窃盗・強盗事件
窃盗罪は初犯でも実刑になる?処罰の傾向や逮捕後の流れを解説
2024.06.07
万引きは現行犯しか逮捕されないと思われているケースもありますが、防犯カメラの映像で犯人を特定し、後日逮捕されることも少なくありません。
盗んだものを返しても罪は消えないため、逮捕されたあとは以下のような状況になるでしょう。
前科が付くと解雇や退学になる可能性が高く、就職や再就職にも影響するため、収入を失ってしまう可能性があります。
「お店にばれなかったから大丈夫」と思っていても、実は逮捕までのカウントダウンが着々と進んでいるかもしれません。
ここでは、万引きの刑事処分や逮捕後の流れ、逮捕されたときにやるべきことをわかりやすく解説しています。
対応次第では罪が軽くなるケースもあるので、万引きを犯した人は参考にしてください。
結論からいうと、万引きをしてしまった場合は早いうちに弁護士へ相談・依頼へ相談することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。
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万引きは軽い気持ちや遊び半分でおこなったとしても犯罪になるため、刑法上の罪に問われます。
初犯と再犯、子どもが万引きした場合など、それぞれ以下のように処分が異なっています。
どう異なるのか、以下の解説を見ていきましょう。
万引きは刑法235条の窃盗罪になり、10年以下の懲役または50万円以下の罰金刑に処されます。
窃盗罪には以下の成立要件があります。
法律的に解釈すると少し難しく感じますが、会計前の商品を自分のカバンなどに入れて勝手に持ち出したときは、窃盗罪が成立するということです。
故意ではなかった場合(うっかり商品を持ち出す)には刑事上の処分はありませんが、形式上(行為の外形上)はあくまでも窃盗になるので注意してください。
初犯と再犯では起訴される可能性や量刑(刑罰の軽さ・重さ)が異なってきます。
同種の犯罪歴がない状態を初犯といい、万引きや空き巣、強盗などの事件を起こしていなければ、起訴(検察官が刑事裁判を起こすこと)される可能性は低くなります。
また、起訴された場合でも執行猶予付きの処分になったり、懲役期間が短くなったりするケースもあるでしょう。
ただし、万引きが再犯の場合は「過去に犯した罪を反省していない」と判断されるため、起訴される確率が高く、量刑も重くなることがあります。
万引きが計画的におこなわれていたり、商品が高額だったりすると、懲役刑になる可能性が高いでしょう。
18歳未満の子どもが万引きを犯した場合、14歳未満・14歳以上のどちらかで処分の内容が切り分けられています。
14歳未満の子どもは刑事責任を問えない責任無能力者になるため、万引きをしても逮捕されることがなく、刑事処分も受けません。
ただし、警察官が必要と判断した場合は、児童相談所への通告や送致がおこなわれます。
また、罪を犯したことには変わりないため、触法少年(しょくほうしょうねん)の扱いになり、児童相談所の判断によって家庭裁判所に送致されるケースもあります。
14歳以上の子どもは刑事責任を問われるため、逮捕や勾留(一定期間の身柄拘束)になる可能性が十分にあります。
犯罪捜査規範により基本的には逮捕を避けるようになっていますが、本人が反省しておらず、保護者の指導・監督にも問題があると、家庭裁判所に送致される可能性が高いでしょう。
家庭裁判所に送致された場合、身柄を拘束されない在宅事件になるケースもありますが、検察官が裁判所に観護措置を請求すると、少年鑑別所に入る(収容)可能性があります。
なお、身柄の拘束期間(少年鑑別所の収容期間)は原則10日間になっていますが、事件の内容次第ではさらに10日間延長される場合があります。
万引きを繰り返しており、前科・前歴がある常習犯は「常習累犯窃盗」の罪に問われるため、以下の要件に該当すると懲役刑になります。
常習累犯窃盗罪には罰金刑がなく、3年以上の懲役刑のみとなっています。
また、量刑には以下の要素も考慮されるので、状況次第では長期の懲役期間になるでしょう。
常習的な万引きで前科もあれば、執行猶予も期待できないでしょう。
万引きで逮捕されたあとは、状況によって釈放や勾留、起訴や不起訴に分かれていくため、自分がどの位置にいるのか知っておく必要があります。
身柄は拘束されますが、対応次第では早期釈放もあり得るので、以下の流れをよく理解しておきましょう。
逮捕権は一般人にも認められているため、店員や警備員、万引きGメンなどが万引きを見つけた場合、その場で現行犯逮捕されます。
警察への通報も同時におこなわれており、すぐに警察官も駆けつけますが、警察署へ連行される前に万引きした商品と所持金がチェックされます。
万引きした商品はお店に返さなくてはなりませんが、食品類は売り物として扱えなくなるため、所持金があればすべて弁償(その場で購入)になるでしょう。
また、防犯カメラの映像から万引きの犯人を特定し、後日逮捕(通常逮捕)になる場合もあります。
後日逮捕は裁判所から逮捕状が発付されており、朝8時頃に逮捕されるケースが一般的です。
もちろん逮捕の予告はないので、パジャマ姿のまま警察に連行される場合もあるでしょう。
逮捕後は留置場へ入ることになり、以下のように警察官の取調べを受けます。
逮捕後は留置場に入れられて警察官の取調べを受けますが、被害が小さく、被疑者(犯人)も十分に反省していれば、微罪として釈放または在宅事件になる場合もあります。
ただし、顔写真の撮影や指紋・足形などを採取され、前歴として警察のデータベースに残ります。
また、警察官は逮捕後48時間以内に検察官への送致を決定しますが、送致後は勾留になる可能性が高いので、以下のどちらかの弁護士を呼んでおくべきでしょう。
弁護士は取調べへの対応方法をアドバイスしてくれるので、不利な供述調書を取られる可能性が低くなります。
ただし、当番弁護士は刑事事件が専門ではないケースがあるので、逮捕前に自分で弁護士を探し、私選弁護人を呼べる状況にしておきましょう。
私選弁護人は勾留されたあとでも接見できるため、引き続き弁護活動を依頼できます。
なお、検察官に送致された場合、以下のように勾留や釈放などが決定されます。
検察に送致されたあとは検察官による取調べがおこなわれ、勾留または釈放が決まります。
被疑者に逃亡や証拠隠滅の恐れがある、または住所不定の場合、検察官が裁判官に勾留請求し、勾留が決定すると10日間は身柄が拘束されます。
ただし、被害者との示談が成立していれば、勾留請求されずに釈放となる場合があります。
逮捕前から弁護士に相談しておけば、早めに示談をまとめてくれるでしょう。
弁護活動がなく、引き続き取調べが必要と判断される場合は、以下のように勾留が決定します。
万引きなどの窃盗罪は勾留請求されるケースが多く、裁判所が請求を却下することもほとんどないため、逮捕後はそのまま10日間の身柄拘束になる可能性が高いでしょう。
また、裁判官がやむを得ない事情があると認めた場合は、検察官の請求によってさらに10日間の勾留延長になります。
勾留は刑事罰ではありませんが、逮捕から最長23日間も無断で学校や会社を休むことになるため、実質的には社会的制裁を受けている状態といえます。
逮捕されたあとはすぐに弁護士と接見し、勾留阻止の弁護活動を依頼するべきでしょう。
なお、逮捕直後は当番弁護士や私選弁護人しか呼べませんが、勾留になると原則無料(弁護士費用を国が負担)で国選弁護人を呼べるようになります。
ただし、報酬が低いために熱心な弁護活動を期待できないケースがあり、刑事事件が専門ではない場合もあるので、国選弁護人を呼ぶかどうかは慎重に検討してください。
検察官が刑事裁判を起こすことを起訴といいます。
起訴されると被疑者から被告人に呼び方が変わり、99.9%は有罪判決になっているので、ほぼ確実に前科が付くでしょう。
ただし、弁護士に依頼すると、罪を軽くする意見書や家族の陳述書など提出してくれるため、供述調書だけで処罰が決まってしまうリスクを回避できます。
弁護活動によって示談が成立し、被害者からの宥恕(ゆうじょ:罪を許すこと)もあれば、不起訴処分になる可能性も十分にあります。
不起訴になればそのまま釈放されるので、刑事裁判にかけられることもなく、前科も付きません。
検察官によって起訴された場合は、以下のどちらかの裁判を受けることになります。
万引きに常習性がある場合や、被害が高額だったときは正式裁判になる可能性が高いでしょう。
執行猶予中の万引きであれば、実刑判決で刑務所行きになる場合もあります。
裁判官の判決にも弁護活動が影響するので、弁護士に依頼したかどうかでその後の人生が大きく変わることもあるでしょう。
また、弁護士は起訴されたあとの保釈請求もしてくれるので、一時的に身柄が解放されるケースもあります。
保釈後の行動はある程度制限されてしまい、150~200万円程度の保釈金も必要ですが、在宅で公判へ出頭するため、仕事や学校への復帰も可能になります。
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万引きの被害者はあくまでもスーパーやコンビニなどの店舗であり、犯人は様々な形で裁かれることになります。
刑事処分だけではなく、以下のような影響もあるので、収入が途絶えてしまう可能性もあるでしょう。
万引きで逮捕された場合、家族や職場、学校に連絡する間もなく留置場に入れられます。
勾留延長になると最長23日間の身柄拘束になるため、会社に与える損害も大きくなるでしょう。
前科者を雇用していると会社の信用度にも影響するので、解雇される可能性がかなり高くなります。
学生の場合は退学処分になるケースがあり、前科もあれば希望の進路や就職が叶わなくなります。
結果的に収入が途絶えてしまい、たった一度の万引きでも生活苦に陥る恐れがあります。
万引きで逮捕されると、テレビや新聞、ネットニュースで実名報道される場合があります。
犯罪者の氏名として広範囲に知れ渡るため、社会的な信用を落とすことになるでしょう。
また、家族も犯罪者扱いされるケースがあるため、職場や学校、近所との折り合いが悪くなり、引っ越しを余儀なくされる可能性も考えられます。
万引きはクレプトマリアという窃盗癖が影響している場合もあるので、執行猶予中でも常習的に万引きを繰り返す可能性があります。
窃盗癖の場合は手元に十分なお金があっても万引きをおこなうため、再逮捕されるリスクが高いでしょう。
万引きや窃盗の衝動が抑えられないときは、専門のクリニックで診断してもらう必要もあります。
万引きは現行犯逮捕しかないと思われがちですが、防犯カメラの性能が向上しているため、すでに犯人が特定され、後日逮捕まで秒読み状態になっている場合があります。
逮捕後にできることは限られるので、万引きしたあとは以下のように対応してください。
万引きで盗んだものはすぐにお店に返しましょう。罪を認めて反省の態度を示せば、警察への通報を踏みとどまってくれる可能性があります。
ただし、商品価値が損なわれた場合は売り物にできなくなるため、高額な商品でも代金を支払って買い取らなければなりません。
万引きは必ず通報するようにマニュアル化しているお店もありますが、自主的に商品を返していれば、逮捕されても重い罪にはなりにくいでしょう。
万引きをおこなったときは、逮捕される前に弁護士へ相談してください。
逮捕直後であれば当番弁護士、勾留になると国選弁護人にも接見できますが、刑事事件に詳しい弁護士を自分で選べるタイミングは逮捕前しかありません。
また、すぐに弁護士へ相談しておけば、逮捕前に被害者側と和解できる可能性もあるので、警察沙汰になる前に解決できる見込みもあります。
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警察や検察のペースで取り調べが進むと勾留や起訴になる可能性が高いので、万引きで逮捕されたときは以下のように対処してください。
逮捕されたあとは1人で取り調べに対応しなくてはならないため、何を聞かれるか、どう答えるべきかなど、わからないことや不安の連続になります。
不用意な発言で上げ足を取られることもあるので、弁護士と接見してアドバイスを受けておきましょう。
接見するまでに聞かれたことを伝えておけば、勾留や起訴に向かっているかどうか教えてもらえるので、今後の取り調べにどう対処するか方向性が見えてきます。
逮捕後の相談相手は弁護士しかいないため、わからないことは全て聞いておきましょう。
被害者と示談できれば告訴(加害者への処罰を求める訴え)を取り下げてくれる可能性が高くなります。
示談成立や告訴取り下げがあると、検察官も勾留請求や起訴する理由がなくなるため、早期釈放を期待できます。
起訴前に社会復帰できれば解雇や退学などのリスクを回避できるので、必ず弁護士に示談交渉を依頼しましょう。
万引きは常習性が高い犯罪なので、反省の態度を示すだけでは勾留や起訴を避けられないかもしれません。
ただし、具体的な再発防止策を立てれば検察官も「更生の見込みあり」と判断してくれるので、早期釈放の可能性が高くなります。
どう対策してよいかわからないときは、弁護士に更生プランを練ってもらいましょう。
万引きの検挙率(犯人の特定)は70%近いので、現行犯逮捕されなかった場合でも水面下で捜査が進んでいます。
警察から電話があったために混乱している人や、逃げ切れるかどうか不安になっている人は、以下の質問と回答を参考にしてください。
警察から「○○店の万引き事件について聞きたいことがある」などの電話があった場合、日時を指定して任意出頭を求められます。
この段階では逮捕状が発付されていないので、証拠隠滅や逃亡の恐れがなければ逮捕されることはありません。
任意出頭に応じていれば在宅捜査の扱いになるため、身柄拘束のリスクを回避できます。
車の運転中や商談中など、警察から電話があってもすぐには出られないケースがあるので、あとで着信に気付いたときは折り返しの電話を入れてください。
1~2回程度電話に出なかったとしても、すぐ逮捕に切り替わるわけではありません。
ただし、折り返しの電話を入れずに無視を続けると、「逃亡や証拠隠滅の恐れがあるため逮捕が必要」と判断されてしまいます。
もし逮捕されたとしても、捜査に協力しておけば量刑が軽くなる可能性があるので、電話には必ず出るようにしてください。
逃げ切りは不可能に近いので、警察から電話があれば必ず出頭に応じてください。
自宅に引きこもって隠れたとしても、防犯カメラの映像解析や聴き取り調査が進めば自宅を特定されるため、決して安全圏にいるわけではありません。
また、友人などにかくまってもらうと、逮捕された場合は友人も犯人隠避罪や犯人蔵匿罪に問われてしまいます。
逮捕されるかどうか不安に感じているときは、まず弁護士に相談して今後の対策を考えてもらいましょう。
ただし、万引きの罪を認め、十分に反省していなければなりません。
万引きには転売を目的とした悪質なケースもありますが、ちょっとした出来心だったとしても犯罪には変わりありません。
1回の万引きで人生を棒に振るケースもあるので、すぐに罪を認めて被害者に謝罪する必要があります。
警察に通報されるかもしれませんが、反省の態度を示し、逃亡の恐れもないようであれば、前科ではなく前歴だけで済むかもしれません。
ただし、逮捕された場合は有罪になる確率が高いため、弁護活動によって早期釈放や不起訴獲得を目指す必要があります。
万引きの罪を少しでも軽くしたいときは、逮捕前に私選弁護人へ相談しておきましょう。
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