <起訴前> 不起訴:22万円~55万円以上 求略式命令:22万円~55万円以上
<起訴後> 無罪:55万円以上 刑の執行猶予:22万円~55万円以上 求刑された刑が軽減された場合:軽減の程度による相当額 検察官上訴が棄却された場合:22万円~55万円以上 |
※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。
不正アクセス禁止法違反に関する刑事弁護の日当額は、弁護士による出張時の拘束時間を基準に決まることが多いです。
<刑事弁護に関する日当額の目安>
半日(往復2時間超4時間以内) | 3万3,000円以上5万5,000円以下 |
一日(往復4時間超) | 5万5,000円以上11万円以下 |
不正アクセス禁止法違反を疑われ、刑事弁護を依頼する弁護士を探している方は、「ベンナビ刑事事件」を利用するのが便利です。
地域や相談内容に応じて、自宅に居ながら簡単に弁護士を検索できます。
無料相談ができる弁護士も多数登録されており、メールや電話で直接の問い合わせが可能です。
複数の弁護士の無料相談を利用した上で、信頼できる弁護士を選んで依頼するのもよいでしょう。
刑事弁護は、早い段階で弁護士に依頼することが大切です。
捜査の初期段階から弁護士に刑事弁護を依頼すれば、さまざまな角度から弁護活動をおこなうことができるため、重い刑事処分を回避できる可能性が高まります。
「ベンナビ刑事事件」は、刑事弁護を依頼できる弁護士に心当たりがない方や、無料相談できる弁護士を見つけて比較したい方などにとって特に有用です。
不正アクセス禁止法違反の疑いで捜査の対象になってしまったら、「ベンナビ刑事事件」を通じてお早めに弁護士へご相談ください。