- 「スピード違反で逮捕されることはあるのか…?」
- 「スピード違反で逮捕された場合はどうなるのか…?」
スピード違反は道路交通法に違反する犯罪行為であり、刑事罰も設けられています(道路交通法第118条1号)。
しかし、実際にはスピード違反をしても逮捕されるケースは少なく、刑事事件になる可能性も低くなっています。
それでも場合によっては警察に逮捕されることがあるため、違反行為をしたあとの対応は非常に重要といえます。
本記事では、スピード違反をしたことがある人に向けて、以下の内容について説明します。
- スピード違反だけで逮捕される可能性は低いこと
- スピード違反で逮捕される可能性がある主なケース
- スピード違反が原因で警察に逮捕される場合の主なパターン
- スピード違反で逮捕されてから刑事裁判を受けるまでの流れ など
本記事を参考に、スピード違反で逮捕されるか、逮捕されるとどうなるのかなどについて確認しましょう。
スピード違反だけで逮捕される可能性は低い
一般的に、以下のような理由から「スピード違反だけ」であれば逮捕される可能性は低いです。
- 交通反則通告制度により処分されることが多いから
- 捜査機関がオービスなどによる証拠を持っているから
通常、捜査機関が被疑者を逮捕する理由は、証拠隠滅や逃亡などを防ぐという目的があるからです。
しかし、スピード違反の場合は、捜査機関側がすでに証拠を確保しているため証拠隠滅の心配がありません。
また、交通反則通告制度により反則金を納めれば刑事事件とならないため、逮捕されにくい傾向があります。
スピード違反で逮捕される可能性がある主なケース
スピード違反であっても、以下のように内容・状況によっては逮捕される可能性があります。
- 著しくスピード違反をしている場合
- 警察の制止を振り切り逃走していた場合
- スピード違反の様子を動画で配信していた場合
- 正当な理由なく反則金の納付を拒否している場合
- 前科・前歴がある場合や執行猶予期間中である場合
ここでは、スピード違反で逮捕される可能性がある代表的なケースについて確認しましょう。
1.著しくスピード違反をしている場合
交通反則通告制度による処分対象は、以下の範囲までとなっています。
- 一般道の場合:時速30km未満まで
- 高速道路の場合:時速40km未満まで
上記の範囲を超えてスピード違反をしていると、交通反則通告制度の対象外となり赤切符を切られます。
さらに時速80km超など、著しくスピードを超過している場合は、拘禁刑を科されるリスクも高まります。
著しくスピードを超過しており、刑事事件となる可能性がある場合は、捜査機関に逮捕されることがあります。
2.警察の制止を振り切り逃走していた場合
スピード違反が警察に見つかるとその場で停止するよう求められます。
その警察からの制止を振り切って逃走した場合は、その後の捜査によって逮捕されるリスクが高まります。
警察の制止に応じないでいると「逃走の恐れがある」と判断され、逮捕要件を満たすことになるからです。
3.スピード違反の様子を動画で配信していた場合
スピード違反の動画を撮影し、それをSNSなどで投稿する人もいます。
そのような動画を撮影・投稿している場合は、視聴者による通報がきっかけで逮捕されることがあります。
著しくスピードを超過しているものも多く、危険な運転であることから、警察が動く可能性は高いでしょう。
4.正当な理由なく反則金の納付を拒否している場合
スピード違反が原因で警察に青切符を切られるということは多いです。
青切符を切られたにもかかわらず、反則金を納めない場合は、逮捕される可能性が高まります。
警察は「逃げ得を許さない」という方針を取っており、逮捕に踏み切るケースも多くなっています。
5.前科・前歴がある場合や執行猶予期間中である場合
前科・前歴がある場合や執行猶予期間中である場合は、逮捕される可能性が高まります。
上記のような場合は「常習性がある」と判断されるため、警察は逮捕に動くことが多いようです。
また、常習性が認められるようなケースでは、起訴されて実刑判決を下される可能性もあるでしょう。
スピード違反が原因で警察に逮捕される場合の主なパターン
スピード違反が原因で逮捕される主なパターンは、以下のとおりです。
- 警察に見つかり現行犯逮捕される
- 自宅や職場に警察が来て後日逮捕される
ここでは、スピード違反が原因で警察に逮捕される主なパターンについて説明します。
1.警察に見つかり現行犯逮捕される
スピード違反の現場を警察に見つかり、その場で現行犯逮捕されることがあります。
もっともスピード違反だけであれば、切符を切られて逮捕されることは少ないです。
警察の制止を振り切り逃走していたり、酒気帯び運転があったりする場合は、現行犯逮捕される可能性があります。
【関連記事】現行犯逮捕とは|逮捕できる条件と流れ・捕まった場合の対策を解説
2.自宅や職場に警察が来て後日逮捕される
警察からの呼び出しを無視したり、重大なスピード違反をしたりしている場合は、逮捕される可能性があります。
こちらのケースでは、逮捕状を取得した警察官が自宅や職場などにやってきて、逮捕されることになるでしょう。
【関連記事】後日逮捕とは?よくある疑問や事例、やるべきことなどを解説
スピード違反で逮捕されてから刑事裁判を受けるまでの流れ
スピード違反で逮捕されてから刑事裁判を受けるまでの流れは、以下のとおりです。
- 警察で取り調べを受ける
- 検察で取り調べを受ける
- 検察が勾留請求をおこなう
- 検察が起訴・不起訴の判断をする
- 略式裁判・正式裁判を経て判決が下される
ここでは、スピード違反で逮捕されてから刑事裁判を受けるまでの大まかな流れを説明します。
1.警察で取り調べを受ける
逮捕されると、まずは警察で取り調べを受けます。
主にスピード違反の理由や背景などを確認されて、供述調書という資料が作成されます。
なお、警察での取り調べは逮捕後48時間までであり、その後は検察へと事件が送致されることになります。
2.検察で取り調べを受ける
事件が検察へ送られると、今度は検察で取り調べを受けることになります。
検察では、一般的に警察の取り調べ内容の確認などがおこなわれることが多いです。
また、検察は送致から24時間以内に勾留請求をおこなうかどうか判断することになります。
3.検察が勾留請求をおこなう
検察が被疑者の身柄を拘束しておく必要があると判断した場合は、勾留請求がおこなわれます。
勾留請求がおこなわれた場合は裁判所で面談が実施され、裁判官が勾留決定を出すかどうかの判断をします。
勾留決定が出された場合は、原則10日以内(最長20日以内)にわたって身柄を拘束されることになります。
4.検察が起訴・不起訴の判断をする
勾留期間中にも警察・検察は捜査や取り調べをおこない、最終的に検察は起訴・不起訴の判断をします。
不起訴の場合はすぐに釈放されますが、起訴の場合はそのまま身柄を拘束され続ける可能性があります。
なお、起訴には「略式起訴」と「正式起訴」の2通りがあり、どちらになるかで今後の流れは変わります。
5.略式裁判・正式裁判を経て判決が言い渡される
略式起訴(略式裁判)と正式起訴(正式裁判)の違いは、以下のとおりです。
- 略式裁判:書面だけで審理がおこなわれる裁判手続き
- 正式裁判:公開の法廷で事実や量刑などを争う裁判手続き
略式裁判の場合は、簡易裁判所の裁判官から罰金や科料が言い渡されて、即日で釈放されることになります。
一方、正式裁判の場合は事実関係などが争われて、最終的に裁判官から刑罰が言い渡されることになるでしょう。
さいごに | スピード違反で逮捕されそうなら早めに弁護士に相談しよう
スピード違反だけが原因で逮捕されるケースはあまり多くありません。
しかし、重大なスピード違反をしている場合や、警察の呼び出しを無視している場合は逮捕のリスクがあります。
もし上記のような状況にあり逮捕される可能性がある場合は、早めに弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
弁護士に相談・依頼することで、逮捕を回避できたり、早期の身柄解放に繋げられたりする可能性が高まります。
ベンナビ刑事事件では交通犯罪が得意な弁護士も掲載しているため、近くの弁護士を探して相談してみましょう。

