窃盗・強盗事件
窃盗罪は初犯でも実刑になる?処罰の傾向や逮捕後の流れを解説
2024.06.07
上のように、自分のしてしまったことが、万引きや窃盗罪になるのかと不安に思っていませんか?
結論からいうと、窃盗罪を犯せば、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金となる可能性があります。
実際には20万~30万円程度であるケースが多いようですが、被害回復ができなかったり、悪質性が高いと判断されたりする場合は、より高額になるでしょう。
今回は、窃盗罪を犯してしまった場合の量刑や窃盗罪とみなされる行為を紹介するほか、逮捕後の流れや罰金刑を回避するための方法を解説します。
結論からいうと、窃盗罪として成立してしまった場合、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。事件を大ごとにしたくない場合は、早急に弁護士へ相談・依頼することを強くおすすめします。
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窃盗罪とは、他人の財物を故意に持ち去ったり、勝手に使用したりするなどして、自分のものとすることです。
窃盗罪を犯してしまった場合の量刑や罰金額、窃盗罪とみなされる主な手口について紹介します。
窃盗罪の罰則については、刑法235条で次のように定められています。量刑に関しては幅広いものが選択されるので、一義的には定まりません。
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法|e-Gov 法令検索
懲役刑か罰金刑かは選べません。裁判官がどちらの刑を科すかを判断し、判決を言い渡します。
悪質性が高いと判断されれば、罰金刑ではなく、より厳しい懲役刑となる可能性もあるでしょう。
罰金刑となる場合、その金額は20万~30万円程度となるケースが多いでしょう。
実際には、個々の事例に応じてさまざまな要因が加味され、罰金額が決定されます。
次のような場合は、刑罰がより重く、罰金も高額になる可能性が高いでしょう。
場合によっては、懲役刑になる可能性もあります。
ただし、罰金で解決できない場合に選択されることが多いでしょう。
同じ窃盗であっても、盗んだものが高額であるほど被害は大きく、重い罰が下される可能性が高くなります。
被害状況も量刑に大きく影響します。盗んだものを返却したり、弁償したりするなどして被害回復ができていれば、刑は軽くなり、不起訴となる可能性もあるでしょう。
しかし、被害者の損失を補てんできていなければ、刑罰は重くなりやすいといえます。
以下のような場合は悪質であるとみなされ、刑が重くなりやすいでしょう。
再犯の場合は、罰金ではなく懲役になる可能性が高いでしょう。
懲役となった場合の最長期間は10年ではなく、20年です。これは刑法第57条によります。
第57条 再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。
引用元:刑法|e-Gov 法令検索
窃盗罪とみなされる代表的な手口には以下のようなものがあります。
手口の名称 | 内容 |
万引き | 買い物客を装い、店舗で陳列している商品を持ち去る行為 |
空き巣 | 留守宅に侵入し、金品を盗む行為 |
置き引き | 置いてある他人の持ち物を無断で持ち去る行為 |
ひったくり | 歩行者が持っているものを、すれ違いざまや、追い抜きざまに奪い取り、逃走すること(強盗罪に該当する場合もある) |
スリ | 他人が身につけていたり懐に入れたりして所持している金品を、気づかれないように盗み取ること |
電気窃盗(盗電) | 管理者の許可なくコンセントを使うなど、電気を盗むこと |
仮睡盗 | 駅や電車などでうたた寝をしている人から財布や鞄などを盗むスリの手口の一つ |
野荒らし | 他人が所有する田畑を荒らしたり、作物を盗んだりすること |
車上狙い(車上荒らし) | 駐車中の自動車等の積荷や車両内から現金や品物を盗む行為 |
自販機狙い | 自動販売機を壊し、中の現金を盗む行為 |
自転車盗/自動車盗 | 駐輪中の自転車や駐車中の自動車を盗む行為 |
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もし逮捕されてしまったらどうなるのでしょうか。逮捕と逮捕後の流れについて解説します。
逮捕には、現行犯逮捕・通常逮捕・緊急逮捕の3種類があります。このうち、緊急逮捕とは重大事件の際におこなわれるものであり、窃盗事件ではまずありません。
現行犯逮捕と通常逮捕のどちらかになり、これらの違いは以下に説明するとおりです。
犯行中、または犯行直後の逃走中に身柄を確保されることです。誰が拘束してもよく、警察官だけでなく、目撃者や被害者、通行人が取り押さえてもかまいません。
窃盗事件では特に多い形の逮捕といえるでしょう。
警察などの捜査機関が被疑者を特定し、裁判所からの逮捕令状をもって逮捕するもので、「後日逮捕」とも呼ばれます。
軽微な内容で、裁判所が証拠隠滅や逃亡の恐れがないと判断すれば、逮捕はされず、在宅事件として扱われることも多いでしょう。
逮捕されれば、48時間以内に検察に送致されます。これは身柄を警察から検察庁へ移され、検察が事件の対応を引き継ぐということです。
送致後は24時間以内に検察から裁判所に対して勾留請求がなされます。検察は必ず勾留を請求するとは限りません。
請求をしても、裁判所が刑事訴訟法第60条1項で定義されている勾留要件を満たさないと判断すれば却下されるため、最初から請求しないのです。
勾留の要件は以下のとおりです。
第60条 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
引用元:刑事訴訟法|e-Gov 法令検索
検察官は勾留期間中に起訴するかどうかを判断します。捜査の結果、次のような場合は起訴を見送ります。
起訴されれば裁判手続きが開始されます。刑事事件の裁判には以下の二つの形式があります。
正式裁判 | 被告人が出廷し、弁護人と検察官の主張をもとに判決が下される裁判 |
略式裁判 | 裁判所での審理をおこなわず、検察官が提出した書類のみに基づいて判断される裁判。簡易裁判所に係属する100万円以下の罰金・科料に相当する事件であり、かつ、被疑者の同意がある場合に採用される。 |
窃盗事件では、略式裁判の形式が採用されるケースが多いでしょう。その場合、略式命令が下され、決められた期限までに罰金を納付することになります。
では、実際に罰金を支払わねばならない場合、どうやって支払うのでしょうか。罰金の納付方法についてご紹介します。
判決や略式命令によって罰金が科されると、後日、検察庁から「納付告知書」が送付されます。納付告知書には罰金の金額、支払期限、支払先が記載されているので、指示に従って納付しましょう。
また、検察庁に赴いて、直接納めてもかまいません。
罰金は刑罰であるため、原則分割払いは認められていません。指定された期限内に、必ず一括で支払うようにしましょう。
万が一、期限内の納付が難しければ、納付告知書の送付元である検察庁の徴収事務担当に問い合わせて相談してみましょう。
罰金を支払わずにいると、1日以上2年以下の期間、労役場に留置されます。
労役場とは刑務所や拘置所に併設されている施設で、罰金刑や科料刑になったものの納付できなかった人が、強制的に労働をさせられるところです。
罰金の場合は、判決確定から30日が経過し、本人の同意があった場合のみ執行されます。服役期間は罰金額によって決まり、通常は判決文に記載があるでしょう。
ただし、具体的な日数ではなく「金円を一日に換算した期間」というような書き方になっているはずです。日数が知りたい場合は、計算してみるとよいでしょう。
罰金刑を免れるためには、不起訴処分を獲得することです。日本における起訴後の有罪率は99%を超えるといわれています。
起訴されてしまえば有罪は確定的で、罰金刑となる可能性が高いでしょう。ここでは、起訴を免れ、罰金刑を回避するのに有効な方法をご紹介します。
ただし、これらの方法を実践しても、必ず不起訴になるとは限りません。社会への影響や悪質性が考慮され、起訴が相当と判断されるケースもあります。
弁償したり、示談交渉を成立させたりすれば、被害が回復し、被害者の処罰感情も和らいだとみなされやすくなります。
そのため、検察官側も処罰の必要性は低いと判断し、不起訴になる可能性が高いでしょう。
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加害者が十分に反省していれば、不起訴になる可能性もあります。たとえ下手でも自分の言葉で書かれ、心から反省していることが伝わる内容であれば、起訴猶予となる場合もあるでしょう。
窃盗事件を起こしてしまったら、罰金を免れるためにも、早めに弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、次のようなメリットがあるからです。
逮捕から勾留請求がなされるまでの72時間の間に、接見できるのは弁護士だけです。
この間にも警察や検察による取り調べがおこなわれ、供述調書が作成されます。
不利な内容で供述調書が作成されてしまえば、後の手続きにも影響を与えかねません。
そのような事態に陥らないためにも、取り調べは弁護士のアドバイスのもと、慎重に臨みたいところです。
逮捕による生活への影響をできるだけ抑えるためにも、勾留は避けたいところです。
弁護士に依頼すれば、勾留される可能性が高い場合は、その必要性がないことを裁判所に主張してくれます。
被疑者の反省文や意見書を提出するなどして身柄釈放に向けて力を尽くしてくれるでしょう。
弁護士に依頼すれば、示談交渉も代わりにおこなってもらえます。
成立すれば、不起訴処分を獲得しやすいこともあり、刑事事件において示談交渉は非常に重要です。
勾留されていなければ、自分でおこなうこともできますが、当事者同士の交渉では被害者が感情的になりやすいケースも多く、非常に難しいものです。
第三者である弁護士に任せたほうが、被害者も冷静に話を聞きやすく示談が成立する可能性も高まるでしょう。
弁護士に依頼したいけれど、探し方がわからないという方もいるでしょう。そのような方のために、弁護士の探し方や弁護士費用についてご紹介します。
最も探しやすいのは、たくさんの弁護士や法律事務所を掲載しているポータルサイトでしょう。中でもおすすめなのは、刑事事件に特化した弁護士を紹介するサイトです。
刑事事件の解決実績が豊富な弁護士であれば、知識だけでなく経験も豊富に備えているため、よりよい結果が期待できるでしょう。
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弁護士会には「刑事当番弁護士制度」があり、警察に逮捕・勾留され、まだ起訴されていない状況であれば、1件につき1回限り無料で弁護士を派遣してもらえます。弁護士の派遣は、弁護士会に電話するか、警察や裁判所で本人が要請すれば可能です。しかし、その後の弁護を希望するなら、ほかの弁護士を探して依頼しなければなりません。
ただし、経済的に弁護士費用の捻出が厳しい場合は、弁護士会の刑事被疑者弁護援助事業を利用すれば、引き続き当番弁護士に依頼できる可能性があります。
弁護士費用が用意できない場合は、勾留決定後に選任される国選弁護人に弁護活動をしてもらうこともできます。
国選弁護人とは国が選任し、費用の負担もしてくれる弁護士です。預貯金等を含み50万円未満という資力基準を満たす方なら、誰でも依頼できます。
ただし、担当する弁護士は選べず、刑事事件を得意とする弁護士が選任されるとは限りません。
自分で弁護士を探して、依頼した場合の弁護士費用の相場は60万~100万円といったところでしょう。より具体的な金額は個々のケースによって異なります。
保釈請求など、通常より多くの弁護活動をおこなったり、弁護活動の結果、処分が軽減されたりした場合はより高額となる可能性が高いでしょう。
費用が気になるかもしれませんが、窃盗罪を犯してしまったら、刑事事件の解決を得意とする弁護士に早めに依頼することをおすすめします。
刑事事件は時間との勝負です。
弁護士への依頼を躊躇したために十分な弁護活動ができず、罰金刑になっては意味がありません。
費用の相談をすれば分割払いに対応してくれる事務所もありますので、できるだけ速やかに相談しましょう。
窃盗罪の刑罰は、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金です。
罰金刑となった場合は20万~30万円程度であるケースが多いようですが、場合によってはより高額になったり懲役刑となったりすることもあるでしょう。
できるだけ軽い処分で済ませるためには、自分の過ちを十分に反省したうえで、被害回復に努めることが大切です。
特に被害者との示談交渉成立が大きな意味をもちますが、自分でおこなうのは難しいケースがほとんどでしょう。弁護士に依頼し、代わりにおこなってもらうのが賢明です。
また、示談交渉は成立までに時間を要します。弁護士への依頼はできるだけ早い段階でするのが望ましいでしょう。
窃盗事件を起こしてしまった場合は、迷わず弁護士に相談することをおすすめします。
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