薬物事件
大麻所持|初犯で捕まったら?知っておくべき処分と流れ
2024.04.15
覚せい剤の使用や所持、売買などで逮捕される人が毎年後を絶ちません。
覚せい剤を使用した芸能人のニュースがワイドショーやネットで盛んに取り上げられていたり、何百キロと大量な覚せい剤の密輸が発覚し逮捕されたなどというニュースを見かけたりすることがあると思います。
覚せい剤の使用などの罪で逮捕された場合、非常に重い罰則が適用されますが、怖いのはそれだけではなく、60%を超える再犯率です。
覚せい剤は使用を繰り返すほどに身体をボロボロにしていきます。また、覚せい剤事犯では中毒者が刑務所への出入りを繰り返しているという事例は珍しいことではありません。
この記事では、覚せい剤の使用や所持で逮捕された場合にどんな罰則を受けるのか、逮捕されたときの対応の仕方、また、再犯防止のためにできることなどをご紹介します。
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覚せい剤の使用などが発覚し、逮捕される可能性があるケースとしては以下のようなものが考えられます。
警察による職務質問や、家宅捜索などで覚せい剤を所持していることが発覚すると、覚せい剤取締法違反(覚せい剤所持)で現行犯逮捕されます。覚せい剤であると知らずに所持していた場合は、覚せい剤所持による罪には問われませんが、「知らなかった」で済むケースはまれでしょう。
家族や友人などによる通報で、捜査機関が突然訪れて家宅捜索が行われるということがあるようです。
このような家宅捜索の結果、自宅から覚せい剤が発見されたり、尿検査の結果覚せい剤の使用が認められたりした場合には、これを証拠として逮捕、起訴され、ほとんどのケースで有罪判決を受けることになります。
なお、このような明確な証拠が発見されない場合には、「彼は覚せい剤をやっている」という通報のみで逮捕、起訴されるということはありません。
覚せい剤をその場で所持していなくても、使用を疑われている場合は、職務質問や家宅捜索の際に尿検査・毛髪検査を求められることもあります。検査を拒否しようとしても、裁判所から令状が出れば強制的に検査を受けなければいけません。
適正な検査の結果、覚せい剤の使用が間違いないことが認められれば、覚せい剤取締法違反(覚せい剤使用)で逮捕、起訴され、有罪判決を受けることになります。
売人が逮捕されてそこから芋づる式に発覚というケースは多いようです。この場合、まず売人から顧客についての情報を得て、その裏付け捜査が行われた後、家宅捜索等が行われ、確たる証拠が確保できた段階で逮捕となります。
なお、状況によっては家宅捜索ではなく任意での事情聴取や職務質問の結果、覚せい剤所持が認められて逮捕、ということもあるでしょう。反対に覚せい剤購入者が逮捕されて、そこから売人につながるケースもあります。
覚せい剤の所持や使用についての罰則は「覚せい剤取締法」で定められています。
また、覚せい剤以外の薬物違反の罰則についても後述します。
覚せい剤取締法では覚せい剤を輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受そして使用について違反した者への処罰を定めており、使用・所持しようとしたなどの場合は未遂罪で処罰されます。
また、罰則の重さについて大きく4つのグループに分けることが可能です。まず、【輸入、輸出、製造】と【所持、譲渡、譲受、使用】の2つに分けることができ、さらにそれぞれのグループで営利目的の有無により罰則が変わります。
営利目的なし | 営利目的あり |
1年以上の有期懲役 | 無期もしくは3年以上の懲役に処し、または情状により1,000万円以下の罰金を併科 |
営利目的なし | 営利目的あり |
10年以下の懲役 | 1年以上の有期懲役 |
麻薬特例法は国際的な協力の下に薬物犯罪を防止する目的で定められた法律で、覚せい剤取締法とは違い、幅広い規制薬物が対象です。
麻薬特例法は覚せい剤取締法で処罰することができないような場合に適用されます。例えば、覚せい剤の譲渡などの場合、犯人が容疑を認めていても、その証拠となる覚せい剤自体が押収できていなければ起訴することが難しいといった場合に適用が考えられます。
このような場合には麻薬特例法違反で処罰され、罰則は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」です。
その他の薬物法違反には、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反、あへん法違反などがあり、それぞれ以下のとおりです。
大麻は覚せい剤と異なり、使用は罪に問われません。しかし、所持や譲受があったことが証明されれば逮捕されます。また、大麻の栽培は事前に各都道府県知事から免許を受けているものに限り可能です。
営利目的なし | 営利目的あり |
7年以下の有期懲役 | 10年以下の懲役。情状により1,000万円以下の罰金を併科 |
営利目的なし | 営利目的あり |
5年以下の懲役 | 7年以上の有期懲役。情状により200万円以下の罰金を併科 |
麻薬及び向精神薬取締法は、ヘロインやコカイン、マジックマッシュルームなどの麻薬原料植物、向精神薬の濫用を取り締まっています。
けしの栽培やあへんの輸出入は国に管理されており、許可制となっています。
営利目的なし | 営利目的あり |
1年以上、10年以下の懲役 | 1年以上の有期懲役。情状により500万円以下の罰金を併科 |
営利目的なし | 営利目的あり |
7年以下の懲役 | 1年以上、10年以下の懲役。情状により300万円以下の罰金を併科 |
※けしがら、あへんの使用は営利・非営利関係なく7年以下の懲役です。
覚せい剤についての犯罪は起訴率、再犯者率がほかの犯罪に比べて高くなっていることが犯罪白書から読み取ることができます。
刑法犯全体の起訴・不起訴人員と、特別法犯(道交法違反除く)の起訴・不起訴人員になりますが、それぞれ起訴率39.1%と53.3%となっています。
総数 | 起訴 | 不起訴(起訴猶予含む) | 起訴率 | |
覚せい剤取締法違反 | 17,019 | 13,479 | 3,394 | 79.9% |
刑法犯 | 191,175 | 73,060 | 118,115 | 38.2% |
道交違反を除く特別刑法犯 | 88,561 | 46,450 | 42,111 | 52.4% |
これに比べて、覚せい剤法違反の平成27年度の検挙総数は17,811件で、起訴件数は14,362件で起訴率は81.3%となっています。
単純に比較できるものではありませんが、統計を見る限り覚せい剤法違反は起訴される可能性が高いのは明確ですね。
覚せい剤の犯罪は再犯者率も高くなっていることが以下のグラフから読み取れると思います。
日本の刑事司法は初犯(前科がない者)に対して寛容なスタンスを取っており、覚せい剤事犯やその他麻薬事犯でも同じです。
すなわち、覚せい剤・麻薬の単純所持や使用については、初犯の場合にいきなり実刑(刑務所に収監)となることはまれであり、多くの場合執行猶予(※)付きの判決となります。
しかし、これは初犯のみ。再び犯罪を繰り返した場合、実刑判決を受ける可能性は格段に高まります。上記の通り、覚せい剤事犯は再犯率が極めて高い犯罪です。
仮に覚せい剤で再度逮捕、起訴された場合は、実刑を免れることは難しいでしょう。また、仮に前回の有罪判決執行猶予期間中に再犯で逮捕、起訴された場合は長期の服役を覚悟しなければなりません。
したがって、覚せい剤・麻薬は当然最初から手を出さない、使わないということが最重要ですが、万が一手を出してしまった結果、逮捕、起訴されたという場合には、再犯防止のための取り組みが極めて重要になってきます。
※執行猶予とは 有罪判決後、一定期間中に問題を起こさなければ、刑の執行が免除されること |
覚せい剤取締法違反は検挙されると起訴される可能性が81.3%で、刑事事件での起訴後の有罪率は統計上99.9%といわれています。
以下の表は平成27年度の覚せい剤取締法違反の地方裁判所で判決内容の内訳ですが、無罪、執行猶予付きの判決が少ないことがわかります。執行猶予が付いている判決はおそらく初犯のものだと思われます。
このことから、覚せい剤事犯のほとんどが再犯であり、多くの人が同じ過ちを繰り返していることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
終局人員総数 | 有罪判決数 | そのうち執行猶予付きのもの | 無罪 | 公訴棄却、移送その他 |
9,652 | 9,520 | 462 | 4 | 128 |
警察は覚せい剤使用者を逮捕することももちろん、覚せい剤の輸入や販売している組織といった、大元を一番逮捕したいと考えています。覚せい剤の入手ルートを明かすなど、積極的に捜査に協力すれば、検察や裁判官の心証が良くなります。
有罪判決は不可避と思われますが、捜査機関への協力=本人の反省として、量刑の観点から一定の情状酌量の余地が与えられる可能性があります。
覚せい剤で無罪となるケースはほとんどありません。しかし、被疑者・被告人が本当に無罪という場合は、弁護人と相談した上で闘うという選択肢もあると思います。
ですが、その場合、捜査機関による厳しい取調べが勾留期間中続くことになりますし、裁判の期間も長くなることが予想されます。したがって、闘うと決めたら最後まで戦い抜くだけの強い意志と覚悟が必要になるでしょう。
勾留期間が長くなればなるほど、社会復帰が困難になる可能性があります。保釈金を支払う必要はありますが、保釈請求が認められれば、身体拘束は解かれることになります。
保釈は起訴されてから認められますので、起訴された後で弁護士に請求を依頼してみるとよいでしょう。
保釈が認められるためには証拠隠滅や逃走の恐れのないことや、容疑を正直に認めていてこれ以上勾留の必要性がないなどさまざまな点を考慮され、必ず請求が認められるわけではないので気を付けてください。
また、保釈金の額は本人の資力状況などにより変わってくるので、具体的な金額は分かりませんが、逃亡を防ぐために没収されてしまったら困る程度の金額になります。
最低でも150万円以上は必要となりますが、保釈金を支援してくれる機関もあります。弁護士に相談しましょう。
弁護士(弁護人)との協力は、無罪主張をする場合もそうでない場合(刑の減軽を求める場合)も非常に心強い味方になってくれるでしょう。弁護人には事実を包み隠さず話すことが大切です。
犯罪を犯したことへの反省や再犯をしないための取り組みなどのことを検察や裁判官へ根気強く働きかけてもらうことで、処分を軽くしてもらえる可能性があります。
また、取調べに対するアドバイスや、会社に事件を知られないようにしてくれるなど弁護士によるサポートは多岐にわたります。
少しでも状況がよくなるように何とかしたいと思うようでしたら、弁護士に相談することをおすすめします。
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覚せい剤に関する事件では、再犯防止に関する取り組みが検察や裁判所によい心証を与えるとともに、覚せい剤への依存を断ち切るという意味でも重要です。
覚せい剤の再犯防止のためには周りのサポートが重要になってきます。実際に監督誓約者の有無が再犯率に影響があるとするデータもあります。
覚せい剤を再び使ってしまいそうになった時に止めてくれる人、一緒に再犯防止のために取り組んでくれる人の存在が重要になってくるでしょう。
覚せい剤への依存が強ければ強いほど、本人や周りによるサポートだけでなく薬物再乱用防止プログラムに基づく指導を受ける必要があるでしょう。
また、薬物再乱用防止プログラムが義務付けられていなかったり、指導が終了している人たちが自発的に簡易薬物検出検査を実施したりするということも効果的です。
いかがでしょうか。覚せい剤についての犯罪は罰則が重く、起訴率や再犯率も他の犯罪に比べて高くなっています。
1度目の犯罪では運よく執行猶予になっても、覚せい剤への依存から再犯で捕まってしまい、今度は実刑判決を受けることも考えられ、できるなら早いうちから弁護士に相談することをおすすめします。
また、再犯防止のための取り組みも重要で、家族や友人のサポートや薬物再乱用防止プログラムを通して、再度覚せい剤を使用してしまうことがないことを願っています。
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