性犯罪事件
未成年淫行で逮捕されるリスクとは?バレるきっかけと知っておくべきこと
2024.04.19
強制わいせつ罪にあたるような行為をしてしまった場合、どのような処罰を受けるのか、大変不安になることでしょう。
無実ならば争うべきですが、現実に罪を犯してしまった場合には、被害者に謝罪し、示談することが重要です。
この記事で強制わいせつの示談に関する知識をつけて、正しい判断が下せるよう準備しましょう。
被害者と示談する場合の金額、示談交渉の進め方など、ポイントを弁護士の視点で解説します。
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強制わいせつ罪(刑法176条)に当たる事例は多数あり、示談が成立するかどうかは、被害の態様や被害者の感情、被害者との関係性などの様々な要素により変わりますので、一概に示談金の相場は○○円と示すことはできません。
しかし、弁護士の実務的な感覚からすると、強制わいせつ事案で示談する場合には30万円~50万円の範囲で決まるケースがほとんどです。
ただし、強制わいせつ罪での「わいせつ行為」は、性器の挿入を伴わないもので、暴行・脅迫を用いて行われたものを指します。
性器の挿入を伴う性交(いわゆるセックス)、肛門性交(いわゆるアナルセックス)、口腔性交(いわゆるフェラチオ)があった場合には、強制わいせつ罪ではなく、強制性交等罪(刑法177条)に該当し、同罪での示談金は概ね100万円を超えるケースがほとんどです。
また、そもそも被害者感情から示談に応じないケースというのも多々あります。
以下、実際に刑事裁判の判決文において示談が成立したことが挙げられている事例、民事裁判で強制わいせつに対して慰謝料の支払いを命じた事例などをご紹介します。
沖縄米海兵隊員として勤務していた被告人(犯人)が、午前5時ころに沖縄市内の駐車場において、見知らぬ女性(被害者)に抱きつき、無理やりキスして被害者が着用していたショーツを引き下げ、陰部に指を挿入したという事案で、被告人は強制わいせつ罪で起訴されました。
被害者に50万円を支払う内容の示談が成立して実際に支払い、被告人が反省の態度を示していることなども考慮し、懲役2年6月としたうえで、その執行を4年間猶予する執行猶予付き判決が出されました。
(那覇地裁令和3年6月14日判決/判例集未掲載)
同じマンションの別階に居住する被告による強制わいせつ行為によって精神的苦痛を被ったとして、被害者が不法行為に基づき慰謝料500万円の支払を求めた事案で、裁判所は、被告が
①電話を借りた礼のために被告方に手土産を持参したにすぎない被害者に対し、
②被害者と被告以外の者がいない被告方の玄関内で、
③原告が骨折のため足が不自由であったことを知りながら、
④足の心配をする素振りで被告の右手で被害者の左腰辺りに触れ、
⑤「お尻を触らせて」と言いながら、着衣の上から右手で被害者の左臀部を撫で、
⑥被害者に「嫌」と言われた後にも、「ハグさせて」と言いながら両手で被害者の両肩に手を回して抱きつき、
⑦被害者が嫌がる様子を見て後ろに下がったが、その際に被告の右手で被害者の左胸を下から上にさするように触るという行為をしたことが認められるとしたうえで、その慰謝料として50万円が相当であると判断しました。
(東京地方裁判所令和元年10月31日判決/判例集未掲載)
精神科の医師である被告人が、患者である被害者(当時28歳)を診察していた際、同人にわいせつな行為をしようと考え、病院の診察室において、被害者の両肩付近を両手で押さえ、その両頬や唇にキスをしたという事案で、強制わいせつ罪の刑事裁判第1審では、被告人が被害者に100万円を支払う内容の示談を成立しましたが、第1審判決は、被害者への慰謝の措置が十分ではないとして、懲役1年、執行猶予なしの実刑判決を命じました。
これに対して、被告人が控訴し、控訴審係属中に更に被告人から被害者へ1,000万円を追加で支払い、被害者が被告人を許すという内容の示談を改めて成立させたところ、控訴審判決では、追加の示談を考慮し、懲役1年6月、その執行を4年間猶予する旨の執行猶予付き判決へと変更されました。
(高松高裁令和3年2月18日判決/判例集未掲載)
強制わいせつの事案では、相手方の同意があったなどの無罪を主張する場合の他、実際に相手の意思に反して無理やり行ってしまった場合には、できる限り罪を軽くするため、執行猶予付き判決を得るべく、示談交渉が不可欠となります。
示談成立に向けてのおおよその流れは以下の通りです。
以下、各過程でのポイントを説明します。
まず、示談は被害者との話し合いが不可欠ですので、被害者と連絡を取れるようにする必要があります。
被害者と連絡が取れるかは、事案によって異なります。
被害者とはもともとの知り合いである場合には連絡先を知っているでしょうし、他方で、通行中の女性に抱き着いたなど、全く面識のない人が被害者である場合もあります。
どのようなケースでも示談のためには被害者と連絡を取れるようにする必要がありますが、どのようなケースにおいても、警察・検察を通して連絡を取るようにしましょう。
被害者側としては、そもそも加害者(犯人)と話したくないという人も多いです。
連絡先を知っていたとしても、被害者感情に配慮し、直接連絡を取ることは控えた方が良いです。
被害者が被害届を出すなどして既に刑事事件となっている場合には、必ず警察・検察に対して示談の話し合いをしたい旨を申し入れて、警察・検察から被害者に連絡を取ってもらうようにしましょう。
弁護士に依頼すれば、そうした警察などへの連絡は弁護士が行ってくれます。
被害者が被害届を出しておらず、刑事事件になっていない場合でも、直接連絡をすると被害者の感情を逆なですることがありますので、できれば、弁護士などの第三者に間に入ってもらって話し合いをするようにしましょう。
被害者と連絡が取れるようになったら、弁護士を通じて示談を提案するようにしましょう。
弁護士に事案に応じた双方の慰謝料額を尋ね、支払える金額であれば、その金額を弁護士から被害者に提案してもらいましょう。
また、被害者側は、お金よりも強い処罰を求めるなどの処罰感情が強い場合もありますので、被害者に宛てた謝罪文を作成して、示談提案に併せて弁護士を介して謝罪文を被害者に渡し、真摯に反省している気持ちを伝えましょう。
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被害者と示談交渉を開始したら、示談の条件について協議を進めましょう。
慰謝料(示談金)の金額以外にも、もともと顔見知りであった場合には示談成立後は一切の連絡を絶つことや、被害者の半径〇メートル以内に近づかないことなど、今後の接触を禁止する内容を被害者が求めてくることもあります。
加害者側としては応じられるところは応じ、示談成立に向けて誠実に交渉するようにしましょう。
加害者側の示談成立に向けてのポイントとしては、示談成立時に「示談書」などの書面を作成することと、その内容として、本示談の成立を以って今後は何らの請求をしない(債権債務がない)ことを確認する清算条項を入れるということと、示談金を支払った場合には加害者を許す、ないしは刑事処分を求めないものとするなどの宥恕の条項を入れるということです。
弁護士に依頼すれば、示談においてこうした条項に配慮した示談書案を作成してくれます。
示談の条件のすり合わせが終わると、示談成立となります。示談成立の場合には示談書などの書面を作成し、双方が署名捺印することになります。
弁護士に依頼している場合には弁護士(弁護人)の署名でも構いません。
そうして作成した示談書を警察ないしは検察に提出します。
既に起訴されて刑事裁判になっている場合には、示談書を証拠として裁判所に提出します。
強制わいせつなどの刑事事件となるような事案では、示談がスムーズにいくケースのほうが少ないかもしれません。
被害者側が「許せない」などの強い処罰感情を持っていて話し合いに応じてくれないケースや、不相当に過大な金額の支払いを求めてくるなど、示談が難航するケースも多々あります。
基本的には、示談は、被害者側が話し合いに応じることが大前提であり、被害者の意思に反して強引に示談を成立させることはできません。
できる限り粘り強く交渉する必要があります。
以下、ケースごとにポイントを解説します。
こちらから提示した示談金の金額に対して、被害者側がつり上げ、引き上げを要求していることも多々あります。
まず被害者の要求している金額を冷静に受け止め、一般的な相場に照らして過大ではないか、現実問題として支払える金額かどうかを検討しましょう。
弁護士に依頼すれば、過去の裁判例などから同種事案での慰謝料相場はどれくらいかを調査してくれます。
過去の裁判例と比較して、被害者側が不当な金額を要求しているのであれば、弁護士を通じて、相当な慰謝料額がどれくらいかということを伝えるようにしましょう。
なお、被害者が誘惑してきたなどの被害者側の落ち度を主張して減額交渉することも事案によっては考えられますが、被害者の感情を逆なですることも懸念されますので、慎重に行う必要があります。
事案によっては、被害者としては、慰謝料よりも強い刑罰が科されることを希望し、示談などの話し合いには一切応じないという対応をとられることがあります。
この場合には、無理に示談を進めることは禁物です。
強引に示談を進めようとしたりすると、かえって被害者側の意思を強固なものにしてしまうリスクがあります。
まず、行ってしまったことへの反省と被害者への謝罪の気持ちを弁護士、警察・検察を介して被害者に伝え、示談に応じてもらえるよう粘り強く交渉しましょう。
それでも被害者が話し合いに応じてくれない場合には、こちらから示談の申入れを行った日時などを記録した報告書を弁護士に作成してもらい、その報告書を検察や裁判所に提出してもらいましょう。
また、相当と考える慰謝料額を法務局に供託したり、弁護士会や慈善団体への贖罪寄付をしたりなどの方法もあります。
これらの方法のいずれが適切かは事案によって異なりますので、弁護士に相談するようにしましょう。
事案によっては、被害者が未成年者であることがあり、その場合には被害者の保護者と示談交渉する必要があります。
なお、成年年齢を20歳から18歳に引き下げるよう法改正されたことにより、2022年4月1日より18歳未満が未成年となりました。
この場合には、被害者本人に加え、保護者に対しても、誠心誠意の謝罪の気持ちを以って示談交渉するようにしましょう。
それでも話し合いに応じれくれない場合の対応方法としては、上記と同じく、弁護士による交渉経過を記した報告書、慰謝料額の供託、贖罪寄付などの方法が考えられます。
交渉経過の報告書の提出などを行うことで、検察、裁判所に対して、こちらとしては示談する意思があること、反省を示すことになり、そうした事情を酌んでもらうことができます。
自身が逮捕・勾留中で身動きが取れない場合には弁護人に対応してもらうようにしましょう。
起訴される前の被疑者の段階であっても国選弁護人を就けることもできますし、私選で弁護士に就いてもらうことができます。
逮捕・勾留中である場合には、弁護人に動いてもらいましょう。
親や兄弟、配偶者などの親族から被害者側に連絡を取ってもらうこともできますが、示談交渉は法律的な判断が必要になりますので、できる限り弁護士に依頼して動いてもらった方が良いでしょう。
強制わいせつ罪では、「暴行・脅迫」の有無や、「わいせつな行為」があったと言えるかどうかなど、強制わいせつ罪が成立するかどうか、起訴される見込みがあるかどうかなどの法律的な判断が必要となります。
また、被害者と示談交渉して刑事処分を求めない旨を述べてもらったりすることなども重要となります。
弁護士は、こうした立証見込みの判断や犯罪の成立を否定する証拠の調査や、被害者との示談交渉を弁護活動の中で行います。
強制わいせつ罪で被害届を出されるかもしれない、被害届を出されて警察から事情を聞かせてほしいと言われているという方は、ぜひ、こうした刑事事件に強い弁護士に相談してみるようにしましょう。
刑事事件に強い弁護士に介入してもらうことで、示談交渉がスムーズにいく可能性が高まります。
加害者本人やその親族が被害者側と直接示談したいと言っても、強制わいせつの事案ではそもそも被害者側が話し合いに応じるつもりはないと回答してくるケースも多々あります。
そのような場合でも弁護士に介入してもらい、被害者側に反省・謝罪の意思を正確に伝えることによって、被害者側が示談に応じる姿勢を示してくれるようになることもあります。
被害者側から過大な示談金を求められているなどの場合においても、弁護士が法律の専門家として事案の見込みなどを被害者に示して、適切な内容での示談が成立するようにリードしてくれます。
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強制わいせつ罪が成立するのは、故意があるときです。
つまり、体に触れてしまったなどの意図せずに行ってしまった場合は、強制わいせつ罪は成立しません。
ただ、その場合でも過失による民事上の責任を負うケースは考えられますが、故意の事案と比較して示談金額は低くなります。
被害者感情にもよりますが、過失による不法行為責任を負う場合であっても10万円前後に留まるのではないかと考えられます。
無理やりキスすることは強制わいせつ罪が成立する典型例です。
被害者感情によるところもありますが、一般的な示談金の相場としては、50万円前後となることが見込まれます。
盗撮自体は、強制わいせつ罪に該当するものではありませんが、少なくとも各都道府県が定める迷惑防止条例違反に該当するものであり、また、民法上の不法行為責任による賠償責任を負うことになります。
盗撮された内容とその画像が第三者に流出したかなどの状況にもよりますので、示談金がいくらになるかは明確には言えません。
ただ、盗撮は記録として残るもので、性的羞恥心への侵害が大きいですので、内容によっては強制わいせつの事案よりも示談金が高額になることも十分に考えられます。
刑事訴訟法では、逮捕から48時間以内に送検すること、送検後の被疑者勾留は10日~20日という期間制限があります。
被疑者勾留後に起訴されると刑事裁判を受けることになりますが、認めている事件であっても、刑事裁判は概ね起訴から判決まで1~2か月程度はかかります。
したがって、逮捕されてから刑が確定するまでの期間としては概ね3か月前後は要するものと考えておいた方が良いです。
各犯罪については、法定刑に応じて、公訴を提起すべき期間が決まっています。
強制わいせつ罪は、7年です(刑事訴訟法250条2項4号)。
犯罪行為が終わったときから7年以内に起訴されなければ、公訴時効期間が経過したものとして、処罰されることはありません。
強制わいせつで示談を進める場合には、以下の点に留意してください。
示談を進める場合などでは、刑事事件に注力する弁護士に依頼するようにしましょう。
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