脅迫罪で逮捕・起訴されたらどうすればいい?成立要件や法定刑を把握し、弁護士に依頼するためのステップを紹介

脅迫罪で逮捕・起訴されたらどうすればいい?成立要件や法定刑を把握し、弁護士に依頼するためのステップを紹介

自分にその意図がなかったとしても、ふと口にした発言が脅迫と捉えられ、脅迫罪に問われてしまうことがあります。

本記事では、どのような発言が脅迫罪に問われるか、万が一脅迫罪を起こしてしまったとき何をすべきかについて解説します。

脅迫罪について詳しく知ることで、のちのトラブルや罪に問われるリスクを限りなく減らしていきましょう。

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この記事を監修した弁護士
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当社在籍弁護士(株式会社アシロ)
この記事は、株式会社アシロの「法律相談ナビ編集部」が執筆、社内弁護士が監修しました。

脅迫罪とはどんな罪?成立要件や法定刑について

脅迫罪とは、相手を脅迫することによって畏怖させた際に問われる罪で、刑法第222条により定められています。

(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

引用元:刑法|e-Gov法令検索

脅迫罪の成立要件は3つ

脅迫罪の成立要件は大きく分けて3つあります。

それぞれについて詳しく解説します。

「生命、身体、自由、名誉または財産」に危害がある行動を起こすと告知すること

脅迫罪の基本的な成立要件は、刑法第222条にもあるように、生命、身体、自由、名誉または財産に危害を与えると告知することになります。

客観的にみて相手に畏怖を与えるに足る告知であること

続いて大切なポイントは、客観的に見て畏怖を与えるに足るかどうかです。

たとえば、若く筋骨隆々とした男性から「殺してやる」と言われた場合と、小学生の子どもから「殺してやる」と言われた場合では、同じ言葉でも客観的に見て畏怖を与える度合いは異なります。

あくまで客観的に見てどうであったかから判断されるため、自分では脅迫の要件を満たしていると感じていても、要件を満たしていないと判断される場合があります。

本人もしくは本人の親族に危害を与えると告知すること

脅迫罪は、脅迫を受けた本人以外に、親族を対象とした脅迫でも成立します。

たとえば、「あなたの家族を殺してやる」という言葉は、脅迫罪に問われる可能性が高いといえます。

一方で、どれだけ親しい人だとしても友人を対象とした脅迫の場合は、脅迫罪には問われません。

恋人も同様に「あなたの恋人を殺してやる」という言葉は脅迫罪に問われません。

しかし、「恋人と別れないと、恋人を殺してやる」といった恋人を盾に取るような言葉を伝えてしまった場合は、「人質による強要行為などの処罰に関する法律」に問われる可能性があります。

脅迫罪となる言葉の具体例

ここでは、脅迫罪に問われる可能性のある具体的な言葉を紹介します。

言葉の具体例
生命に対するもの「殺すぞ」
「お前の子どもを殺してやる」
身体に対するもの「ボコボコにしてやる」
「痛い目に合わせてやる」
自由に対するもの「ここに閉じ込めるぞ」
「お前の子どもをさらうぞ」
名誉に対するもの「あなたが不倫していることを職場でしゃべるぞ」
「SNSで暴露してやる」
財産に対するもの「お前の車に傷をつけてやる」
「お前の家を燃やす」

口頭以外で相手を脅迫した場合も脅迫罪に問われる

脅迫罪は、口頭で伝えた以外の場合でも成立することがあります。

具体的には、以下の手段が挙げられます。

  • メール:文章ではなく画像のみの場合でも、脅迫の意図があるとみなされれば、罪に問われることがあります。
  • LINE:メール同様、画像の送信や、スタンプ・絵文字などでも罪に問われる可能性があります。
  • 電話
  • 手紙
  • FAX
  • インターネットの掲示板・ブログ・SNS など

脅迫罪の法定刑

脅迫罪の法定刑は2年以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金となります。

脅迫罪の疑いで逮捕・拘留されてしまったら、速やかに弁護士へ相談するようにしましょう。

脅迫罪の時効

脅迫罪の公訴時効(※公訴時効とは、犯罪が行われたとしても、法律の定める期間が経過すれば、犯人を処罰することができなくなることをいいます。)は、事件の発生から3年です。

ただし脅迫は、民法第709条で定められる不法行為にも該当する可能性があるため、民事訴訟を起こされる可能性があります。

不法行為に基づく損害賠償請求権の時効は、被害者が損害および加害者を知ってから3年かつ脅迫がおこなわれたタイミングから20年です。

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脅迫罪の検挙率・起訴率・量刑相場

では、脅迫罪はどれくらいの確率で検挙され有罪となってしまうのでしょうか。

以下では、脅迫罪の検挙率や起訴率、量刑相場を紹介します。

脅迫罪の検挙率は86.6%

令和3年の脅迫罪の検挙率は86.6%でした。

法務省が公開しているデータによると、令和3年に認知された脅迫事件は3,893件で、そのうち3,373件が検挙に至っています。

【参考元】犯罪の動向|法務省

脅迫罪の起訴率は34.6%

政府が公開しているデータによると、令和4年の脅迫罪の起訴率は34.6%でした。

約3件に1件の確率で起訴に至っていることがわかります。

脅迫罪で不起訴処分になるためには、被害者と示談をおこなうことが非常に重要となります。

【参考元】被疑事件の罪名別起訴人員、不起訴人員及び起訴率の累年推移|e-Stat 政府統計の総合窓口

脅迫罪の有罪率は97.9%

最高裁判所により公開されているデータによると、令和3年の脅迫罪の有罪率は97.9%でした。

起訴された場合、ほとんどのケースで有罪となることがわかります。

【参考元】令和3年 司法統計年報(刑事編)

脅迫罪の量刑相場

脅迫罪の量刑相場(有罪になった際の刑の種類、その重さ)は、以下のとおりです。

刑の内容割合
3年実刑(一部執行猶予を含む)0%
全部執行猶予1%未満
2年以上実刑(一部執行猶予を含む)1%未満
全部執行猶予約5%
1年以上実刑(一部執行猶予を含む)約10%
全部執行猶予約46%
半年以上実刑(一部執行猶予を含む)約12%
全部執行猶予約21%
半年未満実刑(一部執行猶予を含む)約4%
全部執行猶予1%未満
30万円以上約9%
20万円以上約43%
10万円以上約43%
5万円以上約4%
【参考元】令和3年 司法統計年報(刑事編)|裁判所

脅迫事件を起こしてしまったら速やかに弁護士へ依頼すべき理由

脅迫事件を起こしてしまった場合は、速やかに弁護士へ相談するようにしましょう。

以下では、その理由を解説します。

早期釈放を目指せる

脅迫事件について、弁護士へ速やかに相談することによって、逮捕後に早期の釈放を目指せることがあります。

特に前科がない場合には、弁護士の助力によって、適切な弁護活動がおこなわれたり、被害者との示談が成立したりすれば不起訴となる可能性もあるでしょう。

処分の軽減が期待できる

弁護士による助力によって、たとえ有罪となるケースでも軽い処罰となることが期待できます。

弁護士のもつ法的な知識、経験や過去の判例から、刑罰を軽減するための戦略を検討してもらえるでしょう。

重要な被害者との示談交渉を任せられる

被害者との示談交渉は、不起訴処分を得るための大切なポイントといえます。

そのため、示談交渉は弁護士に代理を依頼し、適切に進めてもらうのがおすすめです。

経験豊富な弁護士に依頼することで、交渉の成功確率は十分に高まるでしょう。

否認する場合は依頼者の心強い味方に

自分に身に覚えのない事件や、脅迫の意図がない行動に対して罪を問われている場合は、容疑を否認することが考えられます。

このような否認事件では、弁護士は依頼者の心強い味方となります。

理由のひとつに、電話やメール、文章など客観的な証拠が残っているかを適切に調査してくれる点が挙げられます。

客観的な証拠が残っていない場合は、被害者の話の誤りや認識の齟齬の可能性を指摘します。

もうひとつの理由は、取り調べに向けたアドバイスをもらえることです。

否認をおこなう場合、捜査機関からの追及は強まり、精神的に辛い状況が続くことになります。

その際に、不用意な自白をしないよう指導してもらったり、精神的なサポートをおこなってもらったりすることが可能です。

脅迫事件の弁護士費用と相場

脅迫事件の弁護士費用の相場は、総額で60万円~100万円程度といわれています。

しかし、否認事件の場合や勾留期間が長引くと接見回数が増える可能性があります。

弁護士による接見は、1回につき2万円〜5万円の費用がかかることがあるため、相場を上回ってしまうことも考えられます。

弁護士費用をなるべく抑えるためには、初回の相談料が無料の法律事務所を利用したり、依頼後の接見費用を無料としている法律事務所を検討するのがおすすめです。

脅迫事件を依頼する弁護士の選び方

弁護士に依頼をおこなう場合、どんな弁護士を選んでもよいわけではありません。

以下のポイントを参考に、弁護士選びを検討してください。

刑事事件の解決実績が多いか

依頼する弁護士を選ぶ際に、その弁護士の解決実績を確認するのは重要なポイントです。

とくに脅迫事件について依頼するのであれば、脅迫事件の解決実績が豊富な弁護士に依頼する必要があります。

解決実績が豊富な弁護士であれば、即時解決に向けた迅速かつ正確な対応が期待できます。

素早く弁護活動を開始してくれるか

万が一、脅迫事件によって逮捕されてしまったとき、逮捕されてから72時間以内の行動がその後の流れに影響を及ぼします。

検察官は、逮捕から72時間以内に勾留請求をするか(身体拘束を続けるか)釈放するかの判断をおこなう必要があるため、なるべく早く弁護活動をおこなってもらうことで釈放となる可能性が高まります。

そのため、弁護士に相談後すみやかに弁護活動を開始してくれるかどうかは、弁護士選びのひとつのポイントになり得ます。

弁護士費用は高すぎないか

弁護士費用が高すぎないかどうかも、弁護士選びのポイントといえます。

弁護士費用の相場を把握したうえで、時間が許すのであれば複数の法律事務所で話を聞いてみることをおすすめします。

脅迫事件の解決が得意な弁護士の探し方

脅迫事件について弁護士に依頼するなら、脅迫事件の解決が得意な弁護士を探さなくてはいけません。

以下では、弁護士を効率的に探すための方法を紹介します。

「ベンナビ刑事事件」で探す

ベンナビ刑事事件」は、刑事事件に注力している弁護士を検索することができる情報サイトです。

地域と相談内容から弁護士を検索することができ、自分にマッチしていると感じられる弁護士に自由に問い合わせることが可能です。

初回相談料が無料、19時以降の対応が可能など、詳細な条件を設定して検索することもできるため、弁護士選びに悩んでいる方は利用してみましょう。

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弁護士会の弁護士紹介制度を利用する

弁護士会では、弁護士の紹介サービスを提供しています。

申し込みはWebフォームから24時間受け付けているほか、電話での受付もおこなっています。

弁護士のあてがなく困っているならば、紹介制度の利用を検討してみてください。

【参考元】弁護士を紹介してほしい|東京弁護士会

さいごに

脅迫事件を起こしてしまったり、家族が脅迫事件の被疑者となってしまった際には、速やかに弁護士への相談をおこないましょう

脅迫事件を含む刑事事件は、逮捕から72時間以内の行動がその後の展開に影響を与えます。

弁護士に依頼することで、適切な弁護活動や、被害者との示談交渉をおこなってもらえます。

弁護士が速やかに対応することで、不起訴となる確率は充分あるため、できる限り早急に弁護士への依頼をおこないましょう。

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この記事の調査・編集者
みーさん
2017年にライターとしてアシロに入社し、主に交通事故とIT分野の執筆に携わる。2019年によりIT媒体の専任ディレクターになり、コンテンツの執筆・管理などを行っている。
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